【完結】触れたら最後

イツキカズラ

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33. 好きな顔

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 扉が閉まりきる前に伸びてきた手が服の中をまさぐって体がピクリと跳ねる。ぽたぽたと髪から垂れた水が肩を濡らして冷たい。

「髪ちゃんと拭かないとな」

「別にいい」

「風邪引くから、ちょっと待ってて」

 するっと熱が離れてパタパタと洗面所の方へ遠のく。こんなことならちゃんとしてくるべきだった。急いで準備してきたのに意味がない。
 すぐにタオルを持って戻ってきてベッドへ手を引かれる。ベッドに上がるとすぐに背後から頭をワシワシと拭かれる。この時間は結構好きだ。その心地よさに身を任せているとケツにかたいものが押し当てられて振り返る。

「…バキバキ」

「バレた?」

「当ててんだろ…ッ」

「しよ」

 するりと体をなぞる手が容易に心拍度を高めていく。さっきのちゅーもそうだし、いつも何かとさせてばかりだなと思う。こいつは「好きでやってるから」とか言うんだろうけど。
 ……同じように撫でたら感じたりするんだろうか?いつもされているようにツゥー…ッと胸の上に指を走らせる。

 顔を見上げると期待とは裏腹にいつも通りの欲にも幸福にも満ちたような顔で見つめられていて、自分ばかり弱いところがあるのだと思うとムッとくるものがある。そのまま指を下げて腹に触れても反応なし。多分耳も背中もなんともないんだろうな、なんて思いながら密かに弱点を考える。
 ふいに口が目に留まる。いつもなら匂わせて向こうからさせるところだが、たまにはいいかもしれない、なんて思って吸い寄せられるように唇を重ねる。予想外の行動にきょとんとした後、ぶわりと表情が変わっていく。

「…えっ!……ちょ、もっかい!」

 こういう時のこいつの動揺した顔は可愛い。二人の時しか見せない顔だし、そもそもそんなに見れない顔だと思っていたけれど俺からすれば見れるのか。

「だめ、また今度な」

 これまで恥ずかしいだのなんだのと自分からできないでいたが、この顔が見れるならあまりしないでいるのが正解かもしれない、なんて思った。




………




 火曜恒例「俺彼会」の日がきた。

「ガチごめん!俺、いつもこの時間に話してることあいつらに言いかけちゃって、なんか言われんかった?」

 開口一番、デカめの謝罪に圧倒されてどう答えようかと思考を巡らせる。バレた結果、恥ずかしさでいえば最悪だったが、まぁ他を加味すると悪くはなかった。「何話したの」だの「俺も今ここで惚気るから聞いて」だの言われて面倒だったけれど、嬉しそうだったしあの後のえっちのことを思えばむしろよかったまである。

「まぁ…ミスは誰にでもある。隠してることあんのって聞かれたくらいで内容言ったわけじゃないらしいし気にすんな」

「うわよかった~!怒ってるかと思ってたわ、まじごめんな。葉大お前にしつこそうだけど大丈夫だったん?」

「あー、まあ……え?」

「えっ?」

「なんで葉大?」
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