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直くんを守れる男になれるように
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<side昇>
「征哉くんと一花くんが今から遊びに来てくれるそうだよ」
「わぁ、よかった。直くん、楽しみだね」
「はい。いっぱいおしゃべりしたいです」
リビングで出迎えようという伯父さんの声かけに俺たちはみんなでリビングのソファーに移動した。
しばらく話をしながら待っていると呼び鈴がなり、絢斗さんが駆け出していきそうになるのを制して、伯父さんが出迎えに行った。
多分貴船さんたちだけど違う可能性だってある。そんな状態で伯父さんが大切な絢斗さんを出迎えに行かせるわけがないんだ。
「いらっしゃい。一花くんが来てくれるって絢斗と直くんが楽しみにしていたよ。あ、未知子さんもご一緒でしたか」
俺もそっと玄関の近くまで様子を見に行くと、伯父さんの声が聞こえた。
貴船さんのお母さんである未知子さんも一緒なのか。じゃあ飲み物は七杯必要かな。
いや、とりあえず直くんたちの分が先か。
伯父さんがリビングにみんなを案内している間に俺はさっとキッチンで飲み物の用意を始めた。
さっき直くんが飲んでたジュースでいいかな。一花さんが喜ぶものなら未知子さんも喜びそうだし。
さっとトレイに載せ、リビングに行くと直くんと一花さん、絢斗さんと未知子さんの四人が、さっきまでいたテラスのソファーに座っているのが見えた。
よっぽどテラスが気に入ったんだろう。
ジュースをテラスに運ぶと、ちょうど絢斗さんが飲み物を取りに行こうと席を立ったところだった。
絢斗さんを動かさずに済んでよかったな。
「直くん、何かあったら声かけて」
ジュースを置き、直くんに声をかけて俺はリビングに戻った。
「昇、気が利くな」
「せっかくのおしゃべりを邪魔したくないからね。喜んでもらえてよかったよ」
伯父さんに褒められて嬉しくなりながら俺もソファーに座ると、伯父さんが嬉しそうに貴船さんに声をかけた。
「君たちが訪ねてきてくれてよかったよ。挙式したばかりの新婚さんの邪魔をしてはいけないと思ったんだが、やはり直くんを喜ばせてやりたくてね」
「いえ、私も一花と直純くんをゆっくりと話をさせてやりたかったので、嬉しいですよ。逆に私たちの方が家族団欒を邪魔してしまうかと心配でした」
貴船さんはそう言っていたけれど、俺たちはいつでも家族団欒を過ごしているし、明日も楽しい計画が待っているからこの時間を直くんと絢斗さんと一花さんの時間に当てても全然問題ない。
それよりも楽しそうにおしゃべりをしている姿を見られる方が楽しいからな。
伯父さんが俺たちの他にこの保養所に泊まっている人たちを尋ねていた。
あの食事会の時に、俺が榎木先生に保養所に泊まるのかどうか尋ねたら、榎木先生と有原さんは近くにある榎木先生の別荘に泊まると言っていたから、ここにはいないだろう。
他にも何人か別の場所に泊まるらしい話を聞いていたから、あまりいないのかと思っていたけれどどうやら一花さんのお父さんと安城さんと櫻葉の社長の史紀さん、それに志摩さんと谷垣さんが泊まっているらしい。あとは両家の執事さんが泊まっているようだけど、せっかくの寛ぎの時間だろうからな。
ということで、一花さんのお父さんをここに呼ぶことにしたようだ。
貴船さんが電話をかけると喜んで了承してくれたらしい。それからあまり時間もかからずに玄関の呼び鈴が鳴った。
テラスにいる直くんたちは誰一人この呼び鈴に気づく人はいない。それくらい話が盛り上がっているんだろう。
一番年下の俺がさっと玄関に出迎えに行くと、
「ああ、昇くん。出迎えありがとう。一花の様子はどうかな?」
とすぐに一花さんのことを聞かれた。
「テラスで直くんたちと楽しそうにおしゃべりしてますよ」
「そうか。それはよかった」
リビングに案内するとそこからテラスにいる一花さんたちの様子が見えて感慨深そうに笑っていた。
「一花と直純くんが楽しそうに話をしているのを見られるのは最高だな」
一花さんのお父さんにもいろんな葛藤があったんだろう。
でもこうして二人が笑って過ごしていることを同じように笑顔で見られるのは喜ばしいことだな。
「コーヒーでも淹れましょうか?」
そう声をかけたけれど、一花さんのお父さんは持っていた細長い紙袋からワインを取り出した。
そのワインを見て、伯父さんも貴船さんも目の色が変わっていた。
一花さんと貴船さんの結婚の祝杯にと思って持ってきていたというくらいだからきっと相当すごいワインなんだろう。一緒に味わえないのが寂しいけれど、成人になるだけじゃなく、これを一緒にと誘ってもらえるような人間にならないとな。
伯父さんからソムリエナイフとグラスを頼まれるよりも先に取りに行き、見た目だけでも楽しめるように俺には同じ色の葡萄ジュースをグラスに注いでもらった。
みんなで乾杯をすると、伯父さんも貴船さんもその味に感動していた。
今の俺にはたとえ飲ませてもらったとしても味の良し悪しなんかはわからないだろうけど、
「君にも二十歳になったら、このワインをプレゼントしよう。それまで楽しみに待っていなさい」
と一花さんのお父さんが言ってくれて嬉しかった。
本当にこのワインが似合うようになるように、そして、直くんのそばでずっといられるような男になれるように頑張ろう!
