仕事帰り休みの日=もっと仲良くなる時間

泡田日

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夏のイベント

女子トイレの前

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 住宅展示場の空きスペースでのイベント。
 駐車場は広かった。
 いろんな人が停めるしね。
 車の外に出ると富塚君が言った。
「井村が早くに行って、準備しててくれてるから行こうか」
「うん、でもその前にトイレ行って来て良い?」
「良いけど、場所分かる?」
「たぶん……」
 事前に渡された案内図を思い出して私は一人行く。
 帰りは十七時。それまで頑張れば良い。今日だけだ。
 女子トイレの前で梅沢さんに出会ってしまった。
「お、おはようございます……」
「おはようございます。あ、そうだ、日下さんって今日、富塚さんに送ってもらったんですよね? 行き。帰りもでしたっけ?」
 知ってるくせに。
「そう、なってます、かね……」
 痛い目で見て来る。美人が台無しだぞ、梅沢さん。
 彼女はさらに私を一瞥し、サッサと行ってしまう。
 あからさまだ……。それにさっき、富塚君に顔見られてた時の顔に似てる。
 きっとあの雨の日に見た肌に寄り添えるのって、綺麗にしている人達だけ。
 荒戸さんは高校生の頃の富塚君が出て来て、梅沢さんには大人な富塚君が出て来るんだろうな……。
 私には何が出て来るんだろう。
 自然と考えてしまう。口を口で触れられても、私には固定されたイメージがあって、もう何をしていようが関係ないのだ。
 あの『痛い目』にはそれだけの意味があった。攻撃して来る目。劣っている者にはどうすることもできないやつ。
「日下さん、時間なんだけど?」
「あ、はい! すいません!」
 何でか、富塚君が迎えに来てくれた。
「迷子になったかと思ったんだけど、なってないみたいで良かった。それより大丈夫?」
「え?」
「顔色悪い、日下」
「え、大丈夫……ちょっと緊張して来ちゃっただけ」
「そう……。うん、分かった。今日の休憩は三番目ね? 井村を二番目にして、俺が四番目。それで行こう」
「え? 休憩交代制だったのは知ってるけど、それで良いの?」
「良いよ。それとも日下が一番にお昼食べたい?」
「ううん、私は最後でも良い。きっとご飯食べれないよ……喉に通らなさそう」
「そんなに? 困ったね……」
「富塚君って、そんなに普通に出来るんだね……」
「うん? キスかな……朝の。俺さ、日下に言わなきゃ」
「卑怯って?」
「いや、もっと俺を求めて良いよ? 俺だって、日下が必要なんだから。他の女の事、考えてる暇があったら、俺の事について考えてくれない? じゃないと、本当に困る。俺がしたいのは全部日下とで、イジメて良いのも可愛がって良いのも俺だけだから」
 それを平気で歩きながら言う富塚君が本当に憎らしい。
 もし、彼のあの肌に私の全てで触れ合う時が来たら、彼はどの彼で来るのだろう。
「前の彼女にはどんな風に接してたの?」
「え? 前……って、普通。普通にやってたよ?」
 何か、本当『前の彼女』には弱いんだ。
 はっきりとそれが分かってしまった。隠せてないその怯えたようなキョドってる言い方で。
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