⊕ヒトのキョウカイ⊕【未来転生したオレは、星を軽くぶっ壊すチート機械少女と共にこの幻実(せかい)で生きて行く…。】

Nao

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ヒトのキョウカイ3巻(時給より安い命)

17 (定時報告)

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 エアドームの天井スクリーンが赤色に変わり、夕焼けを演出…しばらくして星空に変わった。
 星空を窓から見ながら ARのコンビニおにぎりを食べる…具は唐揚げだ。
 この義体になってからガッツリ系の食事の頻度ひんどがかなり減った。
 おにぎりやサンドイッチなど1つでも十分に腹が膨らむからだ。
 ジガが言うには 食事を取らなくなっても死なないが、脳の味覚を感じる部分が弱くなって味が感じ難《にく》くなるらしく、食事をして味覚野に刺激を与える必要があるとか…。
 以前と変わらず『カロリー=美味しさの数値』と言う考えで揚げ物が大好物だが、食べる量は減ったし、これから義体に馴染んでいくと また食生活が変わるだろう。
 おにぎりを食べ終え、スパウトパウチに入ったオレンジジュースを飲みながらナオは思った。

「来たみたいだな…。」
 クオリアがコールボタンを押すとARウィンドウに ハルミの顔が表示され通話が繋がる。
「そちらのセキュリティはどうだ?」
『中央区と外周区の間のセキュリティが異様に硬いな…。
 ネットやVRは出来るけど何かやったら即、足がつくだろうな。』
 前置きも無くいきなり話してきたクオリアにハルミが答える。
「まぁ想定通りだ…。
 言論統制げんろんとうせいまではやって無い見たいだが、システム側にデータを監視されていて危険人物がいたら報告と言う感じだろう」
「と言いながら普通に会話をしてるけど…この回線は大丈夫なのか?」
 オレがクオリアに近づき言う。
「この回線はハルミに持たせた量子通信機からだから問題ない…。」
「量子通信はジャミングや盗聴に強いんだっけ?」
「そう、今 私の通信機とハルミの通信機はバルク空間で繋がっていて ほぼ0距離の状態にある。
 だから、電波のような傍受ぼうじゅもジャミングも効かない…セキュリティとしては万全だ。」
「つくづく万能なんだな…。」
『それじゃあ、クオリア側から街の状況を話してもらえるか』
 ナオの話が途切れた所でハルミが言う。
「まず、グローバル経済だけあって労働賃金が下がっている。
 現時点では 1職に付き10人で争奪戦している状況だ。
 更に恐ろしい事に、ドラムを導入した場合のメンテナンスコストと同じ位だと言う事だ。
 医療などは民間の保険に入っていないと受けられないから、低所得者はケガや病気になったら自力で直すしかない…。
 それに保険に入っていても、通院中は時給が貰えなくなるから休めず、病院に行く事も出来ない見たいだ。
 結果、保険料を払う為に必死で働いて病気になる人が増えたので、病気になるから保険料を払わない人が大半になってる見たいだな。」
『うわぁ本末転倒…。』
 ハルミが呆れる。
「現場を指揮している人は中所得者位の生活水準だが、家はマンション型…出入口にアサルトライフルを持ったドラムが警備をしていた。」
『あれっ…ポチョムキン通りにあった一軒家は?』
「あれは高所得者…中央区の人の別荘になる…。
 内部スキャンをかけて見たが生活の痕跡こんせきが見当たらない…。
 電気、水道の記録も確認したが、とても住んでいるとは思えない。」
『マジで張りぼてだったのか…』
「あの一帯は 解体と建設の記録が定期的に行われている…仕事を創出そうしゅつする為の公共事業だろうか?
 建物の設計も美観は良いものの、耐久性はコンテナハウスの方が断然上だし、設計強度と実測強度で大きな誤差が出ている。
 人が住まないし、すぐに壊すのだからと手抜き工事をして浮いた経費分を財布に入れていると予想される。」
『街の管理システムはどうなってるんだ?こんな事をやって発覚しないのか?』
「通報されないVIP用のIDがある…ここに登録されれば通報はされない。
