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第2章
未来の皇妃。 sideある貴族
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ある当主
先ほど皇妃に認められた少女は、今は皇族だけの席に座り、お茶を楽しんでいる様子だった。
変に気負う様子もなく、自然体で、堂々と皇室のなかに存在している。まるで、自分が未来の皇妃だと主張しているようだ。その様子に普通は反感を覚えるものだが、彼女、シルティーナ嬢だけは違うだろう。
本当に違和感がない。先ほどの一瞬で、皇族にも、その他の貴族にも、認められてしまったのだ。
「お父様、私も皇太子殿下とお話ししたいわ。」
「ダメだ、テーブルを見てみなさい。婚約者がいらっしゃるんだ。」
「どの子?」
なんと。まだ皇族の顔を覚えきれていない娘では、誰が一般貴族かの見分けもつかないらしい。しかし、この年齢ではこの状態が普通だ。身内の欲目では決してない。他の貴族も似たようなものだろう。それだけ、空気が一致しているのだ。
「あの銀髪の女の子よ、しっかりと覚えておきなさい。学園で学ぶようになったら、ちゃんとあの子と仲良くするのよ。」
妻が教えているが、間違ってもあの子から婚約者の座を奪おうなどしないほうがいいだろう。成功するなど、到底考えられない。よしんば成功したとしても、一生シルティーナ嬢と比べられ、自分がつらい思いをするだけだ。
自殺行為に等しい。
「お母様が言った子はすごいですね。私もあんな女の子になりたいです。」
「努力すればなれるわ。一緒にお勉強を頑張りましょうね。」
「分かりましたわ、お母様。」
さて、本当になれるのか。そう疑問を覚えるが、そんなことを口に出せば妻に怒られてしまう。
「さて、私は挨拶をしに行ってくるよ。」
「頑張ってきてくださいね。」
ああ、本当だ。しっかり気を張っていなければならないな。
☆☆
あるご令嬢
私は伯爵令嬢。周りからは、いっつも美しいって言われてきたのよ。
なのに。なんであの女だけが、皇太子殿下のおそばにいられるのかしら。同じ貴族令嬢なのに。
「お父様、どうして私が皇太子殿下のおそばにいないの?」
「それはシルティーナ嬢が婚約者だからだよ。」
「あの銀髪の女の子ね。その婚約者っていうのは私じゃなれない物?」
「そんなことはないさ。あのシルティーナ嬢が婚約者じゃなくなればね。」
「そうなのね。」
あの堂々と皇族のなかに居座る姿。図々しいったらありゃしない。私があの場に相応しいのよ。お父様だって、今認めてくれたんだもの。
「お父様、私あの子とお話ししたいわ。」
「そうか、じゃあ後で一緒にあいさつに行ってみよう。」
私のほうが相応しいって、絶対認めさせてやるのよ。
先ほど皇妃に認められた少女は、今は皇族だけの席に座り、お茶を楽しんでいる様子だった。
変に気負う様子もなく、自然体で、堂々と皇室のなかに存在している。まるで、自分が未来の皇妃だと主張しているようだ。その様子に普通は反感を覚えるものだが、彼女、シルティーナ嬢だけは違うだろう。
本当に違和感がない。先ほどの一瞬で、皇族にも、その他の貴族にも、認められてしまったのだ。
「お父様、私も皇太子殿下とお話ししたいわ。」
「ダメだ、テーブルを見てみなさい。婚約者がいらっしゃるんだ。」
「どの子?」
なんと。まだ皇族の顔を覚えきれていない娘では、誰が一般貴族かの見分けもつかないらしい。しかし、この年齢ではこの状態が普通だ。身内の欲目では決してない。他の貴族も似たようなものだろう。それだけ、空気が一致しているのだ。
「あの銀髪の女の子よ、しっかりと覚えておきなさい。学園で学ぶようになったら、ちゃんとあの子と仲良くするのよ。」
妻が教えているが、間違ってもあの子から婚約者の座を奪おうなどしないほうがいいだろう。成功するなど、到底考えられない。よしんば成功したとしても、一生シルティーナ嬢と比べられ、自分がつらい思いをするだけだ。
自殺行為に等しい。
「お母様が言った子はすごいですね。私もあんな女の子になりたいです。」
「努力すればなれるわ。一緒にお勉強を頑張りましょうね。」
「分かりましたわ、お母様。」
さて、本当になれるのか。そう疑問を覚えるが、そんなことを口に出せば妻に怒られてしまう。
「さて、私は挨拶をしに行ってくるよ。」
「頑張ってきてくださいね。」
ああ、本当だ。しっかり気を張っていなければならないな。
☆☆
あるご令嬢
私は伯爵令嬢。周りからは、いっつも美しいって言われてきたのよ。
なのに。なんであの女だけが、皇太子殿下のおそばにいられるのかしら。同じ貴族令嬢なのに。
「お父様、どうして私が皇太子殿下のおそばにいないの?」
「それはシルティーナ嬢が婚約者だからだよ。」
「あの銀髪の女の子ね。その婚約者っていうのは私じゃなれない物?」
「そんなことはないさ。あのシルティーナ嬢が婚約者じゃなくなればね。」
「そうなのね。」
あの堂々と皇族のなかに居座る姿。図々しいったらありゃしない。私があの場に相応しいのよ。お父様だって、今認めてくれたんだもの。
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「そうか、じゃあ後で一緒にあいさつに行ってみよう。」
私のほうが相応しいって、絶対認めさせてやるのよ。
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