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デートに忍び寄る影
しおりを挟む「ふぬぬっ……ぐぬぬぬっ……何でお兄ちゃんの隣が私じゃないんだーー妬ましい。羨ましい。あんな年寄りなんか相手しなくても私が居るのに。うぅ……お兄ちゃん格好良すぎるよぉぉーー」
「落ち着けかおり。お前の貧相な体じゃ、一狼なんて相手にしないから。そんな願望なんて元から存在なんかしてなーーーちょっ、痛い痛い。引っ掻くな。」
草むらに囲まれた場所で、望遠鏡片手にじゃれあいを始める姉妹。
幼い容姿が特徴で、これからの成長に期待をしたいーー少女に、母に似てもうすっかり大人の体を手に入れているといっても過言ではない美女。そんな二人は、じゃれあいに似た喧嘩をしながらも、黒いタキシードを来た男性を焦点から外してはいなかった。
「お母さんがお兄ちゃんを誘って喫茶店に行こうとしてるけど、お母さんって喫茶店なんて一回も入ったこと無いよね?むしろ、嫌いとか言ってたし。なのに、何で喫茶店なんかに行こうとしてるのかな~?いつも通り、コンビニで昼食をとって、雰囲気をぶち壊せばいいのに。」
「うんーー?一狼と母さんの前に何やら女共が現れたぞ?ボイスレコーダーにばかり集中しないで、望遠鏡の倍率を上げてみろ。」
望遠鏡に映る、気持ち悪い程幸せそうな笑みを浮かべた母と、そんな母と手を結び顔を若干赤くしながらも、本来では女性がリードするはずなのに母をリードする一狼。折角のデートなのに、女性らしく男である一狼をリードしろよと思う桜だが、何故か見ていて嫌な気持ちにならない。むしろ、自分も一狼にリードされたいと思うような気持ちになってくる。かおりとは違って、一狼とデートする母を応援する目的でついてきた桜だが、かおりのが移ったのかリードされている母に嫉妬心を覚えていた。
そんな嫉妬心を覚えて二人のことを見ていた桜だが、そんな二人に二人の女性が現れた。二人とも金髪に染めていたり、ピアスを付けていたり、一狼の教育上あまりよく無さそうな女だ。しかも、顔を赤らめていて、何を勘違いしているのか興奮しているようにも見える。母に嫉妬心を覚えていた桜だが、いつもお世話になって育てて貰っている母に怒りは無く、ただ羨ましいなと思う程度だった。そんな桜は、二人の前に現れた女をそっと望遠鏡から睨みつけた。
「はあああ!?何こいつら?喧嘩売っているでしょ。お兄ちゃんをナンパだと?そんなこと許す訳ないだろうが。しっし。」
「ちょっとこれは許されないな?ーー疑って悪いが、一狼が付いていくわけないよな?」
妹のことだから、母とのデートを邪魔する者が現れたことに喜ぶのではと思った桜だが、どうやらかおりも突如現れた二人の女を邪魔者と決めつけたらしい。
いつも一狼のことになると母にも悪態をついているかおりだがもしかしてーーーと思ったが、どうやらそうでないらしい。隣から、『ナンパだけは許さん。ナンパだけは許さん。』という声が、草むらに隠れている必要性を忘れそうになるほど聞こえてくる。妹はどうやら、一狼に対するナンパを嫌ったようだ。
望遠鏡の倍率を上げて、一狼の様子により焦点を合わせると、ボイスレコーダーから聞こえてくる声と望遠鏡に映る、母を二人の女から守るように引き寄せ、二人の女を睨みつけている一狼に思わず目を疑う。
一狼とのデートを邪魔する二人の女に苛立ちを覚え、後で権力でどうにかしてやろうと考えていた華だが、今では二人の女に感謝すら覚える。現在進行形で、一狼に引き寄せられて守られているからだ。俺の女という甘い言葉と、恥ずかしさのあまり穴があったら隠れたくなるような褒め言葉も添えて。
「俺の女かぁ~こんなこと言われちゃったら、もうお兄ちゃんと私は結婚するしかないね。もとからするつもりだったけど、お兄ちゃんからこんなこと言われるとわ~」
「かおりじゃないから安心しろ。……にしても、俺の女とかお母さんに言ったけど、嘘だよな!?嘘だと言ってくれ一狼!!」
妄想で耳も頭も可笑しくなった妹にチョップを入れる桜だが、俺の女という言葉を一狼に言われたりしたのなら、女としてもう味方ではいられない。一狼と結婚生活を送ることが出来れば何でもいいと思っていて、母のデートも応援の方が強かった桜だが、流石に一番を狙いたくないと言ったら嘘になる。ていうか、俺の女って何だよ!?そんな言葉漫画でも出てこなかったぞ?思い出すだけでーーああっ、私も言われたいいいいぃ。
前言撤回。
頭の可笑しくなった姉妹は一狼の発した言葉に魅了され、妄想に妄想を繰り返し、頭の中を神様でも引くようなお花畑に変えていく。そんな姉妹の望遠鏡に映る一狼はそんなことを知るよしもなく、女の顔になるべくしてなった母をゾンビ映画の街並みと化した場所から逃げるように、お姫様だっこで喫茶店を目指して走っていった。
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