⊕ヒトのキョウカイ⊕【未来転生したオレは、星を軽くぶっ壊すチート機械少女と共にこの幻実(せかい)で生きて行く…。】

Nao

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ヒトのキョウカイ6巻(赤十字の精神)

07 (完璧を求めて…。)

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 10月20日(月)
「おう…結構そろってきたな…。」
 ドロフィン1のDL倉庫に行ってみると…昨日に比べ明らかにDLが多くなっている。
 しかも1機ずつのDLよく見て見ると基本は黒鋼や疾風がベースになっているが、それぞれの都市によって少しずつ違っている…。
 特に水中用の装備の形が違っていて面白い。
 こっちが持ってきたロウの黒鋼とトヨカズの炎龍は、今カズナがシーランド王国軍が使っている水中装備に換装している。
 背中に2基の可動スクリューが付いているバックパックに、シーランドの水中装備にはDLサイズの足ヒレが装着されている。
 これは DLがスクリューを使わず無音移動する為に使う物で、敵艦のソナーの発見が大幅に難しくさせる事が出来る優れものだ。
「ワームがソナーを使っているのかは謎だがな…。」
 ナオがつぶやく…。
 カズナは トヨカズ機のコックピットに乗り込み、コックピットブロックを開いたまま機体に備え付けられているDLシミュレーターで動作の確認をしている。
 一方トヨカズとロウは、ベンチに座ってフルダイブ中でVR上で訓練をしている。
 最近は毎日2時間程潜っている…。
 そして、ポストヒューマンのオレ達は訓練せずに QDLの改良を行っている。
 最近は研究都市と情報を交換しつつ、リモートワーク状態で 効率よく作業が進んでいる…。
 この調子なら、細かい調整も含めて 当日には確実に終わるだろう…。
 フェニックス小隊は、調整もアップデートも終わったようで マリアがこっちのDLを見ている位で他のメンバーはいない。
「そろそろ実機で動いて見た方が良いな…。
 シミュレーターでの切り詰めも限界に近づいている。」
 クオリアが言う。
 今は存在しない50℃の砂漠や、吹雪が吹く-50℃の南極などの地球の悪環境は殆《ほとん》ど制覇せいはしたし、-250℃の宇宙や6000℃の太陽の中でも活動は出来た…。
 戦闘方面では こっちが宇宙戦闘や高重力化での経験が無い為、拡張性を考えつつも地球での運用を前提にして今は後回しにしている。
「でも、現実で動かすのとシミュレーターで動かすのって差はあるのか?」
 オレがクオリアに聞く…。
 DLのシミュレーターは 物理シミュレートが現実の物と殆《ほとん》ど一緒だ…。
 そもそも実機訓練をしなくても良いように作られたのが、このシミュレーターだ。
 シミュレーターなら、パーツの損耗やルーキーの事故死を気にしなくても良いし、死んで覚えるやり方は現実では当然ながら出来ない。
 訓練教材としては 現実よりかシミュレーターの方が良いと言われているのは その為だ…。
「確かに物理シミュレートだけなら、ほぼ同じだ…。
 だが、量子演算については完全には再現されていない。」
「あれ?でも普通に動いていたよな…。」
 DLの空間ハッキングは今までに何回もやっている。
「あれは、私の方で疑似的にナオに負荷を与えて再現度を上げていただけだ…。
 シミュレーションも精度は高いが完璧じゃない…。」
「とは言っても…試験する陸は無いだろ…」
 甲板では不定期にエアトラS2が離着陸しているし、倉庫内もDLでいっぱいで動くスペースは無い。
「なら、エアトラS2でベネズエラまで行くのはどうだろうか?」
 クオリアがオレに提案する。
「ベネズエラって治安が悪い国だよな…どこだっけ?」
 オレがARウィンドウを出し、即座に検索をかける…。
「ああ…この位置ってスレイブロイドファクトリーの周辺じゃん…。」
「そう…作戦場所がこの海域…。
 ここが軌道エレベーターのバベル…。」
 クオリアがオレのARウィンドウの世界地図に指をしていく。
「近いな…距離は1000km位か?」
 エアトラS2の巡航速度は500km/h…2時間位で着く計算になる。
「ファントムで飛べば、1時間程度だな…。
 ここは ほぼ無人地帯だし、それに ここならアドミの支援も受けられる。」
 オレは少し考える…もしワームから先に奇襲きしゅうしてきた場合はどうだろう…。
 その場合、オレとクオリアがエアトラS2で戻ったとして2時間はかかる…。
 オレはともかく、クオリアの戦力的な損失は、かなり大きいだろう。
 ただ…オレらが いない戦力で解決出来ない事態は起こりえるだろうか…NOだ。
「分かった…。
 そうするしかないか…。」
「では、カルタ中佐に連絡をいれる。
 許可が下り次第、私達は ベネズエラまで行く。」

