ひとりぼっちになった僕は新しい家族に愛と幸せを教えてもらいました

波木真帆

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第二部

それぞれの時間

『あっ、すみません。つい……』

日本語はわからないと思ったけれど、不躾にみてしまって申し訳ないという気持ちで謝ったがラシード殿下の表情は柔らかい。

『ははっ。義理とはいえ、息子に褒められるのは悪くない』

義理の息子……

俺のことを直くんの相手だと認めてくれているようで嬉しい。

『ノボルはまだ経験はないんだろう?』

『は、はい。それはもちろん』

俺の初めての相手は直くんしかありえない。
直くんが成人するまでは一線は超えないと伯父さんとも約束しているから、それまで俺は童貞だ。

『今のままでも十分成長しているようだが、経験すればさらに大きくなる。心配しなくていい』

『それって……』

俺のモノの話をしているんだよな?
特別小さいとも思ってなかったし、心配もしてなかったけど、大きくなると言われたら嫌な気はしない。

『まぁ、男の価値はそれの大きさだけで判断されるものじゃないさ』

ラシード殿下はそう言ってぶらぶらと揺らしながら蓮見さんたちのほうに歩いて行った。
ふとみれば、蓮見さんも伯父さんもかなりのデカさだ。

俺も大きさ的には伯父さんとそこまで変わらないと思うが、なんていうんだろう。
オスのフェロモンを溢れさせているというか、いい意味で使い込んだ感じがとてつもなくかっこいい。
それは蓮見さんもラシード殿下も同じだ。
だが、飛び抜けて伯父さんのがかっこよく見えるのは、愛しい相手と愛し合ってきた期間の長さが物を言うんだろうか。

まっさらな自分のモノに視線を向ける。
大きさとかはともかく、あの三人と比べると子ども感が半端ない。
でも、これも今だけだ。

俺だって、直くんとそういう関係になれば……

つい、一緒にお風呂に入った時の可愛い直くんの姿を思い出して、ほんの少し首を擡げてしまう。

やばっ。

慌てて両手で隠すと、突き刺さるような視線を感じる。

恐る恐る目を向けると、伯父さんがギロリと睨んでいて背筋が凍る。
俺が直くんのことを考えていることに気づかれたのかもしれない。

その恐怖に一気に萎えていくのがわかる。
落ち着いたことにホッとしつつも、伯父さんの目はしばらく俺を睨んだままだった。

<side絢斗>

卓さんたちがラシード殿下にホテル内を案内すると言って出て行った。
けれど、多分他にも理由があるんだろうなということは予想がついていた。

本当なら私も一緒についていきたいところだけど、直くんもいるし、何か危ない目に遭ったら怖いからここは大人しくしていよう。
それに敬介くんと四人でこうしておしゃべりすることも滅多にあることじゃない。
ここはゆっくりと過ごさせてもらおう。

卓さんたちが出て行ってすぐに新作ケーキが運ばれてきた。

「わぁー! すっごく美味しそう!」

苺づくしだったスイーツビュッフェもすごく美味しかったけれど、このケーキは見た目にも可愛くて美味しそう。

カクテルグラスに盛り付けられたメロンケーキ。
どこもかしこもふんだんにメロンが使われている。

「このメロンゼリーにはメロンのお酒を使っているので香りもすごくいいですよ。あ、直くんのはもちろんお酒は抜きです」

「なるほど、大人のケーキってことだね」

「はい。今日は直くんにも楽しんでほしくて特別にお酒抜きで作ってます」

見た目にはまったくわからない。
敬介くんのこういう配慮がありがたい。

「食べようか」

直くんは興味津々にスプーンを入れていく。

「んー! 甘くて美味しいです」

どこから食べてもメロンを味わえる。最高のパフェケーキに直くんは満足しているようだ。

生クリームと一緒にメロンゼリーを食べてみる。
メロンの濃厚な味わいに思わず声が出た。

「ん!」

隣で保くんも目を丸くしている。
それくらいメロンを感じられて美味しい。

「これ、いいよ。甘いものが苦手な人も好きだと思う」

そんな感想を伝えると、保くんも大きく頷いた。

「このゼリーの食感もいいです。わざと崩しているのがいいですね」

「わかる! 生クリームと絡むよね」

そんな私と保くんの感想を敬介くんは笑顔で聞いていた。

美味しいパフェケーキをあっという間に完食すると、直くんは眠そうに頭を揺らした。

「直くん、少しお昼寝しようか」

もう半分寝ているのかもしれない。
小さく頷く直くんに保くんが近づいた。

「直。私が連れて行こう」

そういうと、直くんを抱きかかえる。
そんな保くんを私も陰ながら手伝い、布団に寝かせた。

「絢斗さん。ありがとうございます」

「ううん。私は何もしてないよ。やっぱり保くんは父親なんだなって思ったよ。直くんも安心してたし」

そういうと、保くんは穏やかな笑みを浮かべた。

「これまで、直を抱きかかえたりなんてほとんどしたことがなかったですけど……今、こうして直との距離を縮めることができたのは絢斗さんと磯山先生のおかげです。本当に感謝してもしきれません」

一度は直くんとの別れを選んだ保くん。
でもこうして成長を見守れるようになったことは保くんにとっても、そして直くんにとってもいい結果になったと思う。

「私たちも保くんに感謝しているんだよ。本当に可愛い息子を誕生させてくれてありがとう。直くんはみんなの宝物だからね」

私の気持ちを素直に告げると、保くんは嬉しそうな笑顔を見せてくれた。
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