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第10話 ハイエビルスネイク
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結局、フィムのお陰で無事に一夜を過ごすことが出来たものの、木の上で睡眠は質の良いモノでは無かった。とはいえ、少しの間でも眠ることが出来て体力も回復することが出来た。これで今日も森の中を散策することが出来る。
朝食のオレリンゴを食べ終えた僕は、フィムと共に弱めの魔獣を探しに出かけていた。一応レベルも6に上がり、ステータスはかなり上昇しているのだが、万が一を考えると踏み出せないところがある。
しかし、ホーンラビットを倒しただけでは、レベルが上がりにくくなっているのが現状だった。
「『水刃』!……ふぅっ」
ホーンラビットが動かなくなったことを確認し、手慣れた手つきでその亡骸を収納へとしまいこんでいく。周囲に敵が迫ってきていないことを確認した後、ステータスオープンで自分のレベルを確認するも、昨日の6から上がってはいなかった。
「うーん、やっぱりダメなのかなぁ。これでレベル6に上がってから40体くらい倒してる気がするんだけど」
“だから言ってるだろー?ワイルドボアとか、エビルスネイクを狩った方が良いって!”
「それは分かってるけどさー。もし倒せなかったら死ぬかもしれないんだぞ?」
“大丈夫だって!今の裕介なら余裕で勝てるだろうからさ!”
フィムはそう言ってふよふよと移動を始める。僕はフィムの後ろを歩く間も、食料や薬草などを探しては収納していった。それから数分後、フィムが何時ものように地面すれすれへと降り始める。僕も一緒になって進んで行くと、黒いツヤツヤした肌に、小型犬程の体長がある蛇を見つけた。
「あれがエビルスネイクか……『鑑定』!」
エビルスネイクに悟られぬように、『鑑定』魔法を発動させる。
----------------------------------------------------
種族名:エビルスネイク
Lv : 8
体力:800/800
魔力:200/200
攻撃力:10
防御力:300
敏捷力:800
知力:100
運:100
【魔法】
毒液
【詳細】
黒いツヤのある肌をした蛇型の魔獣。
目が悪く、体を使った攻撃が得意ではない。
----------------------------------------------------
「レベルは僕よりも上だけど、ステータスは高くないのか。でもあの『毒液』ってのが気になるなぁ」
多分、口から毒を吐き出すんだろうけど、それをくらったらどうなるのか想像もつかない。もし致死毒だったらどうすればいいのか。ここは様子を見て、エビルスネイクが完全に後ろを向いたら、背後から魔法を撃とう。
「いつでも撃てるように、照準は合わせておいて……まだ……今だ!『水刃』!」
エビルスネイクが完全に後ろを向いた瞬間、僕は即座に『水刃』を発動させてエビルスネイクの頭を切り落とした。胴体から離れた頭が地面に落ち、くねくねと動いていた身体がバタリと倒れた。
「よし!上手くいったぞ!」
その場でステータスを確認すると、レベルが6から7に上昇していた。やっぱり、自分よりもレベルの高い魔獣を倒した方が効率が良いみたいだ。ステータスもかなり上昇したし、これでまた一歩森からの脱出に近づいた。
「この感じで行けるなら、エビルスネイクは簡単に倒せそうだな!レベル10くらいまでは、こいつを狩ることにしよう!」
“だから言っただろー?もっと早く戦えばよかったのにー!”
「そういうなよ、フィム!ちょっと慎重になってただけさ!意外と僕も強くなってるみたいだし、これからは積極的に行くことにするよ!」
簡単に倒せたことで油断していたのか、僕は周囲の確認を怠ったままエビルスネイクの死体に近づいていく。その死体を収納に入れようとしたその時、フィムが咄嗟に声をあげた。
“裕介、危ない!!”
「え──」
フィムの声に反応したものの、その直後に僕の着ていたローブに何か液体のようなモノがぶつかった。液体がぶつかった箇所から、ブシュブシュという変な音がし始め、ローブが溶けだした。
「うわぁぁぁ!!!とけるとける!!!」
僕は急いでローブを脱ぎ捨てる。液体がぶつかった箇所は完全に溶けてなくなり、その周りも少しだけ溶けかけていた。アルデンド王国から支給された、僕にとって唯一の装備だったのに。
毒液が飛んできたと思われる方向に顔を向けると、さっき倒したエビルスネイクよりも一回り大きい奴がこっちを向いて、シュルルルと僕を威嚇していた。
「エビルスネイク!1匹だけじゃなかったのか!」
“裕介!あれはエビルスネイクじゃない!その上位種だよ!”
