溺愛されまくりの会長令息が財閥イケメンスパダリ御曹司に見初められました

波木真帆

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必ず笑顔で

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一花の家に一緒に入ると、すぐに麻友子さんがやってきた。

「ただいま、ママ! パパは?」

「お帰りなさい。パパはもうお仕事に行ったわ。一花、今日は楽しい時間が過ごせてよかったわね」

「うん! ママ、これみてー! せいくんがウサちゃんプレゼントしてくれたの!」

一花が腕に抱いていたぬいぐるみを見せると、麻友子さんは優しい笑顔を浮かべた。

「まぁ可愛いウサちゃんね。征哉くん、ありがとう」

「いえ。一花の思い出になるものをプレゼントできて嬉しいです」

ずっと腕に抱きしめられているウサギには少し嫉妬してしまうがそんな狭量なことは口にはしない。

「一花、今日は征哉くんのお家にお泊まりでしょう? 早くお着替えをしていらっしゃい」

「はーい! いちか、すぐによういするから、せいくんまっててね」

「大丈夫。ちゃんと待ってるから急がないでいいよ」

そう言ったけれど、一花は早く行きたいと全身で表現しながら自分の部屋に駆け上っていった。

「あらあら、一花ったら。征哉くんのところにお泊まりなのがよっぽど楽しみなのね」

「ご心配でしょうがちゃんとみていますから安心してください。うちは大人が三人もいますから危険な目には遭わせませんよ」

「ええ、それは何も心配していないわ。さっき未知子さんにも連絡を入れておいたのだけど、悪いことをしたりわがままを言ったりしたら叱ってくれていいからね」

一花が悪いことをしたり、わがままを言ったりするのは想像つかないが、確かになんでも許してあげるのが優しさではないからな。

「それはもちろん。私も一花にはしっかりした大人になってもらいたいですからね」

「征哉くんくらいしっかりした大人が一花のそばにいてくれたら安心だわ。一花のこと、よろしくお願いしますね」

これは一花のことを言いながら、私にも牽制しているようだ。
欲に塗れた男が理性を失った時、一花のような弱い子はすぐに傷つけられてしまう。
だが大丈夫だ。私は一花を心から大切に思っている。
一花が大人になるまでは決して邪な気持ちは持たない。

一花を最愛だと認めた時からそれを覚悟して過ごしているのだから。

「一花のことはお任せください。明日必ず笑顔でお返しします」

私の言葉に麻友子さんはにっこりと笑った。

「一花のお泊まりセットを用意しようと思ったのだけど、未知子さんが何もいらないと仰るからお言葉に甘えることにしたわ」

「その方が母も喜びます。いつでも一花が泊まれるように着替えもパジャマも何もかも用意していましたから」

それだけじゃない。
我が家にはすでに一花の部屋まで用意されている。
いつか一花が息子になる日を楽しみにしているのだ。

「未知子さんらしいわ。一花が一人でもそちらにお泊まりができるのなら、これから頻度を増やしてもいいかもしれないわね」

「母も父も喜びますよ。もちろん私も」

ただ、私の戦いの時間が増えるのだが。
それは私が解決すればいい。


「せいくーん! おきがえおわったぁー!!」

一花が嬉しそうに階段を駆け下りてくる。あまりにも急ぎすぎているから危ないと思いつつ一花から目を逸らさずにいた。すると足が縺れ、一花が叫び声ともに身体が浮かんだのが見えた。

麻友子さんの悲鳴を背に、私は慌てて階段下に滑り込んで一花を抱き留めると一花の早い鼓動が伝わってきた。

「一花、大丈夫か? どこか痛いところはないか?」

慌てて一花の顔と身体をチェックするが、一花は驚きすぎたのか、首を横に振るだけ。

「一花、怖かったな。でも大丈夫だ。私がついてる」

「せ、い、くん……せいくん!!」

遅れて恐怖がやってきたらしく、一花は私の胸にギュッと抱きついて泣いていた。

「なんともなくてよかった。でも階段は気をつけないといけないぞ」

一花は泣きながら必死に何度も頷いていた。
よほど怖かったんだろう。一花を助けられて本当に良かった。

一花が少し落ち着きを取り戻したのをみて、私は一花に麻友子さんに謝りに行くように促した。
一花は私からそっと離れると麻友子さんの前に立った。

「ママ、ごめんなさい……」

「征哉くんがいてくれて良かったわ。私だけだったらどうなっていたか……でも、怪我がなくて本当に良かったわ」

一花を抱きしめる麻友子さんの手が震えているのが見える。
一花も恐ろしかっただろうが、麻友子さんにとっても怖かったに違いない。

二人の笑顔を守れて良かったと心から思った。
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