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ヒトのキョウカイ1巻(異世界転生したら未来でした)
27 (それぞれの戦い)
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戦闘開始から10分…。
24機のDL部隊での撃墜数は300越えた…。
こちらの損失機は0だが、休む暇が無い敵の波状攻撃にパイロットは疲弊《ひへい》している。
ワームは4本足で前面が、硬い甲羅に覆われ、その硬度はモース硬度9…ダイヤモンド並。
それが5tの質量を持ち時速100kmのスピードで突進してくるのだ…。
それは まるで特大の破城槌《はじょうつい》だ。
正面から当たれば、大破は確実…。
だが その単純な軌道はDLに搭載されている未来予測システムで、攻撃位置を割り出せ、回避は十分に可能だ。
つまり単体自体はそこまで脅威ではない。
問題なのは滝から流れる水を、バケツですくい上げるような気が遠くなる程の数を、相手にしなければならない事だ。
戦闘開始から1時間…。
『ジェニーからクオリアへ…敵の数はどれ位いる?
敵密度が多くてマップには巨大な塊にしか映らない』
ジェニーが疲れたように言う。
「おそらくそれは死骸が産むノイズだ…確かめてマップを更新する。」
クオリア機が走りワームが落下してくるエレベーター下に向かう。
この死骸の中では足のローラーが使えず走るしかない。
正面にはクオリア機に狙いをつけたワームが加速して突っ込んで来る。
クオリア機はワームをギリギリで機体を捻《ひね》って、回避《かわ》し、ワームの背中に向けて発砲する。
コイルガンの機構を持つボックスライフルから放たれる弾が背中から甲羅に向かって入って行き、内側から強固な甲羅に当たり内部で弾が暴れる。
ワームにも脳のような器官はあるようでそこを潰せば大人しくなる。
クオリア機は死骸を飛び越え、未だに上から滝のように落ち続けるエレベーター下を見る。
「裏付けされた…死骸だ…ッ全機退避しろ急げ!」
クオリア機が大きくバックステップを行い機体を捻《ひね》り半回転させ…着地して走る…。
後方では1層の床が崩れ、大量のワームを巻き込んで2層に落ちる。
「想定より早い…ジェニー、私は2層に行き迎撃《げいげき》する。」
『分かった…本部に許可を取る。』
『ジェニー小隊長…それは出来ない…君達の任務は1層の中央区の防衛だ。』
『と言いましてもワームはこちらには来ませんが…。』
ジェニーはやんわりと告げる。
『それでもだ…。』
『…了解。』
クオリアからリアルタイムで送られて来る情報に役員は必要以上に恐怖してしまった。
クオリアは限定解除の交渉に使うつもりだったのだが、恐怖した役員は防衛戦力を中央区から移動させる事を拒んだ。
とことんと自殺に進むな…運営。
1層のグラウンドの近くにあるエレベーターから2層に降り、そこから中央区のエレベーター下に向かっているナオとトヨカズは 大量のワームに出くわした。
おそらく、天井が抜かれたのだろう。
今も上から大量のワームが降ってくる。
「建物を盾にしながら乱戦に持ち込むぞ。」
大量に流れてくるワームを全部処理する事はまず出来ない。
なら…囲まれないように立ち回りながら確実に潰していくしかない。
ナオ機は 建物の間を進むワームに向かい加速すると ワームの背中を剣のように切り付け 更に機体を水平に回転させ、斧のように切りトドメを刺す。
更に走り加速をつけ、次のワームの硬い甲羅に正面から槍のように突き刺し弾かれたら今度は『得物《えもの》』を両手で持ちDLの重量を乗せハンマーのように叩き潰す。
剣、斧、槍、ハンマーと様々な使い方が出来る武器…『DL用大型シャベル』だ。
ナオが『最強の武器』と言うシャベルは、扱いが難しいものの使いこなせればDL最強の接近武器となる。
ワームの上に飛び乗り上から突き刺す…その後、威力が足りないからと足掛け部分に5tの体重を乗せ押し込み、てこの原理でワームの中身をかき出す…。
ナオは忍者の家系の生まれだ。
忍者と言うと、手裏剣にクナイと火を吐いたり、分身したりするイメージだが、現実は農民に化けて農具を武器に人を殺していた…。
