ひとりぼっちになった僕は新しい家族に愛と幸せを教えてもらいました

波木真帆

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二人だけの秘密と大事な話

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<side昇>

直くんとの交際を伯父さんに認めてもらった時に、

――頬にキスくらいなら許そう

そう言われていた。
直くんを溺愛している伯父さんだから、あの時は頬へのキスを許してもらえただけでも嬉しかった。
それでなくとも手を繋ぐことも一緒に寝ることも許してもらえていたし、その上頬にキスまで許してもらえて最高だと思っていた。

でもそれから直くんと一緒に過ごしていく上で、頬にキス以上の触れ合いも増えた。
なんせ、直くんの可愛い果実に触れて蜜を出すどころか、俺の欲望の蜜まで出してもらえるようになったんだ。
伯父さんもそれが直くんの成長に必要だと思ったからこそ許してくれたんだろう。
旅行の時だけでなく自宅に帰ってきてからもその行為を繰り返しているけれど、伯父さんから咎めるような言葉は言われない。

そこまで信頼してもらっているのだから、キスだけは約束を守ろうと思っていたけれど、俺のことを意識してくれている直くんに可愛い顔で見上げられたら止められなかった。

キスしたいと欲望を直くんに直接訴えてしまったんだ。

直くんはきっといつものように頬やおでこへのキスだと思っただろう。
でも俺は唇を重ねた。

頬ともおでことも違う感触。
唇から直くんの俺への気持ちが伝わってくる。

今までに感じたことのない、甘くて柔らかな感触に俺はすっかりハマった。
そのまま舌まで入れそうになるのを必死に抑えて唇を離す。

直くんは初めての唇へのキスをどう思ったか気になったけれど、俺とキスすると幸せな気持ちになる。そう言ってくれた。
それはきっと伯父さんと絢斗さんが幸せそうにキスしているのを見ているからだろう。

直くんにとって伯父さんと絢斗さんは憧れの存在だろうから、その二人に近づけたようできっと嬉しいんだ。

それから父さんのマフラーを編み始めた直くんの隣に座り、幸せな時間を過ごす。
その間も、ぷるぷる艶めく唇が俺を誘っているように見えてドキドキしてしまっていた。

編み始めて一時間。
そろそろ休憩をさせた方がいい。

――昇が積極的に声をかけて休憩させてやらないとな

伯父さんからもそう言われていたし、貴船さんにも俺の大事な役目と言われたし、直くんを守れるのは俺だ。

声をかけると、なぜか熱い目で俺を見てくれる。
もしかしたらマフラーを編むのに集中しすぎてぼーっとしているのかもしれない。

もう一度声をかけると、直くんはすぐにマフラーを片付け始めた。

棒の先にキャップをつけて紙袋にしまうと、また熱っぽい目で俺を見てくる。

もしかして誘われてる?
いや、そんなわけない。

でも……直くんの唇がキスしたそうに震えている、気がする。

俺の欲望がそう見させているのかもしれない。

訴えかけるようなその目に、俺はゴクリと唾を飲み込んだ。
俺の欲望でもいい。
直くんが俺とのキスを望んでいるように見えるなら、俺はしたい。

そっと顔を近づけると、静かに直くんの目が閉じた。

やっぱり、直くんは俺とのキスを望んでくれていたんだ。
それが嬉しくてたまらない。

俺の唇で直くんの小さな唇を覆うようにキスすると、その柔らかさと甘さをたっぷりと味わった。
舌を入れたくなるのを必死に抑えて、唇だけを堪能した。

そしてゆっくりと唇を離すと、直くんが嬉しそうに俺にもたれかかってくる。

「昇さんと、キスしたいなって思ってたら、昇さんがしてくれて嬉しかったです……」

「俺もしたかったから、直くんがそう思ってくれて嬉しいよ」

「あの……これからも、してくれますか?」

「――っ!!」

可愛い直くんにこんなにも望まれて、しないなんてことあるわけない。

「もちろん。でも、こうやって二人っきりでいる時だけにしよう。伯父さんたちがいる前では今まで通り、頬とかおでこだよ。いい?」

「それって、二人だけの秘密、ってことですよね?」

「そうだね。二人だけの秘密。守れる?」

「はい!」

直くんの嬉しそうな笑顔に、俺はもう一度唇を重ねた。

軽くつけるだけでも直くんの気持ちが伝わってくる。
俺たちはこうしてまた一歩大人になった。


<side寛>

昇と直くんが布団を用意してくれた客間に入り、ソファーで賢将さんとコーヒーを飲みながら穏やかな時間を過ごす。

年齢の差もあるし、職業も違う。
卓と絢斗くんの縁がなければ、このような時間を過ごすこともなかった関係だと思うとつくづく縁というのは不思議なものだと思う。

「賢将さん、何か私に話があると言っていたね」

「はい。日本に戻ってきて、直くんの存在を知ってから考えていたことがあるんです」

その真剣な表情に応えるように私は彼を見つめた。

「寛さんさえ良ければ、一緒に暮らしませんか?」

「えっ? 私たちが、一緒に?」

「ええ。お互いに最愛の伴侶を亡くし、次なるパートナーと出会うことはないでしょう」

確かに沙都を亡くしても、再婚などという考えは一切思ったことはない。
私にとって妻は沙都一人。それはこれからも同じだ。
賢将さんも、次なるパートナーと出会うことはないと言い切るくらいだから同じ気持ちなのだろう。

「確かにそれはない。私の全ては沙都のものだからな。それは変わらない」

「私も同じです。一生秋穂だけを愛する気持ちは変わりません。でもこれからずっと一人で生活するのは、お互いに心許ない時もあるでしょう。話し相手がいれば気が紛れる時もある」

幸い今は元気に暮らしているが、一人の夜を寂しく感じることは確かにあるな。

「それに、これから直くんを預かる時も私たちが一緒にいれば、直くんも安心でしょう。あの子は優しい子だから、どちらかの家に行けば、もう片方が一人で寂しいのではないかと心配する子です」

「そうだな……直くんはそういう子だ」

賢将さんとなら、気心も知れている。
お互いに干渉しすぎず、ちょうどいい距離を保てるかも知れない。

「賢将さんとなら、一緒に暮らしても楽しいかもしれないな」

私の言葉に、賢将さんは嬉しそうに笑顔を見せた。
私は、いい縁をもらったのかもしれない。
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