世の中に不満のある俺が理想の奴隷ハーレムを作ってみた

塞翁が馬

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4章 戦乱の中へ

25話 度重なる災難

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 女湯からした足音はどんどんこちらに向かってくる。

 その足音の主は心配そうにこちらに呼びかけた。

「春臣さんこちらから女の子の悲鳴みたいなのが聞こえましたが大丈夫ですか?」

 沙織だった。

「大丈夫です!!ちょっとのぼせてしまってコケただけなんで、怪我もないですし安心してください!」

 できる限り平生を装って応えた。

「そうですか…気をつけてくださいね…」

 というおれの社会的地位が守られたところで、次は命の方の心配だ。

 沙織が来て大人しくなっていた桃は小声で話し出した。

「あっぶねぇ…」

「そもそもなんでお前が男湯にいるんだよ!」

「うっ、うるせえ!そ、それより前隠せ!」

 おっと、忘れていた。

 おれはタオルで自分のエクスカリバーを隠した。

「ちょっと一人で広々と使いたかったんだよ、後あいつと同じ風呂に入るのが嫌だったし…」

 あいつとは栗栖のことだな。

 恐らく自分の幼児体型を彼女に見られてからかわれるのが嫌だったのだろう。

「そうか…まぁお前にも色々あるんだな」

 そう言っておれは浴槽を後にしようとすると桃が引き止めた。

「ちょっと待てよ、別にあがることないだろ!」

 いや…気まずいから…!

「おれはもうそこそこ堪能したからお前が後は入ればいいじゃねえか」

「そ、そんなにあたしの体に興味ねえのかよ…」

 この質問はきつい、肯定すればロリコン確定、否定すれば男としての資格を失う。

「そういう問題じゃないだろ…じゃあ
…一緒に入るか…?」

 おれは恐る恐る聞いてみた。

「す、好きにしろ!」

 答えはイエスのようだ。

 おれは元いた浴槽に戻った。

「おい!春臣!」

「…なんだよ」

「体洗ってくれないか…?」

 おいおいおいおいおいおいおい!

「ばっ、ばか!お前何言ってんのかわかってんの!?」

「わかってるに決まってんだろ!バカ!」

 バカと言い合うおれ達はは小学生みたいだった。

「タオルを抑えるので手が回らないんだよ…」

「し、仕方ないな…」

 おれはできるだけ無心でもう一度浴槽からあがり、桃に近づいた。

「や、優しくしろよ…」

「…その言い方やめろ」

 落ち着け春臣。

 こいつはまだ小さい幼女だ。

 兄が妹の体を洗うのにこんなに緊張するか?

「おい!お前今失礼なこと考えてただろ!」

 なぜ心が読まれる!?