そうして、しばらく今日の結婚式の話で盛り上がっていると、テラスから未知子さんが貴船さんを呼ぶ声が聞こえた。
「征哉くんと一花くんが今から遊びに来てくれるそうだよ」
「わぁ、よかった。直くん、楽しみだね」
「はい。いっぱいおしゃべりしたいです」
リビングで出迎えようという伯父さんの声かけに俺たちはみんなでリビングのソファーに移動した。
しばらく話をしながら待っていると呼び鈴がなり、絢斗さんが駆け出していきそうになるのを制して、伯父さんが出迎えに行った。
多分貴船さんたちだけど違う可能性だってある。そんな状態で伯父さんが大切な絢斗さんを出迎えに行かせるわけがないんだ。
「いらっしゃい。一花くんが来てくれるって絢斗と直くんが楽しみにしていたよ。あ、未知子さんもご一緒でしたか」
俺もそっと玄関の近くまで様子を見に行くと、伯父さんの声が聞こえた。
貴船さんのお母さんである未知子さんも一緒なのか。じゃあ飲み物は七杯必要かな。
いや、とりあえず直くんたちの分が先か。
伯父さんがリビングにみんなを案内している間に俺はさっとキッチンで飲み物の用意を始めた。
さっき直くんが飲んでたジュースでいいかな。一花さんが喜ぶものなら未知子さんも喜びそうだし。
さっとトレイに載せ、リビングに行くと直くんと一花さん、絢斗さんと未知子さんの四人が、さっきまでいたテラスのソファーに座っているのが見えた。
よっぽどテラスが気に入ったんだろう。
ジュースをテラスに運ぶと、ちょうど絢斗さんが飲み物を取りに行こうと席を立ったところだった。
絢斗さんを動かさずに済んでよかったな。
「直くん、何かあったら声かけて」
ジュースを置き、直くんに声をかけて俺はリビングに戻った。
「昇、気が利くな」
「せっかくのおしゃべりを邪魔したくないからね。喜んでもらえてよかったよ」
伯父さんに褒められて嬉しくなりながら俺もソファーに座ると、伯父さんが嬉しそうに貴船さんに声をかけた。
「君たちが訪ねてきてくれてよかったよ。挙式したばかりの新婚さんの邪魔をしてはいけないと思ったんだが、やはり直くんを喜ばせてやりたくてね」
「いえ、私も一花と直純くんをゆっくりと話をさせてやりたかったので、嬉しいですよ。逆に私たちの方が家族団欒を邪魔してしまうかと心配でした」
貴船さんはそう言っていたけれど、俺たちはいつでも家族団欒を過ごしているし、明日も楽しい計画が待っているからこの時間を直くんと絢斗さんと一花さんの時間に当てても全然問題ない。
それよりも楽しそうにおしゃべりをしている姿を見られる方が楽しいからな。
伯父さんが俺たちの他にこの保養所に泊まっている人たちを尋ねていた。
あの食事会の時に、俺が榎木先生に保養所に泊まるのかどうか尋ねたら、榎木先生と有原さんは近くにある榎木先生の別荘に泊まると言っていたから、ここにはいないだろう。
他にも何人か別の場所に泊まるらしい話を聞いていたから、あまりいないのかと思っていたけれどどうやら一花さんのお父さんと安城さんと櫻葉の社長の史紀さん、それに志摩さんと谷垣さんが泊まっているらしい。あとは両家の執事さんが泊まっているようだけど、せっかくの寛ぎの時間だろうからな。
ということで、一花さんのお父さんをここに呼ぶことにしたようだ。
貴船さんが電話をかけると喜んで了承してくれたらしい。それからあまり時間もかからずに玄関の呼び鈴が鳴った。
テラスにいる直くんたちは誰一人この呼び鈴に気づく人はいない。それくらい話が盛り上がっているんだろう。
一番年下の俺がさっと玄関に出迎えに行くと、
「ああ、昇くん。出迎えありがとう。一花の様子はどうかな?」
とすぐに一花さんのことを聞かれた。
「テラスで直くんたちと楽しそうにおしゃべりしてますよ」
「そうか。それはよかった」
リビングに案内するとそこからテラスにいる一花さんたちの様子が見えて感慨深そうに笑っていた。
「一花と直純くんが楽しそうに話をしているのを見られるのは最高だな」
一花さんのお父さんにもいろんな葛藤があったんだろう。
でもこうして二人が笑って過ごしていることを同じように笑顔で見られるのは喜ばしいことだな。
「コーヒーでも淹れましょうか?」
そう声をかけたけれど、一花さんのお父さんは持っていた細長い紙袋からワインを取り出した。
そのワインを見て、伯父さんも貴船さんも目の色が変わっていた。
一花さんと貴船さんの結婚の祝杯にと思って持ってきていたというくらいだからきっと相当すごいワインなんだろう。一緒に味わえないのが寂しいけれど、成人になるだけじゃなく、これを一緒にと誘ってもらえるような人間にならないとな。
伯父さんからソムリエナイフとグラスを頼まれるよりも先に取りに行き、見た目だけでも楽しめるように俺には同じ色の葡萄ジュースをグラスに注いでもらった。
みんなで乾杯をすると、伯父さんも貴船さんもその味に感動していた。
今の俺にはたとえ飲ませてもらったとしても味の良し悪しなんかはわからないだろうけど、
「君にも二十歳になったら、このワインをプレゼントしよう。それまで楽しみに待っていなさい」
と一花さんのお父さんが言ってくれて嬉しかった。
本当にこのワインが似合うようになるように、そして、直くんのそばでずっといられるような男になれるように頑張ろう!
そうして、しばらく今日の結婚式の話で盛り上がっていると、テラスから未知子さんが貴船さんを呼ぶ声が聞こえた。
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