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日常
子供
しおりを挟む「お父さん!!遊んでよぉ~」
執務室で書類仕事をしていると、扉を開けて膝くらいの大きさしかない子供が抱き付いて来た。子供だからか、その体はポカポカとしていて、柔らかい。抱き付いて来た子供の頭を撫でてやると、にっこりと嬉しそうに笑って、座っている僕に更に体重を掛けてきた。
「お父さんは仕事中だからなぁ~後で遊ぼうな。」
「嘘言わないでよ!!いつもそう言って、お爺ちゃん達と何処かに出掛けちゃうじゃん!!今日は僕と一緒に遊ぶのぉ~」
う~ん。
バレていたか。
そろそろ違う誤魔化し方を考えないと。
わざとらしく拗ねたように腕を組む息子を抱き寄せると、包み込むように抱き締める。するとやはり子供なのか、気付けば楽しそうに無邪気に笑っていた。
そんな息子を見て軽く微笑むと、扉が開いた。
「やっと見付けた!! お母さんが勉強の時間って言ってたじゃん。早く戻らないと、お母さんに怒られちゃうよ。だから、アース早く戻ろ。」
「嫌だ。嫌だ。勉強嫌い。マロン姉だけ勉強しててよ。」
「そんなこと言わないで、早く戻るよ。……って、アースだけずるい。私もお父さんに抱き付くの!!」
娘と息子の様子を微笑ましく見ていると、マロンが抱き付いて来た。マロンとアースは僕の子供で、マロンはレイナのように人前では大人しいが、親しい人の前だとアース以上に無邪気になる。アースは言わずもがな、甘えん坊の愉快な奴だ。元気がない時でも直ぐに元気を取り戻すが、逆に何か失敗した時は直ぐに元気を無くす。揺れ幅が大きいのかな? そして、少しでも無視をすると直ぐに拗ねる。夕食を一緒に食べると言って、五分遅れただけで拗ねるような奴だ。……まぁ、拗ねた姿は可愛らしいが。
二人のことを抱き締めていると、扉が開く音がする。
マロンとアースで隠れて見えないが、アースの逃げようとする反応を見てレイナなんだろう。
そんなことを思っていると、レイナの声が部屋に響いた。
「また二人してレインの邪魔をして!!レインの仕事は国の中でも特に重要なんだから、邪魔をしないでって言ったよね。」
「「ごめんなさい。」」
「……お母さんがレインの代わりに抱き締めてあげるから、二人ともレインから離れようね。」
「「嫌」」
「何で!? ……レインと私の何処が違うの?」
自分の子供達に拒否されたことに傷付いたレイナは、僕に抱き付いて来る。そんな悲しそうなレイナの髪を優しく撫でてあげると、レイナは僕に体重をより掛けてくる。僕一人に対して、三人の体重。マロンとアースが子供とはいえ、流石に三人の体重は座った状態では支えきれない。
三人の体重に押し負けた僕は、三人に抱き付かれた状態で後ろに倒れた。
「「「大丈夫!?」」」
「大丈夫だから。……ちょっと、退いてくれ。」
「もう!!二人して抱き付くからこんなことになって……二人はレインに抱き付くの少しの間禁止ね?」
「可笑しい!!僕は悪くないもん。」
「……お母さんが、最後に体重掛けたよね?」
「うっ!?」
二人の子供達からジト目を味わうレイナは、何処か困ったような表情を浮かべて僕に瞳を合わせてくる。ここで助け船を出せれば格好いいのだろうけど、子供達の言い分の方が正しいと思うので、助け船は出せない。裁縫や料理など、女性としての作用や用法は完璧なのだが、こういうところで抜けている。
そんなレイナを微笑ましく見ていると、何処か拗ねているようなレイナを見て二人が笑っていた。
「お母さん拗ねちゃってる!!大人なのに可笑しいねぇ~」
「そんなに怒らないでよお母さん!!ほらほら~ぷにぷに。」
マロンはレイナに近付くと、レイナのシミ一つ無く美しくて柔らかそうな頬を弄くり回す。娘にほっぺを引っ張られたり、グルグルされていたりするレイナは、何処か悔しそうな顔でマロンに対抗している。
そんなレイナとマロンを見て、遊びに参加するようにアースもレイナに飛び掛かる。
そんな光景を見て、僕は書類へと目を移す。
この時間が何時までも続くように、しっかりと国を守らなければ。
何処か騒がしい執務室からは、王族の幸せそうな雰囲気が溢れだしていた。
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感想ありがとうございます(*- -)(*_ _)ペコリ
文では書いていないですが、大体そういう感じです。
他の男を探すというよりかは、レインと婚約しているレイナに嫉妬して、レインを奪おうとしていたからですね。
まぁ、レインを奪うことは出来てませんがw
感想ありがたいです。(*- -)(*_ _)ペコリ
見事妹ちゃんの自爆終了(笑)
新しい男を外に作らずに、姉に押し返そうとするところが面白かったです
でも王子様二人と姉妹が結婚ってなかなかに権力の集中ですね…
感想ありがとうございます(*- -)(*_ _)ペコリ
確かに、現実的に考えると凄く権力集中してますねw
もう少し、設定考えとけばよかったかな?
感想ありがたいです。(*- -)(*_ _)ペコリ
ご幸せ→お幸せでは?
誤字報告ありがとうございます(*- -)(*_ _)ペコリ
他の人からもありがたく指摘されたんですが、やっぱりここ『お幸せ』ですよね。
こんなにも誤字報告を受けると、自分の文章力を疑いたくなります。
わざわざ誤字報告ありがとうございました。
本当にありがたいです。(*- -)(*_ _)ペコリ