「なんだって!?」
僕は慌てて『鑑定』を発動させる。すると目の前に現れた窓には、フィムの言った通り「ハイエビルスネイク」と映し出されていた。
----------------------------------------------------
種族名:ハイエビルスネイク
Lv : 14
体力:1500/1500
魔力:450/500
攻撃力:40
防御力:600
敏捷力:1400
知力:400
運:100
【魔法】
猛毒液
【詳細】
エビルスネイクの上位種。
口から吐かれる猛毒液は草木を溶かす。
----------------------------------------------------
「レベル14って、クリスタルディア―並みじゃないか!」
“裕介来るよ!”
フィムがそう叫んだ直後、ハイエビルスネイクの口から、再び毒液が吐かれた。僕は横に飛びのけてなんとかそれを回避する。そのまま体勢を立て直し、ハイエビルスネイクに向けて魔法を放った。
「『水刃』!」
水の刃がハイエビルスネイクに向かって飛んで行く。ハイエビルスネイクはその場で頭を屈めさせて、華麗に回避して見せた。
「っつ!『水刃』!『水刃』!」
続けざまに水刃を放つも、今度は地面を這うように移動を始め、余裕の回避をされてしまう。それを見て慌てふためく僕を、あざ笑うかのように舌を出すハイエビルスネイク。
「くそぉ!どうすればいいんだ!このままじゃ、倒せないぞ!」
“落ち着いて、裕介!冷静に戦えば勝てない相手じゃないよ!”
「勝てない相手じゃないって!?あいつはローブを溶かすような猛毒の液をもってるんだぞ!?勝てるはずないだろ!」
僕がフィムに向かって怒鳴り声をあげた間にも、ハイエビルスネイクは猛毒液をぶちかましてきた。それも何とかギリギリの所で躱して異な液を得たが、このまま戦えばいつかは毒の餌食になってしまう気がする。
だが逃げようにも、ハイエビルスネイクは僕達のスキを見逃さず、狙いすましたかのように猛毒液を撃ってくる。背中を見せたら、確実に終わりだ。
“確かに、あの毒液は危ないけど、当たらなかったらどうってことは無いだろ?不意打ちを除けば、裕介は2回とも回避出来てるじゃないか!冷静に戦えば、ハイエビルスネイクに勝ち目はないよ!”
「今は回避出来てるさ!でもあの猛毒液を吐き続けられたら、体力的に厳しくなる!何とかして逃げた方が良いって!」
“良いから!僕を信じて!”
フィムの力強い言葉に説き伏せられた僕は、それから必死に戦い続けた。ハイエビルスネイクが猛毒液を吐くたび、何とか回避して溶かされないように頑張った。そして奴が10度目の猛毒液を吐き終えた時、戦況に変化が訪れた。
意気揚々と僕に向かって猛毒液をまき散らしていたハイエビルスネイクが、ぐったりと地面に横たわり、動かなくなってしまったのだ。
“裕介、今だ!”
「ああ!『水刃』!!」
何度も避けられた水刃が、ハイエビルスネイクの身体を二つに分ける。何が起きたのか理解出来なかったが、強敵を倒せたことで僕は安堵の息を吐いた。
今度は確実に敵が居ないことをフィムと共に確認してから、ハイエビルスネイクの死体を収納していく。
「ねぇ、フィム。ハイエビルスネイクはどうしていきなり倒れたんだ?」
“あーあれ?多分、『魔力切れ』になって、動けなくなったんだと思うよ!”
「『魔力切れ』?ああ、なるほど!猛毒液を吐き続けたせいで、魔力がゼロになったってことか!あれ、ってことは……僕も魔力がゼロになったら動けなくなるのか?」
“そうだね!まぁ裕介は魔力量が格段に多いし、滅多にそんなことは置きえないと思うけどね!”