そう言った理由もあり、土木作業用のシャベルは 忍者のナオの得意武器だ。
トヨカズは オレ見たいには行かないのか、切りつける事が多いが…。
どうにか使いこなしている。
『死なない自信はあるけど殆《ほとん》ど素通りしているな。』
トヨカズがワームを切り裂き言う。
「死体を積み上げてバリケードにするか?」
流れるように技を繋げながらワームを倒して行きながら、ナオが言う…。
『ははは積み上げている間に死ぬ自信がある。』
トヨカズは、笑いながらそう言った。
外は吹雪が降り注ぐ-5℃…見通しの視界が悪く計器しか頼れない…。
大隊長は、この悪天候の中で半数が行方不明になるものの、如何《どう》にか戦力を維持していた。
辺りはワームの死骸であふれ返り、ワームは死骸すら乗り越えるものだから…原型が残らない。
既に大隊長達は既に100匹以上駆除しているが…焼け石に水だ。
そもそも第1中隊は情報収集と後方での指揮がメインで 100匹も駆除出来るなんて本来は不自然しいのだが…。
刻々と前線が押し下げられ、その都度対処する。
『やっと 3000て所でしょうか?
残りは7000…ですが かなり抜かれていますね…。』
第1中隊の仲間が言う。
「無駄弾を使うなよ…この状態じゃ補給も望めない。」
『分かっています。』
1秒ごとにボックスライフルからの発砲音が聞こえる。
大隊長は、直線軌道のワームを回避し軸線を合わせ後ろから発砲する。
1匹に付き1発…コイルガン故に電圧を上げれば初速が上がる。
運動エネルギー=『質量』×『速度』の2乗の『速度』を上げる方法だ。
バッテリーを喰う事になるだろうが、稼働限界が来る前に機体が破壊される可能性の方が断然高いので惜しみなく使う。
『大隊長!隕石警報です…着弾地点は1時の方角』
「該当区域の機体はすぐに撤退だ…。」
こんな時に…いや明るい話題か?
「ワームを削ってくれればいいんだが…。」
地球の軌道上は人工衛星が まだいくつかあり、廃棄する場合は軌道を地球に向けて焼却処分する事が多い。
そして、たまに技術力の低い都市の衛星が軌道がズレて近所に着弾するのだ…。
ザッザザザー
いきなりノイズが走る…。
『メーデーメーデー応答を願います。』
航空用語の緊急を発する女の声が聞こえてくる。
「聞こえている…この隕石はお前か?」
「はい…該当地点の退避を要請します。」
「もう出している。だが今は戦闘中だ…残念ながら救助は出来ない。」
「構いません…自力脱出を試みます。」
彼女の緑色に輝く機体がワームに向かって着弾し、その後、後ろから後を追うように続々同じ機体が墜落していく。
それはまるで砲弾やミサイルのようだ。
「助からないだろうな…」
ワームを捌《さば》きながら、大隊長はつぶやいた。
『敵の流入量が減りました…今です。』
「よーし墜落者の命を無駄にするな…前線を引き上げるぞ…。」
『勝手に殺さないで頂けますか…』
5tもあるワームが宙に吹っ飛び地面に叩きつけられる。
下にいたのは160cmの長身の女性だ…。
他の生き残りの女性もワームを素手で殴って止めたり、回し蹴りで頑強な甲羅を叩き割る。
フルスペック義体でもそんな事が出来るはずが…いや。
「墜落者の代表…所属と姓名…階級を述べよ」
大隊長の言葉に…。
『私はエレクトロン地球支部所属…エルダー・コンパチ・ビリティ…階級は長老』
と彼女は答えた。
「やっぱり」
エルダーは、エレクトロンの最上位の階級になる。
現在、地球と月の支部を管理しているのが、このコンパチなのだ。
『高度200kmにいた我々エレクトロン1個大隊は…機体不調により地球の重力に引かれ落下…。
おそらくプログラムにバグがあったと思われます。』
何で、エレクトロンの1個大隊が200kmに…。
『現在、墜落先に偶然ワームいた事で注意を引き包囲されつつあります。』
包囲するように誘導したのか…。
『私達は『自己防衛権』を行使し、自衛行動を行います。』
「我々の援護は?」
『不要です…あなた方は任務に専念していてください…。
ですが、現場の情報が圧倒的に足りていません…『フォースネット』の接続許可を要請します。』
