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ずっと見守っていよう
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午後の講義の前に皐月に電話してみようと思いつつ、必要な荷物を持ってリビングに向かうと、直くんがスマホを手に嬉しそうに笑っていた。
「楽しそうだね」
「あ、あやちゃん。一花さんからメッセージが来たんです」
嬉しそうに見せてくれる画面を覗くと、一花ちゃんとグリが映っているのが見える。
「ああ、可愛いっ!」
「一緒に動画も送ってくれたんですよ」
直くんが嬉しそうに動画を再生すると、グリが立ち上がって、両手を差し出しちょうだい、ちょうだいと餌を強請っている様子が見えた。
「すごーいっ、可愛いっ!!」
もう可愛すぎて、それしか言えない。
でも本当に可愛いんだからどうしようもない。
「ウサギさんって、こんなにお利口さんなんですね」
「うん、でもグリは特別お利口さんだよ。きっと一花ちゃんと心が通じ合ってるんじゃないかな?」
「ああ、確かにここに来てた時も言葉が通じてるんじゃないかって思うくらい仲良しさんでしたもんね。また一緒に遊びたいなぁ」
食い入るように一花ちゃんとグリの動画を見る直くんを見ながら、やっぱり一花ちゃんと何かできることを考えてやらないとなと改めて思った。
すると、突然玄関がガチャっと開く音がする。
あれ?
卓さんなら今はまだ休憩時間でもないはずだけど……。
直くんも不思議そうにそっちに視線を向ける。
「絢斗」
「あ、やっぱり卓さん」
慌てて玄関に向かうと、真剣な表情の卓さんが立っていた。
「どうしたの、こんな時間に」
「保さんから書類が届いたんだ。だから、今から家庭裁判所に行ってくる」
「えっ、じゃあ直くんは……」
「ああ、直くんの場合は特例として、書類を出して裁判所で確認してもらったらすぐに戸籍に入れるようにしてもらっているから、今日中に私の息子として認めてもらえるよ」
「――っ、そうなんだ。よかった!」
もっと時間がかかると思ってた。
でも、これで正式に卓さんの息子になれば、今の窮屈な生活から少しは自由になれるはず。
直くんにとってはこれが一番最良なんだ。
「だから悪い。今日は昼は戻って来られないから、弁当を頼んでおいた。中谷くんがお昼に持ってきてくれることになってるから受け取ってくれ」
「そんな、私たちのお昼の心配はしなくてもよかったのに」
「いや、それは私が嫌なんだ。二人でしっかりとお昼を食べておいてくれ」
「うん、わかった。ありがとう。直くんには卓さんが帰ってきたら話をする?」
「いや、もう話しておいていいよ。その方が直くんも私が帰ってくるまでに気持ちの整理もできるだろう」
「うん、そうだね。わかった。卓さん、気をつけて」
「ああ、行ってくるよ」
チュッと唇が重なって離れていく。
笑顔のまま卓さんを見送って、私は直くんの元に戻った。
「パパ、もう戻っちゃったんですか?」
「うん、ちょっと報告に来てくれただけだったから」
「報告、ですか?」
「話、聞こえてなかった?」
直くんは私たちの話を意識して聞いていなかったのか、首を縦に振った。
「大丈夫、怖いことじゃないよ。あのね、直くんのお父さんから書類が届いて、卓さんがそれを家庭裁判所に持っていくことになったって報告だったんだよ」
「えっ、じゃあそれって……」
「うん。今日卓さんが帰ってきた時には、直くんは正式に卓さんの息子、磯山直純として新しい人生を過ごしていくことになるよ」
「僕が、磯山直純、として……」
「そう。でも、前にも言ったけどお父さんと縁が切れるわけじゃないからね。直くんに家族が増えただけだよ」
「――っ、あやちゃんっ!! 僕、嬉しいっ!!」
「わっ!!」
突然、直くんが抱きついてきて驚いた。
私から抱きつくことはあっても、直くんがこんなにも感情豊かに抱きついてきてくれることはあまりなかったから。
でも、私の胸で感情を爆発させる姿に、私は少しホッとしたのかもしれない。
「うん、私も嬉しい。戸籍上は兄弟だけど、今まで通りあやちゃんでいいからね」
「はい。あやちゃんっ!!」
目に涙を潤ませたまま、私の名前を呼んでくれる直くんが一生幸せでいられるようにずっと見守っていよう。
そう心に誓った。
「楽しそうだね」
「あ、あやちゃん。一花さんからメッセージが来たんです」
嬉しそうに見せてくれる画面を覗くと、一花ちゃんとグリが映っているのが見える。
「ああ、可愛いっ!」
「一緒に動画も送ってくれたんですよ」
直くんが嬉しそうに動画を再生すると、グリが立ち上がって、両手を差し出しちょうだい、ちょうだいと餌を強請っている様子が見えた。
「すごーいっ、可愛いっ!!」
もう可愛すぎて、それしか言えない。
でも本当に可愛いんだからどうしようもない。
「ウサギさんって、こんなにお利口さんなんですね」
「うん、でもグリは特別お利口さんだよ。きっと一花ちゃんと心が通じ合ってるんじゃないかな?」
「ああ、確かにここに来てた時も言葉が通じてるんじゃないかって思うくらい仲良しさんでしたもんね。また一緒に遊びたいなぁ」
食い入るように一花ちゃんとグリの動画を見る直くんを見ながら、やっぱり一花ちゃんと何かできることを考えてやらないとなと改めて思った。
すると、突然玄関がガチャっと開く音がする。
あれ?
