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第三章 探求
ケーキ屋さん
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『もうすぐ、ひな祭りの時期なんだ。』と季節の移り変わりを感じた。
芽依ちゃんに会った日の翌日にスーパーに買い出しに行った後、隣接するケーキ屋さんに行くと、ディスプレイの飾り付けがひな祭りのイラストで一杯になっていた。今年はウサギ年なので、うさぎをモチーフにした雛ケーキの申し込みも始まっているようだ。春の訪れを予感させる暖かな色合いをバックにした着物姿のうさぎ達がなんだか可愛い。
もうすぐ、会社に復帰だ。そろそろ、世の中の流れにもついていかないといけないなと思った。このお店はイートインもできるように、テーブル席もある。今日はここでお茶していこうと思った。買い物帰りのエコバッグを肘にかけながら、ショーケースに陳列されているフルーツが盛られたお薦めのケーキと紅茶のセットを注文した。
レジでスタンプ式のポイントカードを開いたとき、前回いっちゃんと来たときのスタンプが押されていたことに気づいた。これは私の誕生日のときだったなと、少し過去を振り返った瞬間、ケーキの金額を知らせる店員さんの声で現実に引き戻された。
レジで精算後、番号付きの札を貰った。それを持って店内を歩き、空いている二人掛けのテーブル席にその番号札を置いて、テーブル席の近くにあるカウンターで注文した紅茶を貰った。
テーブル席に一人で座って、ティーカップから漂う香りを口元で楽しみながら、これまでの出来事を振り返ってみた。また帰って来るよという意味をほのめかす彼のメッセージ。でも、そんなことがあり得るはずはない。
さすがにそれはわかっている。ただ、謎の研究所や秘密の貸金庫の存在がある。何よりも、彼は魔法使いだ。
きっと、新興宗教に騙されて入るってこういう気持ちかも知れないと思いつつ、やはり彼を信じてみたくなった。会えない事実は変わらないんだし、少しくらい夢を見てもいいか。
うん、そうしてみよう…
それで気持ちが楽になるのなら、それでいいかもしれないと詩は思った。
「お待たせしました。」
そのとき、淡いピンク色のトレイに載せられたフルーツのケーキが運ばれてきた。
小さなフォークで美味しそうに色づいたケーキの先端部を小さくカットし、一口に頬張り、気持ちを切り替えた。来月から会社復帰、頑張ろう。
芽依ちゃんに会った日の翌日にスーパーに買い出しに行った後、隣接するケーキ屋さんに行くと、ディスプレイの飾り付けがひな祭りのイラストで一杯になっていた。今年はウサギ年なので、うさぎをモチーフにした雛ケーキの申し込みも始まっているようだ。春の訪れを予感させる暖かな色合いをバックにした着物姿のうさぎ達がなんだか可愛い。
もうすぐ、会社に復帰だ。そろそろ、世の中の流れにもついていかないといけないなと思った。このお店はイートインもできるように、テーブル席もある。今日はここでお茶していこうと思った。買い物帰りのエコバッグを肘にかけながら、ショーケースに陳列されているフルーツが盛られたお薦めのケーキと紅茶のセットを注文した。
レジでスタンプ式のポイントカードを開いたとき、前回いっちゃんと来たときのスタンプが押されていたことに気づいた。これは私の誕生日のときだったなと、少し過去を振り返った瞬間、ケーキの金額を知らせる店員さんの声で現実に引き戻された。
レジで精算後、番号付きの札を貰った。それを持って店内を歩き、空いている二人掛けのテーブル席にその番号札を置いて、テーブル席の近くにあるカウンターで注文した紅茶を貰った。
テーブル席に一人で座って、ティーカップから漂う香りを口元で楽しみながら、これまでの出来事を振り返ってみた。また帰って来るよという意味をほのめかす彼のメッセージ。でも、そんなことがあり得るはずはない。
さすがにそれはわかっている。ただ、謎の研究所や秘密の貸金庫の存在がある。何よりも、彼は魔法使いだ。
きっと、新興宗教に騙されて入るってこういう気持ちかも知れないと思いつつ、やはり彼を信じてみたくなった。会えない事実は変わらないんだし、少しくらい夢を見てもいいか。
うん、そうしてみよう…
それで気持ちが楽になるのなら、それでいいかもしれないと詩は思った。
「お待たせしました。」
そのとき、淡いピンク色のトレイに載せられたフルーツのケーキが運ばれてきた。
小さなフォークで美味しそうに色づいたケーキの先端部を小さくカットし、一口に頬張り、気持ちを切り替えた。来月から会社復帰、頑張ろう。
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