触れる唇(短編詰め合わせ)

イツキカズラ

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壁尻もどき*

壁尻➂*

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 壁の向こう側から微かに葉大の声がする。

「…なに、聞こえ、な……んっ…」

 辛うじて葉大の声だとわかる程度の声だ。きっと向こうにも俺の声は聞こえないんだろう。

 ゆるやかな心地いい快感に腰を揺らす。前を触られて急激な生々しい感覚にピクリと体が跳ねた。

「ん、く……っ」

 鈴口から溢れる先走りを広げるようにぬちぬちと扱かれる。これまでの緩やかな気持ちよさとは違う、ゾクゾクと電気が走るみたいな感覚に声が出そうになる。

 …そういえばあれだけうるさかった周りの声はいつの間にか消えている。今聞こえるのは自分の呼吸音と遠い葉大の声だけだ。

 くぽくぽと後ろを出入りする指と前立腺を掠めるその感覚に腰が浮く。

「もっと、…ン…もっとちゃんとほしい…葉大…っ。
オッ!…ォ…ッ~~~~ッ!!ん"…くっ…、あっ…あ」

 その言葉に応えるように指よりずっと太い硬いものを挿れられて、ゴリゴリと気持ちいいところをピンポイントで刺激されるその快感に目の前がチカチカした。

 先ほどまでと明らかに違う強烈な快感にガクガクと体が震えがとまらなくなる。

「締まってる。かわいい」

 耳元で聞こえた声に目を見開く。

「起きたの久、おはよ」

「え、ぁ…?」

 眠気と気持ちよさに頭がふわふわする中、声のほうを振り返る。葉大が汗を滲ませて苦しそうな顔をしていて、普段あまりみない顔にきゅぅっと心臓が音を立てる。

 いつもは気持ちよくてわけがわからなくなってしまうし、顔をまともに見てられる余裕なんてない。

「ごめん、止まんない」

 ぱちゅぱちゅと止まらない律動に声が漏れる。一際強く腰を押し付けられてからずるりと葉大のが抜かれていく。淫らな息遣い、繰り返し落とされる唇は優しい。

「起こしてごめん」

「ん…別にいい…」

 首に手を回すともう一度ちゅーしてくれた。

「なんか尻出してるし寝言も……可愛すぎて我慢できなかった。なんの夢見てたの?」

 柔らかなその声にさっきまでの夢が思い出されてカッと顔が熱くなる。そんなの言えるわけがない。いつもは夢なんてすぐ忘れるのにこんなのに限ってなんで覚えてるんだよ、と自分を恨めしく思う。

「……お前こそ、寝たんじゃなかったのかよ。寝込み襲うとか…ヘンタイ」
「変態て…。久こそ絶対えっちな夢見てたくせに」
「お前が寝込み襲うからだろ…っ!」
「起きたときにはもう尻出してたけど」
「…お前が脱がしたんじゃねぇの」
「…………久が自分で脱いだ可能性もあるでしょ」
「ない」
「ある」
「ないっつーの!」
「自分から腰押し付けてたけど…」

 ニヤニヤした顔がムカつく。また反論しようとした唇を食まれて言葉は飲み込まされてしまった。
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