136 / 415
連載
209.悪意のプレゼント(ベスの献身)✔ 2024.2.22修正 文字数 前3,650後4,060増410
しおりを挟む
サーシャとお母様の防具が完成した。色はパープルピンクだ。ピンクスライムポーションを塗るとパープルからパープルピンクに発色するんだ。強度的にも劣化しているようには見えないし、元が魔蟻クイーンだから普通の魔蟻よりも硬くて丈夫だからね。
完全なピンクには出来なかったけど、サーシャもお母様も喜んでくれたよ。サーシャなんて家の中で着るほどのお気に入りだ。我ながらいい仕事をしたよ。
ブルースライムポーションも塗って実験したけど、劣化が激しくて驚いた。同じスライムでもこんなに違いがあるんだな。
サーシャは朝から防具を着けてくれと部屋にやって来た。コスプレ文化はないんだけど、兵士やマシューさんまで防具を着ているから真似をしたいんだろうね。
ズレて落ちないようにしっかりと装着しておいた。ヘルメットまで被っている。邪魔だと思うんだけど、サーシャが気に入っているなら好きにさせよう。そのうち飽きて着なくなるだろうからね。
今日は第一騎士団長に調査の状況を聞きにメダリオン城に行ってくるつもりでいるんだ。 情報漏洩が疑われているから会って話した方がいいからね。暗号を使ってやり取りすることを提案しようと思っているんだ。
第一騎士団の建物に飛んで来たが訓練場の騎士の姿が見えない。普段なら剣の訓練や走り込みの姿が見れるんだけどな。ノンアポで訪問したのがよくなかった。第一騎士団は、騎士団長までも調査に出ているそうで、留守番の騎士が数人いるだけだった。予定通りならすぐには帰って来ないと言われたんだ。
邪神教の拠点らしい場所を見つけ、出入りの者たちの動きを見張っているそうだ。人を代わりながら尾行を行うために騎士団員が出払っていると教えてもらった。
調査の陣中見舞いではないが、オークの味噌汁を大量に作り、応対してくれた団員にみんなで食べてくださいと言っておいた。俺が作った自家製の味噌を使っているから、美味しいと言ってもらう自信があるんだ。残っていた騎士が匂いに待ち切れなくなったのか、早速食べて美味しいと喜んでくれたよ。
ツキがないのだろう、国王陛下も会議中で二時間はかかると言われたんだ。キャスペル殿下は第一騎士団と一緒に調査に出ているし、王妃様とアルテミシア様は王都にある公爵の別邸で開かれるお茶会に出かけているそうだ。ノンアポだとこんなこともあるんだな。
誰にも会わずに帰ることになるなんて流石に思っていなかったよ。そのまま、二階のテラスから飛び立った。
屋敷に帰って二階のテラスに降りると、ウイングスーツから動きやすい服に着替え一階に向かう。
階段を下り始めたところ、サーシャが両手で大事そうに綺麗な箱を持ち玄関から入って来た。まだ、防具を着たままだなんてよほど気に行ったんだな。
「サーシャ、何を持っているんだい?」
「お庭で知らないおじさんから、ママにプレゼントを渡してほしいってもらったの」
「お庭に知らないおじさんだって!? 許可なく入れないでしょ? 怪しいな、その箱を僕に渡して!」
《アルフレッド様! その箱から離れて‼》
サーシャから箱を受け取ろうと手を伸ばしているところに、念話と共にベスがものすごいスピードで箱に体当たりした。
箱はサーシャの手から離れて空中で『ドーン‼』と轟音をあげて爆発した。窓ガラスは割れ辺りには色々な物が舞い散り酷い有様だ。鼓膜がキーーーンと鳴っており軽いめまいもする。
サーシャとベスはどうなった? 埃と煙のせいで姿が確認出来ない。
「サーシャ! ベス!」
《アルフレッド様! サーシャ様ハご無事です!》
窓ハ格子ごと壊れており爆発の凄さを物語っていた。割れた窓から風が入り爆発で舞い上がっていた埃と煙が流され視界がハッキリとしてきた。
