覇王の子

八ケ代大輔

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第三幕「信元」

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 減敬、登場。
減敬「長篠の戦いは徳川・織田連合軍の大勝利に終わりました。勝利に沸く徳川・織田連合軍。このまま一気に宿敵・武田軍を滅ぼすかと思いきや、しかし、この頃から徐々に徳川家と織田家の間に溝ができ始めるのでありました」
 減敬、退場。
 信長を中心に軍議をする諸将板付き(水野除く)
家康「信長殿、長篠合戦の大勝利おめでとうございまする」
一同「おめでとうございまする」
信長「うむ。これで武田も少しはおとなしくなるであろう」
家康「ええ。我らの遠州攻略もはかどりまする」
康政「この勢いに乗り一気に甲斐へ攻め込みましょう、のう皆の衆?」
一同「おう!」
信長「・・・そうしたい所じゃが、まずは足元を固めねばならん」
家康「どういう事ですか?」
信長「実はな、水野信元が武田と通じていたようだ」
家康「何と!それは真なのですか?」
信長「儂の家臣・佐久間信盛からの知らせじゃ」
秀吉「佐久間の?の、信長様、それは・・・」
信長「猿、黙っておれ」
秀吉「へ、へい」
本多「水野信元殿は殿の伯父上。まさかそのような事をするとは思えません」
石川「長篠でも共に戦っていたではありませんか」
信長「だからといって、内通していないという証拠はあるのか?」
石川「それは・・・」
信長「それともまさか、うぬらも水野の一味ではなかろうな?」
家康「まさか、我らが武田と通じている訳がありませぬ」
信長「家康、盟友であるお主を疑いたくはない。だからこそ、お主の忠義を示してもらいたい」
家康「と、言いますと?」
信長「水野信元を殺せ」
平岩「殿に身内を、己の伯父を殺せと言うのですか!?」
家康「親吉、控えよ」
平岩「殿!」
家康「信長殿。水野信元の首、この家康が必ず取りまする」
信長「左様か」
家康「はい」
信長「・・・しかし、うぬも水野信元には世話になっておるであろう。うぬ自ら手をかける必要はない。他の誰かにやらせるがよい」
家康「いえ、拙者自らが手を下します」
信長「まあそういうでない、家康。うぬが選べぬのであらば、こちらで選んでやろう・・・信忠、誰がよいと思う?」
信忠「そうですな・・・ここは信康殿がよろしいかと」
信康「!」
 ざわめく一同。
信長「なるほど。三河を治める次期徳川家の当主ならば、この大役をこなしてくれるであろう」
家康「し、しかし、信康はまだ若輩者ですので・・・」
信長「何じゃ、こちらの人選が間違っていると?」
家康「いや、そうではありませんが・・・」
信長「今、この間にも水野は武田と密会をしておるやもしれん。水野信元の件、急ぎ頼んだぞ」
家康「・・・はっ」
 信長、信忠退場。
清政「許せん!何じゃ、あの態度は!」
康政「兄上、落ち着いて下され」
清政「落ち着いていられるか!?」
石川「徳川は織田の家臣でないのだぞ」
酒井「しかし、信長殿からの依頼、断る訳にもいかんであろう」
石川「だからと言って、はいわかりましたとむざむざ従うのか?」
酒井「従わねば徳川が滅びる」
石川「くっ」
本多「何とかならんものでしょうか」
井伊「このままじっとしておる訳にもいきませんし」
康政「今後の遠州攻略の策も考えねばならんのにな」
信康「・・・父上、水野信元殿の件は拙者に御任せ下さりませ」
家康「信康」
信康「この件は拙者が何とか致しまする」
家康「そうは言うてもな・・・」
石川「我ら岡崎衆も信康さまに御助力致します。なので、殿と浜松衆は遠州攻略に力を入れて下さいませ」
