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第3章
呪いの言葉
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シリアス回です。もしかしたら辛いと感じる方がいらっしゃるかもしれません。
________________________
先ほど口にした「両親」というのは我が家に引き取られる前の親の事だろう。
「僕が公爵家の養子になるまで、牢屋で暮らしてたのは知ってる?そこで僕の両親はいつも暴言を吐いていたんだ。この出来損ない、生まれなくてよかった、要らない子だって。物心ついたときからそう言われてきたんだ」
言葉の暴力。
ハルトは身体的な暴力だけでなく、心も常に傷つけられていた。
私の知るハルトの過去はゲームの描写のみ。しかも、セピアな色で描かれていただけだから詳しくは知らない。多分、私の想像もできないような暴力に晒されてきたんだろう。
「公爵家に来てから、僕は全く逆の言葉をかけられるようになった。僕は最初夢かと思ってたんだよ。こんなに暖かい場所にいていいのかって」
「本当に僕はどうしようもない人間なんだ。父上や母上のことを僕は心の底から信じているつもりだった。でも、本当は無意識に信じきれてなかったのかもしれない。あれだけ、僕を暖かくしてくれたのに、今僕はまだ自分のことを出来損ないだと思っている」
遂にハルトの目から涙が溢れた。
「ぼ、僕は...。これから一生他人を信じられないかもしれない。まだ、僕は両親の言葉に引きずられている。この言葉を信じてしまっているんだ」
私はハルトの向かいから、隣に移動した。
ハルトの体をそっと抱き寄せる。9歳になったハルトは私より少し背が高かった。
「私のことはどう?信じてる?」
「ジルのことはよくわからない。でも、他より信じられていると思う」
「そう、じゃあ大丈夫よ。ハルトは言葉を信じている訳じゃない。言葉に縛られているだけ。私を少しだけでも信じられてるんでしょ?みんな信じられなくてもいいの。それにハルトは信じたいって思いがある。そしたら、必ず信じられる時が来るわよ」
かける言葉がこれであってるのかは分からない。でも、私が心からハルトを信じていることが伝われば。ハルトを縛る言葉から解放される鍵のキッカケになれば。
「それに、円卓の騎士に選ばれたいんでしょ?出来損ないなんて嘘よ。なにかやる前からそんなこと言わないで」
これから何をするか決めたんだからそれをしっかり思い出して。前に進み目標があるんだけで人は変われる。
☆☆☆
ハルトとは学園に着くまでの3日間たくさん話をした。
「ジル様、ハルト様、間もなくスタンディア学園の港に到着します」
「分かったわ」
「ありがとう」
最初の記念にと、2人で甲板へ出る。遠くには学園の港が見える。爽やかな風が私たちを撫でていった。
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先ほど口にした「両親」というのは我が家に引き取られる前の親の事だろう。
「僕が公爵家の養子になるまで、牢屋で暮らしてたのは知ってる?そこで僕の両親はいつも暴言を吐いていたんだ。この出来損ない、生まれなくてよかった、要らない子だって。物心ついたときからそう言われてきたんだ」
言葉の暴力。
ハルトは身体的な暴力だけでなく、心も常に傷つけられていた。
私の知るハルトの過去はゲームの描写のみ。しかも、セピアな色で描かれていただけだから詳しくは知らない。多分、私の想像もできないような暴力に晒されてきたんだろう。
「公爵家に来てから、僕は全く逆の言葉をかけられるようになった。僕は最初夢かと思ってたんだよ。こんなに暖かい場所にいていいのかって」
「本当に僕はどうしようもない人間なんだ。父上や母上のことを僕は心の底から信じているつもりだった。でも、本当は無意識に信じきれてなかったのかもしれない。あれだけ、僕を暖かくしてくれたのに、今僕はまだ自分のことを出来損ないだと思っている」
遂にハルトの目から涙が溢れた。
「ぼ、僕は...。これから一生他人を信じられないかもしれない。まだ、僕は両親の言葉に引きずられている。この言葉を信じてしまっているんだ」
私はハルトの向かいから、隣に移動した。
ハルトの体をそっと抱き寄せる。9歳になったハルトは私より少し背が高かった。
「私のことはどう?信じてる?」
「ジルのことはよくわからない。でも、他より信じられていると思う」
「そう、じゃあ大丈夫よ。ハルトは言葉を信じている訳じゃない。言葉に縛られているだけ。私を少しだけでも信じられてるんでしょ?みんな信じられなくてもいいの。それにハルトは信じたいって思いがある。そしたら、必ず信じられる時が来るわよ」
かける言葉がこれであってるのかは分からない。でも、私が心からハルトを信じていることが伝われば。ハルトを縛る言葉から解放される鍵のキッカケになれば。
「それに、円卓の騎士に選ばれたいんでしょ?出来損ないなんて嘘よ。なにかやる前からそんなこと言わないで」
これから何をするか決めたんだからそれをしっかり思い出して。前に進み目標があるんだけで人は変われる。
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