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クリスマスの予定
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<side昇>
食事を食べ終わり、じいちゃんと並んで片付けをしていると、座っていた直くんの頭が揺れるのが見えた。
卓袱台に顔でもぶつけたら大変だ。
俺は咄嗟にキッチンから飛び出して直くんの元に向かうと俺が目の前に着いた瞬間、直くんの身体が倒れてきた。
よかった、ギリギリセーフだったな。
ホッとして抱きしめているとじいちゃんがブランケットを手にやってきた。
「あっちの畳間に布団を敷こう。乾燥機に当てるからそのまま少しだけ待っていてくれるか?」
「うん。大丈夫。ありがとう」
直くんを起こさないようにそっと俺の膝に頭をのせて寝かせ、渡されたブランケットをかけてやると気持ちよさそうな笑顔を見せる。どうやらこのブランケットが気に入ったらしい。
ああ、本当に可愛い。
準備が整ったと声をかけられ、直くんをブランケットに包んだまま布団に寝かせた。
「直くん、食事するとすぐに眠くなるんだよ」
「ああ。それでいいんだ。卓の話じゃ、実家で満足に栄養を摂っていなかったんだろう?」
「うん。そうみたい。毎日同じものを少量だけ与えられてたみたい。だから、伯父さんのところに来て初めて食べるものばかりだったって」
「食事の後に眠くなるのは消化のために胃腸に血液が集中し、脳が一時的に酸素不足になるからなんだが、今の直くんは消化機能がちゃんと動いているってことだから安心していい。以前なら消化機能を動かさないといけないほど食事を摂っていなかっただろうから、機能自体も弱まっていたはずだからな。しばらく寝かせてから帰るといい。夕食は家で食べるんだろう?」
「多分、そうかも。じいちゃんが夕食も直くんと食べたいなら伯父さんに連絡するけど……」
「ははっ。また明日も会えるから心配しないでいい。それに賢将さんともちょっと話をしておきたいからな」
そうだ。明日は大おじさんも一緒に行くんだった。
「車もいっぱいになると大変だろうから、私と賢将さんは一台で行こうと思ってるんだ。どっちが車を出すかとか決めておきたいし、そういえば待ち合わせ場所はどうなってるんだ?」
「あ、そっか。えっと、確か村山の母さんがカールと直くんを表参道に連れて行きたいって言ってるから多分その辺りで待ち合わせかな」
「わかった。それも卓と話をしておこう」
やっぱり大人がたくさんいると話も早い。
俺も早くしっかりとした大人にならないとな。
直くんが眠っている間、久しぶりにじいちゃんとの二人きりの時間が流れる。
前ならもっと緊張していた気がするけれど、直くんと過ごしていたじいちゃんの優しい姿を見た今はなんだか今までよりも近く感じる。これも直くんの効果かな。
「んっ?」
スマホに振動を感じて取り出してみると、相手は父さん。
「卓か?」
「ううん。父さん。さっき食事の様子を動画で送ったからその返事かも。あ、やっぱり。ははっ。父さんたち、じいちゃんの様子見て驚いたって」
「なんだ、そんなのを送ってたのか」
「だっ――ええっ?!」
「急に大声出すな、直くんが起きるだろう!」
「あ、ごめん」
慌てて直くんをみると、すやすやと眠っていてホッとする。
「どうしたんだ?」
「父さんたち、クリスマスに帰ってくるって」
「そうなのか? 前はバタバタしそうだから年明けにしようかと言っていたぞ」
「直くんとクリスマスパーティーがしたいらしい」
「なるほど。じゃあ、賢将さんも呼んでうちでやってもいいな。卓たちの家でもいいが、庭がある方がクリスマスツリーも飾れるだろう」
「えっ? もしかしてこの和風の庭を飾りつけるの?」
「できないことはないだろう。まぁ、卓に相談してからだな」
ここで、クリスマスパーティー……。
俺も初めてだけど、意外と楽しいかもな。
一時間ほど眠った直くんは目を覚ますとスッキリした顔をしていた。
「直くん。明日も出かけるし、そろそろ帰ろうか」
「あ、でも僕……まだ何もお手伝いできてないです……」
「ご飯を作るのを手伝ってくれただろう? それに手巻き寿司も作ってくれた。私はそれが嬉しかったよ」
「おじいちゃま……。じゃあ、また来てもいいですか?」
「もちろんだとも。いつでもおいで」
その言葉に直くんはとびっきりの笑顔を見せていた。
伯父さんに今からじいちゃん家を出るとメッセージを送って、一緒に駐車場に向かう。
数台ある車から、直くんが乗りやすそうな車を選び、それに乗り込んだ。
もうすぐ90歳とは思えないくらいしっかりしているじいちゃんの運転なら安心だ。
「じいちゃんって、アメリカでも運転してたの?」
「ああ。だが私がいたシアトルは車がなくても割と生活ができる場所だから、そこまで多くはなかったな。使いたい時にカーシェアリングを利用したりしていたな」
「かー、しぇありんぐ?」
「カーシェアリングっていうのは、好きな時に使いたい分だけ車を借りるシステムなんだよ。同じ車をみんなで使うようなものかな」
