溺愛されまくりの会長令息が財閥イケメンスパダリ御曹司に見初められました

波木真帆

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<バレンタインデー特別企画> 大好きな人に  <前編>

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今日はバレンタインデーということで、どこかのカップルにバレンタインを体験してもらおうかなと思っていたら、この二人になりました。
一話で終わらせるつもりが前後編になっちゃいましたので、後編は明日投稿します。
楽しんでいただけると嬉しいです♡
※話の都合により、バレンタインデー当日は平日設定になっています。


   *   *   *

<side麻友子>

「ねぇー、ママー!」

いつものように桜守にお迎えに行くと、私の姿を見るや否や笑顔で駆け寄ってきた。

「あらあら、どうしたの?」

「いちかも、おかしつくりたいのー!」

「お菓子って、もしかして?」

今日はバレンタインデー。
毎年一眞さんのために甘さを抑えたお菓子を作ってきたけれど、私がお菓子を作るのはいつものこと。
一花はあまり特別だと思ってなかったみたいだった。

幼稚園生ならそんなものよねと思っていたけれど、どうやらお友だちからバレンタインデーは特別なものだと聞いたのかしら?

「りおくんと、そらくんがいってたのー! かえったら、ママとおかしつくって、りょうちゃんとひろくんにあげるんだって。いちかも、せいくんにおかしつくってあげたいのー!」

一花が初めて理解したバレンタインデーの贈り物が征哉くんのためだと知ったら、一眞さんが聞いたら泣いちゃうかもしれないわね。

「わかったわ。じゃあ、一緒に作りましょう。一花はパパにも作ってあげて。バレンタインデーのお菓子をパパにあげると喜ぶから」

「うん! わかったー! いちか、パパ大すきだからパパのもつくるー!」

というわけで、家に帰ってから早速お菓子作り。
と言っても、一花にできる簡単なものがいいわよね。

「一花はどんなお菓子が作りたいの?」

「うーんと、せいくんは、クッキーがすきだからチョコレートのクッキーがいい!」

「征哉くん。そんなにクッキー好きだった?」

「うん! だって、いちかがクッキーたべてたらいつもはんぶんちょうだいっていうんだよ。だから、いちかがかじったのをたべさせてあげるの。すっごくよろこんでくれるよー!」

あらあら、征哉くんも一眞さんと一緒ね。

「それじゃあチョコクッキーにしましょうか。焼いたクッキーに文字を書いたり、お絵描きもできるから、征哉くんも喜ぶわよ」

「いちか、それするー!」

クッキー生地なら、いつでも焼きたてを食べてもらえるように冷凍庫に作り置きをしている。
それを解凍している間に、一花にエプロンと三角巾を付けて写真を撮る。
征哉くんへの贈り物に添えてあげれば喜ぶわ。

特殊加工の袋に入れておけば、カチコチだったクッキー生地があっという間に常温に戻る。

その生地に打ち粉をして綿棒で伸ばし、あとは型で抜いて焼くだけ。

「一花。好きな形に抜きましょう」

「わぁー! すごーい!」

クッキーはよく作るから、型もたくさん持っている。
動物型はもちろん、楽器や車、お花なんてものもある。
もちろん、バレンタインデーだからハート型は欠かせない。

「せいくんは車がすきだからー、車とー、あと、くまさん。ハートもいれるー!」

楽しそうに型抜きをして、上手に天板に乗せていく。

「一花、とっても上手だわ」

「ママもじょうずだよー!」

「あら、ありがとう。嬉しいわ」

こうして子どもとお菓子を作るのが夢だった。
まだ小さいから無理かしらと思っていたけれど、一花がお菓子を作る楽しさを知ってくれてよかった。

あっという間に二枚の天板いっぱいにのったクッキー生地を焼いていく。
十五分焼いている間に、ラッピングの準備。

「この缶と袋とどっちに入れる?」

「わぁー、このかんがいいー! すっごくかわいいー!」

一花が選んだのは、長方形のクッキー缶。
持ち手があって、小さなランチボックスみたいに見える。
全体に桜の花びらのイラストが載っていて、桜カフェで販売している限定もの。
これに一花の手作りクッキーを入れたらきっと征哉くんも一眞さんも喜ぶわ。

「それじゃあこれにしましょう」

ちょうどそのタイミングで、クッキーが焼き上がった。

冷ましている間に、市販のクッキーにアイシングでお絵描きと文字を描く練習をしておく。

「あまり強く押し過ぎるといっぱい出ちゃって絵も字も書きにくくなるから気をつけて」

「はーい!」

一花は手先が器用だからこういう作業は得意だろうと思っていた。
その予想は外れることはなかった。

「ママー、みてー!」

一花が得意げに見せてくれたのは、丸いクッキーの中にいる可愛いウサギ。
その表情がなんとも愛らしい。

「可愛いわ! 一花、とっても上手!。じゃあ、こっちのクッキーにも描いていきましょう」

すっかり粗熱が取れたクッキーを一花の前に並べる。
一花は悩むことなく次々に可愛らしい絵を描いていく。
そして最後に大きなハート型のクッキーを前に、初めて手が止まった。

「一花、どうしたの?」

「ママ、だいすきってかんじ、どうやってかくのー?」

「えっ? ひらがなでもいいんじゃない?」

そこまで難しい字ではないけれど、ひらがなでも十分気持ちは伝わるはず。
そう思ったけれど、一花は首を横に振った。

「いちかが、おとなになってるって、せいくんにみせたいのー!」

征哉くんに出会ってから、早く大人になりたいっていうようになった一花。
それだけ、いつでも一緒にいたいって気持ちが表れてるのね。

私は、一花の恋する乙女心のようなものを汲んで、『大好き』の漢字を教えた。

「あー! これならいちかもかけそう!」

大きいも、女の子も、もう習っている漢字だものね。

市販のクッキーのほうで何度か練習したあと、ハート型に『せいくん 大好き』と書いた一花は満足そうに私に見せてくれた。

「ママ、どう?」

「とってもよく書けてるわ! 征哉くんも喜ぶわね!」

そうして、出来上がったアイシングクッキーを缶に詰めた。
一眞さんの分もちゃんと出来上がったから、大喜びするわ。

「ねー、ママー。これ、いまから、せいくんのところにもっていきたい!」

「えっ? いまから?」

てっきり明日お休みだから持っていくんだろうと思っていたからびっくりした。

「うん! そのあと、パパにももっていって、いっしょにおうちにかえればいいよー!」

時計を見ると、今は夕方五時過ぎ。
今日はいつも通りに帰ると言っていたから、征哉くんのところに行ってから一眞さんのところに行っても間に合う。当日にあげた方が喜ぶだろう。

「ちょっと未知子さんに連絡してみるわ。征哉くんが会社にいるなら行ってみましょう」

「でも、いちかがいくのは、せいくんにはないしょだよー!」

「わかってるわ」

そうして、私は未知子さんに電話をかけた。
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