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347.四ヶ国剣術武者修行(剣術・癒しの魔法・魔法・鍛冶と色々上達中)✔
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邪神を倒すためには勇者しか扱う事のできない聖剣エクスカリバーを探し出し、自分の手足のように扱えるよう、なまってしまった剣術も鍛え直す必要がある。
このひと月の間、聖剣エクスカリバーを捜すのと合わせて、剣術の練習相手を求めて武者修行のようなことをしていたんだ。
メダリオン城に行き、第一騎士団の騎士たちをはじめ、第一騎士団長やキャスペル殿下にも定期的に相手をしてもらっている。
魔法大国アスラダにも行ってきたんだけど、フラム・バニングスさんのような魔法騎士は育っていないと言われてしまった。岩風竜との戦いで本当に多くの魔法騎士と魔法師を失ったことがよく分かった。魔法騎士は簡単に育たないそうなので元の強さを取り戻せるのはかなりの年月がかかるんじゃないかな。
見学させてはくれたんだけど、魔法剣の発動はできるもののとても剣術の相手をお願いするレベルには到達していなかったよ。
グラン帝国のボルトマン将軍にもお願いしたんだけど、俺が相手では怪我をさせまいとしているようで、全力で打ち込んではくれないんだ。これでは剣術の訓練相手にはならない。
剣筋も俺とは真逆と言ってもいい、技ではなく筋肉で押し切るタイプのようで身体強化魔法を使って強引に叩き潰すような力業ばかりが目についたんだ。
それなのに俺が相手になると全力を出さないんだから、訓練どころか話にもならないよ。エンゲルベルト皇帝はボルトマン将軍の剣を『バカが付くほどの真直ぐな剣』と言っていたんだけど、あれだけ重量のありそうな大剣で上段から切りつけられたら、まともに受ければ剣は折れるだろうし、そのまま真っ二つにされちゃいそうだからね。
他の強そうな騎士にも相手してもらったんだけど、グラン帝国の騎士は小技とかは使わないみたいで、重そうな大剣使いが多かったんだよ。
エンゲルベルト皇帝の剣も見せてもらったんだけど、ボルトマン将軍の大剣に勝るとも劣らない大きさだった。剣筋もほぼ一緒で上段から全力で切りつけるんだ。大剣はリーチもあるから、メダリオン王国の騎士では相性は良くないだろうね。
魔法大国アスダラは魔法剣や魔法の杖の装飾にも拘っていたけど、グラン帝国は大きさや重量を競っているかのようだった。頑丈ならそれでいいみたいで、切ると言うよりは叩き潰すと表現するほうが合っている、前世の中世ヨーロッパの騎士に似ているんじゃないかな。
異神国パズズにも行ってみたんだけど、ここも流行り病と爆風竜フラトゥスの被害が大きくて、元の戦力になるまでにはかなり長い年数が必要になりそうだった。
王都の仕事斡旋ギルドのギルド長チャレンジを想い出し、顔を出してみたんだけど、受付のエイミーさんのひと睨みが強敵過ぎて惨敗してしまったよ。
それにギルド長が子供を抱きかかえて仕事している姿を見ると、無理に誘ったりはできなかったんだ。ちなみにギルド長は残念そうな顔をしていたけどね。
結局、訓練の相手をしてくれそうなのはメダリオン王国の第一騎士団くらいしかなかったんだ。
第一騎士団の練習場に木剣のぶつかるカーン、カーンという音と男たちの掛け声が聞こえており、その中には荒々しい怒号も混ざる。俺以外の全員が身体強化魔法を発動させて訓練に臨んでいた。
「お前らの本気はそんなモノか! 私にお前ら第一騎士団の本気を見せて見ろ! 相手はアルフレッドただ一人だぞ!」
第一騎士団長が騎士たちを煽りながら木剣で切りつけてくる。木剣からはビュッと風きり音がしており、まともに当たればただでは済まない威力になっている。
キャスペル殿下も第一騎士団長の後に続くように上段から切りつけてきた。俺は木剣で逸らすように受けることで相手の力を逃がす。
俺の後ろにいる騎士がいつもと違う動きで木剣を突き込むように突進してきた。
横からの木剣を薙ぎ払うために振った木剣に向かってだ。寸止めするように木剣を交えてはいるが、騎士の勢いをどうにかできるはずなどない。上に逸らせば顔に当たり、下に逸らせば大事な場所に当たってしまうだろう。
慌てて身体強化魔法を発動させたが間に合わなかった。聞こえてはいけないフルプレートの凹むガシャッ!という鈍い音がする。騎士自ら剣にぶつかりに行く自損事故のようなものだ。
