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2.処女は面倒くさいのか
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「俺が慣らしたげよっか?」
は? 間抜けな声が出た。いや、唐突にこんな話がでれば誰だって間抜けな声も出る。頭の中はまるで宇宙だ。俺は宇宙を背景に間抜けな顔をしているような気分になった。
「今好きな人もいなくて気持ちいいセックスできるようになりたいならちょうどいいかなって。女の子でも最初は痛いとか、普通にちゃんと慣らさないと痛いらしいし久も慣らして開発すればいいんじゃない?男はさすがに経験ないけど気持ちよくする自信あるよ」
「は…?いや、いやいや、俺ら友達だし」
しかもちょうどいいとは…?何がちょうどいいんだ?
「大事な親友が朝から悩んでるような問題だもんな。力になりたいな」
ズイと近づいてきた顔から距離を取る。
「いやでもそういうのって恋人とするもんじゃ」
「別に相手がいないなら個人の自由じゃない?」
どうにか断る言葉を探すが、ああ言えばこう言ってくるこいつにどう……いや?よくよく考えればこいつはえっちが(おそらく)うまいし、俺は彼氏もいないし一度くらい試してみるのもありなのかもしれない。むしろこれで未来の彼氏とうまくえっちできるようになるなら悪くない話なのではないだろうか。
「わか…った。一回だけ、頼む。…一回だけ」
「任せて!んじゃ俺の部屋いこっか」
柔らかな動きで腕を引かれてつい流されそうになる。さすがモテる男は細かな動きが違うのか…。だがしかし、俺は今ここで流されるわけにいかない。
「きょ、今日は無理」
緊張で震えて声がスムーズに出なかった。
「調子とか悪い?」
「や、その、準備してないし」
「準備…?ゴムなら部屋にあるけど」
「や、だから、その…後ろ、綺麗にしなきゃなんねぇから。流石にひとんちじゃ無理」
「あー、了解。そしたら明日にする?休みだし」
普段通りの声音に自分の態度やこわばりが余計恥ずかしく感じる。カッカと顔が火照っている気がして俯いた。
「そう…する、もう帰る」
これ以上大混乱してる頭で余計なことを言わないように、荷物を抱えて逃げるように帰った。
―――――――
翌朝。
ほとんど寝れなかった。冷静にひとりで考えているといくら遊び人だとはいえ幼馴染にセックスの練習まがいのことを頼むなんて俺はイカれてるんじゃないだろうか。だとしても、それを提案してくるあいつはもっとイカれてるに決まってる。そんなことを悶々と考えている間に朝になってしまった。枕元に置いていたスマホが揺れる。嫌な予感はしつつも、いやまだ7時なんだからと自分を言い聞かせてスマホの画面を覗く。嫌な予感は見事的中していた。
『おはよう。俺は今日ずっと空いてるから来るとき連絡して。あと普段使ってるもんとか必要なもんあったら持ってきてね』
葉大からの連絡だった。こういうことはさっさと済ますに限る。腹をくくって「わかった。一時間後に行く」とだけ送信した。本当に後ろをセックスで気持ちよくなれるかもしれないという淡い期待もあるのは確かだ。決心が揺らぐ前に行動しなければ、こんな機会は二度とないだろう。
1時間後、約束通り家の前に着いていた。
かばんにローションとアダルトグッズをひとつずつ持って。
こんなの変態じゃないか?てか明日からどんな顔して葉大に会えばいいわけ?てか俺の恋愛対象が男ってわかってんだよな?悶々と新しい疑問が浮かんできてインターホンも押せずにうろうろしていると不意にオートロックの扉が開いて奴が出てくる。
「あ。おはよ、遅れてんなって思ってちょっと様子見に来たんだけど、ちょうどよかった」
「…はよ」
「ふは、緊張してんの。そんな取って食わないよ。チェスでもする?」
なんてことないように笑う葉大を覚悟を決めた目で見つめる。
「やらない。緊張とかいいから、はやくしろ」
