ひとりぼっちになった僕は新しい家族に愛と幸せを教えてもらいました

波木真帆

文字の大きさ
68 / 678

可愛すぎるメッセージ

しおりを挟む
<side昇>

切り分けられたケーキはこの家に来てから何度か食べていた直くんも、デコレーションされたホールケーキは初めてだったようでとても喜んでいた。
しかも、さすがスイーツ好きの母さんが買ってきてくれただけあって、花やフルーツで飾られた大きなケーキは俺でも驚いてしまうほどすごかった。

直くんはそれを一口食べるごとに幸せそうな表情をして完食したあとで、俺たちにお礼を言い始めた。

「家族としてよろしくお願いします」

と頭を下げる可愛くて我慢できずに抱きしめると、その瞬間を写真に撮られた。

撮ってくれたのは絢斗さん。
しかも直くん用のスマホで。

俺もずっと直くんにスマホをプレゼントしたいと思っていた。
けれどスマホをプレゼントするような口実が思いつかなくて、伯父さんたちに相談しようと思っていたんだ。

結局伯父さんと絢斗さんからの贈り物になってしまったけれど、ここは仕方がない。
それよりも直くんがスマホを持ったことを喜んだほうがいい。
俺が手取り足取り使い方をレクチャーしちゃおうと思っていたのに、母さんが

「ねぇ、直くん。メッセージID交換しよう。そうしたらフランスでもメッセージが送り合えるわ。昇、ちょっと直くん借りるわよ」

と言って俺が止めるのも聞かずに直くんをソファーに連れて行ってしまった。

「昇、ああなったら仕方ない。ちょっと待っていなさい」

伯父さんにそう言われたけれど、母さんと絢斗さんと直くんの楽しそうな声が聞こえて、目が離せない。
すると、メッセージアプリのIDを交換しているのが聞こえて、俺も慌てて便乗しに行った。
だって、俺こそが一番直くんとメッセージのやり取りをしたいんだ。

俺の後から父さんまでID交換しについてきたけど、そこに構っている暇はない。

なんとかIDを交換して、ホッと一息ついたのも束の間

「卓さん、昇くんと毅さんとあっちの椅子に座ってて。私、二葉さんと直くんとしたいことがあるから」

と今度は絢斗さんに直くんを取られてしまう。

伯父さんは絢斗さんのいうことを絶対に聞くからどうしようもない。

「わかった。その間にテーブルを片付けておくよ。ほら、毅。昇。手伝ってくれ」

そう言われて仕方なく直くんの近くから離れてダイニングに戻った。
ケーキを食べた後の皿の片付けをしながらも意識は直くんに向いていた。

離れたせいか何を話しているかまではしっかりと聞き取れないが、楽しそうなことだけは表情でわかった。

すると、突然ポケットに入れていたスマホが震えた。

なんだ?

そっと取り出すと、直くんからのメッセージを知らせる通知が来ていた。

直くんが?
もしかして人生初のメッセージを俺に?

嬉しくて急いで開くと、

<昇さん。可愛いクマさん、ありがとうございます! これからも一緒に寝てください!>

というメッセージと共にどう見ても俺と直くんに見える可愛いスタンプ。

「――っ!!! こんなの、反則だろっ」

あまりにも可愛い言葉とスタンプにトドメを刺されて、俺はその場にしゃがみ込んだ。
直くんからのメッセージが俺の下半身にダイレクトに突き刺さって、その場から動けなくなってしまった。

