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ヒトのキョウカイ1巻(異世界転生したら未来でした)
09 (クオリアは辛党)
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11:45分…誤差1秒以下の正確さで、ナオのデバイスに呼び出しがかかった。
目の前にARウィンドウが表示されsound onlyと表示されタッチする。
クオリアはナオが部屋にいる時は、映像通話はしない…。
何でオレが部屋にいる事を分かるのか不思議ではあるが多分、この都市のヒトが標準搭載されているマイクロマシンの位置ビーコンから逆探知しているのだろう。
一応プライベート情報になっている位置情報を気軽にハックする当たり、クオリアらしい。
『待たせた…ダイブの仕方は大丈夫だろうか?』
「ああ…もう1回ダイブした」
クオリアは、ナオのデバイスにアドレスを送る。
『ならこちらのアドレスで合流しよう…私のパブリックスペースだ。』
ナオは、先ほどと同じようにダイブする。
クオリアのパブリックスペースを一言で言うなら電脳空間だろう。
暗い空間に四角いグリッドで構成された床が透けていて、下に見えるのはグリッド内に記載された この都市の3Dマップ…。
そして、量子光の無数の直線と所々にある光の塊…。
「もしかして この都市のデータの流れか?」
先ほどと同じ パイロットスーツ姿のナオが言う。
「そう、あくまでデータの流れを表示しただけ…コードは見えないだろう。」
確かに光の線にコードは書かれていない。
光が円状に広がらないでビームみたいになっているのは、指向性の通信だからか?
となると塊《かたまり》の方はサーバー?
都市の中心部に高密度の光を感じるが…あれはこの都市の制御システムが収められている所だ。
クオリアが移動を始め、ナオもクオリアの方向に向かう。
クオリアは電子妖精の姿ではあるもののサイズは130cmになり、普段のクオリアと変わらない位だ。
「これがエレクトロンの感性か…」
「これ私が『エレクトロンの感性』と定義して作ったものだ…私の感性ではない」
「?…でも今は機械の方が人を感動させられるんだろ?」
作詞作曲を機械に任せる事はオレの時代の時でもあった…。
デイビッド教授が1980年に作った自動作曲機械が『バッハ』の音楽を模倣《もほう》して新しい曲を作ったのが始まりだ。
その時ですら、機械が作った事を伏せれば『バッハ』本人の曲より好評になり、機械が作ったと言えば『芸術の冒涜だ』と言われ、軒並み評価は低くなった。
その後40年のアルゴリズムの改良の結果、低コストで高クオリティを実現したいアニメやドラマのテーマソングで使われるようになり、有名作曲家は機械と合作な事が多くなって行った。
そんな作品を作り出せる機械だと言うのに、何で自分に感性が無いと言うのか?
「それは感動アルゴリズムを使ってるからだ…私の成果では無い、私は芸術は作れない…。
私は『漢字を使えない部屋の住人』だ……こっちだ」
クオリアの前に木製のドアが現れ、クオリアがドアノブを掴みまわす。
「その考え方は気に入らないな…。
オレなら『デカルト』か『チューリング』か…そっちの方が好きなんだが…。」
合成音声のソフトだろうが ちゃんと『調教した作品』なら、十分に人を感動させられるんだ…。
重要なのは音楽であって、中身がどうなっているのかは 関係ないだろ。
ナオの何気ない感想に クオリアは振り向いて ナオの目を見つめ「そうか」と呟やきドアを開けた。
そしてナオは中に入るクオリアの口元が少し笑ったように感じた。
ポン・・・・パ~ン
火薬の匂いと破裂音を感じ、とっさにしゃがみ込み、目と耳を塞ぎ口を大きく開ける。
衝撃波の類は当然ながら来ず、手を外し辺りを見る…。
暗い夜空に海の見える丘に打ち上げ花火が打ち上り派手に爆発し現れたのは、『Welcome Party』(歓迎会)の文字だ。
その後も色とりどりの花火が上がって行く。
「たまやー、かぎやーだっけか?どういう意味だ?」
ヘッドホンの…イヤーマフか?をしたトヨカズが指で耳をふさぐレナに聞いてくる。
ナオが立ち上がり、トヨカズの横に立つ。
「有名な花火職人の名前らしいぞ…てかなんで81mm?」
打ち上げ花火のヒュ~と言う音が聞こえずポンとなったので気になっていたのだが、原因はコレだ。
丘の頂上に設置された81mm迫撃砲が12台が横に並び、次弾を装填していないのにトヨカズの手元のスイッチで打ち上《あが》る。
「花火筒だっけ?