フォースネットは 敵の位置情報などを味方内で処理して各機体に届けるネットワークだ。
これが有るおかげで、正確な射撃やリアルタイムの戦況の共有などを得られる。
だが、DLより圧倒的に性能が高い観測機器であるはずの エレクトロンに人のフォースネットのサポートは不要だ…つまり。
「フォースネットの接続を許可する。」
『感謝します。』
接続された途端…今まで観測が出来なかった遠くの情報も入手出来るようになり、更に敵の位置が正確に割り出せた事で命中率も格段に上がる。
「まだ行けるぞ…。」
エレクトロンが来た事で、ワームの流入度が下がり、休み休み対処《たいしょ》できるようになった。
それでも、かなりのワームがすり抜け、都市に向かって行ってしまったが、もうあちら側で対処《たいしょ》して貰うしかない…。
永遠の戦闘に疲弊《ひへい》していた兵士も希望を見つけ、士気が上がって行った。
「うりゃあぁ~」
ワームの甲羅を素手で破壊しているのは、エレクトロンの『ジガ』だ。
「コンパチ…こう言うのもいいな…縛りプレイだっけか?」
「当たらないで下さいよ」
コンパチがそう言う。
実際そこまで、楽観視出来る状況では無いのだが…面白い。
エレクトロンは『自己防衛権』を使うため義体を守る防御プログラムを使わず素手のみで戦う。
当たれば即全損…その緊張感が『ジガ』を楽しませる。
縛りプレイか…結構面白いな。
「なぁコンパチ…事態が収束したら1週間程、観光していいか?」
ワームを蹴り上げる際に空間を弄り威力を増す…。
蹴り上げたワームは宙に浮かんで吹っ飛び、後ろにいるワームを巻き込んで落下した。
「別に構いませんが…ご迷惑無いようにしてくださいね」
コンパチは持ってきた大剣を構えワームを切り裂く…刃から量子光が舞い最高の斬れ味を持つ剣にワームが真二つになる。
コンパチは人間出身と言う事もあり空間ハッキングは苦手だ。
その為、実体剣を持ってきていたのだが、今回はそれが活かされた形になる。
時間はかかるだろうが…ウチらが全損する要因は今の所ない…。
ワームを切り裂き、エルダー・コンパチ・ビリティ…コンパチは思う。
墜落して正解だったと…。
当初は、エレクトロンの都市『エクスマキナ』から高度100kmの宇宙に上がって加速し90分で現地に到着する予定でしたが、現地政府の問題が起き、オーパーツの使用が許可出来ないとの事だったので『空中待機』ならぬ『宇宙待機』をする事になったのです。
上空から見る現地の状況は最悪で、津波のように押し押せるワームの物量に成すべくもなく破壊されていくDL…。
このままルールを守った場合、あそこにいるDL部隊は全滅でしょう。
そして砦学園都市も墜《お》ちる事でしょう。
そこで私は、姿勢制御用のプログラムに意図的なバグを入れ、大隊内で一斉にアップデートさせました…。
姿勢制御が故障し…ちゃんと計算され尽くされたタイミングで降下して、地表に衝突…。
私の意図に気づいても、何も言わずにバグを受け入れてくれた仲間達と共に私は戦っています…。
皆は久々な戦闘に興奮しており、かなり楽しそうです。
特に『さとり病』にかかった戦闘個体のエレクトロンを連れてきたのは正解でした。
彼女らは久しぶりに活躍出来ると喜んでいます。
とは言え、限定解除しないと焼け石に水になりそうですね…。
クオリアの交渉に期待するしか無いようです。
24機のDL部隊での撃墜数は300越えた…。
こちらの損失機は0だが、休む暇が無い敵の波状攻撃にパイロットは疲弊《ひへい》している。
ワームは4本足で前面が、硬い甲羅に覆われ、その硬度はモース硬度9…ダイヤモンド並。
それが5tの質量を持ち時速100kmのスピードで突進してくるのだ…。
それは まるで特大の破城槌《はじょうつい》だ。
正面から当たれば、大破は確実…。
だが その単純な軌道はDLに搭載されている未来予測システムで、攻撃位置を割り出せ、回避は十分に可能だ。
つまり単体自体はそこまで脅威ではない。
問題なのは滝から流れる水を、バケツですくい上げるような気が遠くなる程の数を、相手にしなければならない事だ。
戦闘開始から1時間…。
『ジェニーからクオリアへ…敵の数はどれ位いる?