酒井「数正」
家康「・・・相分かった。では、この件はお主たちに任せるとしよう。すまんな、信康」
信康「天下泰平の為、致し方ございませぬ」
家康「我が子ながら立派に育ったものよ・・・頼んだぞ、信康」
信康「はっ」
 家康、井伊、退場。
酒井「数正、良いのか?」
石川「ああ、お主たちはお主たちのやるべき事をせよ」
酒井「わかった。この件、任せるぞ」
 酒井、立ち上がる。
酒井「それでは浜松衆はこれより遠州攻略の軍議を行います故、失礼致します」
 酒井、本多、康政、井伊退場。
信康「・・・もう、後には退けなそうじゃな」
石川「ええ、やるしかありませぬ・・・清政」
清政「はっ」
石川「水野殿を呼んで参れ。くれぐれも暗殺の件を臭わせるなよ」
清政「はっ」
 暗転
 信長、信忠登場。
信忠「父上」
信長「何じゃ?」
信忠「水野信元の内通、本当なのですか?」
信長「・・・さあな。おそらく刈谷の城がほしい佐久間の讒言であろう」
信忠「・・・なるほど。やはり、そういう事でしたか」
信長「ほう、うぬもわかるようになってきたか」
信忠「はっ」
信長「武田の脅威が去った今、儂の天下布武はもう間もなく・・・その前に儂の天下布武の邪魔になるものは排除しなくてはな」
信忠「水野信元の件は、その手始め・・・」
信長「左様。しかし、さすがは家康じゃ。伯父殺しを断れば、徳川も一緒に潰すつもりだったが・・・」
信忠「家康は、それを承知で?」
信長「さあな。しかし、わかった所で徳川には織田に歯向かうほどの力などない」
信忠「確かに」
信長「信忠よ。儂の天下、見えてきたぞ・・・ふははは、ふはははははははは!」
 信長、信忠、退場。代わって信康、石川、平岩、清政登場。
信康「信元殿は本当に来るのか?」
石川「はい。内通の件を弁明に参ると」
信康「信元殿は本当に武田と内通していると思うか?」
石川「わかりませぬ。が、忠次が言っていたようにやらねば徳川が滅びまする」
信康「で、あるな」
 そこへ水野登場。
水野「信康殿~!お出迎えかたじけない」
 頭を下げる一同。
水野「此度は大変な事になってしまった。儂が武田と内通しておるなど・・・。さて信長殿と家康殿はどこにおられるか?」
信康「・・・」
水野「信康殿?」
石川「御免」
 石川、水野に斬りつける。
水野「ぐあっ!な、何を致す!?」
平岩「信元殿に私怨はありませぬが、信長殿からの下知でござる。御免」
 水野に斬りつける平岩。
水野「ぐっ!・・・の、信康殿。儂を殺すのか?」
信康「・・・」
水野「信長殿と家康殿の天下を願う儂をか?」
信康「・・・」
水野「儂は今まで、織田と徳川の間を取り持ってきた・・・その儂を殺すという事は、織田と徳川の間ももう終わりですぞ」
信康「・・・御免」
 信康、水野に止めを刺す。
水野「ぐっ!」
 倒れる水野。
水野「信康殿、このままでは徳川が、危ない。織田に飲み込まれ・・・」
 絶命する水野。
清政「・・・やりましたな、信康さま」
信康「・・・」
清政「信康さま?」
 膝をつく信康。
信康「・・・う、うう」
清政「信康さま」
信康「父上の事を何度も助けていただいた信元殿を、父上の伯父である信元殿を、この手で・・・」
石川「・・・二人とも此度の暗殺は我らのみで行った」
清政「は?」
石川「水野信元殿は儂らが殺したのじゃ。徳川を継がれる信康さまが身内を殺したとならば、後々の事にも関わる」
清政「承知致しました」
石川「織田信長め・・・殺すのであれば、己の手で殺せばよかろう。何故このような仕打ちを」
 信康、ゆっくり立ち上がる。
石川「信康さま?」
信康「・・・軍門に下るか、滅ぼされるか」
石川「はい?」
信康「それとも・・・滅ぼすか」
 暗転