「それじゃあ洗うぞ…」

 おれは桃の綺麗な体に手を滑らせる。

「ひやっ!」

 その瞬間今日二度目の女性らしい声が桃から出た。

「変な声出すなよ」

「し、仕方ねえだろ!」

 それからおれは精神を強く持ち、桃の体を洗い続けた。

「もうこれでいいか?」

 おれから見える所はすべて洗った。

 上から首裏、背中、臀部、太もも、ふくらはぎ、足の裏…

 その全てが男のおれのものとは違った。

 臀部…つまりお尻は小ぶりだったがこんなにもハリがあるものなのかという新たな発見があった。

「ありがと…後は自分で洗う…」

 流石に前の方は自分で洗うらしかった。

 そこでおれはとんでもない事に気がついた。

「これ…おれが後ろ向いてれば自分で洗えたんじゃ…」

桃はハッとしてそして顔を赤らめた。

「先に言えよ!!!」

 おれはもう言い返す元気がなかった。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 最悪だ…

 死にてえ…
 
 あたしは今男と二人で風呂に入っている。

 その男は…まぁ知り合いなのだが、自分の裸を見られることになるとは思ってなかった。

 いや、本の僅かな可能性で見られていないということも…

 まぁないか…

 あのタイミングはほぼ百パーセント見られた…

 あまつさえその男に体を洗わせた。

 もちろん男には縁がない生活を送っていたので、こんな経験初めてだ。

 そしてまだその男と同じ浴槽に入っている。

「なぁ桃お前はなんでこんなことしてんだ?」

 こんなこと…というのは男と一緒に風呂に入るということではなく今回の仕事のことだろう。

「なんでって、そんなのお前に関係ねえじゃねえか」

「そうかい」

「お前はなんでだよ?」

 自分は答えないのに相手に同じ質問をするところが自分は小さな人間だなと思うことがある。

 しかしその男は答えてくれた。

「おれはある二ードレスの女の子を救うためだ」

「二ードレスの女の子?」

「そうだ、そのために金がいる」 

 あながち思っていた通りの答えが返ってきた。

 こいつとは一回仕事で組んだことがあるが、二ードレスに対して他の奴らとは少し違う価値観を持っていることは感じていた。

「そうかよ…なんかお前らしいな」

 お前らしいと言えるくらい仲がいい訳では無いがこの男の本質は知っているつもりだ。

「はは、ありがとな」

 朗らかに笑うその男にあたしは特別な感情を抱いていることにこの時は気づいていなかった…

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 はぁ…

 偉い目にあった…

 おれは桃との混浴を終えてから自分の部屋に帰っていた。

 帰り道で沙織に会ったが、どうやら桃と一緒に風呂に入っていたことはバレてないらしい。

「疲れた…」

 風呂で鋭気を養ったつもりが、逆に疲れてしまった。

 ベッドで横になっているとそのせいか眠気が一気に襲ってきた。

「もう寝るか…」

 電気を消し、目を閉じて寝る体勢に入った。

 間もなくして現実と夢の狭間をさまよい始める。

 なにかいい匂いがする。

 女の子のシャンプーの匂いだ。

 それに混じって声も聞こえる。

「んん…」

 まるでうちの女の子達がそばで寝ているみたいなそんな感覚。

 彼女達が心配で夢に出てくるようになったのか…

 声のした方に手を伸ばしてみる。

 そこには程よいマシュマロの様な小さな膨らみが感じられた。

 やけにリアルな再現だな。

 この感じは恐らく…胡桃かな?

 勘違いのないように言っておくが、直接彼女達の胸を触ったことがある訳では無い。

 たまに寝ている時に当たる時はあるが、揉んだことは誓ってない。

 夢の中だったのでしばらくその感覚を楽しんでいると声が段々色っぽくなっていくことに気がついた。

 おれの妄想力はすごいな。

「あんっ…うっ…」

 だがそろそろおかしいという気もしてきた。

 なぜ夢なら

 うっすら目を開けてみるとそこには現実世界が広がっていた。

「なっなんで栗栖がここにいるんだよ…」

 彼女は寝ているというか酔っている。

 夕食後にそう言えばチョコレートの中にウイスキーが入ったお菓子が出ていた。

 それを確か彼女は結構食べていた。

 そしておれがさっきから揉んでいたマシュマロは栗栖の胸だった。

 慌てて手を引き上げようとするが、多分栗栖が起きてしまう。

 いくら酔って寝ているとはいえ、起きられると厄介なことは間違いなかった。

「どうすんだよ…これ」

 可愛い寝息を立てている栗栖は暗がりながらも美人だ。

 まだ成熟した女性と言うには早いが、それでも女性としての魅力は十分にある。

「あんっ…うう…うっ…」

 寝返りをうつたびおれに絡みついてくる。

 寝巻きがはだけてその中の乳房が見えそうになる。

 見たいわけではなかったが、顔を動かす訳にはいかない。

 動かすと栗栖が起きてしまう。

 それにしても顔が近い。

 シャンプーの匂いがするとは思っていたが、よく考えるとうちの子達と若干匂いが違う。

 十分くらい過ぎただろうか、この瞬間が永遠に感じられる程長い。

 しかし、その時間の終焉は唐突に訪れた。

 おれの鼻がバーストしようとしている。

 栗栖の髪の毛がおれの鼻に点火するかのごとく攻撃してくる。

 そして遂に爆発した。

「ハクショォン!」

 くしゃみが出てしまった。

 もちろん栗栖は目覚めた。

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