私の彼女が今日も世界一可愛い 〜百合カップルの愛しい毎日〜

眠気の誘う先

幼児タイムの逆転

　酔っ払って「えぇ、帰るの？」と上目遣いでこちらを見つめるロキに心臓をやられ、幸せ度が絶頂のまま精神と時の部屋に来たと勘違いしていると大体深夜2時を回っており、私の可愛い彼女をタクシーに乗せて帰宅する。
そんな飲酒したロキの幼児タイムを撫でくりまわしながら楽しんでいる私だが、唯一その時間が逆転する時がある。就寝前だ。

　就寝前は完全にバブにあやされるバブと化す。悲しいことに。

　大体体温が上がってきて、顔つきが変わってきたところでロキに気づかれる。
理由はそれだけではないようで、話していることが前後したり、話し方がふわふわとしてきて、ロキの飲酒時のようになるのだが、そこでおもりタイムに入ったロキは強い。
見た目通りのクールなまま私を寝かしつけにかかる。

　そうして一年ほど過ごしてきた。

　しかしどうしたことか、最近は様子が変わりつつある。私が眠くなり、瞼を擦り始めるとロキはおもりモードではなく飼い猫可愛がりモードに変化するのだ。

「どうしたんですか～？ノアちゃんねむいんですねぇ？」
　満面の笑みである。
「眠くない」
　精一杯の反発をするものの、もはや最近は受け入れてもらえさえしない。ノアちゃんと呼んでいるときはまだ平常心である。ロキも眠気が入ってきていると猫なで声でそれこそ「ねこちゃん！」と呼ばれる。
リバのレズビアンの私にネコはいささかいけ好かない呼び名ではあるが、それにもすっかり慣れてしまった。
こちらも悲しいことに。
「はぁい、電気消しますよぉ、ねこちゃんはちゃんとお布団に入ってくださいねぇ」
「ふん……」
　やや不満の声を漏らしつつもきっちりと従う。布団柔らかい。すごい。
「寝ましょうねぇ～」
「寝ない！眠くない！」
　この段階で私の瞼はほぼ落ちている。いやねむい、分かっている、しかし寝たくない。
葛藤しつつも布団の誘惑に抗えない。特に冬は包み込むような柔らかい毛布と、ロキと肌と肌が触れた時に体温が分け合うような感覚に陥ってさらに眠くなる。
「ロキ、私まだ寝ない！」
「…………」
「？ロキさん？」
「…………」

　あっ、これ寝てるわ。

　こうして私のバブタイムは終了である。短いときはわずか5分、瞬殺だ。
そんなロキを私は後ろから抱えて抱きしめながら眠る。こうした毎日も愛しくて幸せな瞬間だ。