異世界に転生したけどトラブル体質なので心配です

小鳥遊 ソラ(著者名:小鳥遊渉)

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351. 爆風竜フラトゥスと帰宅(レックスがやらかしていました)✔

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 爆風竜フラトゥスが一緒にいるため仕事斡旋ギルドに寄ることはできない。キャサリン嬢が行方不明だと騒ぎになると思いはしたが、状況を説明するのはさけたかったんだ。ギルド長が邪神教側の可能性もあるからね。

 仕事斡旋所の上級官庁は王城になる、報告は王城にするつもりでいるんだ。メロンでの出来事をそのまま報告するから、扱いをどうするかは任せればいいだろう。まず初めに変身の魔道具や隷属の魔道具が使用されていないか確認するべきだよね。

 次に邪神教の人間が入り込んでいないか確認した方がいいな。どうやって調べるか課題はあるが早期に実施するべきだ。多くの人命に関係してくるからね。

 サーシャとアルテミシア様が帰って来る前に帰宅したかったんだけど、予定が狂い時間がかかり過ぎてしまったからな。先に帰っているだろうな……爆風竜フラトゥスが一緒にいる時点でいい言い訳が思いつかないんだよね。

 辺りが暗くなっていたお陰でフラトゥスと目立たずに練習場に着陸することができた。

 フラトゥスもチビとベビのように人化できれば邪神教から隠せるんだけどな。大きさを変えられないなら龍にでもなってもらおうかな。

 変身できる魔道具はこれ以外にも、エグザイルエルフの偽りの姿の魔道具など、何種類もあるから性能の違いを実験してみよう。

 フラトゥスとは念話ができないので、意思の疎通を図ろうとすると人化するのが一番いい。問題は大きさと完璧な変身ができないことだが、練習すれば上達するのだろうか?

チビとベビが屋敷の方からものすごいスピードで飛んで来た。

〈魔物が襲って来たのかと思ったダォ!〉〈ママが一緒にいるって分かったから攻撃はしなかったノ!〉

〈ごめんよ、やっぱり先に帰っていたね! 色々あって遅くなっちゃったんだ!〉

 チビとベビがジロジロとフラトゥスを値踏みするように見つめる。フラトゥスもチビとベビを見ているが少し怯えているようだ。

「こっちがチビでこっちがベビ、仲良くしてね」

 フラトゥスは俺の言葉が分かるようでグルグルと喉を鳴らして応えた。チビとベビに人化するようにお願いすると、二人は男の子と女の子の姿になり服を着た。

 フラトゥスも真似るように人化を始めたがやはり小さくはなれないようで、どことなく人化したベビに似た姿に変わった。再現度が低くベビとチビが嫌そうな顔をしている。

「爆風竜フラトゥスは邪神教に捕まって隷属の魔道具で操られていたんだよ。たまたま見つけたから助け出したんだ。仲良くしてやってね」

「チビダォ、仲良くするダォ!」「ベビなノ! アルママに助けられてよかったなノ! 仲良くしてなノ」

「仲良くしてなノ?」

 フラトゥスはベビを真似しているようだ。

「フラトゥス、悪いんだけどその姿は目立つから龍になれないかな?」

 フラトゥスはキョトンとしている。

「ベビごめん、もう一度龍に戻ってくれる」

 ベビが服を脱ぎすぐに龍の姿に戻った。この姿になってくれるように説明すると、フラトゥスは頷くと姿が変わっていく。微妙にデフォルメされているが迷宮で変身した時よりも龍に近い。

 チビとベビに今日起きたことを話して聞かせた。そこにサーシャとアルテミシア様が息を切らせながら走って来た。

「アルお兄ちゃん、嘘ついたらダメなノ!」「そうです、帰ったらいないしこんなに遅くまで……」

 サーシャとアルテミシア様が、ベビとその横にいる微妙にデフォルメされたベビを見て目をパチクリさせている。近くに立っている人化したチビにも気が付いたみたいだ。

「ベビの姉妹が来たの?」

 三匹目の龍の登場に、アルテミシア様が驚いた表情をしている。いや、どこか姿がおかしいと感じているのかもしれない。サーシャとアルテミシア様にも今日の出来事を説明すると目を丸くしていた。さっきまで怒っていたが収まったみたいだ。

 龍になったり人化したりと色々な人化の魔道具で実験してみたが、フラトゥスに疲れが出たので止めることにした。ここでは目立つため別荘に連れて行く。

 レックス家族にも紹介したがまた魔狼の数が増えているようだ。生まれたようには見えないので魔狼迷宮から連れて来たんだろうな。フラトゥスが大勢の魔狼に囲まれ匂いをクンクンと嗅がれており怯えているように見える。これだけの数の魔狼なんて見たことないんだろうな。もう完全に大きな群れと言ってもいい。

〈ねえレックス、また増えた?〉

〈見ての通り増えたぞ! それがだな、新しくできたオーク迷宮の中に魔狼迷宮の宝玉を移したら新たな迷宮ができてな!〉

〈えっ! そんなことができるの!〉

〈行ったり来たりが面倒になってな、やってみたらできたぞ!〉

 レックスはどうやったか説明してくれた。魔狼迷宮にいた魔狼はついて来たそうだ。王様辞めたんじゃないのかよ。

 ハイルーン領の中に三つ目の迷宮ができていた。前の迷宮はどうなるのか聞いてみたが、どうなるかは知らないそうだ。 

 俺がいない間にレックスはやらかしていた。さっきまで臭いを嗅がれていたフラトゥスは仲間に受け入れられたようだ、この様子ならここで暮らしていけるんじゃないかな。

 レックス家族というか、もう大きな群れだな。もう、うちの家族以外は気軽に温泉に入りには来れないかもしれない。一般人なら気絶する戦力になっているんだけど。

 狩ったオークで歓迎会を開くというのでチビとベビも人化してせっせとハンバーグを作っているが、数が多過ぎて大変だ。レックスとチビとベビにプリンを求められたが、作る時間がないことを伝えて今度にさせてもらった。

 歓迎会と言いながら、レックスが食べたかっただけなんじゃないだろうか。お世話になっているからいいんだけど、チビとベビに料理ハンバーグを作らせないともうこの量は無理だぞ。

 結局、別荘に一泊することになってしまった。サーシャとアルテミシア様を置いて来たから怒っているだろうな。まさかこんなに魔狼が増えているなんて思いもしないから、ハンバーグを造るだけでかなり時間を取られてしまった。

 忘れるところだった、フラトゥスがパズズ城を襲った時の記憶とかはあるのだろうか? 棺の行き先が気になるんだよね。思わぬところから情報を得ることができた。運んだ場所は覚えているので案内してくれると言ってくれた。一度偵察に行って計画を立てよう。その前に王城にメロンの町の出来事を報告に行かないといけないな。

 他の国と連携を取るべきか情報が漏れる可能性もあるから悩みどころなんだよ、連絡するにしても手紙は止めた方がいいよね。グラン帝国の皇帝には口頭で説明しておこうかな。パズズは伝えない方がいいだろう、あそこはきっと邪神教の関係者が入り込んでいる。アスダラもそこまで親しいわけではないから止めておこうかな。
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