「昇さんっ! 大丈夫ですか?」

俺が突然崩れ落ちてしまったせいか、不安そうな顔で駆け寄ってきてくれる直くん。
ものすごく嬉しいけれど、どうやって対処しようかそれしか考えられない。

すると、

「直くん、大丈夫だよ。昇は直くんからのメッセージが嬉しかっただけだよ」

と父さんが助け舟を出してくれた。
どうやら俺が今どんな状態か気づいたみたいだ。

親にこんなところを気づかれるのはとてつもなく恥ずかしいけれど、直くんに知られるよりはずっとマシだ。

「そうなんだよ、直くん。可愛いメッセージありがとう。俺もあとで返事返すね」

「昇さんっ!! はい、楽しみにしてます!」

「直くん、他にも紹介したい可愛いアプリがあるんだよ、来てきてー!」

「あ、はーい」

絢斗さんも気づいてくれたのか、直くんを呼び戻してくれて直くんは嬉しそうに俺のところから離れていった。

「はぁー、助かった」

ポツリと溢すと、

「ははっ。お前も大変だな。まぁ、この時期はそんなのとずっと付き合わないといけない。近くに愛しい存在がいればさらにだ。だが、欲に駆られて大切なものを見失ってはいけないぞ」

と父さんから忠告を受けた。

「ああ、わかってるよ。俺は直くんを絶対に傷つけたりしない」

「ふふっ。いい息子に育ってくれてホッとしてるよ。ほら、二葉と絢斗さんが直くんを引き留めてくれている間にどうにかしてこい」

「――っ!!」

恥ずかしいが、このままにしておくわけにいかないからどうしようもない。
バレないうちにさっさとトイレに駆け込んだ。

スマホに入ったお宝画像を見ながら、何度か欲望の蜜を吐き出し、ようやく落ち着きを取り戻した。

綺麗に手を洗ってすぐに直くんにメッセージを送る。

<直くん、メッセージありがとう。これからはずっと一緒だよ♡>

スタンプを使わないから、とりあえずハートマークだけつけておいた。
俺もあのスタンプを作れるアプリを教えてもらおう。
直くんとお揃いを作るのもいいな。

ふふっ。これから楽しくなりそうだ。
しおりを挟む
感想 1,244

あなたにおすすめの小説

なぜ、私に関係あるのかしら?

シエル
ファンタジー
「初めまして、アシュフォード公爵家一女、セシリア・アシュフォードと申します」 彼女は、つい先日までこの国の王太子殿下の婚約者だった。 そして今日、このトレヴァント辺境伯家へと嫁いできた。 「…レオンハルト・トレヴァントだ」 非道にも自らの実妹を長年にわたり虐げ、婚約者以外の男との不適切な関係を理由に、王太子妃に不適格とされ、貴族学院の卒業式で婚約破棄を宣告された。 そして、新たな婚約者として、その妹が王太子本人から指名されたのだった。 「私は君と夫婦になるつもりはないし、辺境伯夫人として扱うこともない」 この判断によって、どうなるかなども考えずに… ※ 中世ヨーロッパ風の世界観です。 ※ ご都合主義ですので、ご了承下さい、 ※ 画像はAIにて作成しております

【完結】『ルカ』

瀬川香夜子
BL
―――目が覚めた時、自分の中は空っぽだった。 倒れていたところを一人の老人に拾われ、目覚めた時には記憶を無くしていた。 クロと名付けられ、親切な老人―ソニーの家に置いて貰うことに。しかし、記憶は一向に戻る気配を見せない。 そんなある日、クロを知る青年が現れ……? 貴族の青年×記憶喪失の青年です。 ※自サイトでも掲載しています。 2021年6月28日 本編完結

腹違いの妹にすべてを奪われた薄幸の令嬢が、義理の母に殴られた瞬間、前世のインテリヤクザなおっさんがぶちギレた場合。

灯乃
ファンタジー
十二歳のときに母が病で亡くなった途端、父は後妻と一歳年下の妹を新たな『家族』として迎え入れた。 彼らの築く『家族』の輪から弾き出されたアニエスは、ある日義母の私室に呼び出され――。 タイトル通りのおっさんコメディーです。