 信長を中心に軍議をする諸将。信長の前には首桶がある。
信長「水野信元の首、しかと受け取った。これで喉元に突き刺さった骨を取る事が出来た。家康、大義である」
家康「はっ」
 信長、去ろうとするが立ち止まる。
信長「そうじゃ。長篠城を守り通した奥平に何か褒美を授けたいのだが・・・家康、お主の長女がおったな」
家康「亀姫でございますか?」
信長「そうだ。その者を奥平への褒美として渡す」
家康「何と!」
信長「良いな、家康?」
家康「しかし・・・」
信長「儂に意見するつもりか?」
家康「いえ・・・」
信康「・・・拙者は反対でございます」
信長「何?」
平岩「信康さま」
信康「徳川家は三河一国を治める大名。一方で奥平家は東三河の一豪族に過ぎませぬ。そんな者では我が妹・亀姫との釣り合いが合いませぬ」
家康「信康、控えぬか」
 信長、立ち上がり信康を威嚇するが、信康はまったく動じない。
信康「・・・」
信長「・・・ふっ、ふははははは。面白い。好きにするがよい」
信忠「父上、良いのですか?」
信長「構わん」
信忠「はっ」
 信長、信忠退場。
家康「信康、お主の気持ちもわからなくはないが・・・」
信康「父上。父上は何故何も言わぬのですか?このままでは信長の要求はどんどん強くなってゆきます」
家康「わかっておる」
信康「わかっておられませぬ。このままでは徳川は織田に滅ぼされますぞ!」
酒井「滅ぼされぬように我々は注意深く振る舞っておるのです。先ほどの信康さまの発言は軽率でございます」
石川「忠次。そこまで言う事はなかろう」
酒井「徳川の将来がかかっておるのだ。致し方なかろう」
石川「信康さまは徳川の跡継ぎ、次期当主じゃぞ。失礼であろう」
酒井「次期当主であろうが、足軽であろうが、関係ない。徳川を守る為じゃ」
本多「お二方ともお止め下さい」
石川「徳川を守る為じゃと?このままでは徳川は織田家の犬に成り下がるぞ」
酒井「織田は強い。運もある。今は逆らうべき時ではない」
石川「では、いつが逆らうべき時なのだ?」
酒井「それは・・・」
家康「二人ともそこまでじゃ」
石川「殿」
家康「事実、徳川の力は織田には到底及ばない。長篠の戦いとて織田の力なくして武田に勝てたとは思えん。今は耐えるしかない」
石川「くっ」
家康「亀姫も、奥平家に嫁がせる」
信康「・・・」
家康「信康、織田との接し方には注意するのだぞ」
信康「・・・」
家康「では我らは浜松へと戻る。三河の事は任せたぞ」
 家康、浜松衆退場。苛立つ信康。
石川「信康さま・・・」
信康「すまん。一人にさせてもらえぬか?」
石川「・・・はっ」
 石川、平岩、清政退場。一人物思いにふける信康。
秀吉「信康殿」
 秀吉、登場
信康「あなたは、確か織田の・・・」
秀吉「羽柴秀吉でござる」
信康「秀吉殿・・・して、何用でござるか?」
秀吉「いや~先ほどの信康殿のお姿素晴らしや」
信康「いえ、そんな」
秀吉「織田家の者は信長様が怖くて、信長様の前であんな意見を述べるもんなんておりませんて」
信康「左様ですか」
秀吉「して、信康殿。信康殿は、この国の将来をどう考える?」
信康「急に何でござる?」
秀吉「儂はの~皆が笑って暮らせる平和な世の中を作りたいと思っとるんよ」
信康「それは素晴らしき夢ですな」
秀吉「ほじゃろ~。じゃがな・・・」
信康「じゃが?」
秀吉「儂が望んでおる世と、信長様が望んでおる世が、ち~っと違うように思えての」
信康「・・・」
秀吉「儂は信長様の側におってようわかる。信長様が作りたい世は、信長様が織田家が中心となって動いて行く世。敵は容赦なく叩き潰され、焼かれ、殺され、正に武によって天下を治める天下布武。はてさて、それが本当にいい世の中になるのか?」
信康「秀吉殿、織田家のあなたがそのような事を言って大丈夫なのですか?」
