お神酒入りまーす!~酔っ払い霊媒師!? キャバ嬢カウンセラー~

神楽 萌愛-かぐら もあ-

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13話 さよなら~勇者の仲間たち~

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 結局2階は本当に広くなくて、すぐに周ることが出来た。
 絡んでくる霊もおらず、順調に終わる。
「さあて、あたしは帰ってとりあえず寝るとしますかねえ」
 いくら明るく振舞っても、さやかと王子とのお別れは近づいていた。最初は鬱陶しいと思っていた幽霊と離れるのが寂しい、なんて……
「アンタとももうお別れなのね……」
 さやかが呟く。彼女からも寂しさのようなものが伝わる。
「俺様は……明菜と離れたくないぞ!」
 がしり、と私の足に抱きついてきて肩を震わせている王子を無言で抱き上げる。
「さやかも、王子も、生まれ変わらなきゃいけないんだよ。次はきっといい人生が待ってるよ」 王子は珍しく子供っぽく私に引っ付いたまま首をぶんぶん振る。
 そして、震える声で玄関のドア開けないぞ、と言い放った。
 いや、閉めたのお前かい、と心の中でツッコむ。出られるみたいだし、言葉には出さなかった。
「玄関まで送るわ」
「我も行くか……」
 さやかと竜介が口々に言って、王子を抱いたまま重い足取りでゆっくりと玄関に向かうことにした。
 私は王子を抱きながら器用にスマホの時計を見る。波乱万丈だった今”日”はもう夕方になっていた。
 2階の階段を必要以上に時間をかけて降りていく。
 だめだ、私が尾を引くようじゃ、さやかと王子は成仏できない。
 私のことが心残りになってしまう。
 階段の途中で私は止まった。先に下っていた竜介とさやかは振り返る。
 私は王子の顔を見つめ、次にさやかを見つめた。
「生まれ変わって、あたしに会いに来てくれる?」
 笑顔で問いかけた。
「当たり前だ! 俺様は明菜に真っ先に会いに行くぞ!! お嫁にしてやってもよい!!」
 王子は瞳を輝かせて私に言った。もう泣いてはいなかった。
「あんたみたいなお人好し、他にいないもの。すぐに見つけられるわ」
 今度はさやかが言う。皆、笑った。帰り道で初めて、笑った。
「我も会いに行ってやろう」
「いや、あんたはいいわ」
 竜介が言って私が即答すると爆笑が起こる。いつもの感じだ、と思うけど、皆出会ったのは今日数時間前。不思議な感覚。本当にRPGのゲームだったらこのままどこか旅をするのだろうな……
 ついに玄関に着く。この名残惜しさは何だろう。
「ねえ、明菜、きっとアンタのおばあちゃん、まだアンタのこと必要としてるわよ」
「え……?」
「家族でしょ。きっとアンタが霊媒師になんかならなくても会いたがってるに決まってるわ」
「……」
 さやかが突然言い出して私の頭を撫でた。
 王子はとっくに私の抱っこから降りている。
 家族……そりゃあ、少しはホームシックになることもある。無理やり引き戻されないのが寂しいという矛盾もあるのが事実。
「そう、だね。たまには帰ってみるかあ!」
「それを聞いて安心したわ。成仏出来そうっていうのもなんだけど、心残りはもうないわ」
 私は伸びをして言った。本心だった。
「んじゃ、出るか、竜介ー」
 私は元気になって竜介の背中を軽く叩く。
「いや、我もここまでだ。最愛の人がもう目覚める。いかなくてはならない」
 竜介が訳の分からないことを言い出す。
「は? 何言ってんの……?」
 私は目を丸くする。嫌な予感が頭の中を広がっていく。
「あら、あんた気づいてなかったの? 竜介も私達と同じ霊体よ?」
 何それ……と思ってさやかの方から竜介に視線をばっと変えると、彼はいつの間にか青白い光を放っていた。それも、消えかかっている。
「ちょっと……! 好きな人に告白するんでしょ!? どういうことよ!?」
「思い出したんだ。我は最愛の人とドライブをしていて事故にあった……」
 思考が追いつかない。人間だと思っていた竜介も死んでいるの……?
「さあ、時間がないぞ明菜! 早く玄関を出るんだ!」
 王子が言う。
 ぐらん、と視界が揺らめいた。思わずふらつく。屋敷が歪んできている。
「なっ……何これ!?」
「どうやら消えるみたいよ、この屋敷。さあ明菜早く行きなさい」
 玄関の扉がばん、と開く。
「「また生まれ変わったら会おう」」
 そんな声が聞こえたのと同時に3人の手が私を思いっきり玄関の扉の外へと押し出した。
「なっ……」
 よろけて数歩玄関から出た私は慌てて振り返ると屋敷の扉は閉まっていて、それは今にも姿を消そうとしている。
 私の脳は思考を停止し、力が抜けて消えていく屋敷を見ながらその場にへたり込んだ。

 どのくらいそうしていたのか。
 数分なのか数時間なのか分からなかった。
 あんなに大きかった屋敷は完全に姿を消している。更地のような場所で、私はいつまでも動けずにいた。
「明菜、上手くいったみたいだね」
 誰かに声をかけられて、はっとして座り込んだまま、後ろを振り返る。
「加納さん……?」
 そこにいたのは、私に屋敷の写真を撮るように話をした加納さんだった。
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