エリート警察官僚はようやく見つけた運命の相手を甘やかしたくてたまらない!

波木真帆

文字の大きさ
80 / 93
番外編

要さんを紹介しよう

しおりを挟む
「んっ? どうした?」

さっきまでの笑顔がどこに行ったのかと気になって尋ねれば、一瞬の間を置いて氷室が口を開いた。

「どうしたって、真壁……お前、今まで見たことのない笑顔してるぞ」

その言葉に目の前の三人が同時に頷く。

ああ、この状況に覚えがある。
あれは成瀬と安慶名と同時に恋人を紹介されたあの日。

二人とも見たことのない笑顔を恋人に向けていた。
特に成瀬については高校時代から知っているが、あれほど感情をあらわにした姿は見たことがなかった。
あの時の二人の様子に私も驚きを隠せなかったが、今ならわかる。
意識しているわけじゃないんだということを。

「私が笑顔なのだとしたら、それは私の愛しい恋人のおかげだ。要さんが私を変えてくれたんだよ」

要さんのことを思うだけで自然と笑顔になっている気がする。
それは当然だろう。心から要さんを愛しているのだから。

「真壁にそんな表情をさせてくれるようになった相手に会うのが楽しみだな。早速紹介してもらおうか。なぁ、真琴」

「はい! 早く中に入りましょう!」

「行こう! 行こう! 早く会いたーい! 誠一さんも早くー!」

「ははっ。気をつけて」

さらに要さんに興味を持ってくれたらしい真琴くんと翼くんを先導するように中に入る。
もちろんその後ろからは成瀬と氷室もしっかりとついてきている。

部屋の奥では要さんが浅香さんと悠真さんと話に夢中のようだ。
笑顔で近づき、要さんの名前を呼ぶと私の声に嬉しそうに振り向いた。

「友人たちが全員揃いましたよ」

「は、はい」

慌てて立ち上がる要さんの隣にさっと立ち、要さんの肩を抱いた。
それだけでほんのりと頬を染める要さんが可愛くてたまらない。

「彼が久代要さん。私の最愛の恋人だよ」

笑顔でそう告げた瞬間、ソファーに座っていた浅香さんと悠真さんはにっこりと笑顔を浮かべ、私たちの目の前にいた真琴くんと翼くんはわぁー! と楽しげな声をあげ、その後ろにいた成瀬と氷室はほんの少し口角をあげていた。

「要さん。右奥の彼が成瀬。私の高校時代からの友人でその前にいるこの子が真琴くん。成瀬の恋人で悠真さんの弟です」

「えっ? 悠真さんの弟? って兄弟ってことですか? そういえばよく似てる……」

その驚きっぷりを見て、悠真さんが浅香さんと顔を見合わせて嬉しそうに笑っている。
てっきりこれまでのおしゃべりの間に、真琴くんの話をしたと思っていたが、要さんを驚かそうと計画していたみたいだ。

そういえば、あの時も私たちを驚かせるのを一番楽しんでいたのが悠真さんだった気がする。
悠真さんは意外とお茶目なところがあるな。

「そして、左奥が氷室。大学時代からの友人でその前にいる子が翼くんで氷室の恋人ですよ」

みんなの紹介を終えると、要さんがみんなに笑顔を向けた。

「あの、私……久代要と申します。これからよろしくお願いします」

少し緊張している声がたまらなく可愛くて、成瀬と氷室に聞かせるのが惜しいとさえ思ってしまう。

「真壁、よかったな。こんなに可愛い人が恋人になってくれて」

「ああ、人生の全ての運を使い果たしたと思ってるよ」

成瀬からの言葉が嬉しくて笑顔で返すと、氷室がニマニマとした表情を向けて口を開いた。

「俺は久代さんが未成年じゃなくてほっとしているよ。さすがに警察官僚が未成年と交際するのは問題だからな。翼や真琴くんと年が近くてよかったよ」

「えっ?」

翼くんたちと年齢が近い?
確かに翼くんとは近いだろうが俺たちともそこまで離れているわけじゃない。

「氷室……もしかして勘違いしていないか?」

「なんだ? 勘違いって」

「要さんは悠真さんと同じ歳だぞ」

そう告げた瞬間、部屋中が氷室の驚きの声に包まれた。

「ちょっ、ちょっと待ってくれ。久代さんが、悠真さんと同じ年? えっ? 冗談だろう? 俺たちを揶揄っているんだよな?」

「いや、冗談じゃない。要さんは今年三十四歳。悠真さんもですよね?」

そう問いかけると、悠真さんも少し驚いた表情を浮かべながら頷いていた。
どうやら悠真さんも要さんの年は聞いていなかったみたいだ。

私も要さんの年齢を知った時にかなり驚いたから、みんなの驚きはわかる。
意図せずみんなを驚かせるのに成功したわけか。
ずっとみんなに驚かされるばかりだったから、これはこれでよかったのかもしれない。
しおりを挟む
感想 152