秀吉「信康殿ならわかってくれると思うてな」
信康「確かに拙者も秀吉殿の意見には賛同です」
秀吉「じゃろ。はっはっは、そうじゃと思うた」
信康「しかし、そうは思うても拙者は所詮三河一国を治める大名の子。何も出来ますまい」
秀吉「信康殿、何を弱気な事を。儂なんか、元は尾張の農民だでよ。それが今じゃ、尾張の武将じゃで。人生何があるかわからんでよ~」
信康「秀吉殿」
秀吉「じゃで、信康殿。もし信康殿にその覚悟があらば。そん時は儂に声かけてちょーよ」
信康「・・・その覚悟とは?」
秀吉「言わんでもわかるじゃろ」
信康「・・・下克上でござるか?」
秀吉「ま、ちょっと考えてみてちょーよ。あ、この事はもちろん儂らだけの秘密じゃでな」
 秀吉、退場。
 暗転
信忠「信康め。何じゃ、あの態度は・・・許せん。父上に歯向かうという事は、織田家に歯向かうという事。織田家に歯向かう者がどうなるのか、見せつけてくれよう。お主たち」
 織田の忍び、登場
信忠「信康を、殺せ」
忍び「はっ」
 暗転
 減敬、登場。
減敬「天正三年、水野信元暗殺。この事件により徳川と織田、そして浜松衆と岡崎衆の間に微妙なひびが入り始めるのでありました・・・。この当時の徳川家は浜松城に徳川家康が岡崎城に徳川信康がおりました」
 家康、登場。
減敬「家康が治める浜松には浜松衆の筆頭・酒井忠次、その下に本多忠勝、榊原康政。家康の小姓である井伊直政がおりました」
 浜松衆、登場。
減敬「一方、岡崎衆の筆頭は石川数正、その下に平岩親吉、榊原康政の兄・榊原清政が控えておりました」
 岡崎衆、登場。
減敬「両者の溝はまだ浅い・・・もっと大きなひびにならないと」
 家康、浜松衆、岡崎衆、退場。
減敬「さて、そろそろ私の出番ですかね」
 減敬、信康に近づく。
減敬「信康さま」
信康「ん?お主は確か、母上お付きの・・・」
減敬「甲州の医者・減敬と申します」
信康「甲州?・・・武田の者か?」
減敬「いえいえ、武田から逃げて来たのです」
信康「で、そのお主が何の用じゃ?」
減敬「瀬名姫さまから近頃、信康さまの体調が優れぬと聞いたもので」
信康「左様か」
減敬「ならば是非これをお使い下さいませ」
 減敬、懐から薬を取り出し信康に渡す。
信康「これは?」
減敬「ケシの実から採取した『阿芙蓉(あふよう)』という薬で心を癒す効果がございます」
信康「それはありがたい。では貰って行くぞ」
減敬「はい」
 頭を下げる減敬。その間に信康は退場。
減敬「・・・ちなみに、大陸では『阿片(あへん)』という名で呼ばれておりまする。ふふふ、ふははははは」
 暗転
 信康、清政板付き。
清政「信康さま、信康さま」
 明転
清政「信康さま、大丈夫ですか?」
信康「・・・ん、ああ。近頃ぼーっとする事が多くてな」
清政「久々の鷹狩りで気分が優れると思いましたが、城に戻りますか?」
信康「ああ、そうだな・・・清政、先に戻っていてよいぞ」
清政「しかし・・・」
信康「一人になりたいのだ」
清政「・・・はっ」
 清政、退場。代わって頭巾を被った僧侶、登場。
信康「ん、何者だ?」
僧侶「こんな所にお侍さまが、拙僧は近くの村に住む僧でございます」
信康「左様か」
僧侶「薪を拾いに来た帰りでございます」
 僧侶、信康の横を通り過ぎて行くが立ち止まる。
信康「どうした?」
僧侶「あなたには何か不吉なものがついている」
信康「何?」
僧侶「あなた、最近、人を殺めましたね?」
信康「お主、何者だ?」
僧侶「あなたは、その事を大変後悔している」
信康「止めろ!言うな!」
僧侶「そして、殺された方も、あなたを大変恨んでいる」
信康「止めろ!」
僧侶「罪もない者を殺してしまったあなた。無実の罪で殺された相手」
