75 / 207
ヒトのキョウカイ3巻(時給より安い命)
15 (戦争外交)
しおりを挟む
外周区から中央区に行く際には検問所を通る。
検問所は 普通のポールを使ったバリケードがあるだけで 2人のアサルトライフルを装備した警備員がいる。
運転手が電子ペーパーを警備員に見せ、スキャナーでバーコードを読み取る。
窓にはスモークガラスが貼られており、乗っているヒトの顔が見えないので、窓を下げて見えるようにする。
警備員が外からスキャナーで顔を撮影し、骨格レベルで事前のデータと同じか確認する。
通常なら顔を骨格レベルで変えられるサイボーグやポストヒューマンは この時点で通る事が出来ない。
「どうぞ、お通り下さい。」
ポールが上がり窓が上げて車が検問所を通過した。
「流石に検問所では武装はしますか…。」
レナがつぶやく…。
「あれは殆《ほとん》ど飾りです…発砲した事はありませんし、何よりこの車両はDLのコクピットに使われているS級複合装甲を使っています。
撃たれたとしてもびくともしませんよ…」
ピースクラフトが笑いながら答える。
じゃあ何でS級複合装甲を使っているのよ…。
少なくとも対物ライフルで撃たれる可能性を警戒する程には治安が悪いと言う事ね…。
外に空気を逃がさない為のエアロックの通路を移動し中央区に入る。
中央区のエアドームの中は円状の貯水用の大きな堀があり12m程の石積み風の城壁がある。
一か所だけ開いている場所には跳ね橋がかけられていて その橋を通り、中に入る…。
中に入ると橋を支えているワイヤーが巻き取られ、橋が上がり壁になる。
城壁で城を囲み、堀に跳ね橋と対人用にしては過剰な位の要塞。
ピースクラフトの趣味か それとも暴動を警戒しての事か…。
平和ね…。
レナは苦笑いをしながら窓から街並みを見る…。
街の外見に合った井戸や悪臭や死体が無い綺麗な所だけを抜き出した中世ヨーロッパ風の建物が流れて行く…。
都市民は腰にリボルバーを下げていている…何で自動拳銃じゃ無いのだろう?
ピースクラフト都市の中心にある大きな城の木の門がゆっくり開き、車が入る…。
中に装甲材でも入れているのか、やけに重そうだ。
がっちり門が閉まり駐車場に車を止める。
トヨカズとガードマンが まず降りて安全を確認した所で ピースクラフトが降り続いて レナと天尊が降りる。
後ろの車に乗っていたハルミ、ロウ、ジムのチームは ピースクラフト都市が労働力を奪うドラムやポストヒューマンを嫌っているので、中央区には入れたが会議室には招待されず、直接客室に案内される。
城の中に入り3人は歩く…。
「見た目はレトロになっていますが、中身はピースクラフトの最新素材を使った建築を採用しています。」
「へぇ…また色々変えたみたいですね…」
天尊があちこち見ながら言う。
「また?」
レナが天尊の顔を見る。
「我々が贅沢をすれば、そこで消費される建築資材、研究費、美味しい食事などで支払われるお金は都市民の生活を豊かにします。
この改修工事もその一環です。
かなりのプロジェクトだったのですが、ようやく半年前に終わりましたよ。」
「へぇ…ケインズ経済の需要を中央区が上げているんですね…。」
トヨカズが言う。
「そうです。都市民が飢えないように 製造した商品が売れ残らないように私達が買い取るのです。」
「さぞかし都市民は儲かっているでしょうね…。」
「ええ、都市の事業は好調ですよ」
事業は…か。
会議室の大きな扉を開け中に入る…。
贅沢の限りを尽くした飾りが会議室のあちらこちらにあり、ピースクラフトが奥に座り、レナと天尊は手前に座る。
トヨカズはレナの斜め後ろの壁に立ちセーフティは掛けたまま 銃をいつでも構えられるようにして待機する。
「良いガードマンですね…。」
ピースクラフトはトヨカズを見て言う。
「ええ、どうも」
「本来なら歓迎会を行った後に交渉に入るのですが…緊急の御用との事で…お伺《うかが》いましょう。」
ピースクラフトが机の上で手を組む。
「では交渉に入りましょう…。」
レナがARウィンドウを開いた。
「データは既に受け取って貰えましたね。
単刀直入に言います『ワームの進行地域での戦闘許可』をお願いしたいのです。」
レナが言う…隣の天尊は口を挟まずレナに任せている。
「レナ次期都市長…この都市は平和の都市です。