あなたにおすすめの小説

複数番ハーレムの中に運命の番が加わったら破綻した話

雷尾
BL
合意を得なきゃだめだよね。得たところで、と言う話。割と目も当てられないぐらい崩壊します。

伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい

マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。 最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡) 世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。

オオカミ様に抱かれたい!

万里
BL
ISB(異種共生対策局)のバディ、ルカとガルドは、性格も属性も正反対で、顔を合わせれば喧嘩ばかり。ある満月の夜、ルカは凶暴な変異体に出会い、絶体絶命のピンチに。 その時、ルカを救ったのは、美しく気高い「人狼」だった。ふかふかの毛並みに抱き寄せられ、命懸けで守られたルカは、その正体が目の前の嫌いな相棒・ガルドだとは露知らず、狼の姿に「運命」を感じて一目惚れ。 ■ 登場人物 ルカ(Ω / オメガ) 属性・立場: ISBの捜査官。非常に珍しく、かつ社会的に守られるべき存在のΩ。 性格: 潔癖、真面目、融通が利かない。Ωであることを弱みと思わず、抑制剤で属性を隠して強気に振る舞っている。 現在: ガルドを「野蛮で不潔な男」と嫌っているが、自分を救った「銀狼」を神のように崇拝し、恋に落ちている。 ガルド(α / アルファ) 属性・立場: ルカのバディ。強大な力を持つα。実は希少種である「人狼(ビースト)」だが、迫害を避けるため周囲には隠している。 性格: ガサツ、直感的、ぶっきらぼう。満月の夜だけは人狼の姿を制御できなくなる。 現在: 実は以前からルカを大切に思っているが、ルカが自分の「人狼の姿」に一目惚れしたせいで、正体を明かせないまま自分の悪口を聞かされる羽目に。

人生はままならない

野埜乃のの
BL
「おまえとは番にならない」 結婚して迎えた初夜。彼はそう僕にそう告げた。 異世界オメガバース ツイノベです

【完結 一気読み推奨】片想いの相手が「そろそろ恋愛したい」と言ったので、用済みの俺はニートになることにしました。

はぴねこ
BL
 高校生の頃、片想いの親友に告白した。  彼はノンケだったから玉砕して友人関係も終わるものだと思っていた。  もしかすると気持ち悪いと軽蔑される覚悟までしていたのに、彼は「今は恋愛をしている時間がないんだ」と自分の夢を語ってくれた。  彼は会社を興した祖父のことをとても尊敬していて、自分も起業したいと熱く語ってくれた。  そして、俺の手を握って「できれば親友のお前には俺の右腕になってほしい」と言われた。  同性愛者の俺のことを気持ち悪いと遠ざけることもせずに、親友のままでいてくれた彼に俺は感謝して、同じ大学に進学して、大学の頃に彼と一緒にゲームを作成する会社を起業した。  あれから二十年間、本当に二人三脚で駆け抜けてきた。  そして、昨年売り出したVRMMOが世界的に大ヒットし、ゲーム大賞を取ったことを祝うパーティーで親友が語った言葉に俺の覚悟も決まった。 「俺もそろそろ恋愛したい」  親友のその言葉に、俺は、長年の片想いを終わらせる覚悟をした。  不憫な拗らせアラフォーが”愛”へと踏み出すお話です。

初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結保証】

星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。 だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。 しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。 王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。 そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。 地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。 ⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。

そんなの聞いていませんが

みけねこ
BL
お二人の門出を祝う気満々だったのに、婚約破棄とはどういうことですか?

目が覚めたら宿敵の伴侶になっていた

木村木下
BL
日本の大学に通う俺はある日突然異世界で目覚め、思い出した。 自分が本来、この世界で生きていた妖精、フォランだということを。 しかし目覚めたフォランはなぜか自分の肉体ではなく、シルヴァ・サリオンという青年の体に入っていた。その上、シルヴァはフォランの宿敵である大英雄ユエ・オーレルの『望まれない伴侶』だった。 ユエ×フォラン (ムーンライトノベルズ/全年齢版をカクヨムでも投稿しています)

処理中です...