ベスの横腹の辺りの白い毛が赤く血に染まっている。ベスはサーシャに被さるようにして爆発から守ってくれていた。直ぐにベスの体に異物が刺さっていないか確認した。いくつか破片を取り除くと癒しの魔法を行使して出血を止めた。流石は神獣だな、爆発の大きさにしては怪我が軽い。応急処置はこれでいい。
サーシャは大丈夫だろうか? ベスが体で護ってくれたおかげで見たところ小さな傷以外には見えない。よく見ると防具に無数の傷がついていた。着ていて本当に助かったよ。もし、防具を着けていなければもっと怪我をしていてもおかしくなかった。ヘルメットのお陰で、頭も耳も守られていたみたいだな。脳震盪を起こしているようで意識がないが、呼吸はしているし、瞼もピクリと動いた。
ベスの身体は毛もあるし神獣だからか丈夫に出来ているようだ。ベスが覆いかぶさってくれたおかげでサーシャに怪我はないようでホッとした。あらん限りの魔力を絞り出すように癒しの魔法を行使し続ける。
「サーシャ大丈夫?」
呼びかけ続けているが反応がない。
「今の轟音はなんだ!」「キャー!」
お父様とお母様が慌てて玄関にやって来た。部屋の惨状を見て悲痛な表情をしている。
お母様が相かなりのショックを受けているようだ。お父様がふらついたお母様を抱き止めた。
「しっかりしろ、癒しの聖女とまで言われたお前がそんなことでどうする。早く、癒しの魔法を掛けてやれ!」
「ごめんなさい。すぐに癒しの魔法を行使します!」
お父様の言葉で我に返られたみたいで、サーシャに癒しの魔法を発動させる。
「サーシャは知らないおじさんに箱を貰ったと言ってました。まだ、そんなに遠くには逃げていないでしょう。直ぐに追いかけてください!」
俺は言いながらベスに癒しの魔法を掛け続ける。
「分かった。直ぐに手分けして追わせる!」
お父様はそう言って慌てて出て行った。
お母様の手から淡い光がサーシャに降り注ぎ、吸収されていく。
「お母様、交代で癒しの魔法をかけましょう。今度は僕がサーシャに癒しの魔法をかけます。お母様はベスに癒しの魔法をお願いします」
お母様がベスに癒しの魔法を発動し、淡い光がベスの体に吸収されている。
サーシャに癒しの魔法を掛け続けていると、サーシャの瞼がピクピクしてから目を開けた。
「ウワーーーン!」
サーシャが泣き出した。どこか痛いかもしれない、爆発にも驚いただろう。
サーシャに癒しの魔法を掛け続けていると、落ち着いたのかサーシャが泣き止んだ。泣きつかれたのかもしれないな。意識が戻ってよかった。
「お母様、サーシャとベスを替わって癒しの魔法をお願いします!」
「分かりました……」
サーシャの意識が戻ってからもお母様の表情は暗いままだ。犯人を見つけ出してサーシャとベスの報仕返しをしてやりたい。
《ベス、どこか痛い?》
ベスの横腹の辺りを触診する。
《アルフレッド様もう少し優しく触って貰えないですか? そこはものすごく痛いです》
骨折か? 内臓をやられていないか心配だ。
《自分で骨が折れているか、内臓がやられたとか分かる? 特に痛いところはないか? 癒しの魔法を重点的にかけてやるぞ!》
《ありがとうございます。あちこち痛いですが私は大丈夫です。それよりも犯人を早く捕まえてください! また同じことをやられると次も守れるか自信がないです》
ベスは辛そうにしながらも、自分より犯人を捕まえることを優先するように言ってきた。
《ベス、ありがとう。お前のおかげでサーシャやお母様が死なずに済んだ!》
ベスは倒れたままで痛そうにしている。頭をやさしく撫でてやると、誇らしげに微笑んだように見えた。
魔力切れになってもいいと思いながら、ありったけの魔力を癒しの魔法に込め、サーシャとベスに行使した。俺の両掌から今まで見たこともないほどの輝くような光が溢れ出すと、サーシャとベスに吸い込まれて行った。
お母様は光を見て驚いていたが、魔力切れを起こしたのか
お母様がその光を見て驚かれるも、俺と同じことを思われたようで癒しの魔法を行使され、そして倒れた。