自衛用の歩兵武器はともかく、DL用の武器…それも使用前提での許可を出す事は出来ません。
それに私はワームだからと言う理由で殺傷する事も反対です。
私達は殴りつけて言う事を聞かせるような サルでは無いのです…。
言葉を操り、相手と交渉が出来る高等動物なのです。
私はワームとの平和的解決を願っています。」
「では 具体的にピースクラフト都市は、どう言った対応を行うつもりでしょうか?」
「まずは コミュニケーション手段の構築が不可欠だと考えています。
具体的には 視覚が認識できる事は分かっていますので光を使ったアプローチと音のアプローチ…それに相手の行動を元に意味を予測するジェスチャー解析…これらを行います。
これらは動物の言語を解析する際に使う手段で 方法は確立されています。
まずはこの方法で 話を成立させて、後は相手の望むものを提供出来れば解決します。」
「ワームの望むモノですか…。」
「恒星間航行が可能で 宇宙全体に広がるワームが わざわざ地球まで来たと言う事は 何かしらの目的があると言う事です。
それが食料なのか資源なのかは分かりませんが…必要物資を渡せば大人しくなる可能性も十分にあります。」
「その必要物資が人でもですか?」
「人の構成成分は把握しています。
ワームに差し出す肉体を生成する事も可能です。」
トヨカズのようなクローンを作って差し出せと…。
「それはワームに降伏すると言う事ですか?」
「いいえ、降伏では無く和解です。
ベストなのは商業上の取引相手になる事なのですが…。」
「ピースクラフトさん、あなたは無抵抗と平和を一緒にしています。
確かに武力による解決は 間違って いるのかも しれません。
ですが、武力が無ければ都市民を守れません…。
都市民を守れるなら都市の理念より優先しても良いと私は考えています。」
砦学園都市がオーパーツの導入をするように…都市民の幸福に繋がらないなら必要に応じてルールは破られるべきだ。
「ですが…」
「旧時代の人類の生存戦略は 大量破壊兵器を各国が持ち『攻撃をして来ても良いけど割に合わない被害を与えてやる』とアピールする事で大規模な戦闘を避けてきました…。
今回は私達がワームから攻撃を受けています。
故にワームに『ピースクラフト都市に攻撃をした場合、痛い目に合うぞ』とアピールする事が大事なのです…。
そして我々を滅ぼして資源を手に入れるのでは無く、交易による商売としてやった方が得だとワームに思わせるの事で、ピースクラフト都市のような商売による平和が成り立ちます。」
「ううん…。」
「ピースクラフト…レナの戦略には私も賛成です。
生き残らなければ そもそも商売が成り立たないのではありませんか?」
まだ食い下がるのね…。
「トヨカズ…今この城にいる人を皆殺しにしろと命令した場合、実行可能ですか?」
レナがトーンを落とし言う。
「え。」
「ちょそれ外交問題…。」
ピースクラフトがレナの言葉に驚き、天尊も慌てて口調が素に戻る。
「う~ん30発のマガジンが今 挿しているのも含めて5本だから150発か…100キルは出来るんじゃねぇか?」
トヨカズは殺せと言われているにも関わらず、平静にピースクラフトに見せつける様にセーフティを解除て単発に切り替え、引き金に指をそえてGOサインが出れば すぐに発砲出来るようにする。
マジかよ…。
内心 心臓がバクバクのトヨカズは全力で平静を装い答える。
相手側の武装はオートマチックのハンドガン、こちらは狙撃仕様のM4…しかも相手の位置を把握する為のドローンもある。
大量に来られたら流石に無理だが、1人1人削っていく事は十分に可能だ。
恐らく今のはレナの脅し外交だ。
実際に殺す訳では無いが、殺れると本気で思わせなければ ピースクラフト側に死人が出る。
やっている事は戦争中の外交と変わらない。
さあどう出る?ピースクラフト。
トヨカズは ピースクラフトの目に殺気を送る。
殺気とは第6感とかでは無く、人の経験から導き出された理屈では説明出来ない危険信号だ。
これはVR環境でも養う事は出来るが…危険を感じた事の無いピースクラフトには果たして伝わるかだろうか…。
「ひっ…」
生物の本能が告げる原始的な感覚が告げる危険信号に短く悲鳴を上げ、ピースクラフトは脂汗を流しつつ平静を保つ。
これは賭けだ…。
レナの意図を汲んだトヨカズが殺気を送る…。