「うっ!」と、呻き声と共に騎士がその場に倒れ込む。
「ストップ! ストップ!」
練習場に声が響き渡り、倒れ込んだ騎士の顔からは冷や汗が流れている。
「ごめんなさい! また、やっちゃった! これ、肋骨が折れているかもしれません、直ぐに癒しの魔法を行使するのでプレートアーマーを脱がせてください!」
倒れた騎士の装着しているプレートアーマーは、横腹の辺りが見事にべコリと陥没しており、衝撃の強さを物語っていた。キャスペル殿下はプレートアーマーの凹みを指でなぞりながら言う。
「私たちではアルの練習相手にはならない! 他をあたった方がいいのではないか?」
プレートアーマーを脱がせる手伝いをしていた騎士たちも小さく頷いている。
「アルフレッドが癒しの魔法を使えるからいいが、十人がかりでこれでは流石にもう無理だろう!」
第一騎士団長が真剣な表情で言った。
「今日まで訓練に付き合ってもらいありがとうございました。これ以上はお願いしませんから! 」
倒れている騎士の赤黒く腫れている横腹に、癒しの魔法の温かな光が吸い込まれていく。すると腫れが段々と治まり、顔の冷や汗も嘘のように消えていく。
騎士団に今まで付き合ってもらったお礼を言いい、お礼としてお金を渡しておこう。
「今までありがとうございました、これで皆さんで飲んでください!」
金貨一枚百万クロンを渡そうとしたら遠慮しているようでなかなか受け取ろうとしてくれない、「明日も練習に来ようかな」と言ったらすぐに受け取ってくれたよ。そんなに嫌だったなんてなんか悪いことしたな。
今まで本当によく付き合ってくれたな、感謝しかない。怪我もさせたので癒しの魔法の訓練もできて一石二鳥でおいしかったんだけど。酷い話だよね。怪我させてまた癒しの魔法で治して、また訓練に突き合わせてエンドレスでお願いしていたんだからね。
この一ヶ月で第一騎士団の剣術レベルはかなり底上げできたんじゃないかな。キャスペル殿下の剣の腕もかなり上達したんだよ。
俺の剣術の相手をできる人間は四ヶ国の中にはいなくなってしまった。どんどん人間から離れていっている気がしてならないんだ。少しずつではあるけど確実に勇者の力と古武術が使えるよう実感できているからね。
未だに聖剣エクスカリバーも爆風竜フラトゥスの消息も掴めていないままなんだ。どこに隠れているんだろうか?
凹んだフルプレートアーマーは魔法で元通りに修復したんだけど、何度も修理していたからか誰も驚かなくなってしまったよ。お陰で鍛冶師の腕もかなり上達したんじゃないかな。
このひと月の間、聖剣エクスカリバーを捜すのと合わせて、剣術の練習相手を求めて武者修行のようなことをしていたんだ。
メダリオン城に行き、第一騎士団の騎士たちをはじめ、第一騎士団長やキャスペル殿下にも定期的に相手をしてもらっている。
魔法大国アスラダにも行ってきたんだけど、フラム・バニングスさんのような魔法騎士は育っていないと言われてしまった。岩風竜との戦いで本当に多くの魔法騎士と魔法師を失ったことがよく分かった。魔法騎士は簡単に育たないそうなので元の強さを取り戻せるのはかなりの年月がかかるんじゃないかな。
見学させてはくれたんだけど、魔法剣の発動はできるもののとても剣術の相手をお願いするレベルには到達していなかったよ。
グラン帝国のボルトマン将軍にもお願いしたんだけど、俺が相手では怪我をさせまいとしているようで、全力で打ち込んではくれないんだ。これでは剣術の訓練相手にはならない。
剣筋も俺とは真逆と言ってもいい、技ではなく筋肉で押し切るタイプのようで身体強化魔法を使って強引に叩き潰すような力業ばかりが目についたんだ。
それなのに俺が相手になると全力を出さないんだから、訓練どころか話にもならないよ。エンゲルベルト皇帝はボルトマン将軍の剣を『バカが付くほどの真直ぐな剣』と言っていたんだけど、あれだけ重量のありそうな大剣で上段から切りつけられたら、まともに受ければ剣は折れるだろうし、そのまま真っ二つにされちゃいそうだからね。
他の強そうな騎士にも相手してもらったんだけど、グラン帝国の騎士は小技とかは使わないみたいで、重そうな大剣使いが多かったんだよ。
エンゲルベルト皇帝の剣も見せてもらったんだけど、ボルトマン将軍の大剣に勝るとも劣らない大きさだった。剣筋もほぼ一緒で上段から全力で切りつけるんだ。大剣はリーチもあるから、メダリオン王国の騎士では相性は良くないだろうね。
