⊕ヒトのキョウカイ⊕【未来転生したオレは、星を軽くぶっ壊すチート機械少女と共にこの幻実(せかい)で生きて行く…。】

Nao

文字の大きさ
49 / 60
ヒトのキョウカイ2巻(エンゲージネジを渡そう)

18 (スカウト交渉)

しおりを挟む
 エルダー・コンパチに連れられ、ジガ、レナ、トヨカズ、ロウが後に続く。
「全く…レナの護衛をすっぽかしやがって…。」
 トヨカズがコンテナから装備を出して装着していく。
 トヨカズの装備は 遠近両用のアサルトライフルM4に、腰には索敵、観測、自走地雷の役割を持つ 手のひらサイズのドローン『ゴリアテ』が6機…5.56mmの30発マガジンが4本の120発になる。
「そんなフル装備で一体何と戦う気だよ。」
 ジガが呆れてトヨカズに言う。
 ジガは手で抱える程の大きさのコンテナをベルトで肩に下げている…。
 コンテナの中身は砦学園都市から預かった量子通信機だ。
「VRゲームでオレが使っている基本装備だ…。
 歩兵ならこれで十分に対処が出来る。」
「トヨカズは 歩兵での実戦経験なんて無いしね。」
 レナが隣で言う。
 と言うか、この平和な世界でまともに実践経験があるヒトの方が少ない。
 皆、本物の戦場よりリアルで死んで経験を積めるVRで訓練していて もう実戦経験のアドバンテージは無い。
「基本はゴリアテで索敵をしつつ逃げるのが基本だからな…。」
 頭を撃ち抜かれれば 万国共通でヒトは死ぬ…。
 それは新兵だろうが、屈強な兵士だろうが変わらない。
 だから気づかれないように逃げる…。
 そして…安全な場所から一方的に撃つ。
 芋砂イモスナ上等…効率より生存優先。
 実際キル数や戦果はトッププレイヤーに比べ低いが、命中率が高さやデス数の低さは 名前を覚えられるほどだ。
「さて、つきました…ここです。」

 私の目の前には 倉庫用の棚が無数に積み上げられていて、その中に機械が置いてありケーブルで一ヵ所に繋がっている。
「ここが量子通信ルームです。
 えーとトニー王国の砦学園都市はこちらです。」
 エルダーは機械翼を展開し飛びながら、足場の類が一切ない棚の上に書かれているラベルを見ていく。
「飛べるから足場も要らないのね…。」
 エルダーを追いかけながらレナが言う。
「ここです…ありました。」
 エルダーが そう言うと地面に降りる。
「さて、持ち上げますので交換をお願いします。」
 ジガが片手で私の腹を抱え上昇する…。
 コンテナから量子通信機を取り出したエルダーは上昇してジガの隣に着く。
 交換作業は 責任の問題から通信元の現地のヒトが やらなければならない。
 私はケーブルを外して 箱状の通信機を取り出し、エルダーが持っている通信機と交換し、入れる。
 最後にケーブルを繋いで完成だ。
「なんかあっさり繋がっちゃったけど…本当に大丈夫なの?」
 ジガに抱えられている私が ゆっくりと降下しながら聞く。
「電源ケーブルと通信ケーブルを繋げば良いだけだからな…。
 さて動作チェックするか」
 ジガがARウィンドウを出し皆が見えるように拡大する…。
 青色一色だったウィンドウのプライベートモードが解除され、デスクの椅子に座る白衣の人が見える。
『こちら砦学園都市、ネットワーク管理部』
「おお繋がった。」
「こちら、『エクスマキナ都市 ネットワークセンター』エルダー・コンパチ・ビリティです。
 回線復旧のお知らせと動作確認です。
 回線に問題はありませんか?」
「今の所問題はありません…。
 ですが、実際に大容量を流して見ない事には何とも…。
 回線を開くには都市長の許可がいりますし…。」
「では繋いでいただけますか?私が交渉します。」
「分かりました…では」
 画面が消えしばらくして再び映す…今度はアントニーだ。
『復旧したみたいですね…許可ですか?』
「はい…こちらは十分に耐えられますが…砦学園都市の回線状況は 如何《どう》なっていますか?」
『近隣都市を中継してのワールドネットは 既に動作確認をしています。
 まぁ問題無いでしょう。』
 アントニーはARのキーボードを操作し、エンターキーを押す。
 回線を流れる通信量が一気に上がる…解放したみたいだ。