敵密度が多くてマップには巨大な塊にしか映らない』
ジェニーが疲れたように言う。
「おそらくそれは死骸が産むノイズだ…確かめてマップを更新する。」
クオリア機が走りワームが落下してくるエレベーター下に向かう。
この死骸の中では足のローラーが使えず走るしかない。
正面にはクオリア機に狙いをつけたワームが加速して突っ込んで来る。
クオリア機はワームをギリギリで機体を捻《ひね》って、回避《かわ》し、ワームの背中に向けて発砲する。
コイルガンの機構を持つボックスライフルから放たれる弾が背中から甲羅に向かって入って行き、内側から強固な甲羅に当たり内部で弾が暴れる。
ワームにも脳のような器官はあるようでそこを潰せば大人しくなる。
クオリア機は死骸を飛び越え、未だに上から滝のように落ち続けるエレベーター下を見る。
「裏付けされた…死骸だ…ッ全機退避しろ急げ!」
クオリア機が大きくバックステップを行い機体を捻《ひね》り半回転させ…着地して走る…。
後方では1層の床が崩れ、大量のワームを巻き込んで2層に落ちる。
「想定より早い…ジェニー、私は2層に行き迎撃《げいげき》する。」
『分かった…本部に許可を取る。』
『ジェニー小隊長…それは出来ない…君達の任務は1層の中央区の防衛だ。』
『と言いましてもワームはこちらには来ませんが…。』
ジェニーはやんわりと告げる。
『それでもだ…。』
『…了解。』
クオリアからリアルタイムで送られて来る情報に役員は必要以上に恐怖してしまった。
クオリアは限定解除の交渉に使うつもりだったのだが、恐怖した役員は防衛戦力を中央区から移動させる事を拒んだ。
とことんと自殺に進むな…運営。
1層のグラウンドの近くにあるエレベーターから2層に降り、そこから中央区のエレベーター下に向かっているナオとトヨカズは 大量のワームに出くわした。
おそらく、天井が抜かれたのだろう。
今も上から大量のワームが降ってくる。
「建物を盾にしながら乱戦に持ち込むぞ。」
大量に流れてくるワームを全部処理する事はまず出来ない。
なら…囲まれないように立ち回りながら確実に潰していくしかない。
ナオ機は 建物の間を進むワームに向かい加速すると ワームの背中を剣のように切り付け 更に機体を水平に回転させ、斧のように切りトドメを刺す。
更に走り加速をつけ、次のワームの硬い甲羅に正面から槍のように突き刺し弾かれたら今度は『得物《えもの》』を両手で持ちDLの重量を乗せハンマーのように叩き潰す。
剣、斧、槍、ハンマーと様々な使い方が出来る武器…『DL用大型シャベル』だ。
ナオが『最強の武器』と言うシャベルは、扱いが難しいものの使いこなせればDL最強の接近武器となる。
ワームの上に飛び乗り上から突き刺す…その後、威力が足りないからと足掛け部分に5tの体重を乗せ押し込み、てこの原理でワームの中身をかき出す…。
ナオは忍者の家系の生まれだ。
忍者と言うと、手裏剣にクナイと火を吐いたり、分身したりするイメージだが、現実は農民に化けて農具を武器に人を殺していた…。
そう言った理由もあり、土木作業用のシャベルは 忍者のナオの得意武器だ。
トヨカズは オレ見たいには行かないのか、切りつける事が多いが…。
どうにか使いこなしている。
『死なない自信はあるけど殆《ほとん》ど素通りしているな。』
トヨカズがワームを切り裂き言う。
「死体を積み上げてバリケードにするか?」
流れるように技を繋げながらワームを倒して行きながら、ナオが言う…。
『ははは積み上げている間に死ぬ自信がある。』
トヨカズは、笑いながらそう言った。
外は吹雪が降り注ぐ-5℃…見通しの視界が悪く計器しか頼れない…。
大隊長は、この悪天候の中で半数が行方不明になるものの、如何《どう》にか戦力を維持していた。
辺りはワームの死骸であふれ返り、ワームは死骸すら乗り越えるものだから…原型が残らない。
既に大隊長達は既に100匹以上駆除しているが…焼け石に水だ。
そもそも第1中隊は情報収集と後方での指揮がメインで 100匹も駆除出来るなんて本来は不自然しいのだが…。
刻々と前線が押し下げられ、その都度対処する。
『やっと 3000て所でしょうか?