これからやること考えながらこいつとだらだら話すなんてたまったもんじゃない。意識しないようにすればするほど、自分の心臓の音が大きく聞こえる。
普段は通り過ぎる手前の部屋に通される。普段との違いを嫌でも感じてますます心臓が跳ねて普段どんな風に話していたか、動いていたかがわからなくなる。
「てきとーに座って」
ぎこちなくベッドに寄りかかるような形で床に腰を下ろした俺の腕を笑って掴んでベッドの上に腰掛けさせられる。
「なんで床?今日はこっちな、大丈夫だから。麦茶でも飲んで落ち着いて」
差し出された麦茶に口をつける。そういえばずっとこのことばっか考えてて水分をとっていなかった気がする。ちょうどよく冷えた麦茶が美味しくてそのまま飲み干した。おかわりいる?という言葉に頷いて返す。
「右手に持ってんのは?何もってきたの?」
「…お前が持って来いっていうから」
それだけ言って持ってきた紙袋を渡す。中には小さな潤滑剤と黒い小ぶりのディルドが入っている。葉大が黒いそれを手に取ってまじまじと見つめる。なんだか居た堪れなくて視線を反対方向へと向けた。
「いつもこれ使ってんの?」
「…2回くらいしか使ったことない。最近は使ってない…し」
ふーん、と言いながら紙袋にそれを戻して中にあった潤滑剤を取り出したと思うと、再びこちらに視線が向けられる。
「じゃ、やろっか」
葉大がベッドに膝を乗せてギシっと音が鳴る。その音にすら緊張が高まる。
それとなく促されてベッドにあがる。自分のベッドと違うその柔らかさにこれからすることを想像させられてじわりと恥ずかしさがにじむ。
「……いい?」
その声に視線をあげるとバッチリと目が合った葉大が妖しく笑った。
「まっ…まって。やっぱこれ無理。…つか電気も消して」
ハッとして体を反転させ、恥ずかしさのあまりそこにあった枕に顔をうずめる。
顔も見えない、言葉を発しないこの瞬間にも匂いの染みついた枕のせいで相手が誰なのかを強く意識させられてしまう。これは逆効果かもしれないと顔をあげたが視線のやり場に困ってやっぱり枕に顔をうずめた。まだ横になっただけなのに心臓がうるさい。自分の体が呼吸の度に大きく上下するのを感じる。穏やかな手が落ち着けるみたいに服の上から背中を撫でる。でかくて優しい手で少しずつ落ち着いていく。
「腰あげて、足ちょっと広げられる?」
布団と体の間に腕を差し込まれてぐいと持ち上げられる。ケツを大きく突き出して震えてる、まるでまだ立ち上がることもできない生まれたての小鹿みたいな姿勢だ。
「怖い?…大丈夫だから。痛かったり嫌なことあったりしたら言って」
「ん…。ごめん、こんな」
「気にしてない。不慣れなほうが可愛いって言っただろ。俺のことはいいから体に集中してな」
そう言って躊躇なく下着ごとズボンを下ろされる。突然冷えた外気に触れてぶるりと大きく震える。姿勢のせいで腹まで空気に触れて呼吸がますます荒くなる気がした。後ろでローションのキャップを外して中身を出すような音がする。その音ひとつひとつを聞くのも堪らなかった。
「触るよ」
ローションの冷たさに身構えていたが、指先が触れたことで人肌に温められていたことがわかり、ふっと力が抜ける。潤滑剤を塗り込むように穴のまわりを撫でられ、しばらくすると浅いところに骨ばった指が出入りする。人に触れられたことのないそこを触れられているというその現実に枕を掴む手に力が入る。穴をいじっている手とは反対の手がだらりと力なく重力のままに垂れているそこに触れ、確かめるように撫でられる。
「えっ、な、なんでチンコ触って…⁉」
「んー、こっち勃ってるほうが後ろでも感じやすいってさ」
「は…、無理!緊張しすぎて勃たねぇって!」
自分より少しデカい手がにゅくにゅくと濡れた音を立てて刺激してくる。しかし、言葉通り重力に屈したそれは大きさも柔らかさも変えない。こんな状況で緊張しない方が無理だろ、俺だけ余裕がない感じなのも恥ずかしい、断ればよかった、と心底後悔する。
「ぅひっ…⁉」
「あ、ごめん。急すぎたかなって思って…。なんも考えないで、深呼吸して」
