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愛してる、愛してる、愛してた…
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昔、亡くなった母が口癖のように言っていた。「人にいじわるしたりする悪い人には、必ず悪いことが起こるんだよ」って。
ずっとずっと、私はそれを信じていた。
小学生の頃だが実際に、ある女の子が私のあることないこと好き勝手悪口を言っているのが聞こえ、母の口癖通りにこにこして交わしていたのを覚えている。
そしてその子はその後すぐ事故に合って足が不自由になった。
天罰が下る、というのはこういうことなのだろうか。
目の前で車に轢かれたのはきっと神様がほらね、って言ってくれたのだろう。
車でその子を轢いてしまった人も、誰かに何か悪いことをしていたのかもしれない。
そんな風に子ども心にも、色々と考えを巡らせていた。
口に出してはいけない気がして、自分の中だけで留めておいたのだが。
正直、少しぞっとしたのだ。
母の口癖が本当になったことではない。
自分が少しでも悪いことをしたらどうなるかを考えて。
それからの私は成長しても誰の悪口も言わなかったし、誰かが悪口を言っているのにも加わらなかった。
神様が、母が見てる。
いつもにこにこして、だけど内心は冷静で、相手がどうしたら楽しくなるか、落ち込んでいたらどう励ましてほしいのか、必死に考えた。
そして大学に入った頃、自然と彼氏が出来た。
「一目惚れだったんだよ。
美琴が窓から空を見てた時綺麗だなって思って目が離せなかった。そしたら振り向いて目が合ってやべっ、って思ったら笑顔で返してくれてさ。それから喋るようになって、可愛くて、清楚で、それも俺の好みだったから……」
何で私に告白したのかを聞いたら、照れながらそう、答えてくれた。
最後はごにょごにょと濁していたけど。
愛おしいと心から思った。
私もこの人の、学の屈託のない笑顔、いつも人の先頭に立って歩く姿、何よりも心が綺麗だと思った。
瞳が澄んでいて、迷いがない。
皆と本音で接して、悩みを打ち明けられたら全力で考えて……。
学も幼い頃に母親を亡くしていて、同じような境遇でもあった。
就職して落ち着いたら結婚しよう、なんて話までしていて、私達ならどんな苦しいことでも耐えていけるって思ったんだ。
初めて2人が1つになった夜、
「愛してるよ美琴。いつまでも」
「ふふ、あたしも愛してるよ学」
そうして、抱き合って眠った。
人のぬくもりを感じながら眠る夜は幸せだった。
キスをする前に見つめ合えば、そこには澄んだ瞳。私よりも華奢なのではないかと思うくらい細い腕に、何度支えられたことか。
大学では取っている授業が違ったりするけれど、会ったら必ずどちらともなく抱き着くので、学内では有名惚気カップルとして知られていた。
順調だったと思う。付き合いたてなせいもあったが、不満はなかったし、学と過ごすのが楽しかった。
学もそう、言ってくれていた。
付き合って2年が経った冬。
偶然というべきか日頃の行いというべきか、2人とも早めに就職先が決まり、と言っても中小企業ではあったがお互いの一人暮らしの家を行き来したり、結構仲良くやっていたつもりだった。
土曜日が記念日で、だけどどうしても断れない飲み会が入ったから日曜日の夕方からデートしよう、と言われて待ち合わせ場所に来ていた。
「ごめん、遅れそうだから先に予約した店入ってて」
焦りの絵文字と共にラインが送られてきたので、学が予約してくれたお店のマップを検索して、歩いた。
1人は寒かった。いつも2人で歩く時は2人で手を繋いで学のポケットに手を突っ込んでいた。