フィムは笑いながらそう口にしていたが、僕の頭にはハイエビルスネイクのあの姿がこびりついていた。もし魔獣がひしめく森の中や、僕を殺そうとする魔族の目の前であんな姿をさらしてしまったら──
「ゴクッ……気をつけよう」
強敵との戦いを経て今度からは、魔法の使い方に注意をしようと心に決めたのだった。
朝食のオレリンゴを食べ終えた僕は、フィムと共に弱めの魔獣を探しに出かけていた。一応レベルも6に上がり、ステータスはかなり上昇しているのだが、万が一を考えると踏み出せないところがある。
しかし、ホーンラビットを倒しただけでは、レベルが上がりにくくなっているのが現状だった。
「『水刃』!……ふぅっ」
ホーンラビットが動かなくなったことを確認し、手慣れた手つきでその亡骸を収納へとしまいこんでいく。周囲に敵が迫ってきていないことを確認した後、ステータスオープンで自分のレベルを確認するも、昨日の6から上がってはいなかった。
「うーん、やっぱりダメなのかなぁ。これでレベル6に上がってから40体くらい倒してる気がするんだけど」
“だから言ってるだろー?ワイルドボアとか、エビルスネイクを狩った方が良いって!”
「それは分かってるけどさー。もし倒せなかったら死ぬかもしれないんだぞ?」
“大丈夫だって!今の裕介なら余裕で勝てるだろうからさ!”
フィムはそう言ってふよふよと移動を始める。僕はフィムの後ろを歩く間も、食料や薬草などを探しては収納していった。それから数分後、フィムが何時ものように地面すれすれへと降り始める。僕も一緒になって進んで行くと、黒いツヤツヤした肌に、小型犬程の体長がある蛇を見つけた。
「あれがエビルスネイクか……『鑑定』!」
エビルスネイクに悟られぬように、『鑑定』魔法を発動させる。
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種族名:エビルスネイク
Lv : 8
体力:800/800
魔力:200/200
攻撃力:10
防御力:300
敏捷力:800
知力:100
運:100
【魔法】
毒液
【詳細】
黒いツヤのある肌をした蛇型の魔獣。
目が悪く、体を使った攻撃が得意ではない。
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「レベルは僕よりも上だけど、ステータスは高くないのか。でもあの『毒液』ってのが気になるなぁ」
多分、口から毒を吐き出すんだろうけど、それをくらったらどうなるのか想像もつかない。もし致死毒だったらどうすればいいのか。ここは様子を見て、エビルスネイクが完全に後ろを向いたら、背後から魔法を撃とう。
「いつでも撃てるように、照準は合わせておいて……まだ……今だ!『水刃』!」
エビルスネイクが完全に後ろを向いた瞬間、僕は即座に『水刃』を発動させてエビルスネイクの頭を切り落とした。胴体から離れた頭が地面に落ち、くねくねと動いていた身体がバタリと倒れた。
「よし!上手くいったぞ!」
その場でステータスを確認すると、レベルが6から7に上昇していた。やっぱり、自分よりもレベルの高い魔獣を倒した方が効率が良いみたいだ。ステータスもかなり上昇したし、これでまた一歩森からの脱出に近づいた。
「この感じで行けるなら、エビルスネイクは簡単に倒せそうだな!レベル10くらいまでは、こいつを狩ることにしよう!」
“だから言っただろー?もっと早く戦えばよかったのにー!”
「そういうなよ、フィム!ちょっと慎重になってただけさ!意外と僕も強くなってるみたいだし、これからは積極的に行くことにするよ!」
簡単に倒せたことで油断していたのか、僕は周囲の確認を怠ったままエビルスネイクの死体に近づいていく。その死体を収納に入れようとしたその時、フィムが咄嗟に声をあげた。
“裕介、危ない!!”
「え──」
フィムの声に反応したものの、その直後に僕の着ていたローブに何か液体のようなモノがぶつかった。液体がぶつかった箇所から、ブシュブシュという変な音がし始め、ローブが溶けだした。
「うわぁぁぁ!!!とけるとける!!!」
僕は急いでローブを脱ぎ捨てる。液体がぶつかった箇所は完全に溶けてなくなり、その周りも少しだけ溶けかけていた。アルデンド王国から支給された、僕にとって唯一の装備だったのに。
毒液が飛んできたと思われる方向に顔を向けると、さっき倒したエビルスネイクよりも一回り大きい奴がこっちを向いて、シュルルルと僕を威嚇していた。
「エビルスネイク!1匹だけじゃなかったのか!」
“裕介!あれはエビルスネイクじゃない!その上位種だよ!”