陰部から離れた手がツーっと腹や太ももに触れる。なだめるように動く手がするりと胸のほうへと伸びて胸の先を囲むようにくるくると指でなぞる。
「なあ…俺、乳首なんて触ったことねぇよ、感じ…な、い」
それよりも腹に触れる手に反応して声が、吐息が漏れる。それを聞く間もするりとかすめるだけでその中心に触れようとはしない。
「雰囲気って大事でしょ?」
そういうとTシャツを捲り上げてちゅ、ちゅと背中に触れるだけの口づけを繰り返す。これも雰囲気ってやつなんだろうか。これまでされたことのないことが多すぎて頭が追い付かない。
ただ慣らすって話だったのにこんなん恋人同士のえっちじゃねーの…。
「っ…ふっ……は、ぁ…」
優しくてしつこい愛撫にだんだんと呼吸のリズムが乱れされて浅かった呼吸が深くなっていく。すでに状況がどうだとか恥ずかしいとかは抜け落ちて体を滑る手の動きを感じることに精いっぱいになっていく。
「 んッ…あ、ゔぁ…きゅ、急にそれっやば…んっっ」
先ほどまでピクリとも反応しなかった陰茎がぬるりとした手に包まれて先ほどより激しく刺激される。全身をソフトに触られていたのに突然の陰茎への強い刺激を受け、思わず漏れる声をなんとか枕で抑える。
「かたくなった。きもちぃ?」
楽しそうなその声に返事はしなかった。なにか話そうとすればそれ以外にも余計な声が漏れてしまうに違いない。それが嫌だった。全部わかってるみたいに二度背中に唇が落とされる。刺激がゆるゆるとしたものになってきたと思うと、もう一方の空いた指が一本、つぷりと穴に侵入してくる。そんな違和感よりも今はチンコだ。弱い刺激では切なくて、羞恥心や理性とは裏腹に手にこすりつけるように腰を揺らしてしまう。気持ちよくなりたい。
その間も先ほどより少し深く入った指がグニグニと中を探るように動く。後ろで気持ちよくなるなんてフィクションなんじゃないかと思いかけたその時だった。初めての感覚に体全体が大きく跳ねる。
「ここ?」
無意識に逃げた腰を手で支えられて先ほどと同じところをトントンと指で押される。重力に逆らって快感を求める陰茎を刺激していた手はあっけなく放されてしまった。
「っあ?な、な…にッ!…~~ッふ…ンゃ…ッ⁉あっ、…あ…!」
「じゃあ、こっちで気持ちよくなれるように練習しよっか」
「はっ、あ⁉」
片方で腰を抑えられ、もう片方が軽く押すように気持ちのいいところを刺激される。かすめる甘い快感がむず痒くてもっとほしくなる。この刺激に耐えるなんて、これしか与えられないなんて無理だ。ぴちゃぴちゃと響く音ももう気にならない。ただこの甘い刺激だけが頭を支配している。
「~~っう、…ンっ!はあ…はっ…なぁ、もっと…もっとちゃんと、さわれよぉ…」
その言葉に応えるようにぐにっと穴が広がってもう一本の指がゆっくりと潜り込んでくる。ローションが容器から直接ケツに垂らされて体が跳ねた。それも構わずにキツイ中で二本の指が動く。指と指でそこを挟むようにしてコリコリと刺激される。その快感に身をよじると同時にそれまで放置され、潤滑剤と先ばしりでどろどろになった陰茎をぐちゅぐちゅと少し荒々しく扱かれる。
「は、んあ‼…ゔ、ンン…はぁ、ぁ…ゔあっ!同時はやめッ!ンッ‼…ゔ、ぁっイク、いっ…ぐ‼あ…~~~ッ‼」
目の前がチカチカして頭が真っ白になる。力が抜けるままに布団に倒れこむと急激に眠気が襲ってくる。そういや昨日寝れなかったんだよな、なんて思い出して抵抗することもできないまま瞼が閉じる。そこで俺の記憶は途絶えた。
は? 間抜けな声が出た。いや、唐突にこんな話がでれば誰だって間抜けな声も出る。頭の中はまるで宇宙だ。俺は宇宙を背景に間抜けな顔をしているような気分になった。
「今好きな人もいなくて気持ちいいセックスできるようになりたいならちょうどいいかなって。女の子でも最初は痛いとか、普通にちゃんと慣らさないと痛いらしいし久も慣らして開発すればいいんじゃない?男はさすがに経験ないけど気持ちよくする自信あるよ」
「は…?いや、いやいや、俺ら友達だし」
しかもちょうどいいとは…?何がちょうどいいんだ?
