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昇さんとのキス
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<side直純>
ふーちゃんのマフラーがようやく出来上がった。
初めてでちゃんと最後まで仕上げられるか心配だったけれど、なんとか完成できた。
これも一花さんのわかりやすい動画のおかげだ。
昇さんに出来上がったマフラーを見せると褒めてくれて嬉しい。
次は毅パパのマフラー作りだ。
準備しておいた毛糸を取り出すと、いい色だと昇さんが褒めてくれる。
色を選ぶセンスがあるとも言ってくれた。
一花さんにも同じことを言われたから嬉しくてたまらない。
その人に似合う色を想像するのが楽しいんだ。
「俺のはどんなイメージ?」
そう聞かれて、僕は前に選んでいた毛糸を見せようとスマホを探した。
昇さんがすぐに取ってくれて、あのアプリを開く。
僕が選んでいたのは<勝色>と書かれた毛糸。
黒寄りの青色みたいなそんな色が昇さんに似合う気がした。
何よりその名前に惹かれたんだ。
これから受験を控える昇さんにはぴったりだな、って。
だからなんとかして昇さんの受験前には仕上げたいと思っている。
この色を気に入ってくれたらいいななんて思いながらスマホを見せた。
「昇さんはこれ、かなって思ってたんですけど、好き、ですか?」
昇さんの好きな色で作りたいから、イメージと違うと言われたら別の色を探そう。昇さん、なんて言ってくれるかな?
すると、昇さんは画面を見ずに僕だけをまっすぐに見つめてくる。
「ああ、好きだよ。大好きだ」
これって、毛糸のことじゃない?
もしかして僕のことかな?
勘違いしたくなくて、昇さんに聞いてみた。
「の、昇さん……あの、毛糸、ですよ……」
「えっ、あ、ごめん。直くんが可愛すぎて言わずにいられなかった」
僕のことが可愛い……そう言われて嬉しい気持ちでいっぱいになった。
すっごく嬉しくて昇さんに抱きついてしまった。
自分から抱きつくのはドキドキするけれど、嬉しい気持ちが抑えられない。
「あの、僕も大好きです……」
思い切って気持ちを告げると、ゆっくりと身体が離される。
もしかして嫌だったかな?
一瞬そんな気持ちがよぎったけれど、昇さんはさっきよりも熱のこもった目で僕をみていた。
「キス、したい。いいかな?」
昇さんは朝起きたときや出かける前、帰ってきた時もいつもほっぺたやおでこにしてくれる。
でも今の目はなんだかいつもと違うみたい。
それでも昇さんにキスしたいって言われて嫌だなんて思わなかった。
見つめられてドキドキしすぎて顔が熱い。
これ以上見ていたらドキドキしすぎておかしくなりそうで、僕は目を瞑った。
ほっぺたでもおでこでもどこでもして!
そんな気持ちで昇さんがキスしやすいように顔を上げると、昇さんの顔が近づいてくるのが気配で分かった。
ちゅっ。
えっ?
ここって……唇、だよね?
昇さんの唇が僕の唇に重なった瞬間、僕の脳裏にパパとあやちゃんがキスをしている場面が現れた。
あのときのパパとあやちゃんってすっごく幸せそうな表情をしているんだよね。
僕もとうとう昇さんと唇に、キスしちゃったんだ。
嬉しいけどどうしていいかわからなくてされるがままになっていると、昇さんの唇が僕の下唇をちゅっちゅっと柔らかく噛んでくる。それがなんだかとても心地いい。
最後にもう一度ちゅっと唇が重なって、昇さんの唇が離れていく。
ああ、離れていっちゃったって少し寂しい気持ちもあるけれど、それ以上に幸せな気持ちがいっぱいで僕は昇さんの胸に寄りかかった。
「昇さんと、キスすると……幸せな気持ちでいっぱいになります」
「俺も、幸せだよ」
昇さんの長い腕で抱きしめられて、昇さんの鼓動が伝わってくる。
本当に僕……幸せだ。
ほっぺたもおでこも幸せだったけど、唇ってもっと幸せな気持ちになる。
だから、パパとあやちゃんはいつも唇なんだろうな。
この幸せな気持ちをパパとあやちゃんに伝えたいと思ったけれど、
――大好きな人とすることは二人だけの秘密にしておいた方がいいかな。
あやちゃんにそう言われたことを思い出す。
これは僕と昇さん、二人だけの秘密。それでいいんだよね。
「直くん、俺……その色、好きだよ。直くんが選んでくれたから大好きになった」
僕が選んだ毛糸が大好きだと言ってくれる昇さんの胸に抱きしめられて、僕はこの色でマフラーを編むことに決めた。
忘れないうちにアプリで毛糸を注文して、僕は毅パパのマフラーを編み始めた。
昇さんは机から勉強道具を持ってきて、僕の近くで勉強を始める。
お互いに違うことをしていても、同じ空間にいられるだけで僕は幸せを感じていた。
「直くん、そろそろ休憩しようか」
その声に顔を上げると、昇さんの唇が一番に目に入った。
さっきこの唇が重なったんだ。そう思うだけでドキドキしてしまう。
「直くん?」
「あ、はい。休憩。します」
「すごいな、さっき編み始めたばかりなのにもうこんなに編めたんだ」
「楽しいから止めるのが大変です」
外れないように棒の先にキャップをつけて、紙袋にしまった。
もう一度キス、してほしいな……。
でも自分からキスしてほしい、それも唇にしてほしいなんて言えなくて、ただ見つめることしかできなかった。
ふーちゃんのマフラーがようやく出来上がった。
初めてでちゃんと最後まで仕上げられるか心配だったけれど、なんとか完成できた。
これも一花さんのわかりやすい動画のおかげだ。
昇さんに出来上がったマフラーを見せると褒めてくれて嬉しい。
次は毅パパのマフラー作りだ。
準備しておいた毛糸を取り出すと、いい色だと昇さんが褒めてくれる。
色を選ぶセンスがあるとも言ってくれた。
一花さんにも同じことを言われたから嬉しくてたまらない。
その人に似合う色を想像するのが楽しいんだ。
「俺のはどんなイメージ?」
そう聞かれて、僕は前に選んでいた毛糸を見せようとスマホを探した。
昇さんがすぐに取ってくれて、あのアプリを開く。
僕が選んでいたのは<勝色>と書かれた毛糸。
黒寄りの青色みたいなそんな色が昇さんに似合う気がした。
何よりその名前に惹かれたんだ。
これから受験を控える昇さんにはぴったりだな、って。
だからなんとかして昇さんの受験前には仕上げたいと思っている。
この色を気に入ってくれたらいいななんて思いながらスマホを見せた。
「昇さんはこれ、かなって思ってたんですけど、好き、ですか?」
昇さんの好きな色で作りたいから、イメージと違うと言われたら別の色を探そう。昇さん、なんて言ってくれるかな?