 私とジガのIDはVIP認定されているから、ここでの違法行為の大半は許される。」
『システム管理者に賄賂わいろでもおくったのか?』
「いやシステム自体に掛け合ってVIP認定して貰った。」
『そう言うの上手いよな…。』
「マニュアルで動いてくれる分、それにそって交渉すれば意外と簡単に聞いてくれるものだ。
 さてこちらの報告は以上だ…そちらの状況を聞かせて欲しい。」
『中央区は中世の城見たいな感じの堀と城壁に跳ね橋…装甲板が入ってそうな門だな』
「対人戦戦闘用だろうか?」
『じゃないか?…中は豪華だし、なんか改装したみたいだ。
 気になるのは、贅沢の限りを尽くして住民に仕事を与えているはずなのに、そっちの話だと低所得者の生活水準が低いって事だな…。
 一体、どうなっているんだ?』
「そのプロジェクトを指揮している人も中央区にいる高所得者だ…。
 推測だが中抜きをされているのでは ないだろうか?」
『あ~面倒だなぁ…。』
「それで交渉の結果は?」
『ああ、ピースクラフト側は協力出来ないが戦闘許可は取り付けたから、戦闘は出来る…。
 問題は数だ…確保しているDLは持ってきたDLも含めて6機、1万を相手にすると1機1600辺りか…。
 これは操縦者オペレーターがエースパイロットだとしても500匹位しか対処出来ないから、考えると3倍以上だ。』
「ドラムキングは?」
『ジムが言うには1個大隊の投入が可能なんだが…ドラムは国境からコッチには来れない。
 ジムは外交官秘書としての肩書があるから通れたんだが、どうやら条約で決められている見たいなんだ。』
「となると国境ギリギリからの支援砲撃になるのか?距離は?」
『作戦区域内はどこでも撃てる…。
 ただ弾道射撃になるから私達が観測情報を送らないと ならないな。』
「パイロットはどうする?ナオ、トヨカズ、私とハルミ、ジガ…後1人は?」
『レナがパイロットランクAAAだから使えるちゃあ使えるんだが…。』
「レナには交渉をやって貰わないと行けない…それに死なせる訳にも行かない。」
『そう、だからロウに出て貰おうと思う。』
「戦力として使えるのか?」
 ハルミの全くの予想外の言葉にオレが聞く。
『今DLマスターズをやらせているんだが、開始1時間でSランクだ。
 連携や命令が理解できてなかったりするが、こっちが6機しかいないなら、そこまで複雑な事はやらないだろ…。』
「機種はドラムキングか?」
『いや、ベック…ロウは接近戦を頻繁に行うから、射撃用のドラムキングは合わない…。
 ジガが援護射撃をする感じになるだろうな…。』
「じゃあ、早速ウチもDLマスターズに入る…VRの通信は問題無いんだよな…。」
 クオリアの隣で話を聞いていたジガが話に割り込む。
『ああ』
「じゃあ行ってくる。」
 壁に寄りかかり目を閉じて動かなくなり、ジガの前にARウィンドウでダイブ中と表示された。
「オレも行く…ロウの挙動《きょどう》が気になるからな…。」
 ナオはベットに寝ころび、無線通信でダイブした。

「どうにか実行可能レベルになったな…。」
 クオリアが通信機の向こう側にいるハルミに言う。
『砲撃支援がメインだと言っても…結構キツイぞ。』
「分かっている…だが私がワームを殲滅せんめつしたら対応進化が早まる…既存武器で戦うしかない。」
 今だけの命を救っても数ヶ月後、太陽系ごと滅ぼすのでは意味が無い。
 これからは、長期的な視点で犠牲者を選ぶ必要がある。
『全く皮肉だよな…ラプラスを潰せる力があるのにまともに使えないって…。』
「これもラプラスの時間稼ぎかもしれない…。」
『まさか…ラプラス戦のデータは受け継がれてないんだろ…。』
「ああ、でもあのラプラスが特異点に行く間に何かしらの手は打っているはずだ…。」
『それも今ゲマが止めているんだろ…。
 後、何百年掛かるか分からないが、きっとやるさ…。
 それじゃあ、何かあったら連絡するから回線だけは開いておいてくれ…じゃあ。』
「ああ」
 通話が切れる。
 (さて私も管理システムとの交渉を始めるか…。)
 私はナオがダイブしているベットに腰掛け交渉を始めた。
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