幻獣保護センター廃棄処理係の私、ボロ雑巾のような「ゴミ幻獣」をこっそり洗ってモフっていたら、実は世界を喰らう「終焉の獣」だった件について

いぬがみとうま🐾
ファンタジー
「魔力なしの穀潰し」――そう蔑まれ、幻獣保護センターの地下で廃棄幻獣の掃除に明け暮れる少女・ミヤコ。 実のところ、その施設は「価値のない命」を無慈悲に殺処分する地獄だった。 ある日、ミヤコの前に運ばれてきたのは、泥と油にまみれた「ボロ雑巾」のような正体不明の幻獣。 誰の目にもゴミとしか映らないその塊を、ミヤコは放っておけなかった。 「こんなに汚れたままなんて、かわいそう」 彼女が生活魔法を込めたブラシで丹念に汚れを落とした瞬間、世界を縛る最凶の封印が汚れと一緒に「流されてしまう。 現れたのは、月光を纏ったような美しい銀狼。 それは世界を喰らうと恐れられる伝説の災厄級幻獣『フェンリル・ヴォイド』だった……。

拗らせ問題児は癒しの君を独占したい

結衣可
BL
前世で限界社畜として心をすり減らした青年は、異世界の貧乏子爵家三男・セナとして転生する。王立貴族学院に奨学生として通う彼は、座学で首席の成績を持ちながらも、目立つことを徹底的に避けて生きていた。期待されることは、壊れる前触れだと知っているからだ。 一方、公爵家次男のアレクシスは、魔法も剣術も学年トップの才能を持ちながら、「何も期待されていない」立場に嫌気がさし、問題児として学院で浮いた存在になっていた。 補習課題のペアとして出会った二人。 セナはアレクシスを特別視せず、恐れも媚びも見せない。その静かな態度と、美しい瞳に、アレクシスは強く惹かれていく。放課後を共に過ごすうち、アレクシスはセナを守りたいと思い始める。 身分差と噂、そしてセナが隠す“癒やしの光魔法”。 期待されることを恐れるセナと、期待されないことに傷つくアレクシスは、すれ違いながらも互いを唯一の居場所として見つけていく。 これは、静かに生きたい少年と、選ばれたかった少年が出会った物語。

売れ残りオメガの従僕なる日々

灰鷹
BL
王弟騎士α(23才)× 地方貴族庶子Ω(18才) ※ 第12回BL大賞では、たくさんの応援をありがとうございました!  ユリウスが暮らすシャマラーン帝国では、平民のオメガは18才になると、宮廷で開かれる選定の儀に参加することが義務付けられている。王族の妾となるオメガを選ぶためのその儀式に参加し、誰にも選ばれずに売れ残ったユリウスは、国王陛下から「第3王弟に謀反の疑いがあるため、身辺を探るように」という密命を受け、オメガ嫌いと噂される第3王弟ラインハルトの従僕になった。  無口で無愛想な彼の優しい一面を知り、任務とは裏腹にラインハルトに惹かれていくユリウスであったが、働き始めて3カ月が過ぎたところで第3王弟殿下が辺境伯令嬢の婿養子になるという噂を聞き、従僕も解雇される。

美形×平凡の子供の話

めちゅう
BL
 美形公爵アーノルドとその妻で平凡顔のエーリンの間に生まれた双子はエリック、エラと名付けられた。エリックはアーノルドに似た美形、エラはエーリンに似た平凡顔。平凡なエラに幸せはあるのか? ────────────────── お読みくださりありがとうございます。 お楽しみいただけましたら幸いです。 お話を追加いたしました。

僕を惑わせるのは素直な君

秋元智也
BL
父と妹、そして兄の家族3人で暮らして来た。 なんの不自由もない。 5年前に病気で母親を亡くしてから家事一切は兄の歩夢が 全てやって居た。 そこへいきなり父親からも唐突なカミングアウト。 「俺、再婚しようと思うんだけど……」 この言葉に驚きと迷い、そして一縷の不安が過ぎる。 だが、好きになってしまったになら仕方がない。 反対する事なく母親になる人と会う事に……。 そこには兄になる青年がついていて…。 いきなりの兄の存在に戸惑いながらも興味もあった。 だが、兄の心の声がどうにもおかしくて。 自然と聞こえて来てしまう本音に戸惑うながら惹かれて いってしまうが……。 それは兄弟で、そして家族で……同性な訳で……。 何もかも不幸にする恋愛などお互い苦しみしかなく……。

処理中です...