すると、昇さんは画面を見ずに僕だけをまっすぐに見つめてくる。
「ああ、好きだよ。大好きだ」
これって、毛糸のことじゃない?
もしかして僕のことかな?
勘違いしたくなくて、昇さんに聞いてみた。
「の、昇さん……あの、毛糸、ですよ……」
「えっ、あ、ごめん。直くんが可愛すぎて言わずにいられなかった」
僕のことが可愛い……そう言われて嬉しい気持ちでいっぱいになった。
すっごく嬉しくて昇さんに抱きついてしまった。
自分から抱きつくのはドキドキするけれど、嬉しい気持ちが抑えられない。
「あの、僕も大好きです……」
思い切って気持ちを告げると、ゆっくりと身体が離される。
もしかして嫌だったかな?
一瞬そんな気持ちがよぎったけれど、昇さんはさっきよりも熱のこもった目で僕をみていた。
「キス、したい。いいかな?」
昇さんは朝起きたときや出かける前、帰ってきた時もいつもほっぺたやおでこにしてくれる。
でも今の目はなんだかいつもと違うみたい。
それでも昇さんにキスしたいって言われて嫌だなんて思わなかった。
見つめられてドキドキしすぎて顔が熱い。
これ以上見ていたらドキドキしすぎておかしくなりそうで、僕は目を瞑った。
ほっぺたでもおでこでもどこでもして!
そんな気持ちで昇さんがキスしやすいように顔を上げると、昇さんの顔が近づいてくるのが気配で分かった。
ちゅっ。
えっ?
ここって……唇、だよね?
昇さんの唇が僕の唇に重なった瞬間、僕の脳裏にパパとあやちゃんがキスをしている場面が現れた。
あのときのパパとあやちゃんってすっごく幸せそうな表情をしているんだよね。
僕もとうとう昇さんと唇に、キスしちゃったんだ。
嬉しいけどどうしていいかわからなくてされるがままになっていると、昇さんの唇が僕の下唇をちゅっちゅっと柔らかく噛んでくる。それがなんだかとても心地いい。
最後にもう一度ちゅっと唇が重なって、昇さんの唇が離れていく。
ああ、離れていっちゃったって少し寂しい気持ちもあるけれど、それ以上に幸せな気持ちがいっぱいで僕は昇さんの胸に寄りかかった。
「昇さんと、キスすると……幸せな気持ちでいっぱいになります」
「俺も、幸せだよ」
昇さんの長い腕で抱きしめられて、昇さんの鼓動が伝わってくる。
本当に僕……幸せだ。
ほっぺたもおでこも幸せだったけど、唇ってもっと幸せな気持ちになる。
だから、パパとあやちゃんはいつも唇なんだろうな。
この幸せな気持ちをパパとあやちゃんに伝えたいと思ったけれど、
――大好きな人とすることは二人だけの秘密にしておいた方がいいかな。
あやちゃんにそう言われたことを思い出す。
これは僕と昇さん、二人だけの秘密。それでいいんだよね。
「直くん、俺……その色、好きだよ。直くんが選んでくれたから大好きになった」
僕が選んだ毛糸が大好きだと言ってくれる昇さんの胸に抱きしめられて、僕はこの色でマフラーを編むことに決めた。
忘れないうちにアプリで毛糸を注文して、僕は毅パパのマフラーを編み始めた。
昇さんは机から勉強道具を持ってきて、僕の近くで勉強を始める。
お互いに違うことをしていても、同じ空間にいられるだけで僕は幸せを感じていた。
「直くん、そろそろ休憩しようか」
その声に顔を上げると、昇さんの唇が一番に目に入った。
さっきこの唇が重なったんだ。そう思うだけでドキドキしてしまう。
「直くん?」
「あ、はい。休憩。します」
「すごいな、さっき編み始めたばかりなのにもうこんなに編めたんだ」
「楽しいから止めるのが大変です」
外れないように棒の先にキャップをつけて、紙袋にしまった。
もう一度キス、してほしいな……。
でも自分からキスしてほしい、それも唇にしてほしいなんて言えなくて、ただ見つめることしかできなかった。
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