資料がなくてさー替わりにこれで打ち上げて見たって訳。
しっかし、ちゃんと物理シミュレートしてるのに、迫撃砲が壊れないって本物の迫撃砲でも撃てたのかね~」
「そりゃ花火筒は迫撃砲の御先祖様だからな…」
色とりどりの花火が無制限に打ち上り夜空を真昼のように照らす。
「いじっているのは花火の方か?
口径からしてあんな大きな花火なんて出来ないだろう。」
「そりゃ実際にやってみたらショボ過ぎたんで細工したんだ。」
こう言ういい加減さがVRのいい所だな。
「んじゃあオレからは、花火セットと製作アプリをプレゼントだ」
ウィンドウで操作して、ナオのデバイスに送信する。
受信許可を出し保存する。
「打ち上げ場所作らないとな…。」
「そこは自分でな…じゃパーティ会場に行くか」
「じゃあ次は私の出番ね。美味しい料理をたくさん作ったからいっぱい食べて」
トヨカズとレナは丘の下にあるログハウスに向かって歩き出した。
ログハウスの中は、普段使であろうソファーが端に寄せられ、長いテーブルが真ん中に置かれている。
奥にはキッチンがあり、冷蔵庫から料理を取り出してくる。
まだ焼いていない肉、ウィンナー、玉ねぎ、人参、ピーマン、ジャガイモのスライス切り、貝…カキか?
それに丸い緑色のボール型のキャベツ…。
「何だこの丸いキャベツは?」
「伝説のキャベツって知らないのか?
結構、美味いキャベツなんだぜ…。」
トヨカズが素早く千切りにしながら言う…。
どうやら、長い年月をかけてキャベツは、こう言う見た目の品種が普通になった見たいだ。
貝類に焼きそば、キャベツとメニュー的には焼肉関係だ。
更に、お好み焼きの種が入っているボウルが1つ…。
「美味しい料理?」
下ごしらえはしてあるものの、まだ料理前ではないだろうか?
「料理で間違えないぞ、全部レナがコードから作ったものだからな。」
トヨカズはそう言うと冷蔵庫からホットプレートを取り出した。
冷…蔵?
まぁ冷蔵庫型のストレージなのだろうが…。
実体化されたホットプレートを長テーブルに置きスイッチを入れる。
電気式だと思われるホットプレートにはコードがついておらず、どこから電気供給されているのか謎だ…。
まさかワイヤレス給電と言う訳では無いだろう。
「よく見とけ」
トヨカズが、3枚の同じ種類の厚切り肉を、ホットプレートに投入し焼く。
「ほい…ほい……ほい、見てみ」
驚くほど速く加熱された肉をナオは見てみる。
「『レア』『ミディアム』『ウェルダン』?」
焼き加減が違う3枚を見てナオは言う。
「そう、レナは『焼き加減の肉の味の変化』と『焼き色』を再現した訳だ。
これ単品なら簡単なんだけど同じ素材で3種類の変化を作るのってかなり難しいんだぞ。」
「家畜を飼っている都市なんて、もう殆ど無いからね…。
文献をあさって…後は永遠とシミュレーション…。
クオリアが処理を肩代わりしてくれなかったら出来なかったのよね。」
「私としても良いデータを得られたと思ってる。」
クオリアがレナにそう返答する。
「しかしまぁ、レナは食に貪欲だよな…。
普段はバカなのに食の事になると数段階性能が上がる。」
「美味しい食事って、それだけで良い気持ちにならない?
やっぱり人って食が重要だと思うのよ」
食事が食べられない時期が有ったのだろうか?
レナが自信を持ってはっきりと言う。
「じゃ…食べ物に感謝をしつつ『いただきます』」
レナは指を組み頭を下げ祈る…。
教会のシスターを思わせる生活習慣に取り込まれ違和感のない自然な祈り…。
「「いただきます」」
トヨカズは、日本方式で手を合わせてるやり方。
クオリアは、文官敬礼の亜種か?
右腕を曲げて状態で左胸に当て、左手は手を握った状態で背中で曲げる。
その状態で一礼だ。
「いただきます」
ナオは日本式だ…普段はこう言った習慣がないナオだったが、皆に合わせる。
それにしても祈り方だけでも結構あるもんだな…。
「これが当時のスーパーに売ってたC級の安肉、こっちがB級、これが当時の最高峰A級」
コイツは肉マニアなのか?