手袋、持ってくれば良かったな……
そう思いながらも歩いていると、意外とすぐにお店に到着した。
高そうな、見たところイタリアンのお店だった。
予約した苗字を告げると、スムーズに席に案内される。
椅子まで豪華だ……
「お飲み物だけ、何か先にお持ちしますか?」
「いえ、すぐ来ると思うので待ちます」
店員さんのご厚意を断り、待つこと10分。
ブーっとバイブ音が鳴り、ラインが来たのだと分かった。スマホを覗く。
「ごめん、俺二日酔いで動けないから誰か呼んだり出来る? ごめんなー」
「え……?」
思わず小さな声が出てしまった。
ラインを返す手が震える。
「待って、今日2年目の記念日だよ? 他の誰かと食事したって意味ないよ。それなら帰るよ……」
私は気付かない振りを、していたのだろうか。最近、稀にあった。
ドタキャンや2時間ほどの遅刻。
喧嘩になりそうになっても、学がいつも笑って次はちゃんとするよーなんて流して、出会った時とは打って変わったようにいい加減になった。
へらへらするようになったというか、いつもお酒を飲んでいるせいか口が回っていないような気もした。
溜息をついても、イライラしても、自分の心が醜くなっていく気がして、考えるのをやめた。
とにかくお店を出なくては。
店員さんを呼んで、事情を話すと、
「お料理の準備が出来ておりますので、キャンセル料がかかりますが……」
と気の毒そうに言われたので、すみません、と頭を下げて料金を払い、何も食べずに店を出た。
外は雪が降っていた。
大丈夫、マフラーを深く深く巻いて、道路を見て歩けば、涙は雪と共に溶ける。
学は悪くない、そうだ、昨日がとても、楽しかったんだよね。だから、飲みすぎちゃったんだよね。
今日来れなかったのは、私がどうでもよくなった訳じゃないよね。
電車に乗る時、聞き覚えのある声がした。
はっと顔を上げると、そこにいたのは楽しそうに腕を組んで歩いているカップル……
学だった。私に気づかず、すれ違う。
涙はいつの間にか止まっていた。
私は相手が悪いことをした時にきちんと話し合ったり、怒ったりすることが出来ない人間になっていた。
もしそれが悪いことだったら、神様からの天罰が下るから。それはとてもとても、怖いことだから。
その日からだった。
学からの連絡が徐々に途絶えたのは。
それから1か月後のことだ。
警察から電話が来たのだ。
捕まったのだが、ずっと寝ることもせず、私の名前を叫んでいると。
身に覚えがなかった。
「誰がですか……?」
最初に私の名前を確認され、誰が捕まったのかを聞いた気がしたが、空耳かと思わず口から出ていた。
「大谷学さんです。混乱してらっしゃいますよね? ご存知なかったのですか? まともに喋れる状態でもないですが……ご家族以外の面会は普段は出来ないのですが、あまりにも叫んでいらっしゃるので上から特別に面会をとのことですが、どうされますか?」
淡々と警察から語られる、私の知らない学の真実。薬をやっているなんて微塵にも思っていなかった。だってそんなの、未知の世界で……
漫画の中だけの話だと思っていた。
「学が、薬……? 結構前から連絡が取れなかったので……!がっ……学校にも、来てなく……て……っ!」
震えた手でどうにか受話器を持ったま ま、頭を抱えた。
何で? どうして? 薬? いつから?
無言になった私に、婦警さんが言った。
「面会、どうされますか?」
ただ淡々と。慣れているかのように。
「……い……行きますっ……!」
私は声を振り絞った。
そして事務的に日にちを明日に決め、電話は切れた。
会って何を話す?
まともに喋られない状態?
そもそも話せるのか?
