ひとりぼっちになった僕は新しい家族に愛と幸せを教えてもらいました

波木真帆

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一緒に暮らすって、いいな

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<side直純>

「そろそろリビングに戻ろうか」

あやちゃんにそう言われて僕たちは部屋を出た。

「今日の串カツ楽しみだね」

あやちゃんがウキウキしているからきっとものすごく美味しいんだろうな。
あのメンチカツとか天ぷらくらい美味しいかな。

うん、すごく楽しみだ。

「直くん、絢斗」

リビングに入ると、キッチンの方からおじいちゃんの声が聞こえた。
その声に誘われるようにあやちゃんと二人で向かうと、キッチンで昇さんとパパが支度をしているのが見える。

「四人で何を話してたの?」

「ああ、これからのことだよ。絢斗と直くんにも伝えておこう」

みんなが笑顔だから良い話とは思うけど、なんだかドキドキする。

「実はね、私の家で寛さんと一緒に暮らすことにしたんだ」

「えっ!!」

「お父さん、一緒に暮らすって……本当?」

思いがけない話に僕は言葉も出なかった。
あやちゃんも僕と同じくらいびっくりしながらおじいちゃんに尋ねていた。

「ああ、お互いにもう歳だからね。支えあって楽しく生きていこうと思ってね」

「それ! すっごくいい!!」

「ははっ、絢斗は賛成してくれるか。直くんはどうかな?」

びっくりしすぎて声も出せないままの僕におじいちゃんが優しく聞いてくれる。

おじいちゃまも、あやちゃんも、キッチンにいるパパと昇さんも僕を見ているのがわかる。

待たせちゃいけないと思いながらもなかなか言葉が出てこない。
でもおじいちゃんとおじいちゃまが一緒に暮らすのはすごく楽しそうだ。
だって、一人って寂しいもん。

「あの、すごくいいです」

「そうか、直くんも賛成してくれるか。よかった。直くんが学校に通い出したら、寛さんと毎日でも一緒に迎えに行けるよ。うちでのんびり過ごしていいからね」

「はい。おじいちゃんとおじいちゃまと一緒ならすごく楽しそうです。あ、あの……」

おじいちゃんのお家はコンシェルジュさんもいたし、安心だって言ってたけど僕は気になることがある。

「んっ? 直くん、何か気になることがある?」

僕の表情に気づいたのか、キッチンから昇さんが優しく声をかけてくれる。

「あの……おじいちゃまのお家は、なくなっちゃいますか?」

「ああ、それを気にしてくれたのか。大丈夫、あの家はそのままにしておくよ。たまにあの家に賢将さんと泊まるのもいいし、直くんともあの家で過ごしたいからね」

「――っ、よかった……ホッとしました」

「あの家、そんなに気に入ってくれたかな?」

「あのお庭すごく綺麗だったから……入れなくなったら寂しいなって……」

正直に気持ちを告げると、パパとおじいちゃまが僕を見ているのがわかる。

「あの……」

「直くん。あの庭をそんなに気に入ってくれていて嬉しいよ。ねぇ、父さん」

「ああ、直くんがよかったら月に一度はあの家に泊まろう」

「わぁー! 嬉しいです!!」

あのお家にお泊まりできたら、朝、お庭を散歩したりできるかな。

嬉しい気持ちが抑えられなくてその場で飛び上がって喜んでいると、みんなが僕を見て笑顔になってくれる。
はしゃぎすぎたかもと思ったけれど、笑顔になってくれたならよかったな。


<side昇>

じいちゃんと大おじさんが一緒に住む。
その話を聞いて絢斗さんは驚きつつも大喜びしていた。
直くんはめちゃくちゃ驚いて声も出ない様子だったけど、表情は嬉しそうだったから賛成なんだろう。
でも少しだけ浮かない表情が見えて、気になって尋ねたらじいちゃんの家が無くなることを心配していたらしい。

でもその心配はいらない。

あの日、庭を気に入っていた直くんのために庭を飾り付けしてクリスマスパーティーをしようと言い出したのはじいちゃんだ。伯父さんもそれを聞いて張り切っていたから、それをすっかり忘れて、あの家を売り払うなんてことあるわけない。

初めてのクリスマスパーティーをあの庭でやるのは絶対に直くんの心に残る、いい思い出になるはずだからな。

思わずクリスマスのことを言いそうになったけれど、これはサプライズ。
直くんにバレないようにしておかないと!

じいちゃんが月に一度あの家に泊まりに行こうと提案すると、直くんはその場で飛び上がって喜んでいた。
ああ、可愛い……。なんでこんなに可愛いんだろうな……。

「昇、手が止まってる」

「あ、ごめん」

みんなで話をしていても、伯父さんの作業の手は一切止まることがなかった。
俺はついつい直くんに見入ってしまう。この辺もまだまだ修行だな。

俺は串カツ担当だったから、具材を全て竹串に刺し、バッター液とパン粉をつけてあとは揚げるだけにしておく。食材ごとに積み上げた串の量は驚いてしまうが、揚げたては本当に美味すぎてあっという間になくなるんだよな。

串カツの準備ができたところで、じいちゃんたちも加勢して食卓に串カツ用のフライヤーを二台準備する。

「伯父さん、よく二台も持ってたね」

「ああ、一つは貰い物なんだよ。使わずにしまっていたが役に立ってよかった」

テーブルの真ん中に串を置いて、両端にフライヤー。
それ以外の料理も並べて、準備は整った。

直くんと絢斗さんをテーブルに呼んで、ご飯と味噌汁を運んだ。

「直くん、何が食べたい?」

「あの、えび食べたいです」

「よし!」

俺がエビの串を油に入れるとジューっと美味しそうな音がする。
伯父さんたちの方でもえびを揚げているみたいだ。

やっぱり直くんと絢斗さんはよく似ている。

俺の豚ヒレ串とじいちゃんの椎茸串も一緒に入れて揚げる。

一番最初にできたえび串を取り出し、直くんの皿に載せると、黄金色の衣がなんとも食欲をそそる。

それにたっぷりとソースをかけて、フーフーと冷ましてから直くんの口に運ぶ。

「はふっ、はふっ、んー!! おいひぃっ!」

まだ熱そうな表情の中に。笑顔が見える。
その笑顔だけで俺だけでなく、テーブルにいた全員が笑顔になっていた。
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