俺は慌ててお母様を抱き起こすが青白い顔になり調子が悪そうだ。この症状は魔力枯渇だろう。
「お母様、もういいです。お母様が死んでしまったらサーシャが悲しみます」
「そ、そうですね。分かりました」
お母様はそれでも癒しの魔法を行使しようとしていたが、強制的に止めさせた。お母様とサーシャをベッドに寝かせて、世話は侍女にお願いしておいた。
ベスはよろつきながらも自力で、サーシャのベッドの下に移動し、寝転がると目を瞑った。
「少しそのまま動かないでくださいね。魔力ポーションを持ってきます」
「できるだけ早く帰って来て私一人では不安なので」
「任せてください。そんなに時間は取らせません」
現在のお母様の魔力量は非常に危険な状態であると、魔力鑑定眼が教えてくれている。 お母様に魔力ポーションを無理やり飲ませた。魔力欠乏により体の自由が利かなくなっているため、されるがままな状態だ。
だが、ヘロヘロな状態なのに最後までサーシャにポーションを使おうと抵抗されたんだ。母性本能恐るべし。
なんと、お母様はサーシャに魔力ポーションを飲ませてようとされる。俺は慌てて取り上げ、無理やりお母様の口に流し入れる。
一時間近く癒しの魔法をかけつづけていると、サーシャは体を起こせるようになった。ベスもふらつきが収まって来たみたいだな。
お母様を魔力鑑定眼で見ると魔力が少しずつ増加していることが分かる。カイル兄さんにお母様とサーシャの状況を説明し、お母様の監視をお願いした。癒しの魔法を使わせないようにお願いするとかなり驚かれたが、一緒にいてもらえる事になった。他にお母様の事を任せられる適任者が思いつかなかったからだ。
サーシャが爆発のショックで上手くしゃべれないみたいで、一時的な症状だろうとお母様が言われる。
神聖教会に癒しの魔法をお願いすることをお母様に伝えたが、俺以上の癒しの魔法が使える者は今の神聖教会にはいないだろうと言われた。ガルトレイクお爺様が神聖教会について調査を行っていたのだと聞かされた。
俺の家族に手を出したらどうなるか、邪神教にはおもいしらせてやらなければならない。ふつふつと怒りが沸き上がり、何かがプツリと音を立てて切れた気がした。
完全なピンクには出来なかったけど、サーシャもお母様も喜んでくれたよ。サーシャなんて家の中で着るほどのお気に入りだ。我ながらいい仕事をしたよ。
ブルースライムポーションも塗って実験したけど、劣化が激しくて驚いた。同じスライムでもこんなに違いがあるんだな。
サーシャは朝から防具を着けてくれと部屋にやって来た。コスプレ文化はないんだけど、兵士やマシューさんまで防具を着ているから真似をしたいんだろうね。
ズレて落ちないようにしっかりと装着しておいた。ヘルメットまで被っている。邪魔だと思うんだけど、サーシャが気に入っているなら好きにさせよう。そのうち飽きて着なくなるだろうからね。
今日は第一騎士団長に調査の状況を聞きにメダリオン城に行ってくるつもりでいるんだ。 情報漏洩が疑われているから会って話した方がいいからね。暗号を使ってやり取りすることを提案しようと思っているんだ。
第一騎士団の建物に飛んで来たが訓練場の騎士の姿が見えない。普段なら剣の訓練や走り込みの姿が見れるんだけどな。ノンアポで訪問したのがよくなかった。第一騎士団は、騎士団長までも調査に出ているそうで、留守番の騎士が数人いるだけだった。予定通りならすぐには帰って来ないと言われたんだ。
邪神教の拠点らしい場所を見つけ、出入りの者たちの動きを見張っているそうだ。人を代わりながら尾行を行うために騎士団員が出払っていると教えてもらった。
調査の陣中見舞いではないが、オークの味噌汁を大量に作り、応対してくれた団員にみんなで食べてくださいと言っておいた。俺が作った自家製の味噌を使っているから、美味しいと言ってもらう自信があるんだ。残っていた騎士が匂いに待ち切れなくなったのか、早速食べて美味しいと喜んでくれたよ。