人工皮膚に取っ換えたのに 久しぶりに感じる肌がピリピリするような危険信号…。
ワームが進行してきた場合、被害者は100人を軽く超える。
ならここで100人を殺して言う事を聞かせた方が良い。
そして、もしトヨカズを殺せるなら 平和を維持するのに武力が必要だと自ら認める事になる。
とは言っても外交としては悪手…。
ここで許可をもぎ取れても、ピースクラフト側に遺恨が残る。
遺恨が残れば 前時代のアメリカのように、テロやゲリラに脅え、対処する為に割の合わない出費をさせられる。
ただ周辺の都市としか物資のやり取りをしていない砦学園都市は断交された所で大して問題にならない…。
まさか平和の国が砦学園都市に報復戦争を仕掛けてくる事も無いでしょうし…。
「分かりました…戦闘許可を出しましょう。
ただ この都市は平和の国です…。
戦力は一切出せません…これが譲歩案です。」
ふぅどうにかなった…。
「それで構いません…天尊は?」
「ええ私も問題ありません。」
「トヨカズ…交渉は済みました…セーフティを掛けなさい。」
「了解…ふう」
トヨカズがセーフティを掛け、一息つく…それと同時に殺気も無くなった。
「書面は後で書いてもらうとして、同意の握手を貰えますか?」
「ええ」
ピースクラフトがレナと天尊と握手をする。
これで契約は成立だ。
滞在用の個室に招待されたが、既にハルミが部屋のセキュリティの検査を終え、ロウと文字の練習をしていた。
皆がこの部屋を使っても 大丈夫な位の広さで豪華な飾りが大量に使われていて落ち着かない。
「トニー王国語って日本語ベースに名詞が英語だっけか…。
この機会に翻訳機無しで話せるようにして見るか…あーお帰り。」
「どうするんですか?あんな交渉で…。」
天尊が頭を抱えながら言う。
「どうかしたのか?」
ハルミが言う。
「レナがピースクラフトを脅しつけて無理やり戦闘許可を取り付けました…。」
天尊が言う。
「うわあ…過激…。」
ハルミが笑いながら言う。
「だったら止めれば良かったじゃない…私に嫌われ役をやらせたんでしょ」
「……まぁ」
「なら、アフターケアは天尊の仕事…私にはそんな繊細な事出来ないしね…。」
角が立たない外交をする必要性は無い…。
後からヤスリで丸く削ってしてしまえば結果的に丸くなる。
そしてそのヤスリ役は、太陽系中の企業の利害を上手くまとめていてる天尊が適任だ。
「これは、高くつきそうですね…。」
天尊は『はあぁ』と大きなため息を付き復旧プランを考え始めた。
検問所は 普通のポールを使ったバリケードがあるだけで 2人のアサルトライフルを装備した警備員がいる。
運転手が電子ペーパーを警備員に見せ、スキャナーでバーコードを読み取る。
窓にはスモークガラスが貼られており、乗っているヒトの顔が見えないので、窓を下げて見えるようにする。
警備員が外からスキャナーで顔を撮影し、骨格レベルで事前のデータと同じか確認する。
通常なら顔を骨格レベルで変えられるサイボーグやポストヒューマンは この時点で通る事が出来ない。
「どうぞ、お通り下さい。」
ポールが上がり窓が上げて車が検問所を通過した。
「流石に検問所では武装はしますか…。」
レナがつぶやく…。
「あれは殆《ほとん》ど飾りです…発砲した事はありませんし、何よりこの車両はDLのコクピットに使われているS級複合装甲を使っています。
撃たれたとしてもびくともしませんよ…」
ピースクラフトが笑いながら答える。
じゃあ何でS級複合装甲を使っているのよ…。
少なくとも対物ライフルで撃たれる可能性を警戒する程には治安が悪いと言う事ね…。
外に空気を逃がさない為のエアロックの通路を移動し中央区に入る。
中央区のエアドームの中は円状の貯水用の大きな堀があり12m程の石積み風の城壁がある。
一か所だけ開いている場所には跳ね橋がかけられていて その橋を通り、中に入る…。
中に入ると橋を支えているワイヤーが巻き取られ、橋が上がり壁になる。
城壁で城を囲み、堀に跳ね橋と対人用にしては過剰な位の要塞。
ピースクラフトの趣味か それとも暴動を警戒しての事か…。
平和ね…。
レナは苦笑いをしながら窓から街並みを見る…。
街の外見に合った井戸や悪臭や死体が無い綺麗な所だけを抜き出した中世ヨーロッパ風の建物が流れて行く…。
都市民は腰にリボルバーを下げていている…何で自動拳銃じゃ無いのだろう?
