はい、ヒロインを苛めます。

比嘉瑠

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第3章

式典

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会場で、使用人に案内された席は1番前だった。とても目立ちますね。くっそ、めんどくせぇ。でも隣はシュタルク侯爵子息、テオですね。

「久しぶりですわね、テオバルト様」
「ああ、久しぶりですね。シルティーナ嬢、ハルトヴィヒ様」

((うっわぁ、こいつが様とかキャラじゃねぇぇぇぇ))

「またあとで、たくさん話そうな」
「え、ええ。もちろんですわ」

やっば。心の声が漏れちゃってたパターンですね。ハルトの顔も引き攣っているのを見ると、どうやら同じことを考えていたようだ。

「ああ、シルティーナ様!!!!!」

あ、この感極まった感じ。さては、テオの婚約者のエルフリーデかな。というかそれ以外に思いつかない。テオに紹介されたあとも、ちょくちょく2人で遊ぶというか、私の家でお茶を飲んでた。

「エルフリーデさん、お久しぶりですわね。元気にしていらした?」
「ええ!もちろんですわ!」

元気そうで何より。こっちが思わず苦笑いが漏れるくらい元気ですわね。

というか、この列に座るメンツが豪華だわぁ。ありえねぇ。まあ、私もその豪華なメンバーなのは自覚してますが。

徐々に会場が静まっていく。ヴィクターが入場してステージ上にある新入生総代兼皇太子殿下の席に座ったからだろう。久しぶりに見た姿は結構新鮮だった。たぶん、私の身長はとっくに抜かされているだろう。それ以上に、なんとなく、なんかこう、皇太子という自覚がでたのか?風格みたいなものが出てきたように感じる。うん、これはいいね。私の蒔いた腹黒の種がしっかり根付いている。

思わず、私は口でニヤッとしてしまった。

ああ、楽しみ。ヒロインが入学してくるまでの3年間。その間は完全に私のステージだ。圧倒的に有利な場所であのピンク頭を迎え撃ってあげよう。


☆☆


ーーーこれより、第137回スタンディア学園入学式を開式いたします。

長いなぁ。

今の私の心境はこの一言に尽きる。とにかく、ながい。前世でも校長先生の話が長いのはもはや常識だったが、この世界はその校長先生にあたる人が多すぎる。昔、素晴らしい功績を残したらしい、よっぼよぼのおじいさんが、膝をガクガクさせながら話している様子はとても心臓に悪い。しかも、たくさん。そして理事の数も多い。

こんな中、寝ない私はすごい。

ーーー以上で、スタンディア学園第137回入学式を閉式いたします。

入学式が終わった後はすぐに上級生に案内してもらいながら自分たちの教室に向かう。私たちの案内をするのは生徒評議会会長だった。いわゆる生徒会だ。

「上級クラスの生徒は僕についてきて下さい」

声に促され、入学式が行われた大講堂を出ようとしたら、ヴィクターに話しかけられた。

「ジル」

パッと私は後ろを振り向いた。そこには、記憶よりもすこし大人びた高い位置に顔がある。

「お久しぶりですわ、殿下」
「...ずっと会いたかったんだ。たくさん話そう」
「ええ、もちろんです」

手を差し出された。
大講堂から出るだけなのに、わざわざエスコートしてくれるらしい。これは、想像以上に成長していそうだな。
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