ツキがないのだろう、国王陛下も会議中で二時間はかかると言われたんだ。キャスペル殿下は第一騎士団と一緒に調査に出ているし、王妃様とアルテミシア様は王都にある公爵の別邸で開かれるお茶会に出かけているそうだ。ノンアポだとこんなこともあるんだな。
誰にも会わずに帰ることになるなんて流石に思っていなかったよ。そのまま、二階のテラスから飛び立った。
屋敷に帰って二階のテラスに降りると、ウイングスーツから動きやすい服に着替え一階に向かう。
階段を下り始めたところ、サーシャが両手で大事そうに綺麗な箱を持ち玄関から入って来た。まだ、防具を着たままだなんてよほど気に行ったんだな。
「サーシャ、何を持っているんだい?」
「お庭で知らないおじさんから、ママにプレゼントを渡してほしいってもらったの」
「お庭に知らないおじさんだって!? 許可なく入れないでしょ? 怪しいな、その箱を僕に渡して!」
《アルフレッド様! その箱から離れて‼》
サーシャから箱を受け取ろうと手を伸ばしているところに、念話と共にベスがものすごいスピードで箱に体当たりした。
箱はサーシャの手から離れて空中で『ドーン‼』と轟音をあげて爆発した。窓ガラスは割れ辺りには色々な物が舞い散り酷い有様だ。鼓膜がキーーーンと鳴っており軽いめまいもする。
サーシャとベスはどうなった? 埃と煙のせいで姿が確認出来ない。
「サーシャ! ベス!」
《アルフレッド様! サーシャ様ハご無事です!》
窓ハ格子ごと壊れており爆発の凄さを物語っていた。割れた窓から風が入り爆発で舞い上がっていた埃と煙が流され視界がハッキリとしてきた。
ベスの横腹の辺りの白い毛が赤く血に染まっている。ベスはサーシャに被さるようにして爆発から守ってくれていた。直ぐにベスの体に異物が刺さっていないか確認した。いくつか破片を取り除くと癒しの魔法を行使して出血を止めた。流石は神獣だな、爆発の大きさにしては怪我が軽い。応急処置はこれでいい。
サーシャは大丈夫だろうか? ベスが体で護ってくれたおかげで見たところ小さな傷以外には見えない。よく見ると防具に無数の傷がついていた。着ていて本当に助かったよ。もし、防具を着けていなければもっと怪我をしていてもおかしくなかった。ヘルメットのお陰で、頭も耳も守られていたみたいだな。脳震盪を起こしているようで意識がないが、呼吸はしているし、瞼もピクリと動いた。
ベスの身体は毛もあるし神獣だからか丈夫に出来ているようだ。ベスが覆いかぶさってくれたおかげでサーシャに怪我はないようでホッとした。あらん限りの魔力を絞り出すように癒しの魔法を行使し続ける。
「サーシャ大丈夫?」
呼びかけ続けているが反応がない。
「今の轟音はなんだ!」「キャー!」
お父様とお母様が慌てて玄関にやって来た。部屋の惨状を見て悲痛な表情をしている。
お母様が相かなりのショックを受けているようだ。お父様がふらついたお母様を抱き止めた。
「しっかりしろ、癒しの聖女とまで言われたお前がそんなことでどうする。早く、癒しの魔法を掛けてやれ!」
「ごめんなさい。すぐに癒しの魔法を行使します!」
お父様の言葉で我に返られたみたいで、サーシャに癒しの魔法を発動させる。
「サーシャは知らないおじさんに箱を貰ったと言ってました。まだ、そんなに遠くには逃げていないでしょう。直ぐに追いかけてください!」
俺は言いながらベスに癒しの魔法を掛け続ける。
「分かった。直ぐに手分けして追わせる!」
お父様はそう言って慌てて出て行った。
お母様の手から淡い光がサーシャに降り注ぎ、吸収されていく。
「お母様、交代で癒しの魔法をかけましょう。今度は僕がサーシャに癒しの魔法をかけます。お母様はベスに癒しの魔法をお願いします」
お母様がベスに癒しの魔法を発動し、淡い光がベスの体に吸収されている。
サーシャに癒しの魔法を掛け続けていると、サーシャの瞼がピクピクしてから目を開けた。
「ウワーーーン!」
サーシャが泣き出した。どこか痛いかもしれない、爆発にも驚いただろう。