信康「お主、一体何者だ!?」
 信康、僧侶の頭巾を取る。
信康「そ、そんな、水野、信元殿・・・」
 僧侶から離れる信康。
信康「う、うそだ。水野殿は、儂が、この手で、この手で・・・」
僧侶「そうだ、お前の手で無惨に殺された・・・」
 僧侶、信康に近づいていく。
僧侶「なぜ、無実の儂を殺した?」
信康「よせ!来るな!」
僧侶「徳川の為か?己の為か?それとも、織田の為か?」
信康「止めろと言うておる!」
僧侶「お前は弱い。ただただ家康や信長の言う事を聞く事しかできない」
信康「うるさい!」
僧侶「口では反抗できても行動に移す事ができない・・・弱い男よ」
信康「だ、黙れ!」
 信康、縄で僧侶の首を絞める。
僧侶「ぐあぁ!」
信康「黙れと言っておるのだ」
僧侶「黙らぬ、うぐぐぐ」
 息を引き取る僧侶。
信康「はぁはぁはぁ」
清政「信康さま!」
 清政、登場。
清政「大きな声が聞こえたので戻って来たのですが・・・信康さま、どうされました?」
信康「・・・水野信元殿じゃ」
清政「水野殿は先日我らが・・・」
信康「信元殿じゃ。間違いない信元殿じゃ」
 清政、僧侶を確認する。
清政「ただの僧でございます」
信康「儂が間違えるはずがない。信元殿じゃ」
清政「信康さま、とりあえず城へ戻りましょう」
 暗転
 信康、清政、城へ戻る途中、村の祭りに遭遇。
清政「おお、今日は祭りであったか」
 踊る村人たち
清政「信康様。祭りでも見て、少し休みますか」
信康「そうじゃな」
 村人たちが二人に近づいて行く。
清政「信康さま、我々も踊りましょう」
信康「うむ」
 踊る二人を囲む村人たち。直後、刃を取り出し二人に襲いかかる。
清政「お主ら、何をする!?」
 立ち回り。二人、村人たちを倒す。
清政「はぁはぁ、こやつらは一体・・・?」
信康「・・・忍び、か」
清政「忍び・・・信康様、急ぎ城へ戻りましょう」
信康「うむ」
 暗転
 休む信康を囲む石川、平岩、清政板付き。
石川「信康さま、大丈夫ですか?」
信康「ああ・・・」
石川「襲った奴らは一体・・・?」
信康「決まっておろう、織田の忍びじゃ」
石川「織田の?」
信康「舅(しゅうと)殿に歯向かった儂を殺すつもりだったのであろう」
石川「まさか、そこまで・・・」
信康「数正、儂は決めた・・・織田を討つ」
石川「の、信康さま。それは・・・」
信康「わかっておる。しかし、やらねばならん。織田を討たねば、徳川の将来はない」
石川「・・・」
信康「お主らはどう思う?」
石川「信康さまがそう仰るのであらば、儂は最後までついて行きまする」
平岩「拙者も信康さまの為ならば、この命捨てる覚悟でございます」
清政「某も同じく。織田家の横暴をこのまま許しておく訳にはいきませんからな」
平岩「天下を取るのは織田ではなく、我ら徳川でござる」
信康「うむ、織田に不満を持っておる者も多いはず。まずは仲間を増やさねばな」
石川「ですな」
信康「数正。取り急ぎ、この書状を織田の羽柴秀吉殿に送ってはくれんか?」
石川「織田ですか?」
信康「織田家も一枚岩ではないと言う事じゃ」
石川「はっ」
信康「秀吉殿、頼みましたぞ」
 暗転
 信長、信忠板付き
信長「信忠よ」
信忠「はっ」
信長「お主、何やら小賢しい真似をしたそうじゃな」
信忠「・・・何の事でしょうか?」
信長「ふん、隠しても無駄じゃ。暗殺など弱き者のする事」
信忠「・・・」
信長「王たる者、そんな小賢しい真似はせん」
信忠「はっ」
信長「信康の件は儂に任せよ。お主は余計な事はせんでよい」
信忠「ははっ」
信長「さて、信康よ。如何したものかな」
 暗転
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