そんな不安を抱えて、寝れずに朝が来た。
大学どころではなかった。
何か月ぶりかに会った学は、もう私の知っている彼ではなかった。
面会のガラス越しに、涎をだらだらと垂らした”彼だったもの“がひたすら私を呼んでいる。
体はもう、骨と皮しかないのではないかと思うほど人間味がない。
あの時の、幸せだった時の瞳の煌めきもどこにもない。
私は視点も合わない“それ”のために、顔を覆って涙を流すことしか出来なかった。
知らなければ、よかった。
見なければ、よかった。
一週間は家から出れずに過ごした。
あの骸骨のような彼の体が頭から離れなくて、自分もああなってしまわないよう、食事は取った。
あとは、ただ布団の中に潜っていた。
「お母さん、あの人は悪い人だったよ……でも、幸せだったの……」
布団の中で呟いて、静かに泣いた。
そう、私に悪いことをした人には、神様が怒るの。
浮気をして、誘惑にのって薬にハマって、私の知らない人になっていた。
憎いという感情は私自身を醜くしてしまうから、思い出にもしたくない。
悍ましい。だから、忘れてしまおう。
彼の存在ごと。
私は眠りにつきながら、だがしっかりと唱えるように呟いた。
「愛してる、愛してる……愛して……た……」
ずっとずっと、私はそれを信じていた。
小学生の頃だが実際に、ある女の子が私のあることないこと好き勝手悪口を言っているのが聞こえ、母の口癖通りにこにこして交わしていたのを覚えている。
そしてその子はその後すぐ事故に合って足が不自由になった。
天罰が下る、というのはこういうことなのだろうか。
目の前で車に轢かれたのはきっと神様がほらね、って言ってくれたのだろう。
車でその子を轢いてしまった人も、誰かに何か悪いことをしていたのかもしれない。
そんな風に子ども心にも、色々と考えを巡らせていた。
口に出してはいけない気がして、自分の中だけで留めておいたのだが。
正直、少しぞっとしたのだ。
母の口癖が本当になったことではない。
自分が少しでも悪いことをしたらどうなるかを考えて。
それからの私は成長しても誰の悪口も言わなかったし、誰かが悪口を言っているのにも加わらなかった。
神様が、母が見てる。
いつもにこにこして、だけど内心は冷静で、相手がどうしたら楽しくなるか、落ち込んでいたらどう励ましてほしいのか、必死に考えた。
そして大学に入った頃、自然と彼氏が出来た。
「一目惚れだったんだよ。
美琴が窓から空を見てた時綺麗だなって思って目が離せなかった。そしたら振り向いて目が合ってやべっ、って思ったら笑顔で返してくれてさ。それから喋るようになって、可愛くて、清楚で、それも俺の好みだったから……」
何で私に告白したのかを聞いたら、照れながらそう、答えてくれた。
最後はごにょごにょと濁していたけど。
愛おしいと心から思った。
私もこの人の、学の屈託のない笑顔、いつも人の先頭に立って歩く姿、何よりも心が綺麗だと思った。
瞳が澄んでいて、迷いがない。
皆と本音で接して、悩みを打ち明けられたら全力で考えて……。
学も幼い頃に母親を亡くしていて、同じような境遇でもあった。
就職して落ち着いたら結婚しよう、なんて話までしていて、私達ならどんな苦しいことでも耐えていけるって思ったんだ。
初めて2人が1つになった夜、
「愛してるよ美琴。いつまでも」
「ふふ、あたしも愛してるよ学」
そうして、抱き合って眠った。
人のぬくもりを感じながら眠る夜は幸せだった。
キスをする前に見つめ合えば、そこには澄んだ瞳。私よりも華奢なのではないかと思うくらい細い腕に、何度支えられたことか。
大学では取っている授業が違ったりするけれど、会ったら必ずどちらともなく抱き着くので、学内では有名惚気カップルとして知られていた。
順調だったと思う。付き合いたてなせいもあったが、不満はなかったし、学と過ごすのが楽しかった。
学もそう、言ってくれていた。
付き合って2年が経った冬。
偶然というべきか日頃の行いというべきか、2人とも早めに就職先が決まり、と言っても中小企業ではあったがお互いの一人暮らしの家を行き来したり、結構仲良くやっていたつもりだった。
土曜日が記念日で、だけどどうしても断れない飲み会が入ったから日曜日の夕方からデートしよう、と言われて待ち合わせ場所に来ていた。
「ごめん、遅れそうだから先に予約した店入ってて」
焦りの絵文字と共にラインが送られてきたので、学が予約してくれたお店のマップを検索して、歩いた。
1人は寒かった。いつも2人で歩く時は2人で手を繋いで学のポケットに手を突っ込んでいた。
手袋、持ってくれば良かったな……
そう思いながらも歩いていると、意外とすぐにお店に到着した。
高そうな、見たところイタリアンのお店だった。
予約した苗字を告げると、スムーズに席に案内される。
