⊕ヒトのキョウカイ⊕【未来転生したオレは、星を軽くぶっ壊すチート機械少女と共にこの幻実(せかい)で生きて行く…。】

Nao

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ヒトのキョウカイ4巻(オレいつの間にか子持ちになっていました。)

10 (風評被害)

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 『エクスプロイトウイルス』が表に出て3日が立った8月8日の朝。
 ハルミはエクスマキナ都市にサンプルを持ち帰り 本格的にウイルスの解析をしている。
 と言う事になっている。
 この間に ハルミが助けに行った都市以外からは感染者が続々と出ており、感染者数が1万を越えていた。
 ただ、統計の絶対数が少なく致死率が高く見えていたが、病院に運ばれる感染者数が増えた事で致死率が 5割から1割まで低下した。
 これは『エクスプロイトウイルス』に感染していたが症状が軽度で 感染していると思われなかった人が病院に行き カウントされ始めたからだ。
 これがナオが自力で調べた範囲での『エクスプロイトウイルス』の現状になる。

『このように専門家方の話では、感染者数が今後 爆発的に伸びると予想されており、まだワクチンが無いこの現状では ロックダウンする事も視野に入れて考えなくてはならないとの事です。』
 ARウィンドウで ネットのニュース動画を見ると専門家とニュースキャスターが話をしている。
 ブラウザを開き、一番上のおすすめ記事に『エクスプロイトウイルス』が堂々と乗り、他の動画や記事もそれに関連する物だ。
 ネットを検索していても『エクスプロイトウイルス』に結び付けた関連記事が多く、更にSNSにでは、ヘルメットを被りパイロットスーツを着た完全防備の人達が街中を歩く動画が投稿され、えるからだろう…それに便乗してパイロットスーツで街を歩く動画の投稿が増え、瞬く間に拡散され『エクスプロイトウイルス』の恐怖をあおられていく。

 ナオが登校前の暇つぶしにネットで検索をし、時間が来た所で階段を降りて寮を出る。
 普段は 通学ラッシュになる時間帯のはずなのだが、驚く程 人が少なく、大半の人がマスクをしている。
 この都市は 症状が出る前に対処してしまう事が基本の為、感染症には無縁でマスクをつける習慣も無い。
 一応、マスクの生産もしているので無い訳では無いのだが、まず売れる事の無い商品で 品質保証期限ぎりぎりまで棚に置かれている状態だった。
 が『エクスプロイトウイルス』のせいで マスクの需要が急に上がり、在庫を投入しても間に合わず、わざわざ生産ラインを増やしてマスクを製造している。
 な訳で、頭まで機械の全身義体のオレがマスクを付けずに歩いているだけで周りからの『マスクを付けない なんて感染したらどうするの?』と言っているような同調圧力の視線を感じる。
 電動キックボードの音がナオの後ろ聞こえ、ナオが振り向くとそこにいたのは ヘルメットを被り、パイロットスーツを着ているトヨカズだった。
「もう解放されたのか?」
「ハルミが 対処法を送ってくれたおかげで、昨日透析されてもう治ったらしい…。
 高熱だの肺炎だの散々言ってたくせに 微熱にもならなかった。」
 キックボードが低速でオレの歩調に合わせる。
「なら何でヘルメット?」
 ヘルメットが透けて消え、ヘルメット越しだったトヨカズの顔が、しっかりと見えるようになる。
 これは トヨカズの顔データをARで作って合成したものだ。
「オレが感染しているって事はもう皆に知れわたってるからな…。
 『用心の為に 付けてろ』だってさ…。」
 ああ…風評被害か…。
 疫病の場合、治ったからと言っても『元感染者』と言うタグは常に付いて周り、完全に回復するまで更に時間が掛かる。
「オンラインで授業を受ければいいのに…。」
「だって 砦祭の準備が出来ないだろう…。」
「DLの模擬戦はしないんだろう…何かサークルの手伝いでもしているのか?」
「祭中にARの花火を打ち上げるってんで ちょっとシステム周りを見たりしてる。」
「へえ…またあの迫撃砲?」
「んいや、あれよりもっと大きい奴…。」