C~Aまでの肉に鶏、豚、牛、羊とそろっていて、焼肉屋で売っている主な部位は完備。
正直食いきれない。
レナにオススメの部位を選んでもらい焼く…焼き色の変化が自然で焼ける匂いが更に食を進ませる。
他の食材の再現度も高く、本物と同じレベルだ。
「これでも煮込み料理は まだ出来ないんだけどね」
レナは、肉を焼いて皿に盛りつけつつ言う。
「それが出来るようになったら肉は制覇だな…。」
トヨカズが、肉にたれをつけて食べる。
「あと1年はかかるよ…こんなのネットを探しても どこもやってないからね。」
「最後の最適化は私がやろう…私としても興味がある。
こんな事をする人はいなかったからな…ふむ『美味しい』んじゃないか?」
クオリアが肉を食べ率直な感想を言う。
「開発しそうな物だけどな…。」
自前でほっかほかのご飯を出して 食べだしたトヨカズを見つつ、ナオがクオリアに言う。
「今あるのは用途限定の特化肉だ。
焼き時間によって味が変化する事なんてまずない。
この肉は焼き加減でリアルタイムで味が変わる…。
味としては特化肉と変わらないんだろうが、レナは『調理をする』と言う楽しみ方を付加価値にしたんだ。」
クオリアが言う。
「なるほど」
大まかな仕組みは分かった。
味の変化が無ければ味覚再生エンジンに味を代入するだけでよく『焼くという行為』で味が変わる肉は、約時間で変数で常時変って行く感じか?
それに変化するなら、そのアルゴリズムを作らなければならない。
確かに面倒だ。
オレなら、わざわざ統合なんてしないで単品で楽しむだろう…。
その方が空き容量を食わないで済むし簡単だ。
ああ…そんな事を考える人が大半だから、開発されていないのか。
さて、それから30分程立ち程よく満腹になってきたナオは、しばらく考え、疑問に思った事を言う。
「なんでオレは満腹になっているんだ?」
普通に考えるなら、現実のオレの胃には肉のひとかけらも入っていないはずだ。
「あー満腹中枢は刺激されているし、消化器官は何もないのに動いているだろうしね。」
レナがデザートのミカンを食べながら答える。
「確か、VRゲーマーがVR内で食事を済まして、現実には何も食べていなくて餓死《がし》したとかあったっけ?」
食後のワインをビールジョッキで楽しみつつ、トヨカズが言った。
……トヨカズって15~16歳位じゃなかったか?未成年の飲酒?…いやここ10歳で成人か…。
それに実際にはアルコールは、1mℓも…て何故か多少酔っぱらっている。
脳に酒を飲んだと錯覚させているのか?
「なら本来は、間食レベルが良いんだろうな」
「でしょうね」
「まぁ普通、餓死《がし》なんて起こらないだろうし、警告も出てたんだろうからな」
「人はつくづく仕様もない理由で死ぬな…。
自分の命よりゲームを優先するなんて…。」
「そんな馬鹿をやらかすのが人なのかもな」
トヨカズが少し笑いならが答える。
「覚えておこう。」
クオリアは、結局一通り摘《つ》まむだけだった…。
食べた種類だけは一番多いだろうが食べた量は一番少ないだろう。
「じゃそろそろアレをやりますか?」
「またやるの?懲りないわね」
「……このシチュエーションで該当するのは、たこ焼きか?」
「正解~」
レナがARウィンドウを操作してストレージから8個、1パックのたこ焼きを出す。
「辛味パウダーを安全基準ギリギリまで入れた激辛たこ焼きでぇ~す。」
「次こそはレナに食わせてやるぞ」
テンションが上がり、乗り気なトヨカズ。
「前回、あれだけ苦しんだろうに…まだ懲《こ》りないのか?」
「そりゃ前回オレが当たったんだ…確率的には2回連続で当たる可能性は低い。
オレが4分の1、他が2分の1だ。」
「いや、その計算はおかしい。
それに、それが正しいとしても誤差は出る…。
収束していない確率なんて当てにならない。」
「よーしやるぞ」
「あーこれが、VRゲーマーの心理か…。」
クオリアが、納得したような顔をする。
「当然オレも参加だろうね…。」
「勿論」
「じゃあ最初はナオ、クオリアにトヨカズ、不正が無いように私は最後で…。」
「おう」
オレはクオリアの肩をつつき「なぁ前の順番はどうなってた?」と小声で聞いた。
「トヨカズ、クオリア、レナだ。
前回もレナが最後だった…トヨカズが当たったのは2週目だ。」
「なるほど」
ゲームを壊さない為か、明言はしなかったがヒントはくれた。
ロシアンルーレット方式で考えるなら、弾が発射されて頭が吹っ飛んだら、そこでゲームは終了の為、最初より後の方が生き残り易くなる。
つまりレナは『不正が無いように私は最後で…』ともっともらしい理由を言いながら確率が低い後ろを取ったと言う事だ。
しかも単純な確率計算でトヨカズが最初になるように誘導して…。
そもそもこの条件なら弾が1発の可能性も怪しくなる。
トヨカズは レナをバカと言っているが少なくともズル賢い…。
足りていないのは学習時間の差だろう。
なら…。
「じゃあ条件の追加だ。
レナの順番通りで各2個ずつ連続で選ぶ。
最後に皿に乗った たこ焼きを2つ串刺しにて皆で同時に食べる…どうだ?」
ナオが言う。
「いいんじゃないか?」
トヨカズは、こちらの意図に気がつがずその場のノリで。
「問題ない」
クオリアはオレの意図に気づいたのか同意した。
「………。」
レナだけが無言で考える…さぁ如何《どう》出る?
