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第二部
サウナに行こう!
<side昇>
直くんたちとのビュッフェランチ。
俺は結構食べ尽くしたけど、お腹の容量的にはまだ腹七部といったところか。
でもここのビュッフェは時間制限がなく、特別室の場合は夜までいても問題ないというのだから最高にありがたい。
しかも、部屋の隅にはこの間来た時にはなかったお昼寝場所ができていたし、直くんがのんびり過ごせるようになっているみたいだ。
そんな中、部屋を訪ねてきたのはイリゼホテルのオーナーの浅香さんと、恋人でClef de Coeur社長の蓮見さん。
浅香さんはあっという間に直くんや絢斗さんたちの話の中に入っていき、俺はそっと直くんから離れた。
伯父さんとラシード殿下、そして蓮見さんの中に入るのはかなり緊張するが、俺が一人で直くんと絢斗さん、保さん、浅香さんの輪の中に入るのもおかしな話だ。
ラシード殿下と蓮見さんはすでに顔見知りの様子。
まぁ、ずっとこのホテルに泊まっているV.I.Pだから挨拶していないわけがないな。
俺は全員が年上の大人だから緊張するが、それぞれに恋人や夫がいるのをわかっているから、日下部さんの家に行った時のように牽制されたり威圧されたりしないのは気楽でいい。
和やかな雰囲気の中、蓮見さんが提案してきたのは、イリゼホテルに新しくできたサウナ。
そこにみんなで入ろうと言い出した。
普段なら絢斗さんたちと離れるのを心配しそうな伯父さんも、ここがイリゼホテルでしかも安心かつ安全な特別室にいるから、その提案を断ることはなかった。
ラシード殿下も意外と乗り気でちょっと驚いた。
王族が人前で肌を見せるのは……と話していた気がして、こっそり尋ねてみたけれど、
『あれは、タモツの肌を見せない言い訳だ』
と笑って教えてくれた。
やっぱりな。そうだと思っていた。
それだけ伴侶に対する独占欲が強いという証なのかもしれない。
『それじゃあ、早速行ってみましょうか』
みんなで立ち上がり、直くんたちのもとに向かう。
「絢斗。私たちはちょっと出かけてくるから、ここでのんびり過ごしていてくれ」
「えー、どこ行くの?」
サウナに行くと正直に伝えたら、好奇心旺盛な絢斗さんのことだ。
きっと一緒に行きたいと言い出すだろう。
そうなるとゆっくりサウナを楽しむ場合ではなくなってしまう。
伯父さんはなんと返すんだろう……
「周平くんがイリゼホテルの中をラシード殿下に案内するというからついていくんだ。カマルにもここの施設の導入を考えているようだ」
「そうなんだ。敬介くんは一緒じゃなくていい?」
「ああ。浅香くんとゆっくりとおしゃべりを楽しんでいてくれ」
そう告げると、浅香さんは全てを理解したように絢斗さんに笑顔を向けた。
「新作のケーキがあるので、絢斗先生と直くんと保さんに食べて感想を聞かせて欲しいんです」
「わぁ、新作のケーキ? 楽しみ!」
うまく話題を変えてくれたことにホッとしつつ、俺たちは揃って部屋を出た。
『敬介には部屋から出ないようにしっかり伝えていますし、念の為部屋の周りには警備を厳重にしていますのでご安心ください』
蓮見さんの言葉に、ラシード殿下も伯父さんも安心したようだ。
そうして、俺たちは新しいサウナルームに向かった。
そこには広々としたバレルサウナと、数人で入れる露天風呂、同じく水風呂、そしてのんびり足を投げ出して寛げる椅子が置かれていた。
『ここは全て貸切仕様となっていますので、他のグループと一緒にサウナに入ることはありません』
知らない人と出会う楽しみもあるんだろうが、やっぱり無防備になる分、俺は知り合いとだけがいい。
特に直くんと一緒に入るなら、絶対に他人には直くんを見せたくない。
だからこそ、貸切はありがたい。
蓮見さんが脱衣所に案内してくれて、それぞれにバスタオルとリストバンドを渡してくれた。
このリストバンドが倉橋さんが開発したものか。
付けて年齢と身長体重を入力したら、勝手に動き出した。
それはいいんだけど、他のものが一切ない。
あれ? これってどういうこと?
