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187.2海賊行為遭遇2(翻訳先生は素晴らしい)✔ 2024.1.28修正 文字数 前2,965後2,136減829
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白い帆船に降りると、刺さっていた矢を取り除いた。短くなった矢にベビが噛みついて抜いてくれたんだけど、変な力が加わったのだろうメチャクチャ痛かったよ。
《ベビありがとう》
《ママ、大丈夫? 血が出ているし顔色よくないノ》
ベビが心配してくれる気持ちが痛いほどわかる。
《大丈夫だよ。もう少しすればよくなるから》
《アルママ、大丈夫ダォ》
チビにも心配かけたな。
《チビもありがとう、助かった》
俺は消毒を済ませると、緊急用ピンクポーションの小瓶を取り出した。背中に手を回してギリギリ届くことを確認すると傷口に塗り込む。癒しの魔法を体の中でグルグルと循環させていく。痺れが軽くなってきたな、猛毒でなくてよかったよ。きっと奴隷か何かにするために痺れ薬が塗られていたんだろうな。
「助けて頂いてありがとうございます」
俺の治療が終わるのを待っていたのだろう、男性が話し掛けてきたが、かなり警戒されているようだ。船乗りらしく肌が焼けてはいるが、マイバイブルで見たエルフそのものだ。帆船の帆と同じような生地の服を着ており、シルクのような光沢がある。
耳から入ってくる言葉はメダリオン王国でもグラン帝国の言葉でもない。翻訳先生がいい仕事をして自動翻訳してくれている。
「災難でしたね。助けられてよかった。どこに向かうところだったんですか?」
「アスラダ国に向かうところですが、この後、メダリオン王国のポートに寄港するつもりです」
翻訳先生は素晴らしいな、なんの問題もなく会話できる。これならどこに行っても言葉には困らないぞ。
「ちょうどいい、あの海賊船を曳航してもらえないですか?」
「申し訳ありません。仲間が死亡したり怪我をしており、それは難しそうです。燃え上がった帆船をどうしたものかと思案しておりまして……」
確かに言われる通りだな、配慮が足りなかったな、安易に頼み過ぎた。
「無理を言いました。僕はこれで失礼しますね」
「お名前をお聞かせいただけませんか? このお礼は改めてさせてもらいます!」
お礼はいらないんだけど、言わないと怪しいか。
「メダリオン王国の伯爵アルフレッド・ハイルーンです」
「なんと伯爵様でしたか! 大変失礼しました。お若いようですが何歳になられるのですか?」
かなり驚いているな。チラチラと俺の容姿を確認しているんだよね。俺の耳は尖ってはいないよ。同じ種族かどうか確認しているのかな?
「歳ですか? 八歳ですね。メダリオン王国の港まで護衛できればいいのですが、僕の帆船がどこかに行くと困るのでこれで失礼しますね」
まだ、何かを言おうとしていたが、帆船を探しに戻ることにした。ウイングスーツがかなりボロボロになってしまったので、ベビの背中に乗せてもらう。乗せてもらうとウイングスーツに小さな傷が増えるんだよな~、大事に使ってきたのに。
ここまで破れると……残っている飛膜で修理できるだろうか? 本当にひどい目に遭ったな、ショックが大き過ぎる。
リザードマンは、この前戦った海賊と明らかに違っていた。力も強かったし、連携も取っていたんだ。一番の違いは弓矢の威力と数だな。いい的になってしまったのが、思い出しただけで腹が立ってきた。
舵を固定したが同じ場所に留まっているだろうか?
おかしいな、この辺りにいるはずなんだけど帆船が見えないぞ。
予想以上に違う場所まで流されていた。見当違いの場所を探したために時間をロスしてしまったな。海賊討伐に時間がかかり過ぎたのがいけなかったんだ。
さあ、次は海賊船の回収に向かおう。
帰って来る前に四隻をロープで繋いでおくべきだったな。バラバラになっているから回収するのにかなり時間を使ってしまった。
燃えたエルフの帆船も無人で漂っていた。放棄したのだろうか? 帆船は安くないんだけど、操船する人数が足りなくなって諦めたのか? でも、それなら曳航すれば……この向かい風では曳航は難しいか、怪我人のいる状態なら、ポート港に早く着いて手当てしたいと考えるのが普通だな。
このまま漂流させれば間違いなく座礁して海の藻屑になってしまう、一緒に曳航しておくか。
チビとベビがいなければ曳航するなんて無理だったよ。なんとか海岸に近い場所まで曳航して、五隻をロープで繋いで錨を下ろしておいた。ポート姉妹にお願いして回収してもらおう。
作業に手間取りグラン帝国側に流されたのが地味に痛かったな、もう一度逆風を進むとなると、気力がなえている今の俺にはキツイな。
あのエルフはどこから来たのかな? 魔法大国アスラダに行くって言っていたから、魔法のスクロールを買いに来たのかな?