残りは7000…ですが かなり抜かれていますね…。』
第1中隊の仲間が言う。
「無駄弾を使うなよ…この状態じゃ補給も望めない。」
『分かっています。』
1秒ごとにボックスライフルからの発砲音が聞こえる。
大隊長は、直線軌道のワームを回避し軸線を合わせ後ろから発砲する。
1匹に付き1発…コイルガン故に電圧を上げれば初速が上がる。
運動エネルギー=『質量』×『速度』の2乗の『速度』を上げる方法だ。
バッテリーを喰う事になるだろうが、稼働限界が来る前に機体が破壊される可能性の方が断然高いので惜しみなく使う。
『大隊長!隕石警報です…着弾地点は1時の方角』
「該当区域の機体はすぐに撤退だ…。」
こんな時に…いや明るい話題か?
「ワームを削ってくれればいいんだが…。」
地球の軌道上は人工衛星が まだいくつかあり、廃棄する場合は軌道を地球に向けて焼却処分する事が多い。
そして、たまに技術力の低い都市の衛星が軌道がズレて近所に着弾するのだ…。
ザッザザザー
いきなりノイズが走る…。
『メーデーメーデー応答を願います。』
航空用語の緊急を発する女の声が聞こえてくる。
「聞こえている…この隕石はお前か?」
「はい…該当地点の退避を要請します。」
「もう出している。だが今は戦闘中だ…残念ながら救助は出来ない。」
「構いません…自力脱出を試みます。」
彼女の緑色に輝く機体がワームに向かって着弾し、その後、後ろから後を追うように続々同じ機体が墜落していく。
それはまるで砲弾やミサイルのようだ。
「助からないだろうな…」
ワームを捌《さば》きながら、大隊長はつぶやいた。
『敵の流入量が減りました…今です。』
「よーし墜落者の命を無駄にするな…前線を引き上げるぞ…。」
『勝手に殺さないで頂けますか…』
5tもあるワームが宙に吹っ飛び地面に叩きつけられる。
下にいたのは160cmの長身の女性だ…。
他の生き残りの女性もワームを素手で殴って止めたり、回し蹴りで頑強な甲羅を叩き割る。
フルスペック義体でもそんな事が出来るはずが…いや。
「墜落者の代表…所属と姓名…階級を述べよ」
大隊長の言葉に…。
『私はエレクトロン地球支部所属…エルダー・コンパチ・ビリティ…階級は長老』
と彼女は答えた。
「やっぱり」
エルダーは、エレクトロンの最上位の階級になる。
現在、地球と月の支部を管理しているのが、このコンパチなのだ。
『高度200kmにいた我々エレクトロン1個大隊は…機体不調により地球の重力に引かれ落下…。
おそらくプログラムにバグがあったと思われます。』
何で、エレクトロンの1個大隊が200kmに…。
『現在、墜落先に偶然ワームいた事で注意を引き包囲されつつあります。』
包囲するように誘導したのか…。
『私達は『自己防衛権』を行使し、自衛行動を行います。』
「我々の援護は?」
『不要です…あなた方は任務に専念していてください…。
ですが、現場の情報が圧倒的に足りていません…『フォースネット』の接続許可を要請します。』
フォースネットは 敵の位置情報などを味方内で処理して各機体に届けるネットワークだ。
これが有るおかげで、正確な射撃やリアルタイムの戦況の共有などを得られる。
だが、DLより圧倒的に性能が高い観測機器であるはずの エレクトロンに人のフォースネットのサポートは不要だ…つまり。
「フォースネットの接続を許可する。」
『感謝します。』
接続された途端…今まで観測が出来なかった遠くの情報も入手出来るようになり、更に敵の位置が正確に割り出せた事で命中率も格段に上がる。
「まだ行けるぞ…。」