「え~先にいくの?」
 カルタ中佐から許可が降り、ナオ達はレナに話す。
「ああ…コイツを仕上げるには実機テストが必要だからな…。
 先にスレイブロイドファクトリーの近くで調整を掛けて、そこから出発する。」
「まぁ…連絡は取れるとこだし、基本的につくまではヒマだから良いんだけど…。
 エアトラS2を使うの?」
「マズイか?」
「あそこには 弾薬ボックスが 積み込まれているし…。」
「あーそっか…。」
 オレらは ここに降りる時に火器制限をされて、ハンドガンしか持っていない。
 エアトラS2は トヨカズのM4アサルトライフルや、9mm9パラや5.56mmを入れた弾薬ボックスがある。
 もしこの艦が白兵戦になった時に確実に必要になるだろう。
「となると…降ろす許可を貰うか?」
「いや…軍艦は規則に厳しい…例外は難しいだろう。」
「なら…ファントムで自走するか?
 クオリア?出来ると思うか?」
 オレがクオリアに聞く。
「不安が残るが、私が付いている…。
 例え 何らかのトラブルで墜落ついらくしても、私がファントムのキューブとナオを抱えてベネズエラに行く事は十分に可能だ。」
 クオリアがサポートしてくれるなら、安全は確保されるか…。
「なら…そうするか…飛行試験もかねてな…。」

 飛行甲板の前方100mがすべて開けられ、実体化したファントムが歩いて殆《ほとん》ど使われていない白い中央線を進む…。
 コックピットには 前がオレで後ろがクオリアになっており、コックピットブロックが少し長くなり、胸部が少し前に出る形になっている。
 後ろには 先日完成したフライトユニットを展開…。
 これで、ファントムもクオリア程では無いだろうが十分に飛べる。
「ドロフィン1コントロール…こちら『ファントム ナオ機』発艦準備よし、待機する」
『ドロフィン1コントロールからナオ機へ…離陸を許可…安全を確認し離陸せよ…。』
 飛行実績の無いファントムが事故った時の二次災害を防ぐ為、航空管制AIが周りの航空機を空中待機させ…万全の安全を整えてくれる…。
 量子転換装甲が緑色の量子光色になり展開する。
 フライトユニットのスラスターから量子光が吹き出し…推力に変える。
 周りのキョウカイ小隊やフェニックス小隊…安全の為に配置してくれた艦のダメージコントロール班などの観客の前で垂直離陸を行い、ゆっくりと高度を上げて行く…。
「100…200…300…動作に問題無し…。」
 後ろの席に座るクオリアが高度をメートルで読み上げる。
 旧時代で航空機に使っていたフィートは今では使われていなく、メートルも3億分の1光秒に変わり、オレがいた時のサイズと比べて微妙に小さくなっている…とは言え誤差は0.0007%で殆《ほとん》ど同じなのだが…。
「400…500…安全高度に到達…。」
「じゃあ…行きますか…最大加速…。」
 ナオ機が速度を上げる…最大加速を5Gに設定している為、毎秒 時速176kmの加速だ。
 戦闘機パイロットなら8G位は行けるんだが、ファントムはあくまで一般兵士が乗る為の物…。
 性能を犠牲にしても安定性を取った方が乗りやすい…。
 これは、シミュレーターでハルミのGウォークをマニュアル操作で乗った時に速攻で墜落した為で 機体の飛行サポートを増し増しで入れる事にした。
 その為、ファントムは飛行の安定性は高くなっているが、その分、空中での戦闘機動ではフェニックスに分がある…。
 でも、まず飛べるようにする事が重要だよな…。
「音速を突破…巡航速度に到達…。」
 5秒で音速を突破し 巡航速度に到達する…高度は1万メートルに設定…現在上昇中…。
 この時代の戦闘機の時速3000kmには及ばないが、時速1000kmの巡航速度で目的地のベネズエラに進路を取る…。
 ダイレクトリンクシステムを使わないスティック操作で巡航高度1万メートルまで到達したナオ機は オートパイロットを設定し、スティックから手を放す…ただ真っすぐ進むだけならこれで十分だ。
「オートパイロット起動…監視に入る…。」
 クオリアがオートパイロットを監視し、動作不良が出た場合に備える。
 ナオ機のファントムは 量子光をフライトユニットから噴射し、一面の海の世界を音を置き去りにして飛行して行った。
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