ピースクラフト都市の中心にある大きな城の木の門がゆっくり開き、車が入る…。
中に装甲材でも入れているのか、やけに重そうだ。
がっちり門が閉まり駐車場に車を止める。
トヨカズとガードマンが まず降りて安全を確認した所で ピースクラフトが降り続いて レナと天尊が降りる。
後ろの車に乗っていたハルミ、ロウ、ジムのチームは ピースクラフト都市が労働力を奪うドラムやポストヒューマンを嫌っているので、中央区には入れたが会議室には招待されず、直接客室に案内される。
城の中に入り3人は歩く…。
「見た目はレトロになっていますが、中身はピースクラフトの最新素材を使った建築を採用しています。」
「へぇ…また色々変えたみたいですね…」
天尊があちこち見ながら言う。
「また?」
レナが天尊の顔を見る。
「我々が贅沢をすれば、そこで消費される建築資材、研究費、美味しい食事などで支払われるお金は都市民の生活を豊かにします。
この改修工事もその一環です。
かなりのプロジェクトだったのですが、ようやく半年前に終わりましたよ。」
「へぇ…ケインズ経済の需要を中央区が上げているんですね…。」
トヨカズが言う。
「そうです。都市民が飢えないように 製造した商品が売れ残らないように私達が買い取るのです。」
「さぞかし都市民は儲かっているでしょうね…。」
「ええ、都市の事業は好調ですよ」
事業は…か。
会議室の大きな扉を開け中に入る…。
贅沢の限りを尽くした飾りが会議室のあちらこちらにあり、ピースクラフトが奥に座り、レナと天尊は手前に座る。
トヨカズはレナの斜め後ろの壁に立ちセーフティは掛けたまま 銃をいつでも構えられるようにして待機する。
「良いガードマンですね…。」
ピースクラフトはトヨカズを見て言う。
「ええ、どうも」
「本来なら歓迎会を行った後に交渉に入るのですが…緊急の御用との事で…お伺《うかが》いましょう。」
ピースクラフトが机の上で手を組む。
「では交渉に入りましょう…。」
レナがARウィンドウを開いた。
「データは既に受け取って貰えましたね。
単刀直入に言います『ワームの進行地域での戦闘許可』をお願いしたいのです。」
レナが言う…隣の天尊は口を挟まずレナに任せている。
「レナ次期都市長…この都市は平和の都市です。
自衛用の歩兵武器はともかく、DL用の武器…それも使用前提での許可を出す事は出来ません。
それに私はワームだからと言う理由で殺傷する事も反対です。
私達は殴りつけて言う事を聞かせるような サルでは無いのです…。
言葉を操り、相手と交渉が出来る高等動物なのです。
私はワームとの平和的解決を願っています。」
「では 具体的にピースクラフト都市は、どう言った対応を行うつもりでしょうか?」
「まずは コミュニケーション手段の構築が不可欠だと考えています。
具体的には 視覚が認識できる事は分かっていますので光を使ったアプローチと音のアプローチ…それに相手の行動を元に意味を予測するジェスチャー解析…これらを行います。
これらは動物の言語を解析する際に使う手段で 方法は確立されています。
まずはこの方法で 話を成立させて、後は相手の望むものを提供出来れば解決します。」
「ワームの望むモノですか…。」
「恒星間航行が可能で 宇宙全体に広がるワームが わざわざ地球まで来たと言う事は 何かしらの目的があると言う事です。
それが食料なのか資源なのかは分かりませんが…必要物資を渡せば大人しくなる可能性も十分にあります。」
「その必要物資が人でもですか?」
「人の構成成分は把握しています。
ワームに差し出す肉体を生成する事も可能です。」
トヨカズのようなクローンを作って差し出せと…。
「それはワームに降伏すると言う事ですか?」
「いいえ、降伏では無く和解です。
ベストなのは商業上の取引相手になる事なのですが…。」