「それで行きましょう」
ドローにしなかった…つまり『激辛たこ焼き複数説』は考えなくていい。
複数人が激辛に当たったらその時点で不正が発覚するからだ。
ナオが爪楊枝でどれを取ろうか迷う…。
グラフィックを丸々コピーしているのだろう…見た目に違いは無い。
レナの表情はあえて顔を引きつらせた笑みを浮かべ、変わらないようにしている。
クオリアレベルだったら微妙な表情から当たりを特定出来るのか?
横から取るか真ん中から取るか…確率だと違うんだろうが…暗算だと分からないな…。
そもそもどうやって求めるのかさえ分からない…検索が必要だ。
なら…真ん中、四隅の1つ…を取る。
理屈は無くランダムに近づける…。
「なら私はこれだ。」
クオリアは爪楊枝で2つを刺し皿にのせる。
「ん…どれだ?これだ」
トヨカズも取る。
「さて、残りはレナだ。」
「あははははぁ」
顔は少し引きつった笑みを浮かべているが、笑い声のトーンが低い。
「では…」
レナが音頭をとる。
全員が爪楊枝にたこ焼きを2つ刺し
「「いただきます」」
全員が一気に食べた。
結果は……。
「ん~~うわああああやっぱダメだった水、水、水」
レナの敗北だった。
「あっ普通においしい」
ナオはレナの事を気にせず感想を言う。
「オレも大丈夫だ。」
「私も問題ない」
トヨカズもクオリアも無事だったようだ。
レナは水の入ったピッチャーを実体化し「この顔は女性としてどうなの?」と問いかけたくなる形相でそのまま飲み始めた。
「辛いと通り越して痛ぃ」
現実と違いVRの為か…水を飲んだ事で辛さが引いて行くのも早い。
「それにしても2つとも当たるなんて…。」
「おい今なんつー言った?2つだと」
何も知らなかったトヨカズがレナに言う。
「まさか不正をするとはな…。」
今度はナオだ。
「別に1つとは言ってないじゃない…。」
「……確かに今回も前回も当たりの数の明言は避けてる…おお、これが思い込みか!」
クオリアは、自分が思い込みをした事が嬉しいらしい。
なるほどこう言い訳を言えば不正に当たらないと思ったのか?