『あーそうそう…ジガはいるかい?』
「いるが?どうかしたか?」
 ARディスプレイの前に顔を出してジガが聞く。
「出発した後に都市民から市役所に要望が来てね…『ジガをスカウトしてくれないか?』だってさ…。」
「って事は造顔師か?」
「そう…ワーム侵攻事件で顔が崩れる人が大量に出たから、造顔師が足りなくてね。
 この都市は生身の人が殆《ほとん》どだったから治せる人材も少ないし、育成しようにも教員も教授も技術者も足りてない…ドラムに任せるにしても、それを扱える人が必要だしね…。」
「人材育成の講師か?」
『そう、造顔学科からの推選すいせんだね。
 外部から技術者を入れるなら是非ぜひにって…』
「あいつらか…別に構わないんだが…報酬は?」
『砦学園都市の労働相場表を送るね…。』
 アントニーからファイルが送られてくる。
 ジガはウィルスチェックの後ファイルを展開…賃金の相場表だった。
 砦学園都市は 自由経済に計画経済を組み合わせた『混合経済』になっている。
 計画経済は、物の価格、流通を全部、政府が決める。
 それ故に『』効率よく物資が行きわたり、技術開発も効率よく進む…。
 が…デメリットとして トップの少ない人数で全体を管理しないと行けない為、人の頭では処理能力が足りず、優先順位を設けた階層社会になり、最下層で最重要の労働者が蔑《ないがし》ろにされ、破綻する…。
 自由経済は 価格を指定しない事で企業の競争が技術を加速させ、安くて高品質な製品を大量に作り出せる。
 だが競争に負けた敗者が一定数 必ず現れ、社会問題を引き起こす。
 最終的には競争が過熱化し、緊縮財政と言う名の縛りプレイが始まり、国家が返す必要も無い借金の返済の為、増税と規制緩和を繰り返し、疲弊ひへいした国民を外国が安価で買い叩くと言う、国民の不幸で莫大《ばくだい》な金を稼ぐ人が現れ、国のすべてものに値段を付けられ販売されていく…。
 その後は 投資家の配当金の為などの短期的利益を追求したコストカットで労働モラルが失われ、低所得者に負担を強いる『今だけ金だけ自分だけ』の社会だ。
 どちらにしても破綻は避けられず、低所得者が一番悲惨な事になる。
 なので、砦学園都市は『モノの価値相場』を指定した。
 1000トニーの物を1トニーで売っても、1億トニーで売ってもいいが、都市は『モノの価値相場』を提示《ていじ》し、消費者はそれを見て高いか安いかを判断し、大体相場付近で価格が落ち着く…。

 さて、このモノにはヒトなどの労働者も含まれている。
 そして相場表を見ると…。
 C級労働者、月1万~10万トニー…労働者の半数がここ、時給制が多く、出勤日や時間など融通が利きやすい…労働時間は4時間、週4日がメジャーだ。
 B級労働者、月20万トニー…使える労働者、現場監督などがここ、時間や出勤日など融通が利かなくなるが、収入が安定し、企業の主戦力として活躍出来る。
 A級労働者、月30万トニー…研究員、インフラ、生産、軍事、役所職員など、危険な仕事や いなくなった場合、都市生活に直結する人材。
 S級労働者、月100万トニー以上…社長、都市長など、いなくなる事が出来ない人材…。
 となる。
 ウチの場合だとB~Aだが…今後の情勢次第で休む事もある…月23万位を日当割で貰えばいいか?
「1日4時間、週4日、4週で日当制で月23万でどうだ?」
『う~ん20万』
「22」
『21』
「21.5」
『……じゃあ21.7で』
「分かった…それで頼む。
 てことは日当は1万と3562.5トニーか?‬」
『別に月給払いでも良いけど?』
「いや…いい、今後の情勢次第で忙しくなるからな…16日働けるか 怪しくなる。」
『なら良いんですけど…仮契約書を発行しました…確認をお願いします。』
 新しくARウィンドウが表示され、アントニーから労働契約書が送られてくる。
 ただ仮と書かれている。
 規約を高速で読みながら…詐欺の類が無い事を確認する。
 労働条件も言った通りだ。
 ジガがARペンでサインをし、アントニーに送り返す。
『これで住民登録が出来るので、本契約は市役所の労働課でお願いします。』
「分かった。」
『それじゃあエルダーに迷惑をかけない様にね…マジで外交問題になるから…。』
 アントニーはレナにそう言うと 接続を切った。
「アントニーは随分値切りましたね…。」
「そうか?生活保障金も含めれば31.7万だぞ…十分な金額だろ」
「クオリアはA級労働者…月30万ですからね…11.7万高いです。」
「随分《ずいぶん》強気な交渉をしたんだな…。」
「クオリアは 大使館の運営資金にも使ってますからね…。
 サーバーに、冷却に、充電にと一般家庭の電力量を超えた電力を使っているので、追加料金を払っている位ですし、なによりパーツ更新を頻繁にするのでお金がかかります。」
 クオリアは安全確認が取れた最新式のパーツに常に更新している。
 そしてそのパーツを『エクスマキナ』からトニーで買う…これで『エクスマキナ』は外貨を手に入れる事が出来る。
 『エクスマキナ』は自国通貨が無くUMユニバーサルマネーを使っているので、緊急時の為UM以外の外貨を使えるようにして置かないといけない…。
 こうする事で共通通貨での破綻リスクを大幅に下げる事が出来る…。
「さて…後は、会議室で正式に調印するだけですね…こちらです。」
 コンパチがドアを開けてレナ達が後ろに続く…。
「ジガ、ロウ は?」
「おっと忘れてた…コンパチ、ウチらは『ハルミ』の所に行く…。」
「分かりました…ロウさん ちゃんと調べて貰って下さいね」
「コンパチ、分かった。」
 ジガとロウは 会議室に向かうレナと別れ、反対側のここでは全く需要が無い、診療所の医師『ハルミ』の所へ向かう…。
 退屈して寝ていなきゃいいんだがな…。
 まぁ起こせばいいか…興味は引くだろうし。
 ジガが診療所のドアを開けた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる

アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。 でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。 でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。 その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。 そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

転生したら王族だった

みみっく
ファンタジー
異世界に転生した若い男の子レイニーは、王族として生まれ変わり、強力なスキルや魔法を持つ。彼の最大の願望は、人間界で種族を問わずに平和に暮らすこと。前世では得られなかった魔法やスキル、さらに不思議な力が宿るアイテムに強い興味を抱き大喜びの日々を送っていた。 レイニーは異種族の友人たちと出会い、共に育つことで異種族との絆を深めていく。しかし……

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

辺境貴族ののんびり三男は魔道具作って自由に暮らします

雪月夜狐
ファンタジー
書籍化決定しました! (書籍化にあわせて、タイトルが変更になりました。旧題は『辺境伯家ののんびり発明家 ~異世界でマイペースに魔道具開発を楽しむ日々~』です) 壮年まで生きた前世の記憶を持ちながら、気がつくと辺境伯家の三男坊として5歳の姿で異世界に転生していたエルヴィン。彼はもともと物作りが大好きな性格で、前世の知識とこの世界の魔道具技術を組み合わせて、次々とユニークな発明を生み出していく。 辺境の地で、家族や使用人たちに役立つ便利な道具や、妹のための可愛いおもちゃ、さらには人々の生活を豊かにする新しい魔道具を作り上げていくエルヴィン。やがてその才能は周囲の人々にも認められ、彼は王都や商会での取引を通じて新しい人々と出会い、仲間とともに成長していく。 しかし、彼の心にはただの「発明家」以上の夢があった。この世界で、誰も見たことがないような道具を作り、貴族としての責任を果たしながら、人々に笑顔と便利さを届けたい——そんな野望が、彼を新たな冒険へと誘う。

【魔女ローゼマリー伝説】~5歳で存在を忘れられた元王女の私だけど、自称美少女天才魔女として世界を救うために冒険したいと思います!~

ハムえっぐ
ファンタジー
かつて魔族が降臨し、7人の英雄によって平和がもたらされた大陸。その一国、ベルガー王国で物語は始まる。 王国の第一王女ローゼマリーは、5歳の誕生日の夜、幸せな時間のさなかに王宮を襲撃され、目の前で両親である国王夫妻を「漆黒の剣を持つ謎の黒髪の女」に殺害される。母が最後の力で放った転移魔法と「魔女ディルを頼れ」という遺言によりローゼマリーは辛くも死地を脱した。 15歳になったローゼは師ディルと別れ、両親の仇である黒髪の女を探し出すため、そして悪政により荒廃しつつある祖国の現状を確かめるため旅立つ。 国境の街ビオレールで冒険者として活動を始めたローゼは、運命的な出会いを果たす。因縁の仇と同じ黒髪と漆黒の剣を持つ少年傭兵リョウ。自由奔放で可愛いが、何か秘密を抱えていそうなエルフの美少女ベレニス。クセの強い仲間たちと共にローゼの新たな人生が動き出す。 これは王女の身分を失った最強天才魔女ローゼが、復讐の誓いを胸に仲間たちとの絆を育みながら、王国の闇や自らの運命に立ち向かう物語。友情、復讐、恋愛、魔法、剣戟、謀略が織りなす、ダークファンタジー英雄譚が、今、幕を開ける。  

99歳で亡くなり異世界に転生した老人は7歳の子供に生まれ変わり、召喚魔法でドラゴンや前世の世界の物を召喚して世界を変える

ハーフのクロエ
ファンタジー
 夫が病気で長期入院したので夫が途中まで書いていた小説を私なりに書き直して完結まで投稿しますので応援よろしくお願いいたします。  主人公は建築会社を55歳で取り締まり役常務をしていたが惜しげもなく早期退職し田舎で大好きな農業をしていた。99歳で亡くなった老人は前世の記憶を持ったまま7歳の少年マリュウスとして異世界の僻地の男爵家に生まれ変わる。10歳の鑑定の儀で、火、水、風、土、木の5大魔法ではなく、この世界で初めての召喚魔法を授かる。最初に召喚出来たのは弱いスライム、モグラ魔獣でマリウスはガッカリしたが優しい家族に見守られ次第に色んな魔獣や地球の、物などを召喚出来るようになり、僻地の男爵家を発展させ気が付けば大陸一豊かで最強の小さい王国を起こしていた。

処理中です...