「ピースクラフトさん、あなたは無抵抗と平和を一緒にしています。
確かに武力による解決は 間違って いるのかも しれません。
ですが、武力が無ければ都市民を守れません…。
都市民を守れるなら都市の理念より優先しても良いと私は考えています。」
砦学園都市がオーパーツの導入をするように…都市民の幸福に繋がらないなら必要に応じてルールは破られるべきだ。
「ですが…」
「旧時代の人類の生存戦略は 大量破壊兵器を各国が持ち『攻撃をして来ても良いけど割に合わない被害を与えてやる』とアピールする事で大規模な戦闘を避けてきました…。
今回は私達がワームから攻撃を受けています。
故にワームに『ピースクラフト都市に攻撃をした場合、痛い目に合うぞ』とアピールする事が大事なのです…。
そして我々を滅ぼして資源を手に入れるのでは無く、交易による商売としてやった方が得だとワームに思わせるの事で、ピースクラフト都市のような商売による平和が成り立ちます。」
「ううん…。」
「ピースクラフト…レナの戦略には私も賛成です。
生き残らなければ そもそも商売が成り立たないのではありませんか?」
まだ食い下がるのね…。
「トヨカズ…今この城にいる人を皆殺しにしろと命令した場合、実行可能ですか?」
レナがトーンを落とし言う。
「え。」
「ちょそれ外交問題…。」
ピースクラフトがレナの言葉に驚き、天尊も慌てて口調が素に戻る。
「う~ん30発のマガジンが今 挿しているのも含めて5本だから150発か…100キルは出来るんじゃねぇか?」
トヨカズは殺せと言われているにも関わらず、平静にピースクラフトに見せつける様にセーフティを解除て単発に切り替え、引き金に指をそえてGOサインが出れば すぐに発砲出来るようにする。
マジかよ…。
内心 心臓がバクバクのトヨカズは全力で平静を装い答える。
相手側の武装はオートマチックのハンドガン、こちらは狙撃仕様のM4…しかも相手の位置を把握する為のドローンもある。
大量に来られたら流石に無理だが、1人1人削っていく事は十分に可能だ。
恐らく今のはレナの脅し外交だ。
実際に殺す訳では無いが、殺れると本気で思わせなければ ピースクラフト側に死人が出る。
やっている事は戦争中の外交と変わらない。
さあどう出る?ピースクラフト。
トヨカズは ピースクラフトの目に殺気を送る。
殺気とは第6感とかでは無く、人の経験から導き出された理屈では説明出来ない危険信号だ。
これはVR環境でも養う事は出来るが…危険を感じた事の無いピースクラフトには果たして伝わるかだろうか…。
「ひっ…」
生物の本能が告げる原始的な感覚が告げる危険信号に短く悲鳴を上げ、ピースクラフトは脂汗を流しつつ平静を保つ。
これは賭けだ…。
レナの意図を汲んだトヨカズが殺気を送る…。
人工皮膚に取っ換えたのに 久しぶりに感じる肌がピリピリするような危険信号…。
ワームが進行してきた場合、被害者は100人を軽く超える。
ならここで100人を殺して言う事を聞かせた方が良い。
そして、もしトヨカズを殺せるなら 平和を維持するのに武力が必要だと自ら認める事になる。
とは言っても外交としては悪手…。
ここで許可をもぎ取れても、ピースクラフト側に遺恨が残る。
遺恨が残れば 前時代のアメリカのように、テロやゲリラに脅え、対処する為に割の合わない出費をさせられる。
ただ周辺の都市としか物資のやり取りをしていない砦学園都市は断交された所で大して問題にならない…。
まさか平和の国が砦学園都市に報復戦争を仕掛けてくる事も無いでしょうし…。
「分かりました…戦闘許可を出しましょう。
ただ この都市は平和の国です…。
戦力は一切出せません…これが譲歩案です。」
ふぅどうにかなった…。
「それで構いません…天尊は?」
「ええ私も問題ありません。」