サーシャに癒しの魔法を掛け続けていると、落ち着いたのかサーシャが泣き止んだ。泣きつかれたのかもしれないな。意識が戻ってよかった。
「お母様、サーシャとベスを替わって癒しの魔法をお願いします!」
「分かりました……」
サーシャの意識が戻ってからもお母様の表情は暗いままだ。犯人を見つけ出してサーシャとベスの報仕返しをしてやりたい。
《ベス、どこか痛い?》
ベスの横腹の辺りを触診する。
《アルフレッド様もう少し優しく触って貰えないですか? そこはものすごく痛いです》
骨折か? 内臓をやられていないか心配だ。
《自分で骨が折れているか、内臓がやられたとか分かる? 特に痛いところはないか? 癒しの魔法を重点的にかけてやるぞ!》
《ありがとうございます。あちこち痛いですが私は大丈夫です。それよりも犯人を早く捕まえてください! また同じことをやられると次も守れるか自信がないです》
ベスは辛そうにしながらも、自分より犯人を捕まえることを優先するように言ってきた。
《ベス、ありがとう。お前のおかげでサーシャやお母様が死なずに済んだ!》
ベスは倒れたままで痛そうにしている。頭をやさしく撫でてやると、誇らしげに微笑んだように見えた。
魔力切れになってもいいと思いながら、ありったけの魔力を癒しの魔法に込め、サーシャとベスに行使した。俺の両掌から今まで見たこともないほどの輝くような光が溢れ出すと、サーシャとベスに吸い込まれて行った。
お母様は光を見て驚いていたが、魔力切れを起こしたのか
お母様がその光を見て驚かれるも、俺と同じことを思われたようで癒しの魔法を行使され、そして倒れた。
俺は慌ててお母様を抱き起こすが青白い顔になり調子が悪そうだ。この症状は魔力枯渇だろう。
「お母様、もういいです。お母様が死んでしまったらサーシャが悲しみます」
「そ、そうですね。分かりました」
お母様はそれでも癒しの魔法を行使しようとしていたが、強制的に止めさせた。お母様とサーシャをベッドに寝かせて、世話は侍女にお願いしておいた。
ベスはよろつきながらも自力で、サーシャのベッドの下に移動し、寝転がると目を瞑った。
「少しそのまま動かないでくださいね。魔力ポーションを持ってきます」
「できるだけ早く帰って来て私一人では不安なので」
「任せてください。そんなに時間は取らせません」
現在のお母様の魔力量は非常に危険な状態であると、魔力鑑定眼が教えてくれている。 お母様に魔力ポーションを無理やり飲ませた。魔力欠乏により体の自由が利かなくなっているため、されるがままな状態だ。
だが、ヘロヘロな状態なのに最後までサーシャにポーションを使おうと抵抗されたんだ。母性本能恐るべし。
なんと、お母様はサーシャに魔力ポーションを飲ませてようとされる。俺は慌てて取り上げ、無理やりお母様の口に流し入れる。
一時間近く癒しの魔法をかけつづけていると、サーシャは体を起こせるようになった。ベスもふらつきが収まって来たみたいだな。
お母様を魔力鑑定眼で見ると魔力が少しずつ増加していることが分かる。カイル兄さんにお母様とサーシャの状況を説明し、お母様の監視をお願いした。癒しの魔法を使わせないようにお願いするとかなり驚かれたが、一緒にいてもらえる事になった。他にお母様の事を任せられる適任者が思いつかなかったからだ。
サーシャが爆発のショックで上手くしゃべれないみたいで、一時的な症状だろうとお母様が言われる。
神聖教会に癒しの魔法をお願いすることをお母様に伝えたが、俺以上の癒しの魔法が使える者は今の神聖教会にはいないだろうと言われた。ガルトレイクお爺様が神聖教会について調査を行っていたのだと聞かされた。
俺の家族に手を出したらどうなるか、邪神教にはおもいしらせてやらなければならない。ふつふつと怒りが沸き上がり、何かがプツリと音を立てて切れた気がした。
27
あなたにおすすめの小説
俺に王太子の側近なんて無理です!