魔法大国アスダラは魔法剣や魔法の杖の装飾にも拘っていたけど、グラン帝国は大きさや重量を競っているかのようだった。頑丈ならそれでいいみたいで、切ると言うよりは叩き潰すと表現するほうが合っている、前世の中世ヨーロッパの騎士に似ているんじゃないかな。
異神国パズズにも行ってみたんだけど、ここも流行り病と爆風竜フラトゥスの被害が大きくて、元の戦力になるまでにはかなり長い年数が必要になりそうだった。
王都の仕事斡旋ギルドのギルド長チャレンジを想い出し、顔を出してみたんだけど、受付のエイミーさんのひと睨みが強敵過ぎて惨敗してしまったよ。
それにギルド長が子供を抱きかかえて仕事している姿を見ると、無理に誘ったりはできなかったんだ。ちなみにギルド長は残念そうな顔をしていたけどね。
結局、訓練の相手をしてくれそうなのはメダリオン王国の第一騎士団くらいしかなかったんだ。
第一騎士団の練習場に木剣のぶつかるカーン、カーンという音と男たちの掛け声が聞こえており、その中には荒々しい怒号も混ざる。俺以外の全員が身体強化魔法を発動させて訓練に臨んでいた。
「お前らの本気はそんなモノか! 私にお前ら第一騎士団の本気を見せて見ろ! 相手はアルフレッドただ一人だぞ!」
第一騎士団長が騎士たちを煽りながら木剣で切りつけてくる。木剣からはビュッと風きり音がしており、まともに当たればただでは済まない威力になっている。
キャスペル殿下も第一騎士団長の後に続くように上段から切りつけてきた。俺は木剣で逸らすように受けることで相手の力を逃がす。
俺の後ろにいる騎士がいつもと違う動きで木剣を突き込むように突進してきた。
横からの木剣を薙ぎ払うために振った木剣に向かってだ。寸止めするように木剣を交えてはいるが、騎士の勢いをどうにかできるはずなどない。上に逸らせば顔に当たり、下に逸らせば大事な場所に当たってしまうだろう。
慌てて身体強化魔法を発動させたが間に合わなかった。聞こえてはいけないフルプレートの凹むガシャッ!という鈍い音がする。騎士自ら剣にぶつかりに行く自損事故のようなものだ。
「うっ!」と、呻き声と共に騎士がその場に倒れ込む。
「ストップ! ストップ!」
練習場に声が響き渡り、倒れ込んだ騎士の顔からは冷や汗が流れている。
「ごめんなさい! また、やっちゃった! これ、肋骨が折れているかもしれません、直ぐに癒しの魔法を行使するのでプレートアーマーを脱がせてください!」
倒れた騎士の装着しているプレートアーマーは、横腹の辺りが見事にべコリと陥没しており、衝撃の強さを物語っていた。キャスペル殿下はプレートアーマーの凹みを指でなぞりながら言う。
「私たちではアルの練習相手にはならない! 他をあたった方がいいのではないか?」
プレートアーマーを脱がせる手伝いをしていた騎士たちも小さく頷いている。
「アルフレッドが癒しの魔法を使えるからいいが、十人がかりでこれでは流石にもう無理だろう!」
第一騎士団長が真剣な表情で言った。
「今日まで訓練に付き合ってもらいありがとうございました。これ以上はお願いしませんから! 」
倒れている騎士の赤黒く腫れている横腹に、癒しの魔法の温かな光が吸い込まれていく。すると腫れが段々と治まり、顔の冷や汗も嘘のように消えていく。
騎士団に今まで付き合ってもらったお礼を言いい、お礼としてお金を渡しておこう。
「今までありがとうございました、これで皆さんで飲んでください!」
金貨一枚百万クロンを渡そうとしたら遠慮しているようでなかなか受け取ろうとしてくれない、「明日も練習に来ようかな」と言ったらすぐに受け取ってくれたよ。そんなに嫌だったなんてなんか悪いことしたな。
今まで本当によく付き合ってくれたな、感謝しかない。怪我もさせたので癒しの魔法の訓練もできて一石二鳥でおいしかったんだけど。酷い話だよね。怪我させてまた癒しの魔法で治して、また訓練に突き合わせてエンドレスでお願いしていたんだからね。
この一ヶ月で第一騎士団の剣術レベルはかなり底上げできたんじゃないかな。キャスペル殿下の剣の腕もかなり上達したんだよ。
俺の剣術の相手をできる人間は四ヶ国の中にはいなくなってしまった。どんどん人間から離れていっている気がしてならないんだ。少しずつではあるけど確実に勇者の力と古武術が使えるよう実感できているからね。
未だに聖剣エクスカリバーも爆風竜フラトゥスの消息も掴めていないままなんだ。どこに隠れているんだろうか?
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