仕事帰り休みの日=もっと仲良くなる時間

泡田日

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富塚君の彼女

語らうクリスマス

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 秋の温泉旅行はそんな感じで過ぎて行ったけど、十二月に入って、富塚君が言う。
「せっかく彼氏彼女の関係になったんだから何かする?」
 それはつまり、クリスマスだよ? を意識させる為なのか、私は帰りの駅のホームで電車を待ちながら富塚君に聞く。
「したくないって言ったら、どうするの?」
「何かしようよ! って言うよ」
 じゃあ、やりたい事、富塚君が考えて? と言ったけれど、リア充な感じのが来ちゃったら、どうしよう! と慌て、私は自分でも考えることにした。
 良い感じのお高いレストランで豪華な食事とか嫌だな……と思いながら。
 クリスマスの日は平日で仕事だから……と、その前日のクリスマスイブにお出掛けすることになった。
 当日はたくさんの光で彩られ、綺麗! と有名な近場にあるイルミネーションを富塚君の車で見に行って、その帰りに煮込みハンバーグが美味しいという富塚君おすすめのこじんまりとした洋食屋さんに行って、そのまま富塚君のお家にお泊りになった。
 でも、服……と明日の仕事に着て行く物の心配をすると。
「良いじゃん。服、そのままで」
「でも……、下着とか」
「平気、平気。バレないって。俺にしか」
 それが嫌なの! と言いながら、富塚君はして来る。
 もう!
「二回目……」
 しながら富塚君は言った。
 ああ……あの秋の温泉旅行の寝る前に一度したな……と思い出し、富塚君の体の温もりを彼女として味わう。
 こんな幸せな事はない。これこそがクリスマスプレゼントなんじゃないかと勘違いするほどだ。
「んっ、日下――」
 初めて富塚君にそういう思いをさせることができた! と内心喜びながら、私は富塚君を真正面で受け止めていた。
「日下……正月、ん……正月も一緒にいたいから一緒に年末年始の旅行会社のツアーに参加しよ?」
「は?」
 その瞬間、その温もりが消え、現実が戻って来る。
「何言って!」
 キスでそれ以上言わせないようにされてしまった。
 終わった後で散々でもないけど、ブーブー文句を言ったら、もう申し込んじゃったし、お金はこちらが持ちますので……と言われたら、はあ、そうですか……と付いて行くことに決めた。
 正直、年末年始もやる事がない私はこれで逃げ場所が出来たってわけだ。
「良い所?」
「ん? そうだね。こんな感じで良い所……」
「うん……、そうかもしんない……けど、今度、こういう事したら許さないから!」
「何で?」
「だって、大事なことじゃん! 相談くらいしてよ! お金とか、いろいろ問題があるでしょう? もし、私が用事があって行けなかったらどうしてたの?!」
「キャンセルしてたよ。ちゃんと、他の子と行こうとか思わないから安心して?」
 そう言って来る富塚君に私はちょっとムッとして、仕返しに言ってやることにした。
「ねえ、知ってる?」
「何?」
「私、ずっと言ってなかったけど、富塚君が高校の同窓会にこの前行ったの知ってるんだから」
「それ、今言うこと? どこでそんなの知ったの?」
 ちょっと富塚君が焦っている。しめしめ……。
「梅沢さんと西丸さんがお昼に話題にしてた」
「ああ……、ぽろっと言っちゃったんだよね……給湯室の掃除してる西丸さんに……。昨日何してました? って何か言われたから」
「へえ……、コミュニケーション能力が高いんだね」
「いや、そこ感心しないで?! まあ、日下はそんな質問俺にして来ないよね……。日下、知ってたんだ、俺が行ったの……」
「うん、秘密にしておきたかった?」
「いや、別に。まあ、皆には日下と付き合ってるとか、こんな事になってるとか言ってないし」
「言えないもんね……、あんな『ガリガリチビ』相手に?! ってなるし……」
「違う。言いたくないんだよ、俺が。そんな事言えるのいるわけないだろ?」
「どうだか……一番仲良い人には言えるんじゃない? 高校のテンションになっちゃったらさ」
「言えないよ。散々、俺、もう付き合わない、結婚しない、子供いらないって言って来たんだから」
「へえ……、でも、今、私と」
「だからだよ。そういう話題にされたくないんだ、日下との事。それより、年末年始ってすぐだけど大丈夫なの?」
「それ、心配するの遅過ぎ。もっと早くにしてよ」
「だって、日下なら暇かなって思って。本当無理なら言ってね? 泣く泣くキャンセルするから」
「大丈夫、行くってば! ちゃんと。それより、私が高校の頃の人達のこと、あんまりよろしく思ってないと思ってるんだったら、正解だからね?」
「そうだと思った」
 富塚君のその口調に私は何だか落ち込んだり、安堵したりした。いや、急な話題変更がおかしかったから、私も『そうだと思った』だ。
「富塚君、ちゃんと言ってね? これからは。大事な事って、一人じゃ決めちゃダメなんだから!」
「大事な事ね……。子供の名前とか?」
「それ、考え出すの早すぎ。もっとその前にあるでしょ? 大事な事」
「いつ、会社に俺達の事がバレるかとか? 結婚はいつにするかとか?」
「まあ……そうです……」
「ふーん……まだまだだね、そんな感じだと」
 富塚君に私の現況を確認された所で、私はもう寝ないといけない時間だと知った。明日、臭いってならないかな? とかそんな不安な中、寝れずに過ごして富塚君に朝、仕事行く前に今日は日下さんにコピーいっぱいしてもらえるようにするから覚悟しておいてね?! と言われ、本当に仕事に行ったら、言われた通りの量を越えたコピーする紙がドサドサと机の所に置かれていて、富塚君怒っているのかしら? とか相楽さんに変な誤解を与え、定時で帰れないんじゃないか? これぇ……と泣きそうになる感じで、私は『匂い』という危機を脱した。
 けど、あの策は得策じゃない! と、私は富塚君に後で抗議し、そんなに怒るなって! 俺はいっぱい日下が見れて嬉しかったけど……なんて言われたら、もう怒りと何この人?! っていう恥ずかしさというか、そういう彼女としての嬉しさを感じて微妙な感じになり、家に帰ったら帰ったで母にあんた、本当に料理教室の先生と一緒に居るの? と言われ、そうだよ?! と状況がどんどん複雑化しているような気がしてならなかった。
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