「ねぇ、伯父さん」
「どうした?」
俺が声をかけると、伯父さんはボタンを外していた手を止めた。
「いや、サウナってどうやって入るの?」
「どうやって、って……お前、初めてか」
俺が頷くと、伯父さんはちょっと笑って教えてくれた。
「こういうタイプのサウナは、裸が基本だ。何も恥ずかしがることはない」
「そうなの?」
知らなかった……。
でも、蓮見さんもラシード殿下も全く気にする様子もなく、服を脱いでいる。
驚いている俺のほうが返って恥ずかしい。
別に人に見せられない身体をしているわけじゃないし、俺は気合を入れて服を脱ぎ捨てた。
最近は直くん以外の前で裸になったことがないから、なんとなく緊張するけど、確かに開放感はやばい。
『ほう。意外といい体つきをしているな』
ポンと肩を叩かれて振り返ると、そこにはラシード殿下。
しかも全裸。
気にしないでいようと思ってもやっぱりそこに目がいってしまうのは男の性なのか。
外国人だからというのもあるんだろうか。
身長もあって逞しい身体をした殿下にふさわしい大きなモノ。
「すげぇ」
思わず心の声が漏れた。
直くんたちとのビュッフェランチ。
俺は結構食べ尽くしたけど、お腹の容量的にはまだ腹七部といったところか。
でもここのビュッフェは時間制限がなく、特別室の場合は夜までいても問題ないというのだから最高にありがたい。
しかも、部屋の隅にはこの間来た時にはなかったお昼寝場所ができていたし、直くんがのんびり過ごせるようになっているみたいだ。
そんな中、部屋を訪ねてきたのはイリゼホテルのオーナーの浅香さんと、恋人でClef de Coeur社長の蓮見さん。
浅香さんはあっという間に直くんや絢斗さんたちの話の中に入っていき、俺はそっと直くんから離れた。
伯父さんとラシード殿下、そして蓮見さんの中に入るのはかなり緊張するが、俺が一人で直くんと絢斗さん、保さん、浅香さんの輪の中に入るのもおかしな話だ。
ラシード殿下と蓮見さんはすでに顔見知りの様子。
まぁ、ずっとこのホテルに泊まっているV.I.Pだから挨拶していないわけがないな。
俺は全員が年上の大人だから緊張するが、それぞれに恋人や夫がいるのをわかっているから、日下部さんの家に行った時のように牽制されたり威圧されたりしないのは気楽でいい。
和やかな雰囲気の中、蓮見さんが提案してきたのは、イリゼホテルに新しくできたサウナ。
そこにみんなで入ろうと言い出した。
普段なら絢斗さんたちと離れるのを心配しそうな伯父さんも、ここがイリゼホテルでしかも安心かつ安全な特別室にいるから、その提案を断ることはなかった。
ラシード殿下も意外と乗り気でちょっと驚いた。
王族が人前で肌を見せるのは……と話していた気がして、こっそり尋ねてみたけれど、
『あれは、タモツの肌を見せない言い訳だ』
と笑って教えてくれた。
やっぱりな。そうだと思っていた。
それだけ伴侶に対する独占欲が強いという証なのかもしれない。
『それじゃあ、早速行ってみましょうか』
みんなで立ち上がり、直くんたちのもとに向かう。
「絢斗。私たちはちょっと出かけてくるから、ここでのんびり過ごしていてくれ」
「えー、どこ行くの?」
サウナに行くと正直に伝えたら、好奇心旺盛な絢斗さんのことだ。
きっと一緒に行きたいと言い出すだろう。
そうなるとゆっくりサウナを楽しむ場合ではなくなってしまう。
伯父さんはなんと返すんだろう……
「周平くんがイリゼホテルの中をラシード殿下に案内するというからついていくんだ。カマルにもここの施設の導入を考えているようだ」
「そうなんだ。敬介くんは一緒じゃなくていい?」
「ああ。浅香くんとゆっくりとおしゃべりを楽しんでいてくれ」
そう告げると、浅香さんは全てを理解したように絢斗さんに笑顔を向けた。
「新作のケーキがあるので、絢斗先生と直くんと保さんに食べて感想を聞かせて欲しいんです」
「わぁ、新作のケーキ? 楽しみ!」
うまく話題を変えてくれたことにホッとしつつ、俺たちは揃って部屋を出た。
『敬介には部屋から出ないようにしっかり伝えていますし、念の為部屋の周りには警備を厳重にしていますのでご安心ください』
蓮見さんの言葉に、ラシード殿下も伯父さんも安心したようだ。
そうして、俺たちは新しいサウナルームに向かった。
そこには広々としたバレルサウナと、数人で入れる露天風呂、同じく水風呂、そしてのんびり足を投げ出して寛げる椅子が置かれていた。
『ここは全て貸切仕様となっていますので、他のグループと一緒にサウナに入ることはありません』
知らない人と出会う楽しみもあるんだろうが、やっぱり無防備になる分、俺は知り合いとだけがいい。
特に直くんと一緒に入るなら、絶対に他人には直くんを見せたくない。
だからこそ、貸切はありがたい。
蓮見さんが脱衣所に案内してくれて、それぞれにバスタオルとリストバンドを渡してくれた。
このリストバンドが倉橋さんが開発したものか。
付けて年齢と身長体重を入力したら、勝手に動き出した。
それはいいんだけど、他のものが一切ない。
あれ? これってどういうこと?
「ねぇ、伯父さん」
「どうした?」
俺が声をかけると、伯父さんはボタンを外していた手を止めた。
「いや、サウナってどうやって入るの?」
「どうやって、って……お前、初めてか」
俺が頷くと、伯父さんはちょっと笑って教えてくれた。
「こういうタイプのサウナは、裸が基本だ。何も恥ずかしがることはない」
「そうなの?」
知らなかった……。
でも、蓮見さんもラシード殿下も全く気にする様子もなく、服を脱いでいる。
驚いている俺のほうが返って恥ずかしい。
別に人に見せられない身体をしているわけじゃないし、俺は気合を入れて服を脱ぎ捨てた。
最近は直くん以外の前で裸になったことがないから、なんとなく緊張するけど、確かに開放感はやばい。
『ほう。意外といい体つきをしているな』
ポンと肩を叩かれて振り返ると、そこにはラシード殿下。
しかも全裸。
気にしないでいようと思ってもやっぱりそこに目がいってしまうのは男の性なのか。
外国人だからというのもあるんだろうか。
身長もあって逞しい身体をした殿下にふさわしい大きなモノ。
「すげぇ」
思わず心の声が漏れた。
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