クレハ
ファンタジー
5歳の時公爵家の家の庭にある木から落ちて前世の記憶を思い出した俺。
そう、ここは剣と魔法の世界!
友達の呪いを解くために悪魔召喚をしたりその友達の側近になったりして大忙し。
ハイスペックなちゃらんぽらんな人間を演じる俺の奮闘記、ここに開幕。
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
転生貴族のスローライフ
マツユキ
ファンタジー
現代の日本で、病気により若くして死んでしまった主人公。気づいたら異世界で貴族の三男として転生していた
しかし、生まれた家は力主義を掲げる辺境伯家。自分の力を上手く使えない主人公は、追放されてしまう事に。しかも、追放先は誰も足を踏み入れようとはしない場所だった
これは、転生者である主人公が最凶の地で、国よりも最強の街を起こす物語である
*基本は1日空けて更新したいと思っています。連日更新をする場合もありますので、よろしくお願いします
劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?
はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、
強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。
母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、
その少年に、突然の困難が立ちはだかる。
理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。
一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。
それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。
そんな少年の物語。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
孤児による孤児のための孤児院経営!!! 異世界に転生したけど能力がわかりませんでした
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕の名前はフィル
異世界に転生できたんだけど何も能力がないと思っていて7歳まで路上で暮らしてた
なぜか両親の記憶がなくて何とか生きてきたけど、とうとう能力についてわかることになった
孤児として暮らしていたため孤児の苦しみがわかったので孤児院を作ることから始めます
さあ、チートの時間だ
『急所』を突いてドロップ率100%。魔物から奪ったSSRスキルと最強装備で、俺だけが規格外の冒険者になる
仙道
ファンタジー
気がつくと、俺は森の中に立っていた。目の前には実体化した女神がいて、ここがステータスやスキルの存在する異世界だと告げてくる。女神は俺に特典として【鑑定】と、魔物の『ドロップ急所』が見える眼を与えて消えた。 この世界では、魔物は倒した際に稀にアイテムやスキルを落とす。俺の眼には、魔物の体に赤い光の点が見えた。そこを攻撃して倒せば、【鑑定】で表示されたレアアイテムが確実に手に入るのだ。 俺は実験のために、森でオークに襲われているエルフの少女を見つける。オークのドロップリストには『剛力の腕輪(攻撃力+500)』があった。俺はエルフを助けるというよりも、その腕輪が欲しくてオークの急所を剣で貫く。 オークは光となって消え、俺の手には強力な腕輪が残った。 腰を抜かしていたエルフの少女、リーナは俺の圧倒的な一撃と、伝説級の装備を平然と手に入れる姿を見て、俺に同行を申し出る。 俺は効率よく強くなるために、彼女を前衛の盾役として採用した。 こうして、欲しいドロップ品を狙って魔物を狩り続ける、俺の異世界冒険が始まる。
12/23 HOT男性向け1位
伯爵家の三男に転生しました。風属性と回復属性で成り上がります
竹桜
ファンタジー
武田健人は、消防士として、風力発電所の事故に駆けつけ、救助活動をしている途中に、上から瓦礫が降ってきて、それに踏み潰されてしまった。次に、目が覚めると真っ白な空間にいた。そして、神と名乗る男が出てきて、ほとんど説明がないまま異世界転生をしてしまう。
転生してから、ステータスを見てみると、風属性と回復属性だけ適性が10もあった。この世界では、5が最大と言われていた。俺の異世界転生は、どうなってしまうんだ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。