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友愛
日常
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私が秘密を打ち明けた日から大きく変わったことはないけど、前よりも気楽に話せるようになったし、レイの笑顔も増えた気がする。
なにより、久しぶりの「友達」ができて、学校に行く楽しみが増えた。
「進路希望調査って早くない?まだ6月なんですけど。」
机の上に突っ伏して愚痴るレイ。それには私も同感だ。
「卒業まで1年半以上あるのにね。」
「そうだよ。まだやりたい事も見つかってないのに。」
まだ私たちは高校2年生。大人になったときのことなんて、上手く想像できないけど、その日は着実に近づいている。
「…やりたい事か。」
独り言のつもりだったのに、レイは目敏く聞いてきた。
「なになに。梨沙はもう将来の夢決まってんの?」
「いや、はっきり決まってるわけじゃないけど、…料理人になりたいなって思ってる。」
その答えにレイは瞳を輝かせた。
「え、梨沙って料理するの得意なの?」
「得意…かな?お弁当も毎日作ってるし。」
なにも才能がない私だけど、料理やお菓子を作るのは好きで、お弁当作りは高校生になってからの私の日課だ。
「毎日早起きできるのすごいね!」
ちょっと照れ臭いけど、レイに褒められると素直に受け入れられる気がする。
「いいなー、私なんか毎日菓子パン食べてるよ。」
そうぼやくレイを見ていると、お節介かもしれないと思いつつ、つい言ってしまった。
「明日のお弁当、2人分作って来よっか?」
「え、いいの!?…でも梨沙に悪いよ。」
レイは一瞬嬉しそうにしたものの首を振って拒否した。
「そんなのいいよ。私がやりたいんだし。」
「じゃあ、お言葉に甘えさせていただきます。」
「はい。甘えてください。」
ふふっ。2人で目を合わせて笑い合う。こんな些細な会話でも、穏やかで満ち足りた気持ちになれる。
「ていうか梨沙ってどこでお昼食べてるの?」
「裏庭のベンチ。あそこ人があんまり来なくて穴場なんだよ。」
「へー、そうなんだ。じゃあ明日はそこで食べようね。」
「うん!楽しみ。」
「わたしもー。」
「梨沙。裏庭行こ。」
チャイムが鳴ると早速声を掛けられた。周りの人は珍しい組み合わせに、一体何事かとことの次第を見ている。
「ほらほら、行くよー。」
たくさんの視線に囲まれて、思わず後退りそうになる私を引っ張りながら、レイはずんずんと廊下を進んでいった。
「レイ、本当に私と一緒でいいの?いつも一緒に食べてる子たちは?」
自分から誘って弁当まで作ったくせに今更不安になって、前を行く背中に問いかける。
「いいのいいの。朝のうちに断っといたし。
それに、私には梨沙の方が大事だから。」
そんな風に思ってくれてたんだ。改めて言葉にされると、なんだかむず痒くなった。
「あ、あっそ。」
「もしかして今照れた?」
「照れてない!」
「えー、ほんと?」
「本当だもん!」
隣を見上げると、ニヤニヤしているレイと目が合った。こいつ、むかつくー!
こうして私たちは放課後だけでなく、昼休みも一緒に過ごすようになった。みんなの人気者であるレイを独り占めしている。そのことに私は仄かな優越感を抱いていた。
周りの反感にも気付かずに。
なにより、久しぶりの「友達」ができて、学校に行く楽しみが増えた。
「進路希望調査って早くない?まだ6月なんですけど。」
机の上に突っ伏して愚痴るレイ。それには私も同感だ。
「卒業まで1年半以上あるのにね。」
「そうだよ。まだやりたい事も見つかってないのに。」
まだ私たちは高校2年生。大人になったときのことなんて、上手く想像できないけど、その日は着実に近づいている。
「…やりたい事か。」
独り言のつもりだったのに、レイは目敏く聞いてきた。
「なになに。梨沙はもう将来の夢決まってんの?」
「いや、はっきり決まってるわけじゃないけど、…料理人になりたいなって思ってる。」
その答えにレイは瞳を輝かせた。
「え、梨沙って料理するの得意なの?」
「得意…かな?お弁当も毎日作ってるし。」
なにも才能がない私だけど、料理やお菓子を作るのは好きで、お弁当作りは高校生になってからの私の日課だ。
「毎日早起きできるのすごいね!」
ちょっと照れ臭いけど、レイに褒められると素直に受け入れられる気がする。
「いいなー、私なんか毎日菓子パン食べてるよ。」
そうぼやくレイを見ていると、お節介かもしれないと思いつつ、つい言ってしまった。
「明日のお弁当、2人分作って来よっか?」
「え、いいの!?…でも梨沙に悪いよ。」
レイは一瞬嬉しそうにしたものの首を振って拒否した。
「そんなのいいよ。私がやりたいんだし。」
「じゃあ、お言葉に甘えさせていただきます。」
「はい。甘えてください。」
ふふっ。2人で目を合わせて笑い合う。こんな些細な会話でも、穏やかで満ち足りた気持ちになれる。
「ていうか梨沙ってどこでお昼食べてるの?」
「裏庭のベンチ。あそこ人があんまり来なくて穴場なんだよ。」
「へー、そうなんだ。じゃあ明日はそこで食べようね。」
「うん!楽しみ。」
「わたしもー。」
「梨沙。裏庭行こ。」
チャイムが鳴ると早速声を掛けられた。周りの人は珍しい組み合わせに、一体何事かとことの次第を見ている。
「ほらほら、行くよー。」
たくさんの視線に囲まれて、思わず後退りそうになる私を引っ張りながら、レイはずんずんと廊下を進んでいった。
「レイ、本当に私と一緒でいいの?いつも一緒に食べてる子たちは?」
自分から誘って弁当まで作ったくせに今更不安になって、前を行く背中に問いかける。
「いいのいいの。朝のうちに断っといたし。
それに、私には梨沙の方が大事だから。」
そんな風に思ってくれてたんだ。改めて言葉にされると、なんだかむず痒くなった。
「あ、あっそ。」
「もしかして今照れた?」
「照れてない!」
「えー、ほんと?」
「本当だもん!」
隣を見上げると、ニヤニヤしているレイと目が合った。こいつ、むかつくー!
こうして私たちは放課後だけでなく、昼休みも一緒に過ごすようになった。みんなの人気者であるレイを独り占めしている。そのことに私は仄かな優越感を抱いていた。
周りの反感にも気付かずに。
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