不運!勇者さま!!

烏の人

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第3話 酒場の修羅場

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 ある酒場の前で立ち止まる。城を出る前に国王に聞かされたのだが、ここは冒険者のたまり場なんだとか。なぜわざわざ酒場なのかと聞かれれば………そういうのがセオリーでしょ?との回答を頂いている。やっぱり1度殴ったほうが良かったのかもしれない。

「まあ…行くか………。」

 ここで止まっていてもどうこうなる問題じゃない。そうして僕は扉を開けた。
 さて中は………昼間から騒いでる酒場………か。僕、こういう空気苦手なんだよな。まぁ僕はお酒は飲めないし、目的は仲間集めだからささっと終わらせちゃおう。まず誰からだろう………魔法使い?ヒーラー?戦士?うーん………。

「どうかしたんですか?」

 そう声をかけてきてくれたのは、青い髪、僕よりも一回りは小さい背丈が特徴的な少女だった。

「い、いえ、誰かパーティを組んでくれる人はいないかなと思いまして。」

「へぇ~貴方もしかして噂の勇者さま?」

「ええ、一応。」

「へぇ~貴方が転生してきたはいいものの、剣ではなく杖を渡された挙げ句王様の言葉に振り回されてる不運な勇者さまなんだ。」

 なんだろう、言葉の節々にSの片鱗を感じる。そして既にこんな情報が出回っていることに驚きと憤りを隠せない。

「………えぇ、おっしゃるとおりです。」

「仲間は見つかりそうですか?」

「いえ、全く。」

「それだったら、私と組みません?あ、私アリアって言います!」

「アリアさんですか。えっと役職はなにを?」

「あんまり好かれないんですけど………薬師の方を………。」

「薬師………ですか。ヒーラーみたいに重宝しそうなものですけど………?」

「あぁそうじゃなくて………モンスターに薬を投げるんです。例えば激しい痛みを伴う劇薬でしたり、徐々に自我がなくなり仮死状態になる薬でしたり………そうやって悶たり恐怖におののいたりするモンスターを見るのがとてつもなく………至高なのです!」

「あ、丁重にお断りさせていただきます。」

「なんでですか!?屈強な男性に回復するけど激しい痛みを伴う薬を与えて悶える姿も好きですよ!?」

「Sどころじゃねぇ!とんだサディストじゃねぇか!!と、言うか薬師が嫌われてるんじゃなくて君か嫌われてるんだねこれ!!」

「いえ、そんなことないですよ?」

「え?どうして?」

「薬師がこういうやつしか居ないからです。」

「とんだ魔境じゃねぇか!!わかってるんなら改善しろよ!!」

「嫌ですよ。仮に改善したとして誰が私の欲を満たしてくれるんですか?」

 あの、目にハイライト入ってないんですけど。ガチトーンなんですけど。

「ねぇ、悪役サイドの言葉だよ!?魔王幹部の3番面くらいの立ち位置のちゃんとクレイジーな奴のセリフだよ!?」

「そんな魔王幹部並に強いだなんて………。」

「その我欲がな!?と、いうか僕にはそんな趣味ないから―――――。」

 僕のその声を遮るように、誰かが口を挟んだ。

「さっきから聞いてりゃあ………プレイの話なら外でしな。」

「げっ、鬼………。」

 アリアはそう残しそそくさと退散していく。

「いやあの、聞いてたならわかりますよね。僕被害者です。」

「うるさい!」

 赤い髪のその少女は、2メートルはあろうかという薙刀の切っ先を僕に向ける。

「圧倒的理不尽では!?」

「酒をまずくしたアンタらが悪い。」

 待て待て待て逆恨みがひどいぞ?

「その身を持って償えよ!!」

「いやいや待って待って待って!!」

 と、声をかけるもすでに遅い。少女は距離を詰め、薙刀は振りかぶられていた。

「あっ―――――。」

 刹那バキンっと音を立て折れたのは、薙刀の刃であった。

「………いや、琵琶の杖つっよ!!」
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