エレクトロンが来た事で、ワームの流入度が下がり、休み休み対処《たいしょ》できるようになった。
それでも、かなりのワームがすり抜け、都市に向かって行ってしまったが、もうあちら側で対処《たいしょ》して貰うしかない…。
永遠の戦闘に疲弊《ひへい》していた兵士も希望を見つけ、士気が上がって行った。
「うりゃあぁ~」
ワームの甲羅を素手で破壊しているのは、エレクトロンの『ジガ』だ。
「コンパチ…こう言うのもいいな…縛りプレイだっけか?」
「当たらないで下さいよ」
コンパチがそう言う。
実際そこまで、楽観視出来る状況では無いのだが…面白い。
エレクトロンは『自己防衛権』を使うため義体を守る防御プログラムを使わず素手のみで戦う。
当たれば即全損…その緊張感が『ジガ』を楽しませる。
縛りプレイか…結構面白いな。
「なぁコンパチ…事態が収束したら1週間程、観光していいか?」
ワームを蹴り上げる際に空間を弄り威力を増す…。
蹴り上げたワームは宙に浮かんで吹っ飛び、後ろにいるワームを巻き込んで落下した。
「別に構いませんが…ご迷惑無いようにしてくださいね」
コンパチは持ってきた大剣を構えワームを切り裂く…刃から量子光が舞い最高の斬れ味を持つ剣にワームが真二つになる。
コンパチは人間出身と言う事もあり空間ハッキングは苦手だ。
その為、実体剣を持ってきていたのだが、今回はそれが活かされた形になる。
時間はかかるだろうが…ウチらが全損する要因は今の所ない…。
ワームを切り裂き、エルダー・コンパチ・ビリティ…コンパチは思う。
墜落して正解だったと…。
当初は、エレクトロンの都市『エクスマキナ』から高度100kmの宇宙に上がって加速し90分で現地に到着する予定でしたが、現地政府の問題が起き、オーパーツの使用が許可出来ないとの事だったので『空中待機』ならぬ『宇宙待機』をする事になったのです。
上空から見る現地の状況は最悪で、津波のように押し押せるワームの物量に成すべくもなく破壊されていくDL…。
このままルールを守った場合、あそこにいるDL部隊は全滅でしょう。
そして砦学園都市も墜《お》ちる事でしょう。
そこで私は、姿勢制御用のプログラムに意図的なバグを入れ、大隊内で一斉にアップデートさせました…。
姿勢制御が故障し…ちゃんと計算され尽くされたタイミングで降下して、地表に衝突…。
私の意図に気づいても、何も言わずにバグを受け入れてくれた仲間達と共に私は戦っています…。
皆は久々な戦闘に興奮しており、かなり楽しそうです。
特に『さとり病』にかかった戦闘個体のエレクトロンを連れてきたのは正解でした。
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夫が病気で長期入院したので夫が途中まで書いていた小説を私なりに書き直して完結まで投稿しますので応援よろしくお願いいたします。
主人公は建築会社を55歳で取り締まり役常務をしていたが惜しげもなく早期退職し田舎で大好きな農業をしていた。99歳で亡くなった老人は前世の記憶を持ったまま7歳の少年マリュウスとして異世界の僻地の男爵家に生まれ変わる。10歳の鑑定の儀で、火、水、風、土、木の5大魔法ではなく、この世界で初めての召喚魔法を授かる。最初に召喚出来たのは弱いスライム、モグラ魔獣でマリウスはガッカリしたが優しい家族に見守られ次第に色んな魔獣や地球の、物などを召喚出来るようになり、僻地の男爵家を発展させ気が付けば大陸一豊かで最強の小さい王国を起こしていた。
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