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第一章 白と黒が崇拝される世界
3. 純白の美しい人
しおりを挟む「──君は」
彼の声にはっとする。
この人は私を見て驚いているようだし、ひょっとすると私がいた場所のようにここも私有地なのかもしれない。
これは急いで謝罪しなければいけないと思い、慌てて頭を下げる。
「ごめんなさい!もしかしてここって私有地ですか?私、知らなくて……。勝手に入ってしまってすみません。」
彼の足元にいたフクロウが再び私の肩へ飛び乗った。
「──いいや、それは問題ない。そのフクロウ、君が捕まえてくれたのか?」
「あ、あなたが飼い主さんでしたか!よかった、てっきり迷子なのかと──。」
少し目が隠れる程度に伸びた前髪は額の中央で分けられており、美しく風で靡いている。
「そのフクロウは私の知人の使い魔だ。」
「──使い魔?」
聞き慣れない言葉に思わず首を傾げる。
しかしそんな私に気にする様子もなく、淡々と話を続ける。
「丸一日行方が分からなくなっていたんだ。本当に感謝する。」
──ヴィー、おいで。
彼が呼びかけるが、フクロウは私の肩から離れようとしない。
「……困ったな。ヴィーは今までスヴァルトと私にしか懐かなかったんだが……。」
困ったように小さく息を吐き、徐にポケットから懐中時計を取り出した。
──また、白。
この真っ白な花畑とフクロウ。加えて私の前に立つ彼。
彼もまた、白い髪に真っ白な洋服。偶然とは言い難いほどに辺り一面に広がる白。
違和感を覚えながらも、静かに彼の次の言葉を待った。
「フクロウを見つけてくれた礼をしたい。王宮に来ていただくことは可能か?」
──オウキュウ?
また聞き慣れない言葉。
やはりここは日本ではなく、そういった地名がある外国なのかなと少し考え込んでいると、彼ははっとしたように姿勢を正した。
「すまない、名乗るのが遅れた。私はアサヒ・ノウムディーネだ。」
「わ、私は月森彩です!」
小さく頭を下げるアサヒさんに、慌てて自分も頭を下げる。
「ツキモリ…?それが貴女の名か?」
「あ、いえ、名前はアヤです!」
「では、アヤ殿。先程の返事を聞かせて欲しい。」
先程の返事──
とは、恐らくオウキュウという場所に来てくれないかという問いに対しての返事だろう。
これから行く当てもないし、ここが一体どこで私のいた場所にどうすれば帰れるのかすら不明であるため、今は彼について行き情報収集するのが得策だろう。
「では……お言葉に甘えさせていただきます。」
「──感謝する。ではこちらへ。」
そう言うとすぐに後ろを向き、足早に歩いていく。
オウキュウとやらへ向かうため、少しの不安と弾む心を抑えつつ、アサヒさんの後を追った。
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