「大事な親友が朝から悩んでるような問題だもんな。力になりたいな」
ズイと近づいてきた顔から距離を取る。
「いやでもそういうのって恋人とするもんじゃ」
「別に相手がいないなら個人の自由じゃない?」
どうにか断る言葉を探すが、ああ言えばこう言ってくるこいつにどう……いや?よくよく考えればこいつはえっちが(おそらく)うまいし、俺は彼氏もいないし一度くらい試してみるのもありなのかもしれない。むしろこれで未来の彼氏とうまくえっちできるようになるなら悪くない話なのではないだろうか。
「わか…った。一回だけ、頼む。…一回だけ」
「任せて!んじゃ俺の部屋いこっか」
柔らかな動きで腕を引かれてつい流されそうになる。さすがモテる男は細かな動きが違うのか…。だがしかし、俺は今ここで流されるわけにいかない。
「きょ、今日は無理」
緊張で震えて声がスムーズに出なかった。
「調子とか悪い?」
「や、その、準備してないし」
「準備…?ゴムなら部屋にあるけど」
「や、だから、その…後ろ、綺麗にしなきゃなんねぇから。流石にひとんちじゃ無理」
「あー、了解。そしたら明日にする?休みだし」
普段通りの声音に自分の態度やこわばりが余計恥ずかしく感じる。カッカと顔が火照っている気がして俯いた。
「そう…する、もう帰る」
これ以上大混乱してる頭で余計なことを言わないように、荷物を抱えて逃げるように帰った。
―――――――
翌朝。
ほとんど寝れなかった。冷静にひとりで考えているといくら遊び人だとはいえ幼馴染にセックスの練習まがいのことを頼むなんて俺はイカれてるんじゃないだろうか。だとしても、それを提案してくるあいつはもっとイカれてるに決まってる。そんなことを悶々と考えている間に朝になってしまった。枕元に置いていたスマホが揺れる。嫌な予感はしつつも、いやまだ7時なんだからと自分を言い聞かせてスマホの画面を覗く。嫌な予感は見事的中していた。
『おはよう。俺は今日ずっと空いてるから来るとき連絡して。あと普段使ってるもんとか必要なもんあったら持ってきてね』
葉大からの連絡だった。こういうことはさっさと済ますに限る。腹をくくって「わかった。一時間後に行く」とだけ送信した。本当に後ろをセックスで気持ちよくなれるかもしれないという淡い期待もあるのは確かだ。決心が揺らぐ前に行動しなければ、こんな機会は二度とないだろう。
1時間後、約束通り家の前に着いていた。
かばんにローションとアダルトグッズをひとつずつ持って。
こんなの変態じゃないか?てか明日からどんな顔して葉大に会えばいいわけ?てか俺の恋愛対象が男ってわかってんだよな?悶々と新しい疑問が浮かんできてインターホンも押せずにうろうろしていると不意にオートロックの扉が開いて奴が出てくる。
「あ。おはよ、遅れてんなって思ってちょっと様子見に来たんだけど、ちょうどよかった」
「…はよ」
「ふは、緊張してんの。そんな取って食わないよ。チェスでもする?」
なんてことないように笑う葉大を覚悟を決めた目で見つめる。
「やらない。緊張とかいいから、はやくしろ」
これからやること考えながらこいつとだらだら話すなんてたまったもんじゃない。意識しないようにすればするほど、自分の心臓の音が大きく聞こえる。
普段は通り過ぎる手前の部屋に通される。普段との違いを嫌でも感じてますます心臓が跳ねて普段どんな風に話していたか、動いていたかがわからなくなる。
「てきとーに座って」
ぎこちなくベッドに寄りかかるような形で床に腰を下ろした俺の腕を笑って掴んでベッドの上に腰掛けさせられる。