 学校に到着し、トヨカズを不審がる人もいるが…おおむねね穏便に授業を受ける。
 いつも クオリアとレナと一緒に受ける講義も出るが、今回は2人とも来ていない。
 2人とも色々と忙しいのだろう。
 ナオとトヨカズが講義を受け、トヨカズは祭りの準備に オレはそのまま帰った…。

 更にその翌日…感染者は爆発的に増加…。
 現在…おおよそ2万人…。
 原因は 物流による経済的損失を避けようとした都市が 通常通りに物を運び感染した為だ…。
 一応検疫の類は強化していた物の 効果が薄かった見たいだ。
 ネットでは 地球保健機関EHOの『アダム代表』の話が出ていた。
 何でも EHOはパンデミックが起きた際には 物流の利益補填をする事で各都市の権利を無視し、移動の制限を強制出来るらしい。
 ただ『アダム代表』は、この事態をパンデミックとして認めておらず、根本的な解決には至っていない。
 利益補填で金を払うのを嫌がっているのか?
 アダム代表の財布は痛まないだろうに…。

 いつものように昼にトヨカズと学校の食堂で食事を取っていると クオリアとレナがやって来た…。
 どうやら 通学が出来る程度には片付いたらしい。
 クオリアがナオの隣に座り、レナは対面のトヨカズの隣に座る。
「お疲れ…砦祭はどうなった?」
 オレがレナに聞く。
「ウイルスの対抗策は分かっているし、発症前に止められるのもトヨカズの件で証明出来たからね…。
 この都市がウイルスでパンデミックが起きるリスクより、砦祭を中止にして、経済活動を止める方が マズイって結論に…。」
 疫病は感染数を減らせば良いと言う物でも無い…。
 疫病対策として 自粛をし経済活動をしなくなれば、経済に大損害を与えてしまい、会社の倒産や経済的自殺者を大量に出す事になる。
 そのリスクを考慮し、どっちの方が損害が少ないかを判断しないと行けないんだ。
 今回は その上で経済を取ったと言う形になる。
「まぁ良かったのかな…。」
 ナオが言う。
「ええ…今、他の都市からの観光客への防疫マニュアルを作ってるから、パンデミックに対しては大丈夫…なんだけどね。」
「何か問題か?」
「問題なのは1日目のレース…メンバーが集まらないのよ…。」
「レース?」
 レース…競争だよな…。
「砦祭の1日目は 旧時代におけるスポーツ祭に近い。
 砦都市や外から集めたチームでテニス、バスケットボール、サッカーなどのボール競技を競うんだ…。」
 クオリアが言う。
「野球は無いんだな…。」
「スーペースコロニーだと…飛んだ球にコリオリりょくが掛って軌道が変わるんだ。
 地球と比べて120m位ズレるから もう競技にはならないし、競技の中で使用スペースが 大きく、練習する場所も無い…。
 そう言った理由でVR以外では廃《すた》れている。」
「で、その種目の中で一番盛り上がるのが 障害者競争レース
 だけど、そのメンバーが足りないのよね…。
 そもそも この都市だと絶対数が少ないから…。」
「オレにそう言うって事は オレも出れるのか?
 アスペルガー…いや…身体障害者扱いになるのか?」
 よくよく考えて見たらオレがアスペルガー症候群って事は話して無いし、3級の手帳は貰っていたが、この世界で記録が残っているかどうかも怪しい…。
 なので 身体障害者としての参加だろう…。
「そう…どう?やってくれる?」
 障害者と言うと身体が不自由で健常者に比べハンデを背負っているようなイメージを持つが、ここでは オレの身体のような常人の枠を超え始めているサイボーグも障害者扱いらしい。
「分かった…試してみたい事もあるしな…。」
「それじゃあ 登録するね…。」
 レナがどこかに連絡し、オレのをする。
「なら私も出よう…空間ハッキングも解禁されるしな…私が出れば盛り上がるだろう…。」
 クオリアが言う。
「確かに…ほかの参加者が気の毒になるだろうけどね…分かったわ…じゃあ、詳しい事は後でデバイス側に送られるからそれを確認して…。」
「分かった。」
「了解した。」
 オレとクオリアがそう言い…しばらく話した後で昼休みが終わり、それぞれ講義がある教室に向かって行った。
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