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宝の地図で借金返すって本気か!?

16話

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漆黒と名付けるにふさわしい、そんな黒い羽を生やした堕天使がそこに座っていた。
「ガブ?もしかしてガブか!?おぉ!ひさびさだなぁ!」

なんとも友好的な印象を受ける。すこし気を許した俺は試しにバラキエルに聞いてみる。
「なぁ、お前とガブは元天使仲間なのか?」
「おぉ、俺たちは昔」
「おああぁぁぁぁぁぁ」
ガブが発狂し始めた。なんだよこいつ。

「ガブ、いきなりどうしたんだよ。あいつの声が聞こえなかったろ。」
「いや、だって、ほら。リリーさん。私たちの関係なんてどうでも良いじゃないですか?早く倒しちゃいましょう。」
早く倒すっていったってそもそもこいつに懸賞金が懸かってなければ倒す義理も無いだろう。

「なぁ、バラキエルに賞金って」
俺が尋ねると、リリーが食いぎみで答える。
「懸かってるぞ、1億ハンス。」

何、ゾンビナイトの倍だと?これで倒す義理まで出来てしまった。
「なぁ、なにこそこそそっちでやってるんだよ!ガブ!元カレに久々の…」 
「うわぁぁぁぁぁ!だまれぇ!」
ガブはその場でうずくまり始めた。というか、え?元カレ?

「なぁ、ガブ。お前、バラキエルと」
「やめてください。違います。気の迷いです。おかしくなってただけなんです。」
なるほど、今回の相手はガブの元カレか。

「そういえばガブはさっき、トイレしてたな。全くこんなダンジョンで勝手にトイレするなんて。」
「え!?え!見てたんですか!?」
「おぉ、久々にお前の裸を…」
「この変態ぃ!だまれだまれだまれ!」
ガブが見事に取り乱している。敬語じゃないガブは初めてみたな。

「そう。ガブは処女じゃないのね。」
ミシェルがボソッと呟く。おい、それ以上は何も言うな。聞きたくない。

「ガブはああいう男がタイプだったんだな。てか、本当に天使だったんだな。驚いた。」
「リリーさんはまだ信じてくれてなかったんですか!?てか、タイプじゃなくて、気の迷いっていうか。」
「そうだな、ガブが酒に酔ってそのまま夜」
「うわあああああああ!」
お前酒飲んでワンチャンって。神様のいる場所で何をやってるんだよ。もっと人々の暮らしを支えろよ。

というより。
「なぁ、どうやってガブのトイレを見たんだ?」
リリーが聞いてくれる。そう、俺も同じことを考えていた。そんな気配は無かったのだが。
「あぁ、俺は自分のエリアで起こることはどこだろうとここから動かずに見れるぞ。そしてお前らに幽霊を送ったのも俺だ。」
あ、これはヤバイ。本格的に強敵の香りがする。


ここでうずくまっていたガブが動く。
「バ、バラク。なんであなた堕天してるんですか?」
そういえば、そうだな。ワンチャンで作った元カレが堕天してて、挙げ句そいつにトイレ見られるとかこいつもそろそろ鬱の仲間入りしそうだな。

「そこには深ーい事情があるのよ。」
あ、多分これ深い事情なんてないやつだ。なんとなくわかるぞこれ。
バラキエルは続ける。
「ガブに振られた後な?俺は天界をさ迷ってたんだよ。そうしたらな?クランケットにめちゃくちゃ貧乏だけど、めちゃくちゃ美人な女がいたわけ。」

あ、これはあかんやつや。この時点で深い話になるわけがない。
「で、その女性と駆け落ちですか!?なんで相変わらずそんな変態なんですか!」
ガブが発狂する。そんな変態と付き合ってたのはお前だけどな。

「違うぞ。駆け落ちと言うより、一方的に俺が襲ったのよ。そんで朝起きたら羽が黒くなってた。」
こいつの堕天がアホすぎる。ガブが不憫になってきた。

「そんで、朝起きて女が怒ってるからほとぼりが覚めた頃に俺のところに来てもらおうと思って俺の居場所を書いたわけよ。そしたら、あの女その地図をどうやら印刷してばら蒔いたみたいなんだよ!やってらんないだろ?」

やってらんないのは俺達だ。何が楽しくってこんなところまで来て変態の相手をしなきゃいけないんだ。
というより、クランケットにある貧乏な家。多分あの家はその女の人のものだったのだろう。今はどうしているんだろう。

「そしたら、なんかやたらと冒険者が来るからな。仕方ないから全員倒してゾンビにしてやったのよ。そして新しく来る冒険者とやりあわせてたってわけ。」
「と、いうことはやっぱりお前がここに来るまでのやつの黒幕なんだな?」
リリーの質問に勿論とバラキエルが答える。

バラキエルが少し真面目な顔になり、俺達に話を始めた。

「さて。本題に入るとするか。お前ら、もう引き返せると思うなよ?」
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