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久しぶりのテスト
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<side昇>
私立桜守学園。
俺がそこに足を踏み入れる日が来るとは直くんと出会うまでは想像もしていなかった。
絢斗さんはここの卒業生だけあってこの学校に馴染んでいる。
直くんももちろんこの学校にピッタリだ。
だけど、俺は……ちょっと居心地が悪く感じられる。
なぜだろう? 学校なんだから俺が通っている学校とそこまで違いはないはずなのに。
この学校全体を覆っている雰囲気がなぜか俺を緊張させる。
伯父さんはそんな俺の気持ちを知ってか知らずか、絢斗さんと直くんと一緒に俺を昇降口で降ろした。
すでに桜守学園の中に入っているから、危険は全くないから俺だけに二人を任せてくれたんだろう。
だけど、俺だけが緊張感を増している。
すると、建物の中から誰かが出てきた。
案内してくれる職員かと思ったら、浅香さんだったことに驚くけれどそういえば、浅香さんはこの学校の理事長の息子だったんだ。
伯父さんは浅香さんがいるなら安心だという表情をして一人で駐車場に行ってしまった。
「教室に案内するよ」
笑顔の浅香さんに案内されて、昇降口で持ってきた上履きに履き替えた。
「ねぇ、敬介くん。今日の教室ってどこ?」
「絢斗先生も過ごした三階の教室ですよ」
「あそこ、日当たり良くて気持ちいいよねぇ」
さすが二人ともここの出身者と言える会話に思わず直くんと顔を見合わせて笑ってしまう。
「今日の試験官は直くんが合格した時のクラス担任になる予定の先生が担当してくれています」
「先生は誰?」
「僕の後輩で、皐月先生のゼミをとってた斎川くんです」
「斎川くんって……一実くんか。なら安心だね。直くん、いい先生だから緊張しないで大丈夫だよ」
絢斗さんからのお墨付きをもらって、直くんもホッとしているようだ。
でも、担任になる予定の先生もちゃんと配慮してもらってありがたいな。
「テストが終わったら、教室を出てここが休憩場所になってるからね」
浅香さんがちゃんと扉を開けて中を見せてくれるからありがたい。
飲み物の自販機や座りやすそうなソファーも置かれているからリラックスできそうだ。
直くんが試験を受ける教室はこの休憩室の斜め前の部屋。
そこまで一緒についていくと、広々とした部屋に机が一つ置かれている。
それがちょっと緊張しそうだけど、さっきまでの話に直くんも少しリラックスできているみたいだ。
「受験票を机に置いて、あとは先生の指示に従えばいいからね」
椅子を引いて座らせると、直くんは目をキラキラさせて俺を見た。
「はい。頑張ります!」
「大丈夫。気を張らなくても、いつもの直くんを出せたらいいから。テスト終わったら直くんの好きなものを食べに行こう」
直くんの隣にしゃがみ込み、頬にチュッと唇を当てると、直くんの表情が緩んだ。
「終わりのチャイムが鳴ったら迎えに来るね」
俺は立ち上がり、教室を出ると入れ替わるように優しそうな先生が教室に近づいてくるのが見えた。
さすが桜守って感じの先生だな。
俺は頭をさげ、絢斗さんたちがいる休憩室に向かった。
<side直>
初めて入る桜守学園はなんだかとても落ち着く。
今まで学校というと緊張する場だったけれど、ここはなんだか違う気がする。
敬介さんやあやちゃんが通っていた学校だからかな。
ホッとする。
ここに来て余計に、この学校に通いたいという気持ちが増した気がする。
教室に入ると、広々とした部屋に僕が座る机だけが並んでいてちょっと緊張したけど、昇さんが優しい声をかけてくれたから一気に気持ちが和んだ。
ここまで応援してもらっているんだ。合格できるかどうかを考えるより、自分の力を思いっきり出すことだけ考えよう。
昇さんが部屋を出て行ってすぐに先生が入ってきた。
「編入試験を受ける、磯山直くんだね。私は今日の試験官の斎川です。まず初めに受験票を確認させてもらうね」
優しい笑顔で僕の座っている席にやってきて、受験票をじっくりとみる。
「問題ないね。それじゃあ今から受験において注意事項を話すので聞いてください」
先生の話をしっかりと聞き、頭にいれる。
まず最初のテストは国語。そして数学、英語の順に行われる。
それぞれ200点満点だということなので、かなりの問題数になりそうだ。
時間配分を考えて解かないといけないな。
自分の中でしっかりとシミュレーションをしたところで、とうとう最初のテストが始まった。
まずは漢字の読みと書き。
かなり難しいけれど、漢字は昔から得意だから大丈夫。
でもケアレスミスをしないように注意しないと!