「なんだって!?」
僕は慌てて『鑑定』を発動させる。すると目の前に現れた窓には、フィムの言った通り「ハイエビルスネイク」と映し出されていた。
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種族名:ハイエビルスネイク
Lv : 14
体力:1500/1500
魔力:450/500
攻撃力:40
防御力:600
敏捷力:1400
知力:400
運:100
【魔法】
猛毒液
【詳細】
エビルスネイクの上位種。
口から吐かれる猛毒液は草木を溶かす。
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「レベル14って、クリスタルディア―並みじゃないか!」
“裕介来るよ!”
フィムがそう叫んだ直後、ハイエビルスネイクの口から、再び毒液が吐かれた。僕は横に飛びのけてなんとかそれを回避する。そのまま体勢を立て直し、ハイエビルスネイクに向けて魔法を放った。
「『水刃』!」
水の刃がハイエビルスネイクに向かって飛んで行く。ハイエビルスネイクはその場で頭を屈めさせて、華麗に回避して見せた。
「っつ!『水刃』!『水刃』!」
続けざまに水刃を放つも、今度は地面を這うように移動を始め、余裕の回避をされてしまう。それを見て慌てふためく僕を、あざ笑うかのように舌を出すハイエビルスネイク。
「くそぉ!どうすればいいんだ!このままじゃ、倒せないぞ!」
“落ち着いて、裕介!冷静に戦えば勝てない相手じゃないよ!”
「勝てない相手じゃないって!?あいつはローブを溶かすような猛毒の液をもってるんだぞ!?勝てるはずないだろ!」
僕がフィムに向かって怒鳴り声をあげた間にも、ハイエビルスネイクは猛毒液をぶちかましてきた。それも何とかギリギリの所で躱して異な液を得たが、このまま戦えばいつかは毒の餌食になってしまう気がする。
だが逃げようにも、ハイエビルスネイクは僕達のスキを見逃さず、狙いすましたかのように猛毒液を撃ってくる。背中を見せたら、確実に終わりだ。
“確かに、あの毒液は危ないけど、当たらなかったらどうってことは無いだろ?不意打ちを除けば、裕介は2回とも回避出来てるじゃないか!冷静に戦えば、ハイエビルスネイクに勝ち目はないよ!”
「今は回避出来てるさ!でもあの猛毒液を吐き続けられたら、体力的に厳しくなる!何とかして逃げた方が良いって!」
“良いから!僕を信じて!”
フィムの力強い言葉に説き伏せられた僕は、それから必死に戦い続けた。ハイエビルスネイクが猛毒液を吐くたび、何とか回避して溶かされないように頑張った。そして奴が10度目の猛毒液を吐き終えた時、戦況に変化が訪れた。
意気揚々と僕に向かって猛毒液をまき散らしていたハイエビルスネイクが、ぐったりと地面に横たわり、動かなくなってしまったのだ。
“裕介、今だ!”
「ああ!『水刃』!!」
何度も避けられた水刃が、ハイエビルスネイクの身体を二つに分ける。何が起きたのか理解出来なかったが、強敵を倒せたことで僕は安堵の息を吐いた。
今度は確実に敵が居ないことをフィムと共に確認してから、ハイエビルスネイクの死体を収納していく。
「ねぇ、フィム。ハイエビルスネイクはどうしていきなり倒れたんだ?」
“あーあれ?多分、『魔力切れ』になって、動けなくなったんだと思うよ!”
「『魔力切れ』?ああ、なるほど!猛毒液を吐き続けたせいで、魔力がゼロになったってことか!あれ、ってことは……僕も魔力がゼロになったら動けなくなるのか?」
“そうだね!まぁ裕介は魔力量が格段に多いし、滅多にそんなことは置きえないと思うけどね!”
フィムは笑いながらそう口にしていたが、僕の頭にはハイエビルスネイクのあの姿がこびりついていた。もし魔獣がひしめく森の中や、僕を殺そうとする魔族の目の前であんな姿をさらしてしまったら──
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