働くおじさん異世界に逝く~プリンを武器に俺は戦う!薬草狩りで世界を制す~

山鳥うずら

文字の大きさ
156 / 229

第百五十七話 子供の悪戯(こどものいたずら)

しおりを挟む
 今日は羽目を外そうと金貨を握りしめて、歓楽街に一人で繰り出したはずがどうしてこうなった――――

「古酒をお湯割りでよろぴくーーーー」

 空になったカップを高く掲げながら左右に振るマリーサさんが、何故か俺の隣に座って注文を出していた。

「ねえ、もうそろそろ帰ってくれねーかな」

「ういーー? こんな若くて可愛い子が、無料ただでお相手してあげているというのに、どうして不満があるんれすか」

「おっちゃんの持ち金は、もう底を突いているのよ!」

「アハハハハ! 大丈夫ですよ、おっちゃんのギルド口座には少しずつ金貨が溜まっております!」

「ふはーー。マリーサさん、それって職権乱用じゃありませんか?」

「そうでしたっけ? フフフ……」

 どこぞの政治家ばりに笑顔で答える。 

「お姉さーーん! 俺も古酒お湯割り。あと串焼き五本追加ね」

「はーい! かしこまり」

 元気の良い女中の声が店に響く。

 注文をお願いし、マリーサさんの前に置かれたコップに、俺の飲みかけの古酒を注ぐ。コップに注がれた琥珀色の液体を、彼女は嬉しそうな顔をしながら一息に飲み干した。

 今日はここで、二人で飲むことにしようと腹をくくる……。

「おっちゃんさぁ~、隠していることがあるでしょ」

 マリーサさんは人の悪い笑みを浮かべる。そんな彼女の問い掛けに、俺はチラリと視線を向けた。

「何を唐突に言ってるんですかね」

「もーーーあれですよ。白い悪魔・・・・

  その名前を聞いた瞬間、俺の顔が一瞬だけ強張った。

「あれって、討伐隊が追い払ったってマリーサさん自身が、ギルドで報告していたじゃないんですか」

 あたかもその話題に興味を持っていない素振りを見せながら、会話を続ける。

「ういーーー。コブクロさんたちが、一週間ほど山に潜りましたが、白い悪魔の痕跡はみつからず、被害者も出なかったのは確かれす」

 マリーサさんの身体は徐々に俺の方に近づいてきている。

「それと俺の隠し事がどう繋がっているのやら分からないな」

「白い悪魔をおっちゃんが撃退したという女の勘れす!」

 頬をほんのり染めながら、身体をゆっくりと俺に預けてくる……。

「こんな低級冒険者のおっさんに、何を期待しているのやら……」

 俺は串焼をかじりながら、彼女の誘いに気づかない振りをする。

「れもれす……あの蛍光茸を換金した日、わらしの第六感はビビビときたのれす」

 酔っぱらいが、俺の膝を遠慮なく密着しながらすりすりと触ってくる。望まないスキンシップほどうざいと感じるほかはない。MMUマリーサマジウザイだ。

「はあぁ……ビビビね。もしそれが事実なら、五体満足でキノコを持って帰ってこられないわな」

 そう言って、マリーサさんの左手をしっしと手で払う。

「うひひ…そうですよね。このお酒、旨いですぅ~」

 今度は、足をねっとりと絡ませてくる……とんだビッチな酔っぱらいだ。

「オットウが紹介してくれる店にハズレ無しだな! 乾杯ーーーい」

「かんぱぁーいっ……」

 俺の首筋に顔を目一杯めいっぱい近づけて甘い声で囁いた。

 乾杯の数と酒の数が増えていく――

「お姉さん、グリッツお願いね」

「安い焼き菓子のくせに、どのお酒にも合うんだよな」

 俺は鉛筆のような細い焼き菓子を、一口大に折って口の中に放り込んだ。

「何、無粋な食べ方をしているんれすか!」

 彼女はブリッツの先端を自分の口に入れ、噛まずにその咥えた先・・・・を俺の口に押し込んだ。

「グリッツゲーム開始」

 そう言って、彼女は指先でグリッツを支えながら、俺に食べさせた。ポリポリと食べ進めて指先まで届くと、彼女はその人差し指を俺の口に入れる。俺は仕方なしに・・・・・、彼女の意図を汲み取った上で指を甘噛みする……。そうして甘じょっぱい指を舌で転がした。

 マリーサさんがそんな俺の姿を恍惚とした表情を浮かべながら、骨まで溶かすかのように、ねっとりと指をしゃぶっていく……。

 酒をしこたま飲んでいるとはいえ、酒場で馬鹿なことをしているぐらいの常識はまだ残っている。ただこれを仕掛けてきた、酔っぱらいに合わせているだけだと自分の心に言い訳をした。

「はい、はい俺の負けです」

 俺は彼女の柔らかい唇の感触に、少しだけ未練を残しつつグリッツゲームを強制終了させた。このまま彼女こどもに遊ばれて終わるのも癪だったので、今度は俺がグリッツをベチャベチャと舐めてマリーサさんの口に近づけたら、彼女は露骨に顔をしかめ、口を頑なに開こうとはしなかった。

 ――――解せぬ。

 すでに深夜を回っているのに、歓楽街はまだ人で溢れている。俺は酔っぱらって歩くことも出来なくなった彼女をおんぶしながら街を歩く。背中に大きな乳袋の感触MODマリーサオッパイデカイを感じながら、この喧噪にまみれた道を抜け出せば、山手線の駅に出るのではと言う錯覚を覚えた。

「もう一軒、行くのれすぅ~~」

 と、足をジタバタさせながら俺の耳元で、酒臭い息を吐きながら絡んでくる……。おおきな赤ちゃんを背負いながら、これが現実だと深い溜息を一つつく。
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編

クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる

アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。 でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。 でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。 その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。 そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。

俺、何しに異世界に来たんだっけ?

右足の指
ファンタジー
「目的?チートスキル?…なんだっけ。」 主人公は、転生の儀に見事に失敗し、爆散した。 気づいた時には見知らぬ部屋、見知らぬ空間。その中で佇む、美しい自称女神の女の子…。 「あなたに、お願いがあります。どうか…」 そして体は宙に浮き、見知らぬ方陣へと消え去っていく…かに思えたその瞬間、空間内をとてつもない警報音が鳴り響く。周りにいた羽の生えた天使さんが騒ぎたて、なんだかポカーンとしている自称女神、その中で突然と身体がグチャグチャになりながらゆっくり方陣に吸い込まれていく主人公…そして女神は確信し、呟いた。 「やべ…失敗した。」 女神から託された壮大な目的、授けられたチートスキルの数々…その全てを忘れた主人公の壮大な冒険(?)が今始まる…!

異世界転生おじさんは最強とハーレムを極める

自ら
ファンタジー
定年を半年後に控えた凡庸なサラリーマン、佐藤健一(50歳)は、不慮の交通事故で人生を終える。目覚めた先で出会ったのは、自分の魂をトラックの前に落としたというミスをした女神リナリア。 その「お詫び」として、健一は剣と魔法の異世界へと30代後半の肉体で転生することになる。チート能力の選択を迫られ、彼はあらゆる経験から無限に成長できる**【無限成長(アンリミテッド・グロース)】**を選び取る。 異世界で早速遭遇したゴブリンを一撃で倒し、チート能力を実感した健一は、くたびれた人生を捨て、最強のセカンドライフを謳歌することを決意する。 定年間際のおじさんが、女神の気まぐれチートで異世界最強への道を歩み始める、転生ファンタジーの開幕。

お持ち帰り召喚士磯貝〜なんでも持ち運び出来る【転移】スキルで異世界つまみ食い生活〜

双葉 鳴
ファンタジー
ひょんなことから男子高校生、磯貝章(いそがいあきら)は授業中、クラス毎異世界クラセリアへと飛ばされた。 勇者としての役割、与えられた力。 クラスメイトに協力的なお姫様。 しかし能力を開示する魔道具が発動しなかったことを皮切りに、お姫様も想像だにしない出来事が起こった。 突如鳴り出すメール音。SNSのメロディ。 そして学校前を包囲する警察官からの呼びかけにクラスが騒然とする。 なんと、いつの間にか元の世界に帰ってきてしまっていたのだ! ──王城ごと。 王様達は警察官に武力行為を示すべく魔法の詠唱を行うが、それらが発動することはなく、現行犯逮捕された! そのあとクラスメイトも事情聴取を受け、翌日から普通の学校生活が再開する。 何故元の世界に帰ってきてしまったのか? そして何故か使えない魔法。 どうも日本では魔法そのものが扱えない様で、異世界の貴族達は魔法を取り上げられた平民として最低限の暮らしを強いられた。 それを他所に内心あわてている生徒が一人。 それこそが磯貝章だった。 「やっべー、もしかしてこれ、俺のせい?」 目の前に浮かび上がったステータスボードには異世界の場所と、再転移するまでのクールタイムが浮かび上がっていた。 幸い、章はクラスの中ではあまり目立たない男子生徒という立ち位置。 もしあのまま帰って来なかったらどうなっていただろうというクラスメイトの話題には参加させず、この能力をどうするべきか悩んでいた。 そして一部のクラスメイトの独断によって明かされたスキル達。 当然章の能力も開示され、家族ごとマスコミからバッシングを受けていた。 日々注目されることに辟易した章は、能力を使う内にこう思う様になった。 「もしかして、この能力を金に変えて食っていけるかも?」 ──これは転移を手に入れてしまった少年と、それに巻き込まれる現地住民の異世界ドタバタコメディである。 序章まで一挙公開。 翌日から7:00、12:00、17:00、22:00更新。 序章 異世界転移【9/2〜】 一章 異世界クラセリア【9/3〜】 二章 ダンジョンアタック!【9/5〜】 三章 発足! 異世界旅行業【9/8〜】 四章 新生活は異世界で【9/10〜】 五章 巻き込まれて異世界【9/12〜】 六章 体験! エルフの暮らし【9/17〜】 七章 探索! 並行世界【9/19〜】 95部で第一部完とさせて貰ってます。 ※9/24日まで毎日投稿されます。 ※カクヨムさんでも改稿前の作品が読めます。 おおよそ、起こりうるであろう転移系の内容を網羅してます。 勇者召喚、ハーレム勇者、巻き込まれ召喚、俺TUEEEE等々。 ダンジョン活動、ダンジョンマスターまでなんでもあります。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

処理中です...