ひとりぼっちになった僕は新しい家族に愛と幸せを教えてもらいました

波木真帆

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初めてのメッセージ

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<side直純>

切り分けられてもまだ大きなケーキ。
お花の飾りもメッセージが書かれたものも、クマさんの絵が描いてあるお菓子もどれも可愛すぎて食べられない。

でも、食べたい気持ちもあってどうしていいかわからなかった時、昇さんが自分のお皿に乗っていたケーキのお花を僕の口に入れてくれた。

それが甘くて美味しくて感動してしまった。

美味しいちらし寿司や他の料理も食べて、僕のお腹にはそこまでたくさんの余裕はなかったけれど、初めてのケーキは絶対に完食したかった。

こんな味だったらいいなって思っていた以上の美味しさにびっくりしながら僕はケーキを食べた。

美味しいケーキを買ってきてくれたふーちゃんと毅パパ。
こんなに楽しいパーティーを開いてくれたパパとあやちゃん。
そして、ずっとそばにいてくれた昇さんに感謝の気持ちでいっぱいになって、思いを伝えたくてたまらなかった。

「これから、家族としてよろしくお願いします!」

そういうと、自然に涙が溢れた。

この前、父さんからの別れの手紙をもらった時とは違う、嬉しい時の涙。
それを堪えきれずにいると、昇さんが僕を抱きしめてくれた。

ああ、やっぱり昇さんは優しい。

すると、突然パシャっと写真を撮る音が聞こえた。
びっくりして振り向くと、あやちゃんがスマホを持っている。

それがあやちゃんのものじゃないことはケースを見てすぐにわかった。

「家族になった記念に、私と卓さんからのプレゼント。直くんのスマホだよ」

ずっとずっと欲しかった。
クラスメイトがみんな持っててメッセージを送りあったりしているのも知っていたし、写真を撮ったりしているのも知っていた。
でもそれ以上に、それで勉強をしていたのが羨ましかった。

でもまさかここでプレゼントしてもらえるなんて……。

渡されたスマホにはケースがつけられていて、とっても可愛い。

「あの、今の写真……」

「ここから見られるよ」

たった今あやちゃんが撮ってくれた写真を見せてもらうと、昇さんがとってもかっこよく写っていた。

「ふふっ。直くん、これを待ち受けにしようね」

あやちゃんがさっと来てくれて、そのスマホをささっと操作して僕に渡してくれる。

「わぁっ!!」

見てみると、画面にはさっきの写真が映っていた。

涙でいっぱいの僕はちょっと恥ずかしいけど昇さんが一緒なのは嬉しい。

「ねぇ、直くん。メッセージID交換しましょう。そうしたらフランスでもメッセージが送り合えるわ。昇、ちょっと直くん借りるわよ」

「あっ、ちょ――っ!」

昇さんが何か言いかけていたけれど、ふーちゃんは何も気にする様子もなく、僕の手を取ってソファーに連れて行くとあやちゃんも一緒についてきてくれて、ふーちゃんとあやちゃんに挟まれて座った。

「あっ、私と卓さんのI Dはもう入れてあるからね」

「それ、どうやってみるんですか?」

「ふふっ。このアプリのここをこうして……ねっ」

「ああ、わかりました!」

「さすが若い子は飲み込みが早いわ」

「直くん、俺のも入れよう」

「私のもだよ」

そんな話をしていると、昇さんと毅パパも僕たちの周りに来てくれて、あっという間に僕のメッセージアプリは家族の名前で埋め尽くされた。
わぁー、なんだかとっても嬉しい。

「卓さん、昇くんと毅さんとあっちの椅子に座ってて。私、二葉さんと直くんとしたいことがあるから」

「わかった。その間にテーブルを片付けておくよ。ほら、毅。昇。手伝ってくれ」

あやちゃんがそう言うと、パパは昇さんたちとダイニングに戻って行った。

「ねぇねぇ、見て。直くん。二葉さんもこれ見て。このアプリを使うとね……」

「わぁー、可愛い!」

「ふふっ。でしょ? 前に皐月に教えてもらったんだ。ここで可愛いスタンプが作れるんだよ」

「へぇ、すごいわね!」

「僕、クマさんで作りたいです」

「ふふっ。じゃあ、これね。これを選んで……」

「わぁっ! できた!!」

「ふふっ。可愛いわ。早速送ってみたら?」

そう言われて、僕は昇さんに初めてのメッセージをスタンプ付きで送った。

<昇さん。可愛いクマさん、ありがとうございます! これからも一緒に寝てください!>

何を書こうかと悩んだけれど、さっきふーちゃんに言われたことを思い出してメッセージを送ってみた。
それと一緒に大きなクマさんが小さなクマさんを抱っこしているスタンプを一緒に送った。

「どうですか?」

「ふふっ。完璧よ! みてて!」

ふーちゃんの視線が昇さんに向いたので、僕とあやちゃんも一緒に昇さんをみていると、昇さんが片付けをしながらスマホを取り出した。

わっ、もしかして今のメッセージ見てくれてる?

ドキドキするっ!!
喜んでくれるかな?

そう思ったけれど、昇さんはそのメッセージを見るとその場に固まってそのまましゃがみ込んでしまった。
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