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婚約者の一言
「大嫌いだ。」
「あの………もう一度言ってもよろしいでしょうか?」
婚約者であるランガ様に、「大事な話がある。」と言われて部屋に入ると、そこで言われた言葉は「大嫌い」だった。
思いもよらない婚約者の言葉に、私は頭が追い付いていかない。
どうして?
ランガとは、両思いだと思っていたのに……
それに、どうして今頃なの?
自然と、目の辺りが熱くなってくるの感じる。
ランガはこの国の王子様で、昔から私の婚約者としていつも近くに居た。
一緒に勉強したり、何気ない楽しい話をしたり、いつも付いてくるメイドを振り切って、二人で内緒に怒られたけど出掛けたりもした。
婚約というのは政略結婚が多く、本当に両想いになれるのなんて極僅か。
でも、私とランガは幼い頃から一緒に居たし、政略結婚が多く夫婦仲が悪いのが普通のなかで、ランガと私は比較的仲が良かったこともあって、ランガと私の関係を私自身とても幸運なことだと思っていた。
けど、そうなのか……
ランガは私のことが嫌いだったのか。
両想いだと思っていたのは、私だけだったのかな……
ははは。涙が止まらないや。
自然と出てくる涙に思わずつられて、我慢していた声を上げて泣く。
私はランガが好きで、ランガも私のことを好きだと思っていた。
ランガは、私をどうするのだろう。
結婚式を挙げる日は後数日後だけれど、もしかしたら私との婚約を破棄するのかな?
嫌だけど、仕方ないのかな……?
ランガは幸せになって欲しいし、大嫌いな私と結婚することになるなんて、ランガが可哀想だもんね。
やっぱり私じゃ釣り合わなかったんだね…
ランガはとてもたくましい体付きをする、蒼い覇気を纏った髪が王族らしくて惚れ惚れしてしまうような美少年だ。それに、私と違って少し練習すれば何事も出来るようになるし、他国とのやり取りなども軽々こなす超が付くほどの天才だ。
そんなランガに並ぶ為、私は必死に努力をした。沢山勉強もしたし、花嫁修業をやったり、作法もマスターした。……けど、私はランガには釣り合わなかった。……せめて、もう少し早ければあんなに努力しなくてもよかったのに。
ランガに釣り合おうと努力をした自分の行動が、全く意味の無かったことだと分かると、何だか馬鹿らしくなる。
どうしてあんなに頑張ったんだろう。
全く意味の無かったことだったのに……
こんなことなら、もう少し本を読む時間を取れたり、他の趣味に活かせたのにな……
そんなことを考えていると、最後の幸せをとランガの顔を見た。
着ている服は、結婚式を意識しているのか金色と白が混ざったまさに王子様という衣装で、散りばめられた宝石が美しい。
だけど、何故だかランガも泣いているようだ。
何故泣いているのだろう。
そんなことを思った瞬間、ランガが聞こえるか聞こえないかギリギリの大きさで、とあることを呟く。
────どうしてミーシャは、僕の言うことに怒ってくれないんだ。
その声には、酷く悲しんでいるような感情が込められていた。
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