椅子まで豪華だ……
「お飲み物だけ、何か先にお持ちしますか?」
「いえ、すぐ来ると思うので待ちます」
店員さんのご厚意を断り、待つこと10分。
ブーっとバイブ音が鳴り、ラインが来たのだと分かった。スマホを覗く。
「ごめん、俺二日酔いで動けないから誰か呼んだり出来る? ごめんなー」
「え……?」
思わず小さな声が出てしまった。
ラインを返す手が震える。
「待って、今日2年目の記念日だよ? 他の誰かと食事したって意味ないよ。それなら帰るよ……」
私は気付かない振りを、していたのだろうか。最近、稀にあった。
ドタキャンや2時間ほどの遅刻。
喧嘩になりそうになっても、学がいつも笑って次はちゃんとするよーなんて流して、出会った時とは打って変わったようにいい加減になった。
へらへらするようになったというか、いつもお酒を飲んでいるせいか口が回っていないような気もした。
溜息をついても、イライラしても、自分の心が醜くなっていく気がして、考えるのをやめた。
とにかくお店を出なくては。
店員さんを呼んで、事情を話すと、
「お料理の準備が出来ておりますので、キャンセル料がかかりますが……」
と気の毒そうに言われたので、すみません、と頭を下げて料金を払い、何も食べずに店を出た。
外は雪が降っていた。
大丈夫、マフラーを深く深く巻いて、道路を見て歩けば、涙は雪と共に溶ける。
学は悪くない、そうだ、昨日がとても、楽しかったんだよね。だから、飲みすぎちゃったんだよね。
今日来れなかったのは、私がどうでもよくなった訳じゃないよね。
電車に乗る時、聞き覚えのある声がした。
はっと顔を上げると、そこにいたのは楽しそうに腕を組んで歩いているカップル……
学だった。私に気づかず、すれ違う。
涙はいつの間にか止まっていた。
私は相手が悪いことをした時にきちんと話し合ったり、怒ったりすることが出来ない人間になっていた。
もしそれが悪いことだったら、神様からの天罰が下るから。それはとてもとても、怖いことだから。
その日からだった。
学からの連絡が徐々に途絶えたのは。
それから1か月後のことだ。
警察から電話が来たのだ。
捕まったのだが、ずっと寝ることもせず、私の名前を叫んでいると。
身に覚えがなかった。
「誰がですか……?」
最初に私の名前を確認され、誰が捕まったのかを聞いた気がしたが、空耳かと思わず口から出ていた。
「大谷学さんです。混乱してらっしゃいますよね? ご存知なかったのですか? まともに喋れる状態でもないですが……ご家族以外の面会は普段は出来ないのですが、あまりにも叫んでいらっしゃるので上から特別に面会をとのことですが、どうされますか?」
淡々と警察から語られる、私の知らない学の真実。薬をやっているなんて微塵にも思っていなかった。だってそんなの、未知の世界で……
漫画の中だけの話だと思っていた。
「学が、薬……? 結構前から連絡が取れなかったので……!がっ……学校にも、来てなく……て……っ!」
震えた手でどうにか受話器を持ったま ま、頭を抱えた。
何で? どうして? 薬? いつから?
無言になった私に、婦警さんが言った。
「面会、どうされますか?」
ただ淡々と。慣れているかのように。
「……い……行きますっ……!」
私は声を振り絞った。
そして事務的に日にちを明日に決め、電話は切れた。
会って何を話す?
まともに喋られない状態?
そもそも話せるのか?
そんな不安を抱えて、寝れずに朝が来た。
大学どころではなかった。
何か月ぶりかに会った学は、もう私の知っている彼ではなかった。
面会のガラス越しに、涎をだらだらと垂らした”彼だったもの“がひたすら私を呼んでいる。
体はもう、骨と皮しかないのではないかと思うほど人間味がない。
あの時の、幸せだった時の瞳の煌めきもどこにもない。
私は視点も合わない“それ”のために、顔を覆って涙を流すことしか出来なかった。
知らなければ、よかった。
見なければ、よかった。
一週間は家から出れずに過ごした。
あの骸骨のような彼の体が頭から離れなくて、自分もああなってしまわないよう、食事は取った。
あとは、ただ布団の中に潜っていた。
「お母さん、あの人は悪い人だったよ……でも、幸せだったの……」
布団の中で呟いて、静かに泣いた。
そう、私に悪いことをした人には、神様が怒るの。
浮気をして、誘惑にのって薬にハマって、私の知らない人になっていた。
憎いという感情は私自身を醜くしてしまうから、思い出にもしたくない。
悍ましい。だから、忘れてしまおう。
彼の存在ごと。
私は眠りにつきながら、だがしっかりと唱えるように呟いた。
「愛してる、愛してる……愛して……た……」
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