久しぶりのテストに興奮している。
なんだか楽しくて仕方がない。
浮かれながら解いているとあっという間にテストを終えてしまっていた。
やっぱり国語は楽しすぎる。
私立桜守学園。
俺がそこに足を踏み入れる日が来るとは直くんと出会うまでは想像もしていなかった。
絢斗さんはここの卒業生だけあってこの学校に馴染んでいる。
直くんももちろんこの学校にピッタリだ。
だけど、俺は……ちょっと居心地が悪く感じられる。
なぜだろう? 学校なんだから俺が通っている学校とそこまで違いはないはずなのに。
この学校全体を覆っている雰囲気がなぜか俺を緊張させる。
伯父さんはそんな俺の気持ちを知ってか知らずか、絢斗さんと直くんと一緒に俺を昇降口で降ろした。
すでに桜守学園の中に入っているから、危険は全くないから俺だけに二人を任せてくれたんだろう。
だけど、俺だけが緊張感を増している。
すると、建物の中から誰かが出てきた。
案内してくれる職員かと思ったら、浅香さんだったことに驚くけれどそういえば、浅香さんはこの学校の理事長の息子だったんだ。
伯父さんは浅香さんがいるなら安心だという表情をして一人で駐車場に行ってしまった。
「教室に案内するよ」
笑顔の浅香さんに案内されて、昇降口で持ってきた上履きに履き替えた。
「ねぇ、敬介くん。今日の教室ってどこ?」
「絢斗先生も過ごした三階の教室ですよ」
「あそこ、日当たり良くて気持ちいいよねぇ」
さすが二人ともここの出身者と言える会話に思わず直くんと顔を見合わせて笑ってしまう。
「今日の試験官は直くんが合格した時のクラス担任になる予定の先生が担当してくれています」
「先生は誰?」
「僕の後輩で、皐月先生のゼミをとってた斎川くんです」
「斎川くんって……一実くんか。なら安心だね。直くん、いい先生だから緊張しないで大丈夫だよ」
絢斗さんからのお墨付きをもらって、直くんもホッとしているようだ。
でも、担任になる予定の先生もちゃんと配慮してもらってありがたいな。
「テストが終わったら、教室を出てここが休憩場所になってるからね」
浅香さんがちゃんと扉を開けて中を見せてくれるからありがたい。
飲み物の自販機や座りやすそうなソファーも置かれているからリラックスできそうだ。
直くんが試験を受ける教室はこの休憩室の斜め前の部屋。
そこまで一緒についていくと、広々とした部屋に机が一つ置かれている。
それがちょっと緊張しそうだけど、さっきまでの話に直くんも少しリラックスできているみたいだ。
「受験票を机に置いて、あとは先生の指示に従えばいいからね」
椅子を引いて座らせると、直くんは目をキラキラさせて俺を見た。
「はい。頑張ります!」
「大丈夫。気を張らなくても、いつもの直くんを出せたらいいから。テスト終わったら直くんの好きなものを食べに行こう」
直くんの隣にしゃがみ込み、頬にチュッと唇を当てると、直くんの表情が緩んだ。
「終わりのチャイムが鳴ったら迎えに来るね」
俺は立ち上がり、教室を出ると入れ替わるように優しそうな先生が教室に近づいてくるのが見えた。
さすが桜守って感じの先生だな。
俺は頭をさげ、絢斗さんたちがいる休憩室に向かった。
<side直>
初めて入る桜守学園はなんだかとても落ち着く。
今まで学校というと緊張する場だったけれど、ここはなんだか違う気がする。
敬介さんやあやちゃんが通っていた学校だからかな。
ホッとする。
ここに来て余計に、この学校に通いたいという気持ちが増した気がする。
教室に入ると、広々とした部屋に僕が座る机だけが並んでいてちょっと緊張したけど、昇さんが優しい声をかけてくれたから一気に気持ちが和んだ。
ここまで応援してもらっているんだ。合格できるかどうかを考えるより、自分の力を思いっきり出すことだけ考えよう。
昇さんが部屋を出て行ってすぐに先生が入ってきた。
「編入試験を受ける、磯山直くんだね。私は今日の試験官の斎川です。まず初めに受験票を確認させてもらうね」
優しい笑顔で僕の座っている席にやってきて、受験票をじっくりとみる。
「問題ないね。それじゃあ今から受験において注意事項を話すので聞いてください」
先生の話をしっかりと聞き、頭にいれる。
まず最初のテストは国語。そして数学、英語の順に行われる。
それぞれ200点満点だということなので、かなりの問題数になりそうだ。
時間配分を考えて解かないといけないな。
自分の中でしっかりとシミュレーションをしたところで、とうとう最初のテストが始まった。
まずは漢字の読みと書き。
かなり難しいけれど、漢字は昔から得意だから大丈夫。
でもケアレスミスをしないように注意しないと!
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なんだか楽しくて仕方がない。
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やっぱり国語は楽しすぎる。
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