「トヨカズ…交渉は済みました…セーフティを掛けなさい。」
「了解…ふう」
トヨカズがセーフティを掛け、一息つく…それと同時に殺気も無くなった。
「書面は後で書いてもらうとして、同意の握手を貰えますか?」
「ええ」
ピースクラフトがレナと天尊と握手をする。
これで契約は成立だ。
滞在用の個室に招待されたが、既にハルミが部屋のセキュリティの検査を終え、ロウと文字の練習をしていた。
皆がこの部屋を使っても 大丈夫な位の広さで豪華な飾りが大量に使われていて落ち着かない。
「トニー王国語って日本語ベースに名詞が英語だっけか…。
この機会に翻訳機無しで話せるようにして見るか…あーお帰り。」
「どうするんですか?あんな交渉で…。」
天尊が頭を抱えながら言う。
「どうかしたのか?」
ハルミが言う。
「レナがピースクラフトを脅しつけて無理やり戦闘許可を取り付けました…。」
天尊が言う。
「うわあ…過激…。」
ハルミが笑いながら言う。
「だったら止めれば良かったじゃない…私に嫌われ役をやらせたんでしょ」
「……まぁ」
「なら、アフターケアは天尊の仕事…私にはそんな繊細な事出来ないしね…。」
角が立たない外交をする必要性は無い…。
後からヤスリで丸く削ってしてしまえば結果的に丸くなる。
そしてそのヤスリ役は、太陽系中の企業の利害を上手くまとめていてる天尊が適任だ。
「これは、高くつきそうですね…。」
天尊は『はあぁ』と大きなため息を付き復旧プランを考え始めた。
0
あなたにおすすめの小説
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
陽あたりのいいパティオ 〜ももとさくらは人類最強です〜
あかぎ さわと
ファンタジー
神馬一族の末裔神馬もも(小学四年)とさくら(幼稚園年長組)は、ある特殊な能力を持っていた。それはももが念じると物や人を瞬間移動させる事ができるのと、さくらは念じると物を弾け飛ばす事ができるというものだ。
なぜなら、神馬一族は太古の昔から町を見守って人の進化を促し、悪意からこの土地を護ってきた、産土神「鬼王様」に託され、この土地を護るべく霊力を授けられた一族だからだ。
代々の末裔たちはそれぞれこうした霊力を持ち合わせて生まれていた。
そんな神馬一族が見守るこの町に、盗っ人団が入り込む。狙いは鬼王神社に祀られている宝玉だ。ももとさくらは、霊力を使って盗っ人団を追い払い、宝玉を守るが、盗っ人団は諦めず今度はさくらとももを誘拐して身代金を取ろうと画策する。
なぜなら神馬一族はこの町一体の地主で祖父の神馬権三は町長であり、昔で言えばお殿様みたいな存在であり、かつ、大金持ちだとわかったからだ。
また、神馬家は中道商店街のパティオと呼ばれる所に住んでおり、この場所は権三が知恵を絞って、天災や人災から町を守るべく建設した要塞なので、ももとさくらはそこに備えられている仕掛けと、特殊能力を使って盗っ人団との決戦の時を迎える。
町と子どもたちが主役の物語です。
祈りの果てに ― 無限の箱庭で笑う者 ―
酒の飲めない飲んだくれ
ファンタジー
俺は一度、終わりを迎えた。
でも――もう一度だけ、生きてみようと思った。
女神に導かれ、空の海を旅する青年。
特別な船と、「影」の船員たちと共に、無限の空を渡る。
絶望の果てに与えられた“過剰な恩恵”。
それは、ひとりの女神の「願い」から生まれたものだった。
彼の旅路はやがて、女神の望みそのものを問い直す。
――絶望の果て、その先から始まる、再生のハイファンタジー戦記。
その歩みが世界を、そして自分自身を変えていく。
これは、ただの俺の旅の物語。
『祈りの果てに ― 無限の箱庭で笑う者 ―』
才がないと伯爵家を追放された僕は、神様からのお詫びチートで、異世界のんびりスローライフ!!
