⊕ヒトのキョウカイ⊕【未来転生したオレは、星を軽くぶっ壊すチート機械少女と共にこの幻実(せかい)で生きて行く…。】

Nao

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ヒトのキョウカイ7巻(シャロンの扉)

25 (歯車は機械を知らない)

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 多目的ホールから客が満足そうにそれぞれの家に帰って行く…。
 その顔には 発砲事件や爆発事件が有った後とは思えない顔だ。
 どうやら彼ら彼女らは、これが全て演出だと思っているようだ…。
 まぁ明日、明後日位に今回の映像がネットにUPアップされるだろうから、その時に気付くだろう…。
 最後の一人が出入口を抜けた所でナオは、1階から舞台に向かった。

 舞台には、左右2ヶ所の大穴がいており、そこに爆弾が仕掛けられていた事が分かる…。
 この床を抜くには 1階下の天井に爆弾を設置する必要があるだろう…。
 今、まだ爆弾が無いかレナとジガが施設中を探し周っている…。
「それにしても良く吹き飛ばされなかったな…。」
 舞台の後ろ壁に掛かっている暗幕は穴がいている…やっぱり撃たれたんだ。
 舞台に上がり、穴の角度から撃ち込まれた先を見ると、やっぱり 照明室からだ…。
 完璧に警備の失敗だ。
「大丈夫でしたか?
 すみません…守れなくて…。」
 オレが 舞台に出て来たカナリアさんに言う。
「いえ…それに爆弾の位置は把握はあくしていましたから…。」
「え?」
「舞台に上がった時に リハーサルでは感じなかった爆発物マーカーの匂いを感じましたので、足音による床の振動音から位置を割り出して、付近に近づかないようにしていました…。」
 カナリアが笑いながら言う…。
「と言う事は自分が狙われているって自覚していたと言う事ですか…。
 なら何で連絡をして貰えなかったのです…。」
「ライブ中でしたから…。」
 カナリアさんが、そう言いドレスの袖から小さなチップと取り出す…。
「照明が位置を把握する為の発信機です。
 銃弾はこの上に命中するようになっていました…。
 つまり、照明の上に銃を取り付けられて遠隔で撃たれたのでしょう…。
 床の爆弾は加圧式ではありませんし、赤外線はジガやクオリアが見えるので違いますし…。
 多分チップの位置ですね…。
 客席から遠隔操作の可能性もありますが…。」
「どっちにしろ…犯人の特定は出来ないか…。」
「いやそうでもない…。」
 クオリアが客席から舞台に上がる…。
「何か分かったのか?」
「爆死した死体の身元を調べる名目で、各都市のDNAサーバーに照会を掛けて見た…。
 2人ともピースクラフト都市出身の純粋種で義体化無し…。
 さらに彼らの行動ログを可能な限り追ってみたが『シンギュラリティガード』の構成員の可能性が高い事が分かった…。」
「シンギュラリティ…技術的特異点?…を守るのか?」
 技術的特異点シンギュラリティ…。
 人間と同程度の能力がある汎用コンピューターが 誕生した場合、コンピューター側の処理能力の成長に従って、メモリを増設出来ない人をすぐに追い越され、あらゆる分野で人を凌駕りょうがしてしまう…。
 そして、人の知性レベルにあると言う事は、当然人の関与無しに次世代機を作れるようになる。
 その次世代機は 自分より性能の良い次世代機を開発し、その次は…と無限連鎖れんさが続く…。
 これに入った時点で 技術力が加速度的に増えて行き、人がコンピューターやコンピューターの作る製品を解析した所で どう言う理屈で動いているのか全く分からないブラックボックスになってしまう…。
 実際、これを提唱したレイ・カーツワイルの予言の通り、2045年には10万ドルのコンピューターが 100億人の人の脳を合わせた処理スペックに達していてた…。
 そして、それから555年後の今は、人が完璧に付いて行けないので、人類の文明、文化を守る為、機械側とは距離を置いている…。
 その機械側がデウス・エクスマキナとエレクトロンであり、550年立つ今でも、その加速は止まっていないらしい…。
「違う…シンギュラリティ守る事が目的だ…。
 つまり、機械排斥はいせき運動のテロリストだ…。」
「機械国家と人類国家は、完全に住み分けしてるってのに…何でつぶそうとしているんだ?」
 全く理解出来ない…。
「私達、縛りプレイ組の干渉が気に入らないのだろう…。
 実際、歌を極めたカナリアは ヒトを洗脳 出来る 音兵器になった。
 歌で人類国家を滅ぼせるカナリアは かなりの脅威だ…。」
「でも、カナリアさんは滅ぼす気は無いんだろう…。
 クオリアもエレクトロンも…。」
「ああ…私達の『目的』を生成してくれる人を滅ぼした場合、私達は目的が無くなり停止してしまうだろう…。
 ゆえに滅ぼす事なんてありえない…共生関係だ…。
 だが、人類全員にその理屈が通じるとは限らない…。
 生物的本能で、もろい人体を守るために危険だと感情で判断してしまうからだ。」
「カナリアさんが 歌で世界を洗脳して支配すると考えた人が 世界を救う為に動いたのか…。」
「そうなる…。」
 奴らもヒーローとして、洗脳攻撃をする怪人と戦っていたのか…。
「それで…そのシンギュラリティガードを潰すのか?」
 オレがクオリアに聞く…。
「いや…末端まったんつぶして、こちらの警告と意思表示はするが、組織は壊滅させない…。」
「どうして?エレクトロン側から見ても危険だろう…。」
「まだ対処が十分に出来るレベルだからだ…。
 それに人類側の不満を具現化したシンギュラリティガードを潰したら、機械に対する印象が更に悪くなる…。
 現状は、人類側のガス抜き組織と 不満を表面化して分かりやすくするバグチェッカーの役割を持っている…。
 今後は そのデータを元に改善して行く事になるだろう…。」
 テロリストをシステムのデバック作業に使っているのか…。
「最強種族だから出来る考え方だな…。」
「ああ…だが、今回は警備員を誘導し、彼が死んだ場合セムテックスで爆発するようにしていた…。
 自分達が守るべき民間人を巻き込むやり方は、厳重に対処たいしょしなくてはならない…。
 とにかく部屋に戻ろう…組織を洗い出して見たが、敵はもうこの都市にはいないからな…。
 安全だ…。」
「そうか…なら、警戒レベルを落として警戒するか…。」
「了解だ…。」

 残りの爆発物が無いか探してたレナとジガと合流しオレ達は宿に戻った…。
 シンギュラリティガード…。
 システムに組み込まれた…バグを表面化する装置…。
 彼らは機械支配からの解放を目的に活動をしているのだろうが…その裏で彼女らに支配されている…。
 だが…末端の人生が詰んだ人が何人犠牲になった所で、組織の上には ダメージが行かない…。
 感情的には潰したいが…その後の流れを考えれば、この方が犠牲が小さく済むだろう…。
「結局、歯車は機械を知らないって事かね…。」
 オレは そう つぶやいた…。
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