卓さんなら今はまだ休憩時間でもないはずだけど……。
直くんも不思議そうにそっちに視線を向ける。
「絢斗」
「あ、やっぱり卓さん」
慌てて玄関に向かうと、真剣な表情の卓さんが立っていた。
「どうしたの、こんな時間に」
「保さんから書類が届いたんだ。だから、今から家庭裁判所に行ってくる」
「えっ、じゃあ直くんは……」
「ああ、直くんの場合は特例として、書類を出して裁判所で確認してもらったらすぐに戸籍に入れるようにしてもらっているから、今日中に私の息子として認めてもらえるよ」
「――っ、そうなんだ。よかった!」
もっと時間がかかると思ってた。
でも、これで正式に卓さんの息子になれば、今の窮屈な生活から少しは自由になれるはず。
直くんにとってはこれが一番最良なんだ。
「だから悪い。今日は昼は戻って来られないから、弁当を頼んでおいた。中谷くんがお昼に持ってきてくれることになってるから受け取ってくれ」
「そんな、私たちのお昼の心配はしなくてもよかったのに」
「いや、それは私が嫌なんだ。二人でしっかりとお昼を食べておいてくれ」
「うん、わかった。ありがとう。直くんには卓さんが帰ってきたら話をする?」
「いや、もう話しておいていいよ。その方が直くんも私が帰ってくるまでに気持ちの整理もできるだろう」
「うん、そうだね。わかった。卓さん、気をつけて」
「ああ、行ってくるよ」
チュッと唇が重なって離れていく。
笑顔のまま卓さんを見送って、私は直くんの元に戻った。
「パパ、もう戻っちゃったんですか?」
「うん、ちょっと報告に来てくれただけだったから」
「報告、ですか?」
「話、聞こえてなかった?」
直くんは私たちの話を意識して聞いていなかったのか、首を縦に振った。
「大丈夫、怖いことじゃないよ。あのね、直くんのお父さんから書類が届いて、卓さんがそれを家庭裁判所に持っていくことになったって報告だったんだよ」
「えっ、じゃあそれって……」
「うん。今日卓さんが帰ってきた時には、直くんは正式に卓さんの息子、磯山直純として新しい人生を過ごしていくことになるよ」
「僕が、磯山直純、として……」
「そう。でも、前にも言ったけどお父さんと縁が切れるわけじゃないからね。直くんに家族が増えただけだよ」
「――っ、あやちゃんっ!! 僕、嬉しいっ!!」
「わっ!!」
突然、直くんが抱きついてきて驚いた。
私から抱きつくことはあっても、直くんがこんなにも感情豊かに抱きついてきてくれることはあまりなかったから。
でも、私の胸で感情を爆発させる姿に、私は少しホッとしたのかもしれない。
「うん、私も嬉しい。戸籍上は兄弟だけど、今まで通りあやちゃんでいいからね」
「はい。あやちゃんっ!!」
目に涙を潤ませたまま、私の名前を呼んでくれる直くんが一生幸せでいられるようにずっと見守っていよう。
そう心に誓った。
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