ハーレムエンド後のギャルゲーの主人公が勇者になってヒロイン達と魔王を倒して世界を救うようです

ユウジン

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第二章 逃亡者と幼馴染

関係

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「落ち着いたか?」
「はい」

東桜市にある、個人経営の喫茶店に、勇誠達はいた。それぞれコーヒー等を飲み、フラメはケーキを、空はこの店オリジナルメニューの、厚さが10センチ、直径が30センチもある、巨大パンケーキが五段も重ねて、その一段一段の間に、生クリームを塗ってある物を食べていた。

因みに入ってくる際、7~8歳程の幼女と胴着を着た少女に、なにやらただ事ではない高校生程の少女2人と唯一の男子高校生が1人。と言うどういう関係なんだと問いただしたくなるような面子で来店したため、店員が随分怪しむような目で見てきたが、取り敢えずそれは横に置いておこう。

「えぇと、じゃあ改めて。俺は鶴城 勇誠。こっちは杖島 魔実と乾藤 空。そしてフラメ。フラメ以外は全員東桜高校の三年生だ」
「和賀……美月です。私も東桜高校に通ってます。1年生です」

さっきの生徒手帳を見ても思ったが、やはり後輩だ。と勇誠は思いながら、注文した紅茶には手を着けず、着いてきたレモンを囓る美月の顔を見て、

「まず言っておくが、俺達はレイジの事は名前と顔くらいは知ってる。ただそれだけの関係……いや、少々因縁が出来た。って所で、仲は寧ろ悪いくらいだ」
「そ、そうだったんですか」

美月はホッとしたような顔をする。しかしすぐに表情を戻すと、

「た、タケルとの関係は?」
「さっきも言ったように恩人みたいなものだ。タケルには少々助けられたことがある」

言うても、つい最近の事なのだが、まぁそれは置いておくとして、

「信じられない……タケルが誰かを助けた?」

美月が思うタケルの姿とは、どうも一致しないらしい。まさかたまたま同名だったわけじゃないよな?レイジってやつも同名で偶然噛み合ったわけ?

「えぇと、一応聞くけど、タケルって一応聞くけどさ、東桜高校の一年で、ちょっと体がふくよかな男だよな?」

身長は俺よりちょっと小さいくらい。と自分の頬の高さで手を動かすと、美月はコクコクと頷く。

「偶々同じ名前の他人じゃないんだ」

どうやら美月も同じことを考えてはいたらしい。すると美月はスマホを取り出し、写真を見せてくる。

「やっぱりタケルだ」
「じゃあ本当にタケルが鶴城先輩を?」

勇誠が写真を見ながら確認すると、美月は目を見開いていた。余程驚いているらしい。

「正確には勇誠だけじゃなくて私やフラメちゃんに空さんもだけどね」
「え?乾藤先輩あんなにスゴいのに?」
「んまぁ、色々あったからな」

ムゴムゴ言いながら、空は頷くと美月が頭を抱えた。

「どう言うこと?タケルそんなタイプじゃないのに……」
「逆に聞くけど、和賀が知るタケルってどんなタイプなんだ?」

さっき色々ボロクソにいってた気がするが、改めて聞いてみようと、勇誠が問うと、美月はこちらを見て、

「ヘタレの根性なしでビビリで人見知りでどうしようもないほどヘタレで怖がりでヘナチョコでヘタレで小心者で頼りなくてヘタレな奴です」
(今四回くらいヘタレって言わなかったか?)