「なんで床?今日はこっちな、大丈夫だから。麦茶でも飲んで落ち着いて」
差し出された麦茶に口をつける。そういえばずっとこのことばっか考えてて水分をとっていなかった気がする。ちょうどよく冷えた麦茶が美味しくてそのまま飲み干した。おかわりいる?という言葉に頷いて返す。
「右手に持ってんのは?何もってきたの?」
「…お前が持って来いっていうから」
それだけ言って持ってきた紙袋を渡す。中には小さな潤滑剤と黒い小ぶりのディルドが入っている。葉大が黒いそれを手に取ってまじまじと見つめる。なんだか居た堪れなくて視線を反対方向へと向けた。
「いつもこれ使ってんの?」
「…2回くらいしか使ったことない。最近は使ってない…し」
ふーん、と言いながら紙袋にそれを戻して中にあった潤滑剤を取り出したと思うと、再びこちらに視線が向けられる。
「じゃ、やろっか」
葉大がベッドに膝を乗せてギシっと音が鳴る。その音にすら緊張が高まる。
それとなく促されてベッドにあがる。自分のベッドと違うその柔らかさにこれからすることを想像させられてじわりと恥ずかしさがにじむ。
「……いい?」
その声に視線をあげるとバッチリと目が合った葉大が妖しく笑った。
「まっ…まって。やっぱこれ無理。…つか電気も消して」
ハッとして体を反転させ、恥ずかしさのあまりそこにあった枕に顔をうずめる。
顔も見えない、言葉を発しないこの瞬間にも匂いの染みついた枕のせいで相手が誰なのかを強く意識させられてしまう。これは逆効果かもしれないと顔をあげたが視線のやり場に困ってやっぱり枕に顔をうずめた。まだ横になっただけなのに心臓がうるさい。自分の体が呼吸の度に大きく上下するのを感じる。穏やかな手が落ち着けるみたいに服の上から背中を撫でる。でかくて優しい手で少しずつ落ち着いていく。
「腰あげて、足ちょっと広げられる?」
布団と体の間に腕を差し込まれてぐいと持ち上げられる。ケツを大きく突き出して震えてる、まるでまだ立ち上がることもできない生まれたての小鹿みたいな姿勢だ。
「怖い?…大丈夫だから。痛かったり嫌なことあったりしたら言って」
「ん…。ごめん、こんな」
「気にしてない。不慣れなほうが可愛いって言っただろ。俺のことはいいから体に集中してな」
そう言って躊躇なく下着ごとズボンを下ろされる。突然冷えた外気に触れてぶるりと大きく震える。姿勢のせいで腹まで空気に触れて呼吸がますます荒くなる気がした。後ろでローションのキャップを外して中身を出すような音がする。その音ひとつひとつを聞くのも堪らなかった。
「触るよ」
ローションの冷たさに身構えていたが、指先が触れたことで人肌に温められていたことがわかり、ふっと力が抜ける。潤滑剤を塗り込むように穴のまわりを撫でられ、しばらくすると浅いところに骨ばった指が出入りする。人に触れられたことのないそこを触れられているというその現実に枕を掴む手に力が入る。穴をいじっている手とは反対の手がだらりと力なく重力のままに垂れているそこに触れ、確かめるように撫でられる。
「えっ、な、なんでチンコ触って…⁉」
「んー、こっち勃ってるほうが後ろでも感じやすいってさ」
「は…、無理!緊張しすぎて勃たねぇって!」
自分より少しデカい手がにゅくにゅくと濡れた音を立てて刺激してくる。しかし、言葉通り重力に屈したそれは大きさも柔らかさも変えない。こんな状況で緊張しない方が無理だろ、俺だけ余裕がない感じなのも恥ずかしい、断ればよかった、と心底後悔する。
「ぅひっ…⁉」
「あ、ごめん。急すぎたかなって思って…。なんも考えないで、深呼吸して」