にのまえ
ファンタジー
剣や魔法に才能がないカストール伯爵家の次男、ノエール・カストールは家族から追放され、辺境の別荘へ送られることになる。しかしノエールは追放を喜ぶ、それは彼に異世界の神様から、お詫びにとして貰ったチートスキルがあるから。
そう、ノエールは転生者だったのだ。
そのスキルを駆使して、彼の異世界のんびりスローライフが始まる。
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。
カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。
『異世界庭付き一戸建て』を相続した仲良し兄妹は今までの不幸にサヨナラしてスローライフを満喫できる、はず?
釈 余白(しやく)
児童書・童話
毒親の父が不慮の事故で死亡したことで最後の肉親を失い、残された高校生の小村雷人(こむら らいと)と小学生の真琴(まこと)の兄妹が聞かされたのは、父が家を担保に金を借りていたという絶望の事実だった。慣れ親しんだ自宅から早々の退去が必要となった二人は家の中で金目の物を探す。
その結果見つかったのは、僅かな現金に空の預金通帳といくつかの宝飾品、そして家の権利書と見知らぬ文字で書かれた書類くらいだった。謎の書類には祖父のサインが記されていたが内容は読めず、頼みの綱は挟まれていた弁護士の名刺だけだ。
最後の希望とも言える名刺の電話番号へ連絡した二人は、やってきた弁護士から契約書の内容を聞かされ唖然とする。それは祖父が遺産として残した『異世界トラス』にある土地と建物を孫へ渡すというものだった。もちろん現地へ行かなければ遺産は受け取れないが。兄妹には他に頼れるものがなく、思い切って異世界へと赴き新生活をスタートさせるのだった。
連載時、HOT 1位ありがとうございました!
その他、多数投稿しています。
こちらもよろしくお願いします!
https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/398438394
《書籍化》転生初日に妖精さんと双子のドラゴンと家族になりました
ひより のどか
ファンタジー
《アルファポリス・レジーナブックスより書籍化されました》
ただいま女神様に『行ってらっしゃ~い』と、突き落とされ空を落下中の幼女(2歳)です。お腹には可愛いピンクと水色の双子の赤ちゃんドラゴン抱えてます。どうしようと思っていたら妖精さんたちに助けてあげるから契約しようと誘われました。転生初日に一気に妖精さんと赤ちゃんドラゴンと家族になりました。これからまだまだ仲間を増やしてスローライフするぞー!もふもふとも仲良くなるぞー!
初めて小説書いてます。完全な見切り発進です。基本ほのぼのを目指してます。生暖かい目で見て貰えらると嬉しいです。
※主人公、赤ちゃん言葉強めです。通訳役が少ない初めの数話ですが、少しルビを振りました。
※なろう様と、ツギクル様でも投稿始めました。よろしくお願い致します。
※カクヨム様と、ノベルアップ様とでも、投稿始めました。よろしくお願いしますm(_ _)m
半竜皇女〜父は竜人族の皇帝でした!?〜
侑子
恋愛
小さな村のはずれにあるボロ小屋で、母と二人、貧しく暮らすキアラ。
父がいなくても以前はそこそこ幸せに暮らしていたのだが、横暴な領主から愛人になれと迫られた美しい母がそれを拒否したため、仕事をクビになり、家も追い出されてしまったのだ。
まだ九歳だけれど、人一倍力持ちで頑丈なキアラは、体の弱い母を支えるために森で狩りや採集に励む中、不思議で可愛い魔獣に出会う。
クロと名付けてともに暮らしを良くするために奮闘するが、まるで言葉がわかるかのような行動を見せるクロには、なんだか秘密があるようだ。
その上キアラ自身にも、なにやら出生に秘密があったようで……?
※二章からは、十四歳になった皇女キアラのお話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる