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番外編
要さんを紹介しよう
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「んっ? どうした?」
さっきまでの笑顔がどこに行ったのかと気になって尋ねれば、一瞬の間を置いて氷室が口を開いた。
「どうしたって、真壁……お前、今まで見たことのない笑顔してるぞ」
その言葉に目の前の三人が同時に頷く。
ああ、この状況に覚えがある。
あれは成瀬と安慶名と同時に恋人を紹介されたあの日。
二人とも見たことのない笑顔を恋人に向けていた。
特に成瀬については高校時代から知っているが、あれほど感情をあらわにした姿は見たことがなかった。
あの時の二人の様子に私も驚きを隠せなかったが、今ならわかる。
意識しているわけじゃないんだということを。
「私が笑顔なのだとしたら、それは私の愛しい恋人のおかげだ。要さんが私を変えてくれたんだよ」
要さんのことを思うだけで自然と笑顔になっている気がする。
それは当然だろう。心から要さんを愛しているのだから。
「真壁にそんな表情をさせてくれるようになった相手に会うのが楽しみだな。早速紹介してもらおうか。なぁ、真琴」
「はい! 早く中に入りましょう!」
「行こう! 行こう! 早く会いたーい! 誠一さんも早くー!」
「ははっ。気をつけて」
さらに要さんに興味を持ってくれたらしい真琴くんと翼くんを先導するように中に入る。
もちろんその後ろからは成瀬と氷室もしっかりとついてきている。
部屋の奥では要さんが浅香さんと悠真さんと話に夢中のようだ。
笑顔で近づき、要さんの名前を呼ぶと私の声に嬉しそうに振り向いた。
「友人たちが全員揃いましたよ」
「は、はい」
慌てて立ち上がる要さんの隣にさっと立ち、要さんの肩を抱いた。
それだけでほんのりと頬を染める要さんが可愛くてたまらない。
「彼が久代要さん。私の最愛の恋人だよ」
笑顔でそう告げた瞬間、ソファーに座っていた浅香さんと悠真さんはにっこりと笑顔を浮かべ、私たちの目の前にいた真琴くんと翼くんはわぁー! と楽しげな声をあげ、その後ろにいた成瀬と氷室はほんの少し口角をあげていた。
「要さん。右奥の彼が成瀬。私の高校時代からの友人でその前にいるこの子が真琴くん。成瀬の恋人で悠真さんの弟です」
「えっ? 悠真さんの弟? って兄弟ってことですか? そういえばよく似てる……」
その驚きっぷりを見て、悠真さんが浅香さんと顔を見合わせて嬉しそうに笑っている。
てっきりこれまでのおしゃべりの間に、真琴くんの話をしたと思っていたが、要さんを驚かそうと計画していたみたいだ。
そういえば、あの時も私たちを驚かせるのを一番楽しんでいたのが悠真さんだった気がする。
悠真さんは意外とお茶目なところがあるな。
「そして、左奥が氷室。大学時代からの友人でその前にいる子が翼くんで氷室の恋人ですよ」
みんなの紹介を終えると、要さんがみんなに笑顔を向けた。
「あの、私……久代要と申します。これからよろしくお願いします」
少し緊張している声がたまらなく可愛くて、成瀬と氷室に聞かせるのが惜しいとさえ思ってしまう。
「真壁、よかったな。こんなに可愛い人が恋人になってくれて」
「ああ、人生の全ての運を使い果たしたと思ってるよ」
成瀬からの言葉が嬉しくて笑顔で返すと、氷室がニマニマとした表情を向けて口を開いた。
「俺は久代さんが未成年じゃなくてほっとしているよ。さすがに警察官僚が未成年と交際するのは問題だからな。翼や真琴くんと年が近くてよかったよ」
「えっ?」
翼くんたちと年齢が近い?
確かに翼くんとは近いだろうが俺たちともそこまで離れているわけじゃない。
「氷室……もしかして勘違いしていないか?」
「なんだ? 勘違いって」
「要さんは悠真さんと同じ歳だぞ」
そう告げた瞬間、部屋中が氷室の驚きの声に包まれた。
「ちょっ、ちょっと待ってくれ。久代さんが、悠真さんと同じ年? えっ? 冗談だろう? 俺たちを揶揄っているんだよな?」
「いや、冗談じゃない。要さんは今年三十四歳。悠真さんもですよね?」
そう問いかけると、悠真さんも少し驚いた表情を浮かべながら頷いていた。
どうやら悠真さんも要さんの年は聞いていなかったみたいだ。
私も要さんの年齢を知った時にかなり驚いたから、みんなの驚きはわかる。
意図せずみんなを驚かせるのに成功したわけか。
ずっとみんなに驚かされるばかりだったから、これはこれでよかったのかもしれない。
さっきまでの笑顔がどこに行ったのかと気になって尋ねれば、一瞬の間を置いて氷室が口を開いた。
「どうしたって、真壁……お前、今まで見たことのない笑顔してるぞ」
その言葉に目の前の三人が同時に頷く。
ああ、この状況に覚えがある。
あれは成瀬と安慶名と同時に恋人を紹介されたあの日。
二人とも見たことのない笑顔を恋人に向けていた。
特に成瀬については高校時代から知っているが、あれほど感情をあらわにした姿は見たことがなかった。
あの時の二人の様子に私も驚きを隠せなかったが、今ならわかる。
意識しているわけじゃないんだということを。
「私が笑顔なのだとしたら、それは私の愛しい恋人のおかげだ。要さんが私を変えてくれたんだよ」
要さんのことを思うだけで自然と笑顔になっている気がする。
それは当然だろう。心から要さんを愛しているのだから。
「真壁にそんな表情をさせてくれるようになった相手に会うのが楽しみだな。早速紹介してもらおうか。なぁ、真琴」
「はい! 早く中に入りましょう!」
「行こう! 行こう! 早く会いたーい! 誠一さんも早くー!」
「ははっ。気をつけて」
さらに要さんに興味を持ってくれたらしい真琴くんと翼くんを先導するように中に入る。
もちろんその後ろからは成瀬と氷室もしっかりとついてきている。
部屋の奥では要さんが浅香さんと悠真さんと話に夢中のようだ。
笑顔で近づき、要さんの名前を呼ぶと私の声に嬉しそうに振り向いた。
「友人たちが全員揃いましたよ」
「は、はい」
慌てて立ち上がる要さんの隣にさっと立ち、要さんの肩を抱いた。
それだけでほんのりと頬を染める要さんが可愛くてたまらない。
「彼が久代要さん。私の最愛の恋人だよ」
笑顔でそう告げた瞬間、ソファーに座っていた浅香さんと悠真さんはにっこりと笑顔を浮かべ、私たちの目の前にいた真琴くんと翼くんはわぁー! と楽しげな声をあげ、その後ろにいた成瀬と氷室はほんの少し口角をあげていた。
「要さん。右奥の彼が成瀬。私の高校時代からの友人でその前にいるこの子が真琴くん。成瀬の恋人で悠真さんの弟です」
「えっ? 悠真さんの弟? って兄弟ってことですか? そういえばよく似てる……」
その驚きっぷりを見て、悠真さんが浅香さんと顔を見合わせて嬉しそうに笑っている。
てっきりこれまでのおしゃべりの間に、真琴くんの話をしたと思っていたが、要さんを驚かそうと計画していたみたいだ。
そういえば、あの時も私たちを驚かせるのを一番楽しんでいたのが悠真さんだった気がする。
悠真さんは意外とお茶目なところがあるな。
「そして、左奥が氷室。大学時代からの友人でその前にいる子が翼くんで氷室の恋人ですよ」
みんなの紹介を終えると、要さんがみんなに笑顔を向けた。
「あの、私……久代要と申します。これからよろしくお願いします」
少し緊張している声がたまらなく可愛くて、成瀬と氷室に聞かせるのが惜しいとさえ思ってしまう。
「真壁、よかったな。こんなに可愛い人が恋人になってくれて」
「ああ、人生の全ての運を使い果たしたと思ってるよ」
成瀬からの言葉が嬉しくて笑顔で返すと、氷室がニマニマとした表情を向けて口を開いた。
「俺は久代さんが未成年じゃなくてほっとしているよ。さすがに警察官僚が未成年と交際するのは問題だからな。翼や真琴くんと年が近くてよかったよ」
「えっ?」
翼くんたちと年齢が近い?
確かに翼くんとは近いだろうが俺たちともそこまで離れているわけじゃない。
「氷室……もしかして勘違いしていないか?」
「なんだ? 勘違いって」
「要さんは悠真さんと同じ歳だぞ」
そう告げた瞬間、部屋中が氷室の驚きの声に包まれた。
「ちょっ、ちょっと待ってくれ。久代さんが、悠真さんと同じ年? えっ? 冗談だろう? 俺たちを揶揄っているんだよな?」
「いや、冗談じゃない。要さんは今年三十四歳。悠真さんもですよね?」
そう問いかけると、悠真さんも少し驚いた表情を浮かべながら頷いていた。
どうやら悠真さんも要さんの年は聞いていなかったみたいだ。
私も要さんの年齢を知った時にかなり驚いたから、みんなの驚きはわかる。
意図せずみんなを驚かせるのに成功したわけか。
ずっとみんなに驚かされるばかりだったから、これはこれでよかったのかもしれない。
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