陰部から離れた手がツーっと腹や太ももに触れる。なだめるように動く手がするりと胸のほうへと伸びて胸の先を囲むようにくるくると指でなぞる。
「なあ…俺、乳首なんて触ったことねぇよ、感じ…な、い」
それよりも腹に触れる手に反応して声が、吐息が漏れる。それを聞く間もするりとかすめるだけでその中心に触れようとはしない。
「雰囲気って大事でしょ?」
そういうとTシャツを捲り上げてちゅ、ちゅと背中に触れるだけの口づけを繰り返す。これも雰囲気ってやつなんだろうか。これまでされたことのないことが多すぎて頭が追い付かない。
ただ慣らすって話だったのにこんなん恋人同士のえっちじゃねーの…。
「っ…ふっ……は、ぁ…」
優しくてしつこい愛撫にだんだんと呼吸のリズムが乱れされて浅かった呼吸が深くなっていく。すでに状況がどうだとか恥ずかしいとかは抜け落ちて体を滑る手の動きを感じることに精いっぱいになっていく。
「 んッ…あ、ゔぁ…きゅ、急にそれっやば…んっっ」
先ほどまでピクリとも反応しなかった陰茎がぬるりとした手に包まれて先ほどより激しく刺激される。全身をソフトに触られていたのに突然の陰茎への強い刺激を受け、思わず漏れる声をなんとか枕で抑える。
「かたくなった。きもちぃ?」
楽しそうなその声に返事はしなかった。なにか話そうとすればそれ以外にも余計な声が漏れてしまうに違いない。それが嫌だった。全部わかってるみたいに二度背中に唇が落とされる。刺激がゆるゆるとしたものになってきたと思うと、もう一方の空いた指が一本、つぷりと穴に侵入してくる。そんな違和感よりも今はチンコだ。弱い刺激では切なくて、羞恥心や理性とは裏腹に手にこすりつけるように腰を揺らしてしまう。気持ちよくなりたい。
その間も先ほどより少し深く入った指がグニグニと中を探るように動く。後ろで気持ちよくなるなんてフィクションなんじゃないかと思いかけたその時だった。初めての感覚に体全体が大きく跳ねる。
「ここ?」
無意識に逃げた腰を手で支えられて先ほどと同じところをトントンと指で押される。重力に逆らって快感を求める陰茎を刺激していた手はあっけなく放されてしまった。
「っあ?な、な…にッ!…~~ッふ…ンゃ…ッ⁉あっ、…あ…!」
「じゃあ、こっちで気持ちよくなれるように練習しよっか」
「はっ、あ⁉」
片方で腰を抑えられ、もう片方が軽く押すように気持ちのいいところを刺激される。かすめる甘い快感がむず痒くてもっとほしくなる。この刺激に耐えるなんて、これしか与えられないなんて無理だ。ぴちゃぴちゃと響く音ももう気にならない。ただこの甘い刺激だけが頭を支配している。
「~~っう、…ンっ!はあ…はっ…なぁ、もっと…もっとちゃんと、さわれよぉ…」
その言葉に応えるようにぐにっと穴が広がってもう一本の指がゆっくりと潜り込んでくる。ローションが容器から直接ケツに垂らされて体が跳ねた。それも構わずにキツイ中で二本の指が動く。指と指でそこを挟むようにしてコリコリと刺激される。その快感に身をよじると同時にそれまで放置され、潤滑剤と先ばしりでどろどろになった陰茎をぐちゅぐちゅと少し荒々しく扱かれる。
「は、んあ‼…ゔ、ンン…はぁ、ぁ…ゔあっ!同時はやめッ!ンッ‼…ゔ、ぁっイク、いっ…ぐ‼あ…~~~ッ‼」
目の前がチカチカして頭が真っ白になる。力が抜けるままに布団に倒れこむと急激に眠気が襲ってくる。そういや昨日寝れなかったんだよな、なんて思い出して抵抗することもできないまま瞼が閉じる。そこで俺の記憶は途絶えた。
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