メダリオン王国に寄港すると言っていたが、怪我人が出たからなのかそれとも最初から予定していたんだろうか? 水とか食料の補給の可能性もあるな。
疲れているのが自分でもわかる、早く帰って休みたい。それにしても、俺のトラブル体質は、よく働くな、怠けてくれればいいのに。四隻も拿捕出来たからいい仕事したとか褒めてやるべきか。
チビとベビがいてくれて本当に助かったよ感謝しかない。
やっとハイルーン領の船着き場が見えてきた。しかしひどい目に遭った、しばらくは帆船に乗りたいと思わないな。
帰ったら五隻の帆船を回収してもらうように、ポート姉妹に緊急鳩便を出しておかないといけないな。
《ベビありがとう》
《ママ、大丈夫? 血が出ているし顔色よくないノ》
ベビが心配してくれる気持ちが痛いほどわかる。
《大丈夫だよ。もう少しすればよくなるから》
《アルママ、大丈夫ダォ》
チビにも心配かけたな。
《チビもありがとう、助かった》
俺は消毒を済ませると、緊急用ピンクポーションの小瓶を取り出した。背中に手を回してギリギリ届くことを確認すると傷口に塗り込む。癒しの魔法を体の中でグルグルと循環させていく。痺れが軽くなってきたな、猛毒でなくてよかったよ。きっと奴隷か何かにするために痺れ薬が塗られていたんだろうな。
「助けて頂いてありがとうございます」
俺の治療が終わるのを待っていたのだろう、男性が話し掛けてきたが、かなり警戒されているようだ。船乗りらしく肌が焼けてはいるが、マイバイブルで見たエルフそのものだ。帆船の帆と同じような生地の服を着ており、シルクのような光沢がある。
耳から入ってくる言葉はメダリオン王国でもグラン帝国の言葉でもない。翻訳先生がいい仕事をして自動翻訳してくれている。
「災難でしたね。助けられてよかった。どこに向かうところだったんですか?」
「アスラダ国に向かうところですが、この後、メダリオン王国のポートに寄港するつもりです」
翻訳先生は素晴らしいな、なんの問題もなく会話できる。これならどこに行っても言葉には困らないぞ。
「ちょうどいい、あの海賊船を曳航してもらえないですか?」
「申し訳ありません。仲間が死亡したり怪我をしており、それは難しそうです。燃え上がった帆船をどうしたものかと思案しておりまして……」
確かに言われる通りだな、配慮が足りなかったな、安易に頼み過ぎた。
「無理を言いました。僕はこれで失礼しますね」
「お名前をお聞かせいただけませんか? このお礼は改めてさせてもらいます!」
お礼はいらないんだけど、言わないと怪しいか。
「メダリオン王国の伯爵アルフレッド・ハイルーンです」
「なんと伯爵様でしたか! 大変失礼しました。お若いようですが何歳になられるのですか?」
かなり驚いているな。チラチラと俺の容姿を確認しているんだよね。俺の耳は尖ってはいないよ。同じ種族かどうか確認しているのかな?
「歳ですか? 八歳ですね。メダリオン王国の港まで護衛できればいいのですが、僕の帆船がどこかに行くと困るのでこれで失礼しますね」
まだ、何かを言おうとしていたが、帆船を探しに戻ることにした。ウイングスーツがかなりボロボロになってしまったので、ベビの背中に乗せてもらう。乗せてもらうとウイングスーツに小さな傷が増えるんだよな~、大事に使ってきたのに。
ここまで破れると……残っている飛膜で修理できるだろうか? 本当にひどい目に遭ったな、ショックが大き過ぎる。
リザードマンは、この前戦った海賊と明らかに違っていた。力も強かったし、連携も取っていたんだ。一番の違いは弓矢の威力と数だな。いい的になってしまったのが、思い出しただけで腹が立ってきた。
舵を固定したが同じ場所に留まっているだろうか?
おかしいな、この辺りにいるはずなんだけど帆船が見えないぞ。
予想以上に違う場所まで流されていた。見当違いの場所を探したために時間をロスしてしまったな。海賊討伐に時間がかかり過ぎたのがいけなかったんだ。
さあ、次は海賊船の回収に向かおう。
帰って来る前に四隻をロープで繋いでおくべきだったな。バラバラになっているから回収するのにかなり時間を使ってしまった。
燃えたエルフの帆船も無人で漂っていた。放棄したのだろうか? 帆船は安くないんだけど、操船する人数が足りなくなって諦めたのか? でも、それなら曳航すれば……この向かい風では曳航は難しいか、怪我人のいる状態なら、ポート港に早く着いて手当てしたいと考えるのが普通だな。
このまま漂流させれば間違いなく座礁して海の藻屑になってしまう、一緒に曳航しておくか。
チビとベビがいなければ曳航するなんて無理だったよ。なんとか海岸に近い場所まで曳航して、五隻をロープで繋いで錨を下ろしておいた。ポート姉妹にお願いして回収してもらおう。
作業に手間取りグラン帝国側に流されたのが地味に痛かったな、もう一度逆風を進むとなると、気力がなえている今の俺にはキツイな。
あのエルフはどこから来たのかな? 魔法大国アスラダに行くって言っていたから、魔法のスクロールを買いに来たのかな?
メダリオン王国に寄港すると言っていたが、怪我人が出たからなのかそれとも最初から予定していたんだろうか? 水とか食料の補給の可能性もあるな。
疲れているのが自分でもわかる、早く帰って休みたい。それにしても、俺のトラブル体質は、よく働くな、怠けてくれればいいのに。四隻も拿捕出来たからいい仕事したとか褒めてやるべきか。
チビとベビがいてくれて本当に助かったよ感謝しかない。
やっとハイルーン領の船着き場が見えてきた。しかしひどい目に遭った、しばらくは帆船に乗りたいと思わないな。
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