「へぇ、楽しそう!」
楽しそうな直くんの表情を笑顔で見つめるじいちゃんの表情がルームミラー越しに見えて、俺も思わず笑みが溢れた。
食事を食べ終わり、じいちゃんと並んで片付けをしていると、座っていた直くんの頭が揺れるのが見えた。
卓袱台に顔でもぶつけたら大変だ。
俺は咄嗟にキッチンから飛び出して直くんの元に向かうと俺が目の前に着いた瞬間、直くんの身体が倒れてきた。
よかった、ギリギリセーフだったな。
ホッとして抱きしめているとじいちゃんがブランケットを手にやってきた。
「あっちの畳間に布団を敷こう。乾燥機に当てるからそのまま少しだけ待っていてくれるか?」
「うん。大丈夫。ありがとう」
直くんを起こさないようにそっと俺の膝に頭をのせて寝かせ、渡されたブランケットをかけてやると気持ちよさそうな笑顔を見せる。どうやらこのブランケットが気に入ったらしい。
ああ、本当に可愛い。
準備が整ったと声をかけられ、直くんをブランケットに包んだまま布団に寝かせた。
「直くん、食事するとすぐに眠くなるんだよ」
「ああ。それでいいんだ。卓の話じゃ、実家で満足に栄養を摂っていなかったんだろう?」
「うん。そうみたい。毎日同じものを少量だけ与えられてたみたい。だから、伯父さんのところに来て初めて食べるものばかりだったって」
「食事の後に眠くなるのは消化のために胃腸に血液が集中し、脳が一時的に酸素不足になるからなんだが、今の直くんは消化機能がちゃんと動いているってことだから安心していい。以前なら消化機能を動かさないといけないほど食事を摂っていなかっただろうから、機能自体も弱まっていたはずだからな。しばらく寝かせてから帰るといい。夕食は家で食べるんだろう?」
「多分、そうかも。じいちゃんが夕食も直くんと食べたいなら伯父さんに連絡するけど……」
「ははっ。また明日も会えるから心配しないでいい。それに賢将さんともちょっと話をしておきたいからな」
そうだ。明日は大おじさんも一緒に行くんだった。
「車もいっぱいになると大変だろうから、私と賢将さんは一台で行こうと思ってるんだ。どっちが車を出すかとか決めておきたいし、そういえば待ち合わせ場所はどうなってるんだ?」
「あ、そっか。えっと、確か村山の母さんがカールと直くんを表参道に連れて行きたいって言ってるから多分その辺りで待ち合わせかな」
「わかった。それも卓と話をしておこう」
やっぱり大人がたくさんいると話も早い。
俺も早くしっかりとした大人にならないとな。
直くんが眠っている間、久しぶりにじいちゃんとの二人きりの時間が流れる。
前ならもっと緊張していた気がするけれど、直くんと過ごしていたじいちゃんの優しい姿を見た今はなんだか今までよりも近く感じる。これも直くんの効果かな。
「んっ?」
スマホに振動を感じて取り出してみると、相手は父さん。
「卓か?」
「ううん。父さん。さっき食事の様子を動画で送ったからその返事かも。あ、やっぱり。ははっ。父さんたち、じいちゃんの様子見て驚いたって」
「なんだ、そんなのを送ってたのか」
「だっ――ええっ?!」
「急に大声出すな、直くんが起きるだろう!」
「あ、ごめん」
慌てて直くんをみると、すやすやと眠っていてホッとする。
「どうしたんだ?」
「父さんたち、クリスマスに帰ってくるって」
「そうなのか? 前はバタバタしそうだから年明けにしようかと言っていたぞ」
「直くんとクリスマスパーティーがしたいらしい」
「なるほど。じゃあ、賢将さんも呼んでうちでやってもいいな。卓たちの家でもいいが、庭がある方がクリスマスツリーも飾れるだろう」
「えっ? もしかしてこの和風の庭を飾りつけるの?」
「できないことはないだろう。まぁ、卓に相談してからだな」
ここで、クリスマスパーティー……。
俺も初めてだけど、意外と楽しいかもな。
一時間ほど眠った直くんは目を覚ますとスッキリした顔をしていた。
「直くん。明日も出かけるし、そろそろ帰ろうか」
「あ、でも僕……まだ何もお手伝いできてないです……」
「ご飯を作るのを手伝ってくれただろう? それに手巻き寿司も作ってくれた。私はそれが嬉しかったよ」
「おじいちゃま……。じゃあ、また来てもいいですか?」
「もちろんだとも。いつでもおいで」
その言葉に直くんはとびっきりの笑顔を見せていた。
伯父さんに今からじいちゃん家を出るとメッセージを送って、一緒に駐車場に向かう。
数台ある車から、直くんが乗りやすそうな車を選び、それに乗り込んだ。
もうすぐ90歳とは思えないくらいしっかりしているじいちゃんの運転なら安心だ。
「じいちゃんって、アメリカでも運転してたの?」
「ああ。だが私がいたシアトルは車がなくても割と生活ができる場所だから、そこまで多くはなかったな。使いたい時にカーシェアリングを利用したりしていたな」
「かー、しぇありんぐ?」
「カーシェアリングっていうのは、好きな時に使いたい分だけ車を借りるシステムなんだよ。同じ車をみんなで使うようなものかな」
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