と勇誠・魔実・空の三人が心の中で思ったものの、取り敢えず黙っておこう。

「でも……優しいところもある、大切な幼馴染です」
「幼馴染だったのか?」
「はい。もう生まれた頃から、ずっと一緒にいる幼馴染です」

そう笑う美月の表情は、先程より嬉しそうだ。

「まぁ、今は殆ど話しませんが」
「あぁ、確か今意識不明なんだっけ?」

魂だけが向こうのオルトバニアにいく都合上、こっちの世界だと意識不明の状態になる。

しかし、

「いえ、高校に入る前からですよ。中学3年の夏くらいからですかね」
「そんなにか」

話さなくなったと言うのは、何かしらの仲違いがあったのか、だが話を聞く限り、そこまで致命的な仲違いがあったようには見えないし、年頃になってスレ違ったと言う感じもしない。寧ろ、今でも大切に思っているようだ。

「ほら、東桜市って東桜高校以外に学校が殆どないじゃないですか。だから中学からそのまま東桜高校って感じで」
「確かにな」

実際勇誠と魔実と空は同じ中学だし、東桜市は中学はちらほらとあるが、高校は東桜高校を筆頭に殆ど無い。いっそ県外に行った方が良いくらいだ。だからか東桜高校は在籍数が滅茶苦茶多い学校だったりする。 

東桜市はそこそこ大きいのだが、高校数が少ないというのは、長らく言われている不思議だ。

「だからと言って、別にタケルと話す訳じゃないんですけどね」
「ふむ」

しかし、先程からどうも彼女とタケルの関係をどうも理解しきれていない。実際のところどういう関係なのか……大事そうに見えて、こうやって突き放すような言い方もする。

そこで、

「じゃあ、レイジとはどういう関係なんだ?」
「っ!」

レイジの名前を出した途端、明らかに美月の表情が凍りついた。

「レイジは、私の恋人です」
『……』

勇誠と魔実と空の三人は、思わず目を見合わせる。レイジと美月は付き合っていて、美月の幼馴染であるタケルはオルトバニアではレイジにひどい扱いを受けている。

何かある。勇誠達はそう直感した。

「ねぇお兄ちゃん。フラメこれも食べたい」
「ん?分かった」

夕食前にパフェは重そうだが、今は美月の話を聞く方を優先したい。それに込み入った話にもなりそうだ。と勇誠はパフェを頼み、恐る恐る紅茶に口を着けた美月に話を聞こうとしたその時、

「うぷっ」 
『え?』

紅茶を二口程飲んだ次の瞬間、美月は突然席を立って走り出すと、奥のトイレに駆け込んでいった。

「ちょっと様子を見てくる」
「あぁ、頼む」

流石に男の勇誠がいくわけにもいかないので、魔実が席を立ってトイレに向かうと、

「和賀さん?どうしたの?」
「うぇ!げぼっ!」

便座に顔を向け、しゃがみながら嘔吐している美月がいた。

「だ、大丈夫?」
「ず、ずいば、ぜん」

魔実は慌てて背中を擦り、美月が落ち着くのを待つ。

胃の中は殆ど空っぽらしく、えずくだけだが、逆にそれが辛そうだ?

「具合悪いの?」

だとしたらここに連れてきたのは失敗だった?と魔実は思ったが、美月は首を横に振る。

「具合が、良いわけじゃないけど、ちょっと違うって、いうか」
「え?」

一瞬わからなかった。美月の言葉の意味が。だが魔実は美月がお腹を……厳密にはヘソの下辺りの下腹部を抑えてるのを見て、何か嫌な予感が脳裏に過り、思わずそれを口にする。

「もしかして和賀さん、妊娠してるの?」
「……はい」 

そんなわけ無い。と言って欲しかったが、残念ながら帰ってきたのは肯定だった。

「相手はレイジ?」
「……分かりません」

分からない?と魔実は眉を寄せた。レイジと付き合ってるのだから、レイジじゃないのか?と思ったのだが、

「レイジに言われて……色んな人とセックスしましたから……」
「っ!」

魔実は血の気が引くような感覚がした。だがここで自分が動揺してはならない。本能的にそう感じた。

「どういうこと?」
「タケルを、守るため、たくさん、嫌だったけど、たくさん我慢して……」

ガタガタと美月の体が震えだし、

「首締められたり、一度に沢山の人とやらされたり、しているところを撮られたり、殴られたり、避妊もしてもらえなかったり、泊まりでやられたり、嫌だったけど、逃げたらタケルがまた標的にされるから」

ボロボロ涙を流しながら、美月は話が飛びながら話続ける。

「うぇ!」

既に胃の中身はなく、ひたすら吐く動作だけを繰り返す美月に、魔実は背中を擦り続ける。

「気持ち悪い……」

すると今度は呪詛のような声音で言葉を発した。

「こんな子供産みたくない。でも堕ろすのにはお金も必要だし、保護者の同意書もいる。だけどこんなの親の話せない。レイジが突然意識不明になって、やっと解放されると思ったらレイジの仲間に追われるし、妊娠までしちゃって、もうどうすれば良いの……?」 

どす黒い感情が渦巻きながら、美月は更に涙を流し、

「誰か助けて……」
「和賀さん」 

魔実は美月の背中を撫でついると、

「大丈夫か?」

とやって来たのは空。それをみた魔実は、

「ごめん乾藤さん。勇誠とフラメちゃんと先に帰っててもらって良い?」
「……分かった。了解了解っと」

空はなにも聞かなかったが、ただそれでも何かしらの理由は察してくれたらしく、そのまま戻っていくのだった。





「そうだったのか」
「うん」

そんなことがあった日の夜。勇誠は家の二階にあがってベランダに出ると、魔実が窓からジャンプして、こちらに跳び移ってきたかと思えば、美月のことについて教えてくれた。

あの後空が戻ってきて、魔実から先に帰ってほしいと言われ、フラメが丁度食べ終わってたのもあり、勇誠はフラメと空をつれて店を出た後、帰路に着いた。

そしてそのまま勇女の作った夕食を食べ(案の定フラメは夕食が入らなくなっていた)、兄妹の取り決めである作ってない方が皿を洗うというルールに乗っ取り、勇誠が皿を洗い終えたところに、魔実から上に来てと言うメールが来て、ここに来た。

勇誠の家はベランダから屋根に上がれる構造なので、昔からこっそり怒られるので、両親には内緒でここに上がってきていた。今でも魔実とここにあがっては、二人で色々話す。

今日もやること同じだ。ただ内容が決して気分の良い物ではなく、勇誠は奥歯を噛み締めた。

そして魔実は話終えると、

「これからどうする?」
「一先ずは和賀は大丈夫そうなのか?」
「うん。一旦は落ち着けて家に返した。でも子供に関してはどうしようもないよね……」

簡単に堕胎しろ何て言えない。例えそれが望まれてなかったとしても、それが母親の体に大きな負担をかける行為であり、生まれるはずの命を殺す行為であるのだから。そもそも諸々の手続きに未成年である美月だけでは無理がある。だがそれを両親に訴えれば、何があったのかを説明しなければならない。

どちらにせよ茨の道。しかし、

「まずはタケルと話すしかないな」
「早速今夜からいく?」

あぁ、と勇誠は頷きつつ立ち上がる。今夜もみんなで集まって、オルトバニアにはいく予定だ。

「タケルとは俺が話すよ」
「うん。分かった」

勇誠の言葉に、魔実は信頼をもって答えた。

魔実は知っている。この目をしている時の勇誠は強い。そして頼りになる。まぁいつも頼りにはなる奴なのだが。

だからなにも心配はいらない。きっとどうにかしてくれる時の目で、魔実の大好きな目である。

「ふふ」
「ん?どうかしたのか?」

突然笑った魔実に、勇誠は首をかしげると、

「ううん。やっぱり私勇誠のこと好きだなって。改めて思ったの」
「な、なんだよ急に」

突然の告白に、勇誠は顔を赤くしつつ目を逸らした。

「ふふふ」

そんな勇誠の仕草が可愛くて、思わずまた笑ってしまったのは、まぁ余談である。
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