「これでクオリアが2勝か…なんかコツでもあるのか?」
トヨカズがクオリアに聞く。
「いや…前が7、今回は2と7か?7番にならないように取ったから」
「いや、だから7とか2って?」
「まさか見えてたの…」
レナがクオリアの言っている事を理解して頭を抱える。
「そうだよね オブジェクトIDが分かれば、当たらないよね…。」
なるほどレナはオブジェクトIDが見えていて当たりが把握できたのか…。
そうなれば確率論の前提が無意味だ。
自分は、はずれを食べて行けばいいのだから…。
さっきレナが食べる時に笑っていたのは、当たりが分かっていたからか…。
「いや2番が当たった」
クオリアが何事もなかったかのように、答える。
「え?じゃなんで普通でいられるの?」
「いや確かに『美味しくはない』が食べられない程では…。」
「そうか…エレクトロンだもんね…。」
レナは完全敗北した。
そしてクオリア以外の全員は思った。
『クオリアは辛党』だと。
目の前にARウィンドウが表示されsound onlyと表示されタッチする。
クオリアはナオが部屋にいる時は、映像通話はしない…。
何でオレが部屋にいる事を分かるのか不思議ではあるが多分、この都市のヒトが標準搭載されているマイクロマシンの位置ビーコンから逆探知しているのだろう。
一応プライベート情報になっている位置情報を気軽にハックする当たり、クオリアらしい。
『待たせた…ダイブの仕方は大丈夫だろうか?』
「ああ…もう1回ダイブした」
クオリアは、ナオのデバイスにアドレスを送る。
『ならこちらのアドレスで合流しよう…私のパブリックスペースだ。』
ナオは、先ほどと同じようにダイブする。
クオリアのパブリックスペースを一言で言うなら電脳空間だろう。
暗い空間に四角いグリッドで構成された床が透けていて、下に見えるのはグリッド内に記載された この都市の3Dマップ…。
そして、量子光の無数の直線と所々にある光の塊…。
「もしかして この都市のデータの流れか?」
先ほどと同じ パイロットスーツ姿のナオが言う。
「そう、あくまでデータの流れを表示しただけ…コードは見えないだろう。」
確かに光の線にコードは書かれていない。
光が円状に広がらないでビームみたいになっているのは、指向性の通信だからか?
となると塊《かたまり》の方はサーバー?
都市の中心部に高密度の光を感じるが…あれはこの都市の制御システムが収められている所だ。
クオリアが移動を始め、ナオもクオリアの方向に向かう。
クオリアは電子妖精の姿ではあるもののサイズは130cmになり、普段のクオリアと変わらない位だ。
「これがエレクトロンの感性か…」
「これ私が『エレクトロンの感性』と定義して作ったものだ…私の感性ではない」
「?…でも今は機械の方が人を感動させられるんだろ?」
作詞作曲を機械に任せる事はオレの時代の時でもあった…。
デイビッド教授が1980年に作った自動作曲機械が『バッハ』の音楽を模倣《もほう》して新しい曲を作ったのが始まりだ。
その時ですら、機械が作った事を伏せれば『バッハ』本人の曲より好評になり、機械が作ったと言えば『芸術の冒涜だ』と言われ、軒並み評価は低くなった。
その後40年のアルゴリズムの改良の結果、低コストで高クオリティを実現したいアニメやドラマのテーマソングで使われるようになり、有名作曲家は機械と合作な事が多くなって行った。
そんな作品を作り出せる機械だと言うのに、何で自分に感性が無いと言うのか?
「それは感動アルゴリズムを使ってるからだ…私の成果では無い、私は芸術は作れない…。
私は『漢字を使えない部屋の住人』だ……こっちだ」
クオリアの前に木製のドアが現れ、クオリアがドアノブを掴みまわす。
「その考え方は気に入らないな…。
オレなら『デカルト』か『チューリング』か…そっちの方が好きなんだが…。」
合成音声のソフトだろうが ちゃんと『調教した作品』なら、十分に人を感動させられるんだ…。
重要なのは音楽であって、中身がどうなっているのかは 関係ないだろ。
ナオの何気ない感想に クオリアは振り向いて ナオの目を見つめ「そうか」と呟やきドアを開けた。
そしてナオは中に入るクオリアの口元が少し笑ったように感じた。
ポン・・・・パ~ン
火薬の匂いと破裂音を感じ、とっさにしゃがみ込み、目と耳を塞ぎ口を大きく開ける。
衝撃波の類は当然ながら来ず、手を外し辺りを見る…。
暗い夜空に海の見える丘に打ち上げ花火が打ち上り派手に爆発し現れたのは、『Welcome Party』(歓迎会)の文字だ。
その後も色とりどりの花火が上がって行く。
「たまやー、かぎやーだっけか?どういう意味だ?」
ヘッドホンの…イヤーマフか?をしたトヨカズが指で耳をふさぐレナに聞いてくる。
ナオが立ち上がり、トヨカズの横に立つ。
「有名な花火職人の名前らしいぞ…てかなんで81mm?」
打ち上げ花火のヒュ~と言う音が聞こえずポンとなったので気になっていたのだが、原因はコレだ。
丘の頂上に設置された81mm迫撃砲が12台が横に並び、次弾を装填していないのにトヨカズの手元のスイッチで打ち上《あが》る。
「花火筒だっけ?
資料がなくてさー替わりにこれで打ち上げて見たって訳。
しっかし、ちゃんと物理シミュレートしてるのに、迫撃砲が壊れないって本物の迫撃砲でも撃てたのかね~」
「そりゃ花火筒は迫撃砲の御先祖様だからな…」
色とりどりの花火が無制限に打ち上り夜空を真昼のように照らす。
「いじっているのは花火の方か?
口径からしてあんな大きな花火なんて出来ないだろう。」
「そりゃ実際にやってみたらショボ過ぎたんで細工したんだ。」
こう言ういい加減さがVRのいい所だな。
「んじゃあオレからは、花火セットと製作アプリをプレゼントだ」
ウィンドウで操作して、ナオのデバイスに送信する。
受信許可を出し保存する。
「打ち上げ場所作らないとな…。」
「そこは自分でな…じゃパーティ会場に行くか」
「じゃあ次は私の出番ね。美味しい料理をたくさん作ったからいっぱい食べて」
トヨカズとレナは丘の下にあるログハウスに向かって歩き出した。
ログハウスの中は、普段使であろうソファーが端に寄せられ、長いテーブルが真ん中に置かれている。
奥にはキッチンがあり、冷蔵庫から料理を取り出してくる。
まだ焼いていない肉、ウィンナー、玉ねぎ、人参、ピーマン、ジャガイモのスライス切り、貝…カキか?
それに丸い緑色のボール型のキャベツ…。
「何だこの丸いキャベツは?」
「伝説のキャベツって知らないのか?
結構、美味いキャベツなんだぜ…。」
トヨカズが素早く千切りにしながら言う…。
どうやら、長い年月をかけてキャベツは、こう言う見た目の品種が普通になった見たいだ。
貝類に焼きそば、キャベツとメニュー的には焼肉関係だ。
更に、お好み焼きの種が入っているボウルが1つ…。
「美味しい料理?」
下ごしらえはしてあるものの、まだ料理前ではないだろうか?
「料理で間違えないぞ、全部レナがコードから作ったものだからな。」
トヨカズはそう言うと冷蔵庫からホットプレートを取り出した。
冷…蔵?
まぁ冷蔵庫型のストレージなのだろうが…。
実体化されたホットプレートを長テーブルに置きスイッチを入れる。
電気式だと思われるホットプレートにはコードがついておらず、どこから電気供給されているのか謎だ…。
まさかワイヤレス給電と言う訳では無いだろう。
「よく見とけ」
トヨカズが、3枚の同じ種類の厚切り肉を、ホットプレートに投入し焼く。
「ほい…ほい……ほい、見てみ」
驚くほど速く加熱された肉をナオは見てみる。
「『レア』『ミディアム』『ウェルダン』?」
焼き加減が違う3枚を見てナオは言う。
「そう、レナは『焼き加減の肉の味の変化』と『焼き色』を再現した訳だ。
これ単品なら簡単なんだけど同じ素材で3種類の変化を作るのってかなり難しいんだぞ。」
「家畜を飼っている都市なんて、もう殆ど無いからね…。
文献をあさって…後は永遠とシミュレーション…。
クオリアが処理を肩代わりしてくれなかったら出来なかったのよね。」
「私としても良いデータを得られたと思ってる。」
クオリアがレナにそう返答する。
「しかしまぁ、レナは食に貪欲だよな…。
普段はバカなのに食の事になると数段階性能が上がる。」
「美味しい食事って、それだけで良い気持ちにならない?
やっぱり人って食が重要だと思うのよ」
食事が食べられない時期が有ったのだろうか?
レナが自信を持ってはっきりと言う。
「じゃ…食べ物に感謝をしつつ『いただきます』」
レナは指を組み頭を下げ祈る…。
教会のシスターを思わせる生活習慣に取り込まれ違和感のない自然な祈り…。
「「いただきます」」
トヨカズは、日本方式で手を合わせてるやり方。
クオリアは、文官敬礼の亜種か?
右腕を曲げて状態で左胸に当て、左手は手を握った状態で背中で曲げる。
その状態で一礼だ。
「いただきます」
ナオは日本式だ…普段はこう言った習慣がないナオだったが、皆に合わせる。
それにしても祈り方だけでも結構あるもんだな…。
「これが当時のスーパーに売ってたC級の安肉、こっちがB級、これが当時の最高峰A級」
コイツは肉マニアなのか?
C~Aまでの肉に鶏、豚、牛、羊とそろっていて、焼肉屋で売っている主な部位は完備。
正直食いきれない。
レナにオススメの部位を選んでもらい焼く…焼き色の変化が自然で焼ける匂いが更に食を進ませる。
他の食材の再現度も高く、本物と同じレベルだ。
「これでも煮込み料理は まだ出来ないんだけどね」
レナは、肉を焼いて皿に盛りつけつつ言う。
「それが出来るようになったら肉は制覇だな…。」
トヨカズが、肉にたれをつけて食べる。
「あと1年はかかるよ…こんなのネットを探しても どこもやってないからね。」
「最後の最適化は私がやろう…私としても興味がある。
こんな事をする人はいなかったからな…ふむ『美味しい』んじゃないか?」
クオリアが肉を食べ率直な感想を言う。
「開発しそうな物だけどな…。」
自前でほっかほかのご飯を出して 食べだしたトヨカズを見つつ、ナオがクオリアに言う。
「今あるのは用途限定の特化肉だ。
焼き時間によって味が変化する事なんてまずない。
この肉は焼き加減でリアルタイムで味が変わる…。
味としては特化肉と変わらないんだろうが、レナは『調理をする』と言う楽しみ方を付加価値にしたんだ。」
クオリアが言う。
「なるほど」
大まかな仕組みは分かった。
味の変化が無ければ味覚再生エンジンに味を代入するだけでよく『焼くという行為』で味が変わる肉は、約時間で変数で常時変って行く感じか?
それに変化するなら、そのアルゴリズムを作らなければならない。
確かに面倒だ。
オレなら、わざわざ統合なんてしないで単品で楽しむだろう…。
その方が空き容量を食わないで済むし簡単だ。
ああ…そんな事を考える人が大半だから、開発されていないのか。
さて、それから30分程立ち程よく満腹になってきたナオは、しばらく考え、疑問に思った事を言う。
「なんでオレは満腹になっているんだ?」
普通に考えるなら、現実のオレの胃には肉のひとかけらも入っていないはずだ。
「あー満腹中枢は刺激されているし、消化器官は何もないのに動いているだろうしね。」
レナがデザートのミカンを食べながら答える。
「確か、VRゲーマーがVR内で食事を済まして、現実には何も食べていなくて餓死《がし》したとかあったっけ?」
食後のワインをビールジョッキで楽しみつつ、トヨカズが言った。
……トヨカズって15~16歳位じゃなかったか?未成年の飲酒?…いやここ10歳で成人か…。
それに実際にはアルコールは、1mℓも…て何故か多少酔っぱらっている。
脳に酒を飲んだと錯覚させているのか?
「なら本来は、間食レベルが良いんだろうな」
「でしょうね」
「まぁ普通、餓死《がし》なんて起こらないだろうし、警告も出てたんだろうからな」
「人はつくづく仕様もない理由で死ぬな…。
自分の命よりゲームを優先するなんて…。」
「そんな馬鹿をやらかすのが人なのかもな」
トヨカズが少し笑いならが答える。
「覚えておこう。」
クオリアは、結局一通り摘《つ》まむだけだった…。
食べた種類だけは一番多いだろうが食べた量は一番少ないだろう。
「じゃそろそろアレをやりますか?」
「またやるの?懲りないわね」
「……このシチュエーションで該当するのは、たこ焼きか?」
「正解~」
レナがARウィンドウを操作してストレージから8個、1パックのたこ焼きを出す。
「辛味パウダーを安全基準ギリギリまで入れた激辛たこ焼きでぇ~す。」
「次こそはレナに食わせてやるぞ」
テンションが上がり、乗り気なトヨカズ。
「前回、あれだけ苦しんだろうに…まだ懲《こ》りないのか?」
「そりゃ前回オレが当たったんだ…確率的には2回連続で当たる可能性は低い。
オレが4分の1、他が2分の1だ。」
「いや、その計算はおかしい。
それに、それが正しいとしても誤差は出る…。
収束していない確率なんて当てにならない。」
「よーしやるぞ」
「あーこれが、VRゲーマーの心理か…。」
クオリアが、納得したような顔をする。
「当然オレも参加だろうね…。」
「勿論」
「じゃあ最初はナオ、クオリアにトヨカズ、不正が無いように私は最後で…。」
「おう」
オレはクオリアの肩をつつき「なぁ前の順番はどうなってた?」と小声で聞いた。
「トヨカズ、クオリア、レナだ。
前回もレナが最後だった…トヨカズが当たったのは2週目だ。」
「なるほど」
ゲームを壊さない為か、明言はしなかったがヒントはくれた。
ロシアンルーレット方式で考えるなら、弾が発射されて頭が吹っ飛んだら、そこでゲームは終了の為、最初より後の方が生き残り易くなる。
つまりレナは『不正が無いように私は最後で…』ともっともらしい理由を言いながら確率が低い後ろを取ったと言う事だ。
しかも単純な確率計算でトヨカズが最初になるように誘導して…。
そもそもこの条件なら弾が1発の可能性も怪しくなる。
トヨカズは レナをバカと言っているが少なくともズル賢い…。
足りていないのは学習時間の差だろう。
なら…。
「じゃあ条件の追加だ。
レナの順番通りで各2個ずつ連続で選ぶ。
最後に皿に乗った たこ焼きを2つ串刺しにて皆で同時に食べる…どうだ?」
ナオが言う。
「いいんじゃないか?」
トヨカズは、こちらの意図に気がつがずその場のノリで。
「問題ない」
クオリアはオレの意図に気づいたのか同意した。
「………。」
レナだけが無言で考える…さぁ如何《どう》出る?
「それで行きましょう」
ドローにしなかった…つまり『激辛たこ焼き複数説』は考えなくていい。
複数人が激辛に当たったらその時点で不正が発覚するからだ。
ナオが爪楊枝でどれを取ろうか迷う…。
グラフィックを丸々コピーしているのだろう…見た目に違いは無い。
レナの表情はあえて顔を引きつらせた笑みを浮かべ、変わらないようにしている。
クオリアレベルだったら微妙な表情から当たりを特定出来るのか?
横から取るか真ん中から取るか…確率だと違うんだろうが…暗算だと分からないな…。
そもそもどうやって求めるのかさえ分からない…検索が必要だ。
なら…真ん中、四隅の1つ…を取る。
理屈は無くランダムに近づける…。
「なら私はこれだ。」
クオリアは爪楊枝で2つを刺し皿にのせる。
「ん…どれだ?これだ」
トヨカズも取る。
「さて、残りはレナだ。」
「あははははぁ」
顔は少し引きつった笑みを浮かべているが、笑い声のトーンが低い。
「では…」
レナが音頭をとる。
全員が爪楊枝にたこ焼きを2つ刺し
「「いただきます」」
全員が一気に食べた。
結果は……。
「ん~~うわああああやっぱダメだった水、水、水」
レナの敗北だった。
「あっ普通においしい」
ナオはレナの事を気にせず感想を言う。
「オレも大丈夫だ。」
「私も問題ない」
トヨカズもクオリアも無事だったようだ。
レナは水の入ったピッチャーを実体化し「この顔は女性としてどうなの?」と問いかけたくなる形相でそのまま飲み始めた。
「辛いと通り越して痛ぃ」
現実と違いVRの為か…水を飲んだ事で辛さが引いて行くのも早い。
「それにしても2つとも当たるなんて…。」
「おい今なんつー言った?2つだと」
何も知らなかったトヨカズがレナに言う。
「まさか不正をするとはな…。」
今度はナオだ。
「別に1つとは言ってないじゃない…。」
「……確かに今回も前回も当たりの数の明言は避けてる…おお、これが思い込みか!」
クオリアは、自分が思い込みをした事が嬉しいらしい。
なるほどこう言い訳を言えば不正に当たらないと思ったのか?
「これでクオリアが2勝か…なんかコツでもあるのか?」
トヨカズがクオリアに聞く。
「いや…前が7、今回は2と7か?7番にならないように取ったから」
「いや、だから7とか2って?」
「まさか見えてたの…」
レナがクオリアの言っている事を理解して頭を抱える。
「そうだよね オブジェクトIDが分かれば、当たらないよね…。」
なるほどレナはオブジェクトIDが見えていて当たりが把握できたのか…。
そうなれば確率論の前提が無意味だ。
自分は、はずれを食べて行けばいいのだから…。
さっきレナが食べる時に笑っていたのは、当たりが分かっていたからか…。
「いや2番が当たった」
クオリアが何事もなかったかのように、答える。
「え?じゃなんで普通でいられるの?」
「いや確かに『美味しくはない』が食べられない程では…。」
「そうか…エレクトロンだもんね…。」
レナは完全敗北した。
そしてクオリア以